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巨大な粘質塊が海の中で急増中
Christine Dell'Amore for National Geographic News October 9, 2009

 ここ数十年間の海水温の上昇を背景に粘液状の巨大な塊が頻繁に発生している。粘質物と呼ばれるこの塊は、これまで見られなかった場所にも出現し、しかもなかなか消滅しなくなっているという。地中海に関する最新の研究で明らかになった。

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海洋生物学者セレナ・フォンダ・ウマニ氏が、微生物やその死骸からなる粘質物と呼ばれる塊に近づく。1991年、地中海に続くアドリア海で撮影。2009年9月発表の研究によると、ここ数十年間で地中海の海水温が上昇したため、粘質物が発生する回数と領域が増加したという。また、この塊の中に有害なバクテリアがいることもわかった。 Photograph courtesy Nino Caressa

 この粘質物の塊は、ただ気持ち悪いというだけのものではないようだ。最大で200キロもの長さになる粘質物は、夏になると地中海沿岸で自然発生することが多い。夏の暑さで海水の安定性が増すと有機物が互いに固着しやすくなり、塊が形成されてゆく。現在では気温が上昇しているため、粘質物は冬でも発生しており、何カ月間も消滅しない。

 これまで、薄茶色をしたこの粘質物は厄介者と見なされることがほとんどで、漁網の目を詰まらせたり、泳いでいる人をネバネバしたゲルで搦め捕ったりしていた。研究の責任者でイタリアのマルケ州立ポリテクニック大学の海洋科学部長ロベルト・ダノバロ氏によると、既に1800年代の新聞に海水浴客が鼻をつまんでいる写真が掲載されているという。

 しかしダノバロ氏によると、地中海の粘質物はバクテリアやウイルスを宿しており、なかには致死性の病原性大腸菌も含まれていることが最新の研究でわかった。2009年9月16日発行の「PloS One」誌に掲載されたダノバロ氏らの論文によると、これらの病原体は海水浴客だけでなく魚などの海洋生物をも脅かしているという。

 粘質物はまずマリンスノーとして発生する。マリンスノーとは主に微生物やその死骸などの有機物の一群で、エビやカイアシのような小型の甲殻類など肉眼で見える生物も含まれる。マリンスノーは、エサや安全な隠れ場所を求める周囲の微生物を少しずつ取り込みながら、時には粘質物にまで成長する。

 この塊が初めて確認されたのは1729年、場所は現在でも同様の塊が最もよく現れるアドリア海だった。アドリア海は気候が比較的穏やかで水深も浅いため、他の海域よりも水温や水質が安定し、粘質物の形成にとって最適な条件が揃っている。

 この最新の研究で、ダノバロ氏の研究チームは1950〜2008年の地中海の粘質物に関する記録を調べ、海面温度が平均より高い時期に粘質物が発生頻度が最も高くなることを突き止めた。

 1991年、イタリアの海洋生物学者セレナ・フォンダ・ウマニ氏は、地中海に繋がるアドリア海で粘質物と並んで泳いだ。このときの粘質物は密度が高すぎたため中に入り込んで泳ぐことはできなかったという。15メートルほど潜ったところで、自分に向かって漂ってくる“幽霊”に戦慄に近いものを覚えたという。「まったく未知の経験だった」。

 ウマニ氏は、ダノバロ氏やマルケ州立ポリテクニック大学のアントニオ・プセドゥ氏と共にこの研究に共著者として参加しており、粘質物の前駆体であるマリンスノーの中も潜ったことがある。

 ウマニ氏はこのときの様子を、砂糖水の中を泳いでいるようだったと表現している。水から上がると、乾いた“砂糖”で髪の毛が固まり、ウェットスーツにもこびり付いていた。イタリアのトリエステ大学に所属するウマニ氏は次のように話している。「ウェットスーツが緑色がかった粘液の層で覆われ、洗っても落ちない。まるで悪夢だった」。

 カリフォルニア大学スクリップス海洋研究所の海洋微生物学者ファルーク・アザム氏は今回の研究には参加していないが、次のように話している。「わざわざ粘質物の中を泳ごうという人はそういないだろう。粘質物のことをよく知らない人は、いや、よく知っていればなおさら近づこうとは思わないだろう。臭気を放つ巨大な塊が沖合を漂う姿を求めて海岸へ行こうという人は誰もいない」。

 ウェットスーツを台無しにする以外に粘質物にどのような副作用があるのかを明らかにするため、ウマニ氏の研究チームは2007年にアドリア海沿岸の水と粘質物のサンプルを採取した。スクリップス海洋研究所のアザム氏が「大きな浴槽」と表現する暖かく浅いアドリア海は、この種の塊を研究するのに理想的な自然の実験室だった。

 そして研究チームは、この塊が病原性大腸菌を含むウイルスやバクテリアの繁殖域であることを発見した。アドリア海沿岸では定期的に大腸菌の検査が行われているが、その病原性大腸菌はビーチが遊泳禁止とするレベルのものだった。

 研究チームの責任者であるダノバロ氏は、「これらの粘質物から病原体が拡散すると人間の健康に問題が生じる恐れがあるということがこれで明らかになった」と語る。粘質物の中を泳ぐと皮膚炎などを起こす可能性もあるという。

 同研究によると、この粘質物は、大型の魚を殺すほど有毒な病原菌を持つバクテリアを含んでおり、それに最も被害を受けやすい立場にいるのが、粘質物と一緒に泳ぐしか選択肢のない魚などの海洋動物である。

 この猛毒の粘質物に動物がとらわれると、エラが覆われて窒息することもあるとダノバロ氏は話す。最も大きな塊のなかには、海底に沈み、まるで大きな毛布のように生物を覆ってしまうものもあるという。

 また、この粘質物は地中海だけの問題ではないとダノバロ氏は語る。同氏によると、最近の研究では、おそらく気温の上昇が原因で、北海からオーストラリアに至る海洋域に拡大している可能性が指摘されている。

 ダノバロ氏はこう述べる。「これは、温暖化に対して人間が何も対策を講じなければ何が起こるかを示す良い例だ。人間がこの科学的証拠をこれからも否定し続けるならば、それに応じた結果が待っている」。

 温暖な気候のほかにこの塊の形成を促進する要因が何かがあるのか、詳しいことはまだわかっていないと、スクリップス海洋研究所のファルーク・アザム氏は指摘する。例えば、この塊に含まれる海洋生物の死骸はなぜ分解されないのか、まだわかっていないのだ。

「何がこの粘質物の増加を促進しているのかを突き止めることがとても重要だ。まだこの物体がいない、世界中のほかの海域のためにも」とアザム氏は語る。
サモアとスマトラの地震の関連性は?
Richard A. Lovett for National Geographic News October 5, 2009

実にやっかいな地質構造を持つ環太平洋火山帯で、4日間のうちに大規模な地震が5回、そして津波が1回発生した。これは偶然だろうか? 科学者によると、偶然かもしれないし、偶然ではないかもしれない。

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 2009年9月25日から10月2日までの間にサモア諸島南部を襲った大小の地震(アメリカ地質調査所作成)。数日の間に、活断層で構成される環太平洋火山帯に属する他の2つの地域、スマトラ島とペルーでも大規模な地震が発生している。専門家によると、連続して発生したこれらの地震の間に関連性があるのかどうかはわからないという。Maps courtesy USGS

 太平洋を不規則な形で取り囲んでいる環太平洋火山帯は、サモア独立国(西サモア)、アメリカ領サモア、およびトンガのほぼ真下の地盤に亀裂を形成している。この地域では、2009年9月30日に発生した、海底を震源とするマグニチュード8.0の地震による津波で、少なくとも180人が犠牲となった。さらに2009年10月2日には、マグニチュード6.3の地震も発生している。

 同じ環太平洋火山帯に位置するインドネシアでは、2009年9月30日にマグニチュード7.6、10月1日には同6.3の地震が発生しており、死者数は数千人にのぼるとみられている。また、9月30日には、ペルー沿岸部でもマグニチュード5.9の地震が発生している。

 近年、ある場所で発生した地震の影響で、遠く離れた場所にある断層の活動が活発化することが新たに証明されている。しかし科学者たちは、サモア諸島、インドネシア、ペルーで発生した地震の間に関連性を認めることについては消極的だ。

 まず何より、地震というものがそれほど珍しいものではないからだ。

 アメリカ、イリノイ州にあるノースウェスタン大学の地球物理学教授エミール・オカル氏によると、例えばペルーで発生したものと同じ規模の地震は、毎年100回ほど発生している。つまり、これほどの威力を持つ地震でも、平均して3日に1回はどこかで発生していることになる。「要するに、ごく普通の出来事だということだ」。

 今回の、9月30日にサモア諸島、翌日にはインドネシアというように、大きな地震が連続して発生するケースも過去に例がないわけではない。平均すると、この規模の地震は月に1回発生している。「(2つの地震が)2日間連続して発生する確率は、非常に低いというわけではない」とオカル氏は言う。

 それでもなお、複数の地震が互いを誘発する可能性があると主張する科学者もいる。例えば、2004年に甚大な被害を生んだインド洋の津波を引き起こした地震によって生じた地質構造的ストレスが、先週のインドネシアのスマトラ島の地震を誘発した可能性もある。

 アメリカ、テキサス州にあるライス大学の地震学者、鈕鳳林(Niu Fenglin)氏は電子メールによる取材に対し、「今回の(スマトラ島の)地震は、2004年の地震(の震源)から470キロほどしか離れていない」と話している。

 しかしオカル氏によれば、この種の応力伝達は比較的短い距離でしか発生しないという。「起きるとしても1000キロかそこらだ。サモアがインドネシアから6400キロも離れており、2004年の地震の影響をサモア諸島の地震にまであてはめるのは強引すぎる」。

 さらに、インド洋とサモア諸島の間の距離がそれほど大きくないとしても、この2つの地域の間には、応力伝達の妨げになる断層が数多く存在していることから、この2つの地震の間に関連がないことはますます明白だと同氏は述べている。

 しかし、ライス大学の鈕氏を含む研究チームは10月1日発行の「Nature」誌で、地震の振動は、驚くべき距離を隔てた場所にある断層に影響を与える可能性があることを発見したと発表した。

 特に、2004年のインドネシアの地震の振動によって、カリフォルニアのサンアンドレアス断層に液体が流入し、この断層を震源とする小規模な地震が発生する頻度が高まったことを、同研究チームは発見した。このような液体の流入によって断層が液状化し、断層の両側の地盤が互いに滑る可能性が高くなるのである。

 それでもなお研究チームは、先週の2つの大地震でも同じことが起きたと結論づけることには慎重である。

 研究の主執筆者で、カリフォルニア大学バークレー校の地震学者、平貴昭氏は電子メールでの取材に対し次のように述べている。「これらの地震の間に関連性があるのか、という問いはとても興味深い。しかし、私たちには何もまだわかっていない。私たちの発見が正しければ、これらの地震が互いに関連している可能性はある。しかし結論づけるのはまだ早い。地震の関連性を示す証拠は、まだ何も見つかっていないのだ」。
サモア津波:米領サモア、首都パゴパゴ、ファガトゴ
National Geographic News October 1, 2009

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 津波で壊滅的な被害が発生した2009年9月29日(日本時間30日)、アメリカ領サモアのパゴパゴで津波のために水浸しになった道路を歩く人々。
 バラク・オバマ米大統領は同日夜、アメリカ領サモアを大規模災害地域に指定し、連邦政府が復興活動を援助することを約束した。南太平洋のこの島々には約65,000人が暮らしている。
 当初の報道ではアメリカ領サモアだけで少なくとも25人が津波の犠牲となったとされているが、救助担当者は現在も死亡者数を推定中である。米国議会アメリカ領サモア代表のエニ・ファレオマバエガ氏はBBCの取材に対し、津波は「サモア諸島の低地帯を文字通りすべて一掃してしまった」と語っている。
Photograph by Ausage Fausia, SamoaNews.com, AP

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 9月29日、アメリカ領サモアのファガトゴ村で幹線道路に乗り上げたボート。同日早朝(日本時間30日未明)に発生したマグニチュード8.3の地震によって引き起こされた津波のために、南太平洋のアメリカ領サモア、サモア独立国(西サモア)、およびトンガで多数の犠牲者が出ている。
 9月30日現在、サモア諸島では100人を超える死亡が確認されている。救助部隊による行方不明者の捜索が続けられており、死者は今後さらに増える可能性が高い。サモア諸島では海抜の低い沿岸地域が壊滅的な打撃を受けており、村全体が津波に押し流されたとの報告もある。AP通信では、援助を必要とする被災者は数万人にのぼるとするアメリカ政府救援担当者の話を伝えている。
Photograph by Fili Sagapolutele, AP


津波の発生メカニズムと予兆を知る
National Geographic News October 1, 2009

 9月29日に発生したサモア沖地震が、南太平洋のアメリカ領サモアとサモア独立国(西サモア)に甚大な津波被害をもたらした。この災害を教訓に津波の発生メカニズムと予兆を解明し、もしもの場合の対応を確立しておく必要がある。

 アメリカ地質調査所(USGS)の発表によると、9月29日にサモア諸島を襲った津波の原因はサモア諸島南沖で起きたマグニチュード8.0の巨大海底地震である。

 津波は通常、海底の地震や地滑り、火山噴火で生じるが、まれに巨大な隕石が海に落下して発生することもある。

 地震津波は大規模な地震が起こって海底が激しく揺れ動き、相当量の海水が突発的に移動した場合に発生する。

 津波は世界語であり、英語では「tsunami」と表記する。日本が津波大国であることを物語る現象だが、実際に過去数百年間で何万人もの日本人が津波により命を落としている。

 津波は1度だけでなく2波、3波と何度も押し寄せてくるが、第1波が最大とは限らない。また、津波は潮汐によって生じる波ではない。

 津波の波長は長くて100キロに達し、波の間隔は1時間に及ぶ場合もある。また、大洋を渡りきるほど長い距離を移動しても、エネルギーが大幅に失われることはない。例えば2004年のスマトラ島沖地震で発生したインド洋津波は、十分な勢力を維持したまま約5000キロ離れた東アフリカ沿岸まで到達し、建物を破壊するとともに人命も奪った。

◆津波の移動速度はジェット機並

 水深の深い外洋では、津波の移動速度は最高で時速800キロに達し、大洋を24時間以内に渡りきることができる。ただし、これほど大規模な自然現象であるにもかかわらず、その移動過程で外見的な変化は見られないという。世界各地の津波の到達時刻は、水深や距離、そして津波を引き起こした現象の発生時刻に基づいて割り出すことができる。

 外洋の津波は波高が30センチに満たない場合もあり、航海中の船乗りが津波に気付かないのはそのためである。しかし高エネルギーの衝撃波が海中を移動する速度は高速であり、ジェット機レベルに達することもある。ただし陸地に接近して水深が浅くなると、速度は途端に遅くなる。浜辺で波が襲い被さってくるように見えるのは、波の底部より上部の方が速いためである。

 津波のエネルギーは、礁や湾、河口、海底構造といった地質特性によって失われる場合もある。したがってエネルギーの損失が大きく数十センチの波しか立たない地域もあれば、損失が小さく波高30メートルという壁のような波が押し寄せる地域もある。ほとんどの場合、津波の波高は3メートル前後である。

 津波は必ずしも陸地に激しく衝突し砕け散るわけではなく、急速に押し寄せる上げ潮のように襲来する場合もある。海中の大規模な乱流に伴って発生すると考えられるが、人がのみ込まれたり、車などの重量物が押し流されたりといった被害が出る。このタイプの津波に襲われると、浜辺は一掃されてしまう。

 2004年のインド洋津波は史上最大規模の被害をもたらした。20万人以上が死亡したが、その多くは波にさらわれて行方不明のままだ。

 米国海洋大気庁(NOAA)のデータによると、太平洋は津波の活動が最も活発な地域であり、観測件数は群を抜いて多い。しかしその発生源は太平洋だけでなく、カリブ海や地中海、インド洋、大西洋といったほかの海域にも及んでいる。

 カリブ諸島は1498年以来、確認されただけで37回の津波に襲われている。その一部は発生源が遠く離れており、1775年の津波はポルトガル沖の地震が原因だった。カリブ諸島の津波で亡くなった人の数は、合計で約9500人に上る。 1999年にトルコの都市イズミットを震源地とする地震が起こった後、同国のマルマラ海では大規模な津波が発生した。

◆予兆

 地震は津波の前触れである。強い揺れを感じた場合は、決して海岸に近づいてはならない。地震速報を聞いたなら津波を警戒し、ラジオやテレビで詳しい情報を収集する必要がある。遠く離れた外国の地震でも油断はできない。何時間か後には海を渡って津波が押し寄せる可能性もある。

 津波が押し寄せる前には上げ潮か引き潮が起こるという報告もある。異常な速度で潮が引いた場合は津波が近づいている可能性があるので、直ちに高台へ避難する必要がある。

 津波は1度だけでなく2波、3波と何度も押し寄せてくるが、第1波が最大とは限らない。したがって第1波が終わっても油断はできず、その後数時間は警戒を続けなければならない。波が押し寄せる間隔は、5分の場合もあれば1時間の場合もある。とにかく、公式に安全が発表されるまで浜辺に近づいてはならない。

 津波の波高は少ししか離れていない2点間でも大きく違う場合がある。目前の波高に油断してはならない。

 津波は河口から河川に侵入し、遡上する場合がある。津波が発生した場合は、浜辺は言うまでもなく、海に注いでいる河川にも近づかない方がよい。

◆命を守る

 NOAAによると、航海中の船舶は津波警報が出てもすぐには港に戻らない方がよいという。外洋の津波は感知できないほど動きが小さいためだ。逆に港では、急速な水位の変化や不規則で危険なうねりが生じる場合がある。

 アメリカでは、西海岸における津波の危険性の認識が高まったことから、NOAA、USGS、および連邦緊急事態管理局(FEMA)が共同で、津波を正確に予測するプログラムを進めている。

 26カ国が参加する太平洋津波警報システム(PTWS)では、太平洋全域に地震観測所と検潮所を整備し、常時監視体制をとっている。地震発生により津波が生じるかを評価し、必要に応じて津波警報を発令する。

 常識で判断することも重要だ。強い地震を実際に感じたら、わざわざ津波警報を待つ必要はない。家族や友人にも呼びかけ、みんなで高台に避難しよう。
アメリカ東海岸で海面が60センチ上昇
Brian Handwerk for National Geographic News September 11, 2009


 今年の夏、アメリカの東海岸で海面が想定より約60センチ上昇して、周期的な変動パターンを予測する気象学者たちを驚かせている。アメリカ当局の報告書によると、想定を上回る上昇の(地球温暖化とは異なる)直接原因は判明したが、根本的な理由は謎のままだという。Photograph by Mari Darr-Welch/AP

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米国海洋大気庁(NOAA)の海洋プロダクト・サービス運用センター(CO-OPS:Center for Operational Oceanographic Products and Services)の副所長リッチ・エドウィング氏によると、通常、季節的な潮汐や海面高の変動は、すでに知られている自然活動や月のような天体からの重力の影響に支配されているため容易に予測できる。

 だが今年の夏は、東海岸の住民たちが「例年よりも海面が高い」とNOAAに報告してきた。熱帯暴風雨のような短期的な天気事象があると、そうした電話がよくかかってくるものだが、今回の海面上昇は6月から7月にかけて何週間も続いた。

 この想定外の上昇による被害は海岸付近の小規模な洪水だけで済んだが、科学者たちは大いに困惑している。

 新しい報告書で、海面上昇の主な要因はメキシコ湾流の弱体化と大西洋北東部からの安定した風であると特定された。

 メキシコ湾流はアメリカ東海岸沖を北向きに進む海の“スーパーハイウェイ”だ。最も早い部分では時速9キロメートルで走る強力な海流は、周囲の海水を巻き込んで東海岸のはるか遠くまで運んでいる。だが今年の夏は、未知の理由により「そのスピードが落ちた」とエドウィング氏は言う。その結果、海水が岸に押し寄せて海面が上昇した。

 上昇が持続したことに加えて、大西洋北東部から例年より数カ月早く秋の風が到来し、海水がさらに東海岸に向けて押されることになった。

 海面上昇は釣りやボートを楽しむ人々にとって迷惑な話だが、海岸線の位置も少し変えてしまったようだ。

 ニューヨーク州ロングアイランドのモントーク岬で釣具店を経営するポーリー・アポストリデス氏は、「いつも釣りをしている数カ所の砂浜が侵食された。海面がいつもより高くなっていた」と話す。同氏によると、地元漁師の多くはNOAAが9月2日に報告書を発表する前から海面上昇は北東からの猛烈な風のせいだと指摘していたという。

 だが、根本的な疑問はまだ残されている。「なぜメキシコ湾流のスピードが落ちたのか? 秋風が早く吹き出した理由は? その答えはまだ見つかっていない」とNOAAのエドウィング氏は述べている。
2100年、ミシシッピ・デルタ水没?
Rebecca Carroll for National Geographic News June 30, 2009

 アメリカ最長の河川、ミシシッピ川の河口付近に広がるデルタ地帯が水没の危機にあるという新しい研究成果が発表された。その予測によると、ミシシッピ・デルタの海岸線が今後数十年で形状変化をきたすことは必至だという。
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 2009年6月に発表された研究によると、アメリカ最長の河川、ミシシッピ川の河口付近に広がるデルタが水没の危機にあり、予測ではミシシッピ・デルタの海岸線が今後数十年で形状の変化をきすことは必至だという。
 2枚の画像は、ミシシッピ・デルタ周辺を写した衛星画像に修正を加えたもので、上は現在の様子、下は2100年までに水没すると予想される範囲を示したもの。ダムなどによる土砂のせき止めと温暖化による海面上昇が、このような変化の原因と考えられる。Images courtesy Mike Blum via NASA

 アメリカのルイジアナ州立大学に在籍する研究論文の著者マイケル・ブルーム氏は、「河川の土砂供給が不足しており、デルタの規模を維持できなくなってきている」と話す。

 デルタとは、川の上流から運ばれてきた土砂が河口に沈積して形成される三角形の地形のことだ。三角州とも言う。ルイジアナ州南部のミシシッピ・デルタは上空から見ると鳥の足跡のように見えるため、鳥趾状(ちょうしじょう)三角州と呼ばれている。

 川の上流から押し流されてきた土砂は堆積物として定着して沈み込むため、デルタの規模は常にある程度は縮小するものだ。それでも川から定期的に土砂が供給されていればデルタの規模は維持され、場合によっては拡大することもある。

 現在、ミシシッピ川に沿って蓄積された堆積物は約6万500平方キロに及んでいる。その厚さはさまざまで、中流部のテネシー州メンフィス付近では10メートルに満たないが、ルイジアナ州最南端のデルタ地帯では100メートル近くもあるという。

 しかし、全長約3782キロに及ぶミシシッピ川の流域には、この100年で約4万基のダムや堤防が作られてしまった。治水が目的だが、これらの構造物のせいで土砂が途中でせき止められたり、逆に洪水時にはすべてが排出され一気に海まで押し流されてしまうこともある。

 ある研究によると、1950年以降にミシシッピ川流域に建設されたダムや貯水池によって、川を流れる土砂の70%がせき止められてしまっているという。実際に今も、そのように土砂の供給量が減少しているため、ミシシッピ・デルタは浸食が進んでいる状況にある。

 しかし、浸食の原因は土砂の不足だけではないという。研究チームは、「たとえダムや堤防が存在せず、土砂が自然に流れたとしても、ミシシッピ・デルタの浸食は止まらないだろう。原因は海面水位の上昇だ」と指摘する。

 過去1万2000年の間に起きたミシシッピ・デルタの拡大・縮小の推移(推定値)を分析した結果、研究チームはこのような結論を導き出した。このデータによると、7000年以上前に大規模な変化が起こっている。最後の氷河期が終わるとともに氷床の融解水が急速に海に流れ込み、海面水位が上昇したことだ。

 この頃、ミシシッピ・デルタの海岸線は後退している。その後、海面上昇率が著しく鈍化するまでデルタの拡大は起こらなかった。

しかし現在の海面上昇率は、以前にデルタの面積が拡大した際の海面下降率と比べると、進行スピードが3倍にも及んでいると考えられている。

 このような海面上昇が著しく進んでいる状況では、ミシシッピ・デルタの現在の規模を維持するのに180億〜240億トンの土砂が必要になるが、ミシシッピ川の現在の土砂供給量では到底まかなうことはできない。

 このため研究チームは、ミシシッピ・デルタの面積は2100年までに1万3500平方キロも減少すると予測している。コネチカット州が丸ごと消えてしまうに等しい大きさだ。現時点で決定的な解決策は存在しない。土砂の流れを変えたり、余所から土砂を持ち込んだりといったデルタ救済策も検討されているが、このような方法には問題もあると研究チームは考えている。

 ブルーム氏は次のように解説する。「例えば上流のニューオリンズなどから下流域へ土砂を人為的に運ぶことは可能だ。だがそれをやれば、今度は上流域が浸水の危険にさらされることになる。どちらを選ぶか、選択は難しい。しかし、躊躇している時間的な余裕はない」。


未来の高層ビル農場、電力は廃棄物から
National Geographic News July 1, 2009
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 カナダ、オンタリオ州にあるウォータールー大学のゴードン・グラフ氏が考案した59階建ての“スカイファーム”(想像図)。高層ビル型農場(垂直農場)では、太陽の恵みを人工光で再現する必要があり、その莫大な電力コストが弱点だった。だが、スカイファームであればこの壁を乗り越えることができるとグラフ氏は考えている。
 カナダのトロント・スター紙の報道によると、水耕栽培のスカイファームの推定消費電力量は年間8200万キロワット時だが、農場にはバイオガスの設備があり、廃棄物から発生するメタンを燃やせば約50%の電力を賄うことができる。足りない分の燃料は、都市で出る廃棄物を利用すればよいという。Image courtesy Gordon Graff, Vertical Farm Project
 

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