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巨大な粘質物の塊が海の中で急増中 National Geographic News

巨大な粘質塊が海の中で急増中
Christine Dell'Amore for National Geographic News October 9, 2009

 ここ数十年間の海水温の上昇を背景に粘液状の巨大な塊が頻繁に発生している。粘質物と呼ばれるこの塊は、これまで見られなかった場所にも出現し、しかもなかなか消滅しなくなっているという。地中海に関する最新の研究で明らかになった。

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海洋生物学者セレナ・フォンダ・ウマニ氏が、微生物やその死骸からなる粘質物と呼ばれる塊に近づく。1991年、地中海に続くアドリア海で撮影。2009年9月発表の研究によると、ここ数十年間で地中海の海水温が上昇したため、粘質物が発生する回数と領域が増加したという。また、この塊の中に有害なバクテリアがいることもわかった。 Photograph courtesy Nino Caressa

 この粘質物の塊は、ただ気持ち悪いというだけのものではないようだ。最大で200キロもの長さになる粘質物は、夏になると地中海沿岸で自然発生することが多い。夏の暑さで海水の安定性が増すと有機物が互いに固着しやすくなり、塊が形成されてゆく。現在では気温が上昇しているため、粘質物は冬でも発生しており、何カ月間も消滅しない。

 これまで、薄茶色をしたこの粘質物は厄介者と見なされることがほとんどで、漁網の目を詰まらせたり、泳いでいる人をネバネバしたゲルで搦め捕ったりしていた。研究の責任者でイタリアのマルケ州立ポリテクニック大学の海洋科学部長ロベルト・ダノバロ氏によると、既に1800年代の新聞に海水浴客が鼻をつまんでいる写真が掲載されているという。

 しかしダノバロ氏によると、地中海の粘質物はバクテリアやウイルスを宿しており、なかには致死性の病原性大腸菌も含まれていることが最新の研究でわかった。2009年9月16日発行の「PloS One」誌に掲載されたダノバロ氏らの論文によると、これらの病原体は海水浴客だけでなく魚などの海洋生物をも脅かしているという。

 粘質物はまずマリンスノーとして発生する。マリンスノーとは主に微生物やその死骸などの有機物の一群で、エビやカイアシのような小型の甲殻類など肉眼で見える生物も含まれる。マリンスノーは、エサや安全な隠れ場所を求める周囲の微生物を少しずつ取り込みながら、時には粘質物にまで成長する。

 この塊が初めて確認されたのは1729年、場所は現在でも同様の塊が最もよく現れるアドリア海だった。アドリア海は気候が比較的穏やかで水深も浅いため、他の海域よりも水温や水質が安定し、粘質物の形成にとって最適な条件が揃っている。

 この最新の研究で、ダノバロ氏の研究チームは1950〜2008年の地中海の粘質物に関する記録を調べ、海面温度が平均より高い時期に粘質物が発生頻度が最も高くなることを突き止めた。

 1991年、イタリアの海洋生物学者セレナ・フォンダ・ウマニ氏は、地中海に繋がるアドリア海で粘質物と並んで泳いだ。このときの粘質物は密度が高すぎたため中に入り込んで泳ぐことはできなかったという。15メートルほど潜ったところで、自分に向かって漂ってくる“幽霊”に戦慄に近いものを覚えたという。「まったく未知の経験だった」。

 ウマニ氏は、ダノバロ氏やマルケ州立ポリテクニック大学のアントニオ・プセドゥ氏と共にこの研究に共著者として参加しており、粘質物の前駆体であるマリンスノーの中も潜ったことがある。

 ウマニ氏はこのときの様子を、砂糖水の中を泳いでいるようだったと表現している。水から上がると、乾いた“砂糖”で髪の毛が固まり、ウェットスーツにもこびり付いていた。イタリアのトリエステ大学に所属するウマニ氏は次のように話している。「ウェットスーツが緑色がかった粘液の層で覆われ、洗っても落ちない。まるで悪夢だった」。

 カリフォルニア大学スクリップス海洋研究所の海洋微生物学者ファルーク・アザム氏は今回の研究には参加していないが、次のように話している。「わざわざ粘質物の中を泳ごうという人はそういないだろう。粘質物のことをよく知らない人は、いや、よく知っていればなおさら近づこうとは思わないだろう。臭気を放つ巨大な塊が沖合を漂う姿を求めて海岸へ行こうという人は誰もいない」。

 ウェットスーツを台無しにする以外に粘質物にどのような副作用があるのかを明らかにするため、ウマニ氏の研究チームは2007年にアドリア海沿岸の水と粘質物のサンプルを採取した。スクリップス海洋研究所のアザム氏が「大きな浴槽」と表現する暖かく浅いアドリア海は、この種の塊を研究するのに理想的な自然の実験室だった。

 そして研究チームは、この塊が病原性大腸菌を含むウイルスやバクテリアの繁殖域であることを発見した。アドリア海沿岸では定期的に大腸菌の検査が行われているが、その病原性大腸菌はビーチが遊泳禁止とするレベルのものだった。

 研究チームの責任者であるダノバロ氏は、「これらの粘質物から病原体が拡散すると人間の健康に問題が生じる恐れがあるということがこれで明らかになった」と語る。粘質物の中を泳ぐと皮膚炎などを起こす可能性もあるという。

 同研究によると、この粘質物は、大型の魚を殺すほど有毒な病原菌を持つバクテリアを含んでおり、それに最も被害を受けやすい立場にいるのが、粘質物と一緒に泳ぐしか選択肢のない魚などの海洋動物である。

 この猛毒の粘質物に動物がとらわれると、エラが覆われて窒息することもあるとダノバロ氏は話す。最も大きな塊のなかには、海底に沈み、まるで大きな毛布のように生物を覆ってしまうものもあるという。

 また、この粘質物は地中海だけの問題ではないとダノバロ氏は語る。同氏によると、最近の研究では、おそらく気温の上昇が原因で、北海からオーストラリアに至る海洋域に拡大している可能性が指摘されている。

 ダノバロ氏はこう述べる。「これは、温暖化に対して人間が何も対策を講じなければ何が起こるかを示す良い例だ。人間がこの科学的証拠をこれからも否定し続けるならば、それに応じた結果が待っている」。

 温暖な気候のほかにこの塊の形成を促進する要因が何かがあるのか、詳しいことはまだわかっていないと、スクリップス海洋研究所のファルーク・アザム氏は指摘する。例えば、この塊に含まれる海洋生物の死骸はなぜ分解されないのか、まだわかっていないのだ。

「何がこの粘質物の増加を促進しているのかを突き止めることがとても重要だ。まだこの物体がいない、世界中のほかの海域のためにも」とアザム氏は語る。

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