___SEIKO

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またスピードタイマーの記事ですみません。

去年に分解組立をした6139-7010ですが、久しぶりに使ってみたら

いろいろ不具合がみつかりました。
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まず、パワーリザーブが24時間もたないこと。もうひとつは、タイムグラファーにかけると

進みを示すのに、実際には符号を反転したくらいの遅れになります。

そして、しばらく放置するとどんどん遅れがひどくなるのですが、タイムグラファーにかけると

最初と同じ。非常に不可解な現象です。

パワーリザーブが短い点についてはすぐ理由がわかりました。復針レバーに生えている

ピンとローターが微妙に干渉しているのです。見たところ部品の変形はなさそうですが、

ピンの角だけが当たっているようです。もし変形だとしても、部品は外せないので修正は

困難と判断し、当たるところを削ることにしました。これでパワリザの件は解決。

変な遅れ方については、1日使っては様子見、を2度繰り返したところでだいたい見えて

来ました。

テンプが進み方向で動いているのに針が遅れるというのは、置き回りみたいだ。と

思った時、この時計の針回しがかなり軽いことを思い出したのです。

微妙な遅れなので、置き回りを起こしかけているとは全く想像しませんでした。


ということで、ちょっと面倒ですが日の裏を分解して筒カナを取り出し、ちょっとかしめを

強くして再組立 (実はかしめを強くしすぎて大騒ぎになったんですが、何とか回復に成功)。

平置き時にどんどん遅れるというのはなくなりました。めでたしめでたし。

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先日完了したスピードタイマーですが、実は一点、ちょっと不満がありました。

それは、リセットボタンを押した時に一度に針が戻らず、さらに力を入れて押し込まないと

帰零しないというものです。

原因は、リセットボタンを押し込む時に「タメ」が足りないため、リセットハンマー

(セイコー正式名:復針レバー)がハートカムを叩けず、「押す」感じになるからです。

機能的には特に問題ありませんし、部品への負荷を考えたら叩くよりは

押す方がよいとも思いましたが、発停ボタンの感触と違いすぎるのが気になり、

修正することにしました。


修正個所はクロノグラフ受けに付いている、スプーンの断面のような形をした

ばねです。これを矢印の方向に曲げてやります。
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ただし、先端を上に持っていくだけだとリベットで固定している部分の近くで

折れてしまいますので、ばねの真ん中付近(○印)を何かで押さえ、そこ周辺が

曲がるようにしてやります。。


何を隠そう、私も一度折った経歴を持っていますので、修正はビクビクものです。

何度も曲げては発停リセットを繰り返し、6回目くらいでようやくばしっと

帰零するようになりました。

これで気持ちよく使えます。

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組立編△任后これで完結としたいところです。

前回はテンプが動いてよかったね、というところまででした。

普通はこの後自動巻きを取り付けるのですが、それを飛ばして日の裏に行きます。

日の裏側の組立にはこの機械の専用機械台を使うことにしたのですが、

自動巻き部分がついていると台に乗らないからです。

ということで専用機械台に乗せて、
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巻真周りから取り付けます。
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手巻きができませんので構造はちょっと簡単です。筒カナを二番車の軸に

ちんと押し込み、日の裏車を取り付けます。そして日修正レバーバネを

取り付けます。
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さらにカレンダーまわりの部品を取り付けます。
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ここは、筒車からの回転を受け取って送り爪を回す日送り車、日車を回す日送り爪、

曜車を回す曜送り爪の積み上げですが、それぞれががっちり固定されているわけではなく

多少の可動範囲を持っています。

これは送り爪が日車・曜車のぱちっという切り替わりを邪魔しないためと思いますが、

同時に、カレンダーを今まさに切り替えようとしている時刻での早送りを可能にしています。

次の写真は、日送り爪が日車を送っている真っ最中です。
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ETA7750などはこのタイミングで早送りをすると不具合が出る可能性があります。

この状態で竜頭を押し、早送りしてみました。それが次の写真です。
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早送りされた日車の内爪によって日送り爪がはじかれて右方向に回っているのがわかります。

曜送り爪も同様です。

こういう機械がある一方で、56系のように早送り禁止時間帯があったものが

部品の設計変更で早送りしても「壊れない」ようになったものの、そこが後々に禍根を残して

「設計ミス」とまで言われてしまう機械もあったりするのがおもしろいですね。


曜送り爪は筒車の抜け止めを兼ねていますので、これのネジを締める前に中間車と筒車を

取り付けておきます。
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そして日躍制レバーを取り付け、日車を取り付けて日車押さえを取り付けます。
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日車の爪が接触するジャンパーの反対側の壁面にオイルを少々塗っておくと、

日車の動きがスムーズになるようです。

それから曜車を取り付け、Cリングで固定します。Cリングには裏表があり、平らな面が

上になるように取り付けます。平らな面を下にしても機能はしますが、次の分解時に

ちょっと苦労することになります。
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そして文字盤を取り付け。文字盤と機械の間に入れるスペーサーを忘れないようにします。

次に針を挿しますが、この針にもひと手間かかりました。

表面の曇りはメタルクリーナーでは取れず、結局コンパウンドで磨くことになりました。

つやが出るまで磨いたら、めっきが完全に取れて地の色が出てしまいました。
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そのまま使おうかと思ったんですが、この色とこの時計は合わない。

ということで、めっき工房でめっきすることにしました。できればクロームメッキしたいところですが、

めっき工房は銀かニッケルしかないのでニッケルを選択。めっき後、夜光を入れ直します。

どんな蓄光材を使うかがいまだに解決していない課題でありますが、今回は「るみっこメディウム」

という製品に、ヤフオクで購入した時計用蓄光材粉末を添加して使います。

るみっこだけでは固形分が少ないため、乾燥した時にヒビができたり、半透明になって

しまうからです。厚く塗っても半透明は解消しませんし、「ヒケ」というくぼみが目立つようになるし、

文字盤や下の針と干渉したりするのでいいことがありません。

そこで、粉末蓄光材を添加することで相対的な揮発分を減らしてやろうというわけです。

結果ですが、やはり半透明感はあり、インデックスとはかなり違う色合いです。

まだまだ研究が必要です。


こうしてとりあえず体裁の整った針を挿します。

長短針は通常の三針と同じですが、分秒クロノグラフ針についてはリセットボタンを

押した状態で真上を指すように挿さなくてはいけません。このために専用機械台があります。

機械台のプッシャーを押しながら針の位置合わせをし、ポンス台で打ちこみます。
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次に、風防のついていないケースに入れて巻真、スペーサー、裏蓋を取り付けます。
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回転インナーベゼルの部品、ガスケット、風防を取り付け、ベゼルを位置決めして圧入します。
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裏返して裏蓋を外し、プッシャーを取り付け、マジックレバーを取り付けます。

自動巻きの受けに関連部品がすべてついている機械が多いのですが、6138/9はバラバラです。
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受けが取り付けられました。
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ローターを取り付け、完成です。
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黒馬、茶馬ほどではありませんが、重量感たっぷりの時計です。
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時間はかかりましたが、おかげで失敗はほとんどなく無事ミッション完了しました。

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さて、いよいよ6139-6000の最終回、組立編です。今回も素人作業の詳細を大公開しちゃいます。

まず、香箱を組み立てます。自動巻きの場合、スリッピングアタッチメント(主ゼンマイの外端に

溶接されている、ゼンマイより厚みのある部品。初期の自動巻きでは主ゼンマイと一体になっていない

場合もある)が滑り出すタイミングが重要だと思います。主ゼンマイが完全に巻き上がる前に滑り出すと、

パワーリザーブが設計通り出ないことになります。逆に遅いと、ローターからのトルクが直接輪列にかかり、

部品に負担をかけると同時に、時刻が猛烈に進むことになります。

理想的には、完全に巻き上がる直前にちょっとだけスリップして止まるというのを繰り返すのがよいようです。

これを実現するため、香箱の内周に8か所くらいの凹みを作り、ここで一度すべりが止まるようになっている

ものがありますが、私が今まで分解してきた機械の中では少数派で、ほとんどは凹みがない香箱でした。

そんな香箱でうまい具合に機能させるためには、香箱内に塗るグリスとスリッピングアタッチメントの形状、

表面の状態などをうまく調和させることが必要になると思います。表面の状態(粗さ)はコントロール

できませんので、アタッチメントの形状とグリスで何とかすることになりますが、グリスを何種類も

使い分けるというのは現実的ではなく、だいたい1種類になると思いますので、実際の作業では

アタッチメントの形状で調節することになります。早く滑ってしまう場合はアタッチメントのRを大きくします。

こうすると、香箱内での反力が強くなるため滑りにくくなります。逆になかなか滑らない場合は、

アタッチメントのRを小さくします。ただ、どれくらい曲げ伸ばしをするかというのはやってみなければ

わかりません。

何度も出し入れするのはゼンマイ破損のリスクが高くなりますので、妥協は必要です。


 以前、振り当たりがひどい時計に出会い、どうしたら直るのかいろいろやったり調べたりした結果、
 
上記のようなことがわかりました。それ以降、香箱の分解前に滑り具合をチェックし、組立後に同じような

具合になっているかを確認するようになったのですが、これを始めたらまた新たな問題が。

分解前は問題ない滑り具合だったのに、組立後はざらつき感のある滑り方になるものがほとんどだったのです。

分解組立の前後で違うのはグリスだけですから、今使っているグリスがよくないのだろうということに

なりました。

そこで、いろいろなグリスを試したのですが、手ごろな価格の製品では力不足であることがわかりました。

やみくもに各種グリスを買い集めても無駄なので、すでに手元にあるものを活用して何とかいいものに

ならないかということを考え、モリブデン粉末を買ってグリスに添加してみました。

かなりの量を入れないと滑らかになりませんでしたが、なんとか妥協できるレベルにはなり、それ以来こ

れを使用しています。今回も自家調合のグリスを香箱内に塗布し、ゼンマイを巻き込んでいきます。
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巻き込みには道具を使わず、自分の指だけで入れます。かなりの力技なので、他人様にはおすすめ

できません。 
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摺動部にグリスを塗った香箱真を組み付け、ふたをします。その後、角穴車を取り付けて再び香箱チェック。
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写真のように丸穴車に工具を貼り付け、ゼンマイを巻いていきます。この香箱は6.5周くらいで

巻き上がりますが、巻き上がってから滑り始める時の感触、トルク変化を確認します。

巻き上がったことがわかりつつ、滑り始める時のトルクがあまり強くならないこと、

滑っている時のざらつき感が(ほとんど)ないこと、などをチェック項目としています。



何やら、香箱組立だけでずいぶんと縦長になってしまい、最後まで書ききれるのか不安になってきました。



香箱の組立が終わったら、とりあえず部品箱に入れておき、地板にダイヤショックを取り付けます。

ダイヤショックには注油が必要ですが、あるべき注油状態というのがあるのを知ったのは今から2年ほど前です。

それまでは適当にぺたぺたとやっていて、あるべき状態とは程遠いものでした。あるべき状態の画像を

次に示します。
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矢印部分がオイルです。

どうやってこういう状態にするかですが、特別な道具を使わない方法としては

次のようなものがあります。

ーけ石をひっくり返し、平らな面を上にする ∧燭蕕別未凌燭鹵罎縫イラーでオイルを乗せる。

塗るのではなく盛る感じです。盛ったオイルの大きさは、石の直径の半分程度を目安にしています 

この上に穴石のついている枠を被せる。または受け石をつまんで枠に載せる 

ぜけ石の下に見えるオイルが真ん中にあり、輪郭が受け石の直径の1/2~2/3程度になっていればOK 

こうなれば受け石は簡単には外れないので、あまり気を使わず地板に取り付けできます。 

ダイヤショックとほとんど同じ構造になっているダイヤフィックスも、あるべき注油状態は同じですが、

穴石は地板に固定されているので受け石にオイルを盛った後に地板上の枠に被せ、

あの取り付けにくいサスマタばねを取り付けなければりません。大変難儀な作業ですし、

分解せず洗った場合はどうするのか?という問題があります。こういう場合は、裏(輪列が乗る側)

から注油し、ホゾ穴より細い棒を差し込んでオイルを受け石に接触させ、オイルの表面張力を利用して

あるべき場所に導く方法を使います。ただし、この方法は言うほど簡単ではなく、

私はどうしてもうまくいきませんでした。

そこで背に腹は代えられぬということで、高価な道具を導入しました。それがこれです。
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緩衝装置用の細いタイプ(9010注油)とそれ以外用(D5注油)の二本買いました。

これにより、注油はだいぶ楽になりました。 ということで、緩衝装置とガンギ車のダイヤフィックスには

この道具を使って注油します。
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なんと、注油二か所だけでさらに縦長化させてしまいました。はたして書ききれるのか?  


ここでガンギ車とアンクルにエピラム処理するのを忘れていたので、ここでやります。

ベンジンにステアリン酸を溶かしたものが作ってあるので、これにアンクルの爪石と

ガンギ車の歯を漬けます。全体をどぼんと漬けるのが一般的なようですが、ホゾについた

被膜が悪さをしないとも限らないので、私は必要なところ周辺だけに被膜を付けるように

しています。
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ガンギはそのままですが、アンクルは爪石のガンギ歯があたる部分のみ被膜を除去します。

相手が小さいので、だいぶいい加減な作業になってしまいます。

スタジオブライトリングでは取り付けて稼働させ、ガンギ歯を当てることで被膜を除去

するそうですが、私の場合はもろもろの理由で先に被膜を取ってから注油して取り付けています。

爪石の注油は9145/2を使っています。かなり粘度の高いオイルなので、拡散する可能性は

低いと思います。エピラム処理は不要かもしれません。ナンチャッテエピラム液ですしね。 


ああ、さらに縦長化が。  


次に二番車のホゾに注油し、地板に取り付け、二番受けを締め付けます。

そして香箱、三番車、秒クロノグラフ車、ガンギ車を乗せます。

そして一番受けをセットします。
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もちろん、必要なところには注油しています。秒クロノグラフ車は一番受けでは受けないので

がたがたですが、ホゾとホゾ穴がちゃんとはまっているかどうかは確認できます。

それが終わったら、クロノグラフ部品を付けていきます。コラムホイール、発停レバー、

復針レバー、分クロノグラフ車などを指示された場所に注油しながら組み付けます。
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この後、クロノグラフ受けを被せますが、その前にクロノ起動状態(発停レバーが開いた状態)に

しておきます。停止状態ですと分クロノグラフ車が持ち上げられた状態になるため、

受けを取り付けにくくなるからです。
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この受けを取り付けたら、ザラ回しをやり、ホゾの乗り上げなどがないか確認します。

問題なければ爪石に9145/2をつけたアンクルとアンクル受けを取り付け、
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角穴車ネジを少し回してゼンマイを巻き、アンクルのクワガタをつついてピンピンと

動くことを確認します。そしてテンプを取り付けます。

取り付ける際は、アンクルのクワガタにテンワの振り石を合わせるように入れると

入りやすいです。

おおざっぱな目安としては、クワガタが右の土手に当たっていたらテンプ受けを右に90゜

くらい回して挿入し、ホゾが入ったら受けを左に戻して取り付け、という感じです。

90゜というのは感覚的なものです。

正しい位置にあればテンワが振動を始めます。そしてダイヤショックを取り付けます。
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こちらは、取り付けてから注油という方法は使えませんので、注油してから

取り付けることになります。  



だいぶ縦長になってしまいましたので、ここらで一度切ることにしますかね・・・





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ケース編からだいぶ間が空いてしまいましたが、分解洗浄編をお送りしたいと思います。

ケースから取り出す前にローターを外します。そしてケースから取り出したら、針を外します。

12時とか6時に合わせてからビニールシートをかぶせて、剣抜きで3本まとめて抜きます。

写真は、撮影者の腕が2本しかないため剣抜きが1本しかありませんが、実際には

両側に1本ずつ当てて、ゆっくり倒すようにして外します。
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30分計の針も同様に外したら、文字盤の足を固定しているねじ2本を取って

文字盤を外します。

文字盤を外すと、カレンダーディスクが出てきます。内側の曜車は、湾曲した薄い

座金で機械側に押し付けられているだけの時計が多いのですが、この機械は

Cリングで抜けないようになっています。
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Cリングの下にマイナスドライバー等を差し込んで、Cリングを外します。
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曜車を外したら日車を外します。日車は2,3個の日車押さえで留められていることが

多いのですが、この機械の場合は大きな押さえ一つで留められています。

日車押さえは日車以外の部品の脱落防止を兼ねていることが多いですが、

この機械ではそれらの部品の位置、固定ねじの位置と個数の関係、

また曜車のジャンパーを一体化させるなどの理由で大きな一体ものになったと

思われます。

ねじ4本を取ると、日車押さえが外れますので、日車も外します。
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細いばねは使われていませんので、気が楽です。外せるものからどんどん

外していきます。ほとんどの部品は留めているねじを外せば分解できますが、

筒カナという部品だけは外れません。私はここで剣抜きを使って外しています。
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これは安物工具セットに入っていたもので、最初は針を取り外す時にも

使っていましたが、一度針にダメージを与えたことがあったので剣抜きとしての

使用はやめ、今は筒カナ抜き専用工具になっています。

私がいつも文字盤側から分解するのは、この工程があるからです。

(その必然性がない場合ももちろんあります)

日の裏側が分解完了しました。ガンギ車の保油装置がついていますが、

洗浄後に汚れが残っていた場合のみ分解します。超音波洗浄で意外に

きれいになること、分解時の変形・破損や紛失の可能性が高いことから、

必要のない分解のリスクを避けることにしています。
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次は輪列側です。ローターがこすった跡がないところをみると、使用頻度は

少ないようです。
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自動巻き部分を外しました。マジックレバーはいつ見ても感心しますね。

わずかな部品点数で高効率両方向巻き上げを実現しているんですから。
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主ゼンマイはほとんど解放されているはずですが、一応確認します。

トライバーで角穴車ねじを右に少し回します。トルクを感じなければいいのですが、

もしトルクを感じたら、赤丸内のコハゼをピンセットで押さえ、角穴車の歯との

噛み合いを解除し、ドライバーを今度は左に少しずつ回します。トルクを

感じなくなったら解放完了。
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ゼンマイのトルクが強い時にこの作業をやると、ドライバーが滑って部品に傷が

ついたりしますので、十分気を付ける必要があります。


次にクロノグラフ受けを外します。この受けにはねじ止めされている部品が一つ

ありますが、あえて外さず、このまま洗浄に進みます。
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太いばね、細いばねを外し、復針レバー・発停レバー・分クロノグラフ車、

コラムホイール、角穴車を外していきます。一番受けにはめ殺しされている

部品が多いので、取り外す部品は少なめです。
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一番受けを外すと、ようやく輪列が見えてきます。上から順番にはずします。
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香箱分解前にスリッピングアタッチメントの滑り具合をチェックします。

滑り出し前後のトルク変化はあまりありませんが、やや油っ気が少ないような感触。

ふたを外して中を見ると、こんな感じでした。とりあえず分解して洗浄します。
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針は磨き布で擦りましたが全然きれいにならなかったので、思い切って洗浄液に

漬けました。それでも変化がなくてがっかり。このままというわけにはいかないので、

組立までに何とかもう少しきれいにしたいと思います。
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次に洗浄です。この工程は、いろいろな意味で改善の余地がかなりあると

思っているのですが、現時点でこれを上回る方法が見つかっていないのが実情です。

分解した部品は、まずパーツクリーナーで一次洗浄します。ここで油汚れや

さびなど、見える汚れを落とします。次に洗浄かごに入れて超音波洗浄。
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洗浄液はPMC-10という製品で、もともとは貴金属洗浄用ですかね。

金属表面のくすみなどがきれいに取れることが多いので、使っています。

油汚れなどはあまり落ちない印象です。


超音波洗浄が終わったら、水洗いします。ここでの部品紛失が結構あります。

気を付けているつもりなんですが・・・

水洗いが終わったら、水を除去するために一度アルコールに漬けて、ブロワーで

アルコールを飛ばしてからドライヤーで乾かします。アルコールを使ったからと言って

手放しで安心できるわけではありませんが、狭いところなどに残った水により

部品がさびるというトラブルを減らすことができます。

水洗い後からアルコールに漬けるまでの時間が長いと、アルコール漬け待ちの

部品が錆びてきますので、時間との戦いです。

洗浄液に浸かっていればすぐ錆びることはないので、水洗いも2回に分け、

さびやすい部品から片づけていくやり方でしのいでいます。

また、アルコールはシェラック(シケラック)を溶かすので、爪石の固定にシェラックが

使われているアンクルは漬けません。

シェラックは振り石の固定にも使われているらしいので、テンプもアルコール漬けに

したくないところですが、サビのほうが怖いのでさっと漬けてさっと乾かすように

しています。


最終乾燥が終わったところです。ここまで来ると気が楽になります。
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とにかく洗浄工程が一番面倒で気が重いんですよね。ここをもう少し効率的に

できればいいと思うんですが。


以上、分解洗浄編でした。次回は最終回、組立編です。

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