昨日、光市の事件で最高裁の判決が下されました。
最初に判決結果を知ったのはNHKニュースで、実名報道でした。
アナウンサーの実名報道の理由を聞いて、何か気持ちがしっくりしませんでした。
<NHKの見解>
NHKは、少年事件について、立ち直りを重視する少年法の趣旨に沿って、原則、匿名で報道しています。
今回の事件が、主婦と幼い子どもが殺害される凶悪で重大な犯罪で社会の関心が高いことや、判決で元少年の死刑が確定することになり、社会復帰して更生する可能性が事実上なくなったと考えられることなどから実名で報道しました。
どうして私は心が落ち着かないのだろうかと考えました。
確かに死刑が確定したのですから社会復帰がないのは分かります。ただ、更生という心の問題を「社会」という「場」に限定して、更生する可能性が事実上なくなったからとしているところが釈然としない原因なのだと思います。
これを実名報道の理由にするのはちょっと納得いきません。
以前NHKで、ある死刑囚についての特番がありました。結局死刑が執行されたのですが、その死刑囚の「社会という場」ではないところで生きた記録を知って、果たして人が人を死刑に処すことをしていいものかと恐ろしくなりました。死刑とは、いわば合法的な殺人ですから。
もちろん、大阪・附属池田小事件の犯人のように最後まで変わらない人間もいるわけですけど。
今回の報道については、メディアによって違いがあります。
今朝の朝日新聞も実名報道でした。
ただ理由はNHKとは違います。
<おことわり〉朝日新聞はこれまで、犯行時少年だった大月被告について、少年法の趣旨を尊重し、社会復帰の可能性などに配慮して匿名で報道してきました。最高裁判決で死刑が確定する見通しとなったことを受け、実名での報道に切り替えます。国家によって生命を奪われる刑の対象者は明らかにされているべきだとの判断からです。本社は2004年、事件当時は少年でも、死刑が確定する場合、原則として実名で報道する方針を決めています。
2012年2月21日朝刊
国家によって生命を奪われる刑の対象者は明らかにされるべきだとの判断から・・・、私はこれには納得できました。
毎日新聞は今まで通り匿名報道でした。
◇おことわり…少年法理念尊重、匿名報道を継続
毎日新聞は元少年の匿名報道を継続します。母子の尊い命が奪われた非道極まりない事件ですが、少年法の理念を尊重し匿名で報道するという原則を変更すべきではないと判断しました。
少年法は少年の更生を目的とし、死刑確定でその可能性がなくなるとの見方もありますが、更生とは「反省・信仰などによって心持が根本的に変化すること」(広辞苑)をいい、元少年には今後も更生に向け事件を悔い、被害者・遺族に心から謝罪する姿勢が求められます。また今後、再審や恩赦が認められる可能性が全くないとは言い切れません。
94年の連続リンチ殺人事件で死刑が確定した元少年3人の最高裁判決(11年3月)についても匿名で報道しましたが、今回の判決でも実名報道に切り替えるべき新たな事情はないと判断しました。
こちらの姿勢も、これはこれで理解できます。
いずれにせよ、各社報道の姿勢をきちんと述べているのは、当たり前とはいえ、いいことだと思います。
|