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 (画像は「痛いテレビ」より引用)

 2009年3月13日、日本政府は、ソマリア沖の海賊対策の名目で、海上自衛隊に対して自衛隊法82条に基づく海上警備行動を発令し、翌14日には、呉港から海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」と「さざなみ」をソマリア沖に向けて派遣した。一方で、「海賊対処法案」が国会に上程され、6月19日成立した。

 成立した新法では(1)武器使用基準の緩和(2)外国船も警護対象の2点が認められた。これまで正当防衛と緊急避難措置のみが認められていたが、これからは(1)海賊が著しく接近(2)海賊のつきまとい(3)進行妨害の3ケースで船体射撃が可能になった。海賊行為をする船を確認した場合、停船を呼びかけ、従わないときは警告射撃をまず実施。それでも停船しなければ、相手から攻撃がなくても3ケースで船体射撃ができることになった。すなわち、相手が海賊である事実を確認しなくとも攻撃可能になった。

 さらに、日本関係船舶以外のどんな船舶でも救助要請があれば警護行動が可能になった。しかも、期日も地域の指定も存在せず、世界中、どこでも実行可能な、制限の存在しないザル法である。内容を見ても、具体的な戦闘行為に対処するのではなく、ただ近づいてくる船舶を攻撃できるという実に曖昧で都合のよいものだ。この法律は攻撃許可だけで、いかなる歯止めも存在していない。国会の承認や、シビリアンコントロールさえ存在しない。

 この「海賊対策法」は、戦後、海外派兵や外国に対する武力行使を憲法が制限してきた枠を一挙に取り払うものであり、明確な憲法違反だ。自衛隊が外国で軍事攻撃を行うことを真正面から容認したものであり、これによって、自衛官は公然と武器による人殺しを実現できることになった。まさに、「外国へ攻めていって、人殺しのできる軍隊」を所有し鍛えるという自民党(中曽根康弘)の悲願が実現したといえよう。

 ソマリア

 インド洋から紅海を抜けて、スエズ運河から地中海に至る世界でもっとも重要な航路がある。これはユーラシアとアフリカを分け隔てる巨大な地溝であり、中東の原油を世界に運搬するエネルギー流通航路であり、ヨーロッパの工業製品と南アジアの物品の交易路でもある。
 地上でもっともたくさんの船舶が行き交うこの航路のなかで、中東アデン湾に面した重要な地域にソマリアという国家があった。
 あったというのも、バーレ政権下で「ソマリア民主共和国」が国際的に承認されていたのは1991年までで、それ以降は国家権力が事実上崩壊し、暫定政権があるものの国際的承認はされておらず、今では、地球上唯一の無政府地帯になっている。そこにあるのはソマリアと呼ばれる地域である。

 この地域は、元々、イスラム遊牧民の行き交う海と砂漠に囲まれた不毛の地であったが、19世紀以降、イギリスやイタリアが勝手に領有を主張し植民地化したが、安定せず、地元政権も登場したものの激しい内紛によって、まともな国家統治が実現したことはない。
 中世以来、ちょうど日本の足利〜戦国前期の地方豪族国家群に似た群雄割拠の状況が続いているが未だ織田信長は現れていない。
 今では、おおむねイスラム原理主義者たちの弱い自治が行われていると考えられ、2009年4月18日、暫定議会は全会一致でイスラム法の導入を決定したが、その後もイスラム勢力どうしの内紛が絶えることはない。
 ソマリアは日本の1.8倍の国土を有し、約1000万人の人口。宗教は95%がイスラム・スンニ派である。

 1992年以降、アデン湾でソマリアを拠点とする海賊行為が多発するようになった。国際海事局によれば2008年に人質になった船員は約580名におよび、保険料率の引き上げやソマリア海域を通過する船舶への船員の乗り組み拒否などが起きている。
 海賊は主にAK47など小銃や携帯型ロケットランチャーで武装、高速ボート数船で貨物船・タンカーを襲撃し乗っ取りをしている。速度が出るように改造された小型の漁船が用いられることもあるため、漁船と海賊の区別がしにくいと言われる上に、拘束された際に海賊が漁師を自称することもある。

 海賊の多くは、もともと零細漁民であった。バーレ政権時代には欧州や日本がソマリアの漁船や漁港の整備に対して援助を行っていた。
 しかし91年政権崩壊後、漁業管理が存在しなくなり、ソマリア領海には、イタリア・スペイン・フランス・ギリシアなど欧州の民営漁業団が勝手に入り込み、一切規制の存在しない無茶な乱獲を行うようになり、たちまち漁業資源が底を尽いた。
 当初、漁船はEU諸国だけだったが、この数年は、アメリカ・ノルウェイ・中国や東南アジアからも大型漁船できて、ごっそりと不法漁業を行い根こそぎ魚を獲っていく。わけても中国の漁船団は規模、漁獲とも凄まじく、資源の枯渇を一切考慮しない根こそぎ捕獲漁法でソマリア沖漁業資源を壊滅に追い込んでいるといわれる。

 追い打ちをかけるように、90年代にカネほしさのソマリア軍部とフランス・イタリアなど欧米企業が、「沿岸に産業廃棄物の投棄を認める」という内容の悪質極まりない条約を締結し、他国では絶対に認められないダイオキシンや放射能など汚染度の深刻な産業廃棄物が沿岸に投棄されるようになった。
 これを行った主役はイタリア政府と結託したマフィアであったといわれる。またソマリア沖に国家権力が及ばないこと知った中国やアメリカも、他では許されない国家問題になるレベルの超汚染物質投棄を繰り返している。

 そのなかに原発由来の放射性廃棄物が多量に含まれていたため、漁師を中心とする地域住民数万人が放射能被曝障害で発病。地域住民の生活を支えていた漁業もできなくなった。
 この結果、困窮した漁民がやむなく自ら武装して漁場を防衛するようになり、一部が海賊に走ってそれが拡大したものである。

 こうした実態に対し、海賊呼ばわりして武力弾圧を要求しているのが、身勝手な漁業と産廃投棄を繰り返しているEU・アメリカ・中国などの当事者であり、その真の狙いは、自分たちの行った非道な産廃汚染の証拠隠滅であると指摘されている。
 海賊のレッテルを貼り付けたソマリア漁民を、一網打尽に殺害して証拠を隠滅したいために海軍を派遣し、片っ端から漁民を虐殺しているのである。

 一方で高速船の使用・ロケット・ランチャーなど高度な武装・規律ある訓練などに見られる海賊の姿は漁民とかけ離れたものであり、またソマリアにおける海賊拠点を取材したメディアによれば、地元民の一部が含まれているが、大多数は見ず知らずの、言葉も通じない人たちという証言もある。
 一部の海賊は、イギリスの民間軍事会社ハートセキュリティ社の指導の下で創設された私設海上警備隊の構成員であると認定されている。この組織がアフガニスタンから流入する麻薬や小火器をパキスタンカラチ港からインド洋・ソマリアを経由し他のアフリカ諸国やイエメンに対して密輸しており、この密輸組織がやがて海賊化した経緯があるようだ。
 海賊の背後には、それを利用しようとする国際的陰謀勢力が蠢いている。

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