千時千一夜

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客 君もよく知っているだろうブログ(「はてノ鹽竈」)で、最近、あるコメントをきっかけとした、瀬織津姫に関するマイナスのやりとりがなされている。君の名もついでに出てきたりしているが、どうおもっているんだい?
主 主宰者の今野氏はメールでなんどかやりとりをしたことがあり、義憤を表に出すというのは珍しいなとおもっていた。それと、論議の場を当該サイトから自分のところに移したというのは、彼の紳士性(騎士道精神)と真摯性がよく出ていたとおもう。
客 何を他人事みたいな。
主 たしかに。おもえば、瀬織津姫という神をめぐって、敵対する感情が交差するというのは今にはじまったことではない。ただ、その敵対の構図が、自分が体験してきたのとはずいぶんと様変わりしてきたなという印象は残った。自分の名が話題上出されて、持ち上げられたりこきおろされたりするというのは他でもあるだろうことで、特にコメントする気にはならない。
客 敵対の構図の変化について、もう少し説明しろ。
主 最近はだいぶ減ったが、わたしのところへ陰気にやってくるのは、ほとんどが反瀬織津姫派の輩だった。それが、今は瀬織津姫という神に親しい感情(シンパシー)をもっている者同士で敵対感情の構図がつくられようとしている。
客 反瀬織津姫派というのは、いわば広義の右翼ということか。
主 ああ、本人も自覚していないということを含めての「広義」ということだ。彼らは、この二十一世紀となった現在も、まだ歴史の舞台から退場したわけではない。しかし、この新しい敵対感情の構図では、それがまったく構図の外にあるという構図になっている。
客 君は反天皇制、つまり左翼だろうという噂を聞いたことがある。
主 またウワサか、馬鹿馬鹿しい。かつての左翼くずれだろう反右翼派もコンタクトをとってきたことがあるが、右翼・左翼といった単純な対立は、状況によって、いつでも入れ替わる補完性を秘めている。明治期、自由民権派が日清戦争を機に国権派に転じていき、なお民権派を自称していたことを想起してみよ。それを考えれば、しいていえばだが、左翼・天皇制・右翼など、みな超克すべきものだというのが自分の思想的・人生的ポジションだ。どんな「翼」だろうと、徒党を組んで新たなムラを再生させる気は一切ないから、今後のためにも明言しておく。
客 ところで、君は瀬織津姫研究に関して「第一人者」といわれたりしているようだ。先に、特にコメントする気にはならないといったが、こうみなされることをどうおもうか、あえて聞く。
主 権威じみた呼称はまったく意味がない。基本的にそうおもっている。
客 瀬織津姫という神は、中央側の文献では『延喜式』に収録されている「六月晦大祓」という日本最古の祝詞に登場してくるだけだろう。この文献に依拠するかぎり、瀬織津姫という神は、天皇の国家のために奉仕する「大祓」の神以上でも以下でもない。そのイメージで、なぜ君は終始しなかったのかも聞いてみたい。
主 各地の神社伝承・神道史料等を自分の手で洗い出してみればすぐにわかることだが、大祓の祝詞で規定されたこの神のイメージとは異なることを記した文献が各地には多々ある。そこには、まったく異なる瀬織津姫像がみられることになる。無難な中央思想側の規定像を盲目的に受容するか、各地に刻まれたこの神の新たな異像[イメージ]のどちらを信用するか。思考上、やはり岐路の選択を迫られることになる。自分は、後者を選択したにすぎない。
客 しかし、瀬織津姫というのは「神」だから、こういったみえない「もの」を語ろうとすると、どうしても「信仰」の感情がはいってくるのではないか。
主 それは否定できないが、自分は、自分の「信仰」対象として、この神を独善的に語ったことは一度もないつもりだ。
客 しかし、現在、瀬織津姫という神は、新興の「信仰」対象とみられている面は否定できまい。
主 そもそも「信仰」は「心」の問題と密接に関わっているから、この神を新たな信仰的対象として受容する傾向は、現代という時代と心の不安関係を考えるならば、この受容傾向は、ある種、必然の相としてあるだろうことは認める。
客 オウム真理教の発生と、その根がよく似ているのかもしれないな。
主 似てはいるが、現実として、社会に影響を及ぼすような巨大教団化には至っていないだろうし、麻原のような教祖的人物や、その取巻きで組織化する人間(オルガナイザー)もいるとはおもえない。
客 明確な教団化はみられないにしても、祖師的人物として二義的に信奉される人間はいるらしい。君も気をつけたほうがいいが、その祖師的人物を信奉する第三の人物による、瀬織津姫関連サイトへの意味不明・妄想に近い小コメントが、今回の論議の発端らしい。
主 そのサイトに寄せられたコメントの現物を見ていないので、「はてノ鹽竈」の論議過程のことばから想像するしかないが、そこで持ち上げられた祖師的人物は、すでに本の「著者」を演じてしまっているようだ。このことの意味は意外と大きいという気がする。
客 ウェブ上の表現と本の表現とに差異があるのか。
主 ある。ネット上の表現者は、最終的に「逃げ」が可能だからだ。しかし、本あるいは著者は、そうはいかない。賛否を含む公的批評・批判の対象となりうることを前提にしてこそ、出版は成立する。したがって、本の内容あるいは著者は、ネット上を含むあらゆる場で、好き嫌いから批評・批判、ときには揶揄・罵倒まで、どんな言説にも耐えるしかない。あるいは、必要に応じて反批判の論を展開するしかない。
客 もし、その著者が、自分の名を語った自らの信奉者による妄想コメントを知ったならば、どう対処すべきだろう。
主 著者は、その第三者(読者のはずだ)のコメントの存在を知ったならば、これに対して、自らの考えを率直に表明しておくのは必要だとおもう。自分ならばそうするだろうというしかないが、それをしておかないと、自分(の本)にとっても、また、その本のほかの読者に対しても、不要な負荷・不信を抱かせると考えるからだ。
客 それにしても、ネット世界に散見される誹謗・妄想的中傷の類が重なると、この世界に表現倫理・自粛の規定を設けよといった発想にもつながってゆくだろう。
主 もうすでに動きはあるだろうが、原則的にいえば、第三者の大きな力を頼みにするというのは、気に入らないな。今は、このネット世界が成熟する、オトナになる時間がもう少し必要ということなのだろう。せめて自分だけは浅慮(ガキ)の感情表現はしないことと言い聞かせておくしかない。
客 この世界は一見自由な分だけ、匿名が横行して新たなムラ社会があちこちにつくられている。
主 村はずれの峠からふりかえるような話だが、村八分の集団感情がどれほど陰気にはびこっているムラでも、ついなつかしくおもってしまう感情はくせ者だ。それに、峠の向こうにもまた別のムラがあるわけで、これは峠という境界に、ひとつの世界をつくるしかないのかもしれない。
客 瀬織津姫という神を思索の対象とみるか、あるいは新興的な信仰の対象とみるか、その境界もまた、もう一つの峠かもしれない。
主 招かざる客だが、たまにはいいことをいうじゃないか。日本の大学アカデミズムの世界も一種のムラで、瀬織津姫という神は、学究的な対象としてみると、まだまだ深い孤立をつづけているというのが現状だ。
客 しかし、この神はチマタでは流行(ブーム)になっているという……。
主 その流行によって、瀬織津姫という神の孤立イメージが多少とも解消されるというのはありえないようにおもう。この神には、まだ語られていない深い謎があって、現段階では、それが全体的に解明されたとはとてもいえないからだ。
客 もともと神は謎めいたものだといった一般論では片づかない類か。
主 ああ。たとえば金達寿のように、この神は新羅の姫神というとらえかたもある。新羅となぜ関係づけて語られるのかという一点を取り上げただけでも、容易に説明がつかないだろう。あるいは、この神(の名)の発生はいつのことかという問いを立ててみるがいい。
客 君が今考えていることのようだな。
主 おそらく大祓祝詞の神格規定と関わるはずだが、瀬織津姫という神は境界神、峠・関の神でもあった。
客 分水嶺にもいたし、海に降りれば海峡の神でもあった。川を遡行すれば水源神・滝神か。どうやら「水」全般に関わる神らしいというのは大きな魅力のようだな。
主 意外に理解しているじゃないか。
客 この神はムラ社会からはみえないところにいる、流行(ブーム)ではとても語り尽くせない神ということになりそうだな。
主 円空もまた、峠・境界の旅人といってよく、尾根づたいに歩いていく彼のイメージが浮かぶ。しかも、彼は独りよがりの孤高でも孤独でもなかったというところがいい。
客 円空は典型だが、あらゆる帰属からゆるやかに距離をおく心の態度だけが、今は共感・信用できるといったところか。
主 流行(ブーム)には馬耳東風、鈍感でいいということだ。新興的信仰とはまったく異次元の場所で、この神が長く大切にされてきたことは、少し虚心に、この神の祭祀場を訪ねてみれば、ときどきに出くわす信仰光景だろう。
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