全体表示

[ リスト ]

 第54回東海口腔衛生学会総会は、石川 昭氏を学会長として、去る平成23年7月24日(日)、愛知学院大学歯学部において、約70名が参加して開催された。当日は、愛知県がんセンター研究所 所長 田島和雄 先生による「消化管がんの予防は口腔衛生から始まる」と題した特別講演が行われ、歯の温存数など口腔衛生の指標が、口腔がんのみならず上部消化管がんの危険度評価になりつつあることなど、口腔衛生に関連づけて説明していただき、非常に興味深い内容であった。その他、3題の口演発表があり活発な議論と意見交換が交わされ、盛会であった。
 

特別講演
「消化管がんの予防は口腔衛生から始まる」
田島 和雄  愛知県がんセンター研究所 所長 
 がんが日本人の死亡原因のトップになって四半世紀を過ぎ、その後もがん患者は増え続けている。現在は全国で毎年33万人以上が死亡しており、その倍以上の70万人が新たにがんに罹っており、今や、国民の二人に一人は生涯の内にがんにかかるものと推定される。がんの主な原因として喫煙・飲酒習慣、運動不足、偏った食生活習慣、慢性感染症などが上げられるが、先ずは生活習慣に関連したがんの一次予防方法について述べてみよう。
 第一に、禁煙と節酒習慣で、喫煙習慣は男性肺がんの2/3、女性の1割に寄与しており、喉頭、口腔、食道、胃噴門部など、呼吸器や上部消化管のがんの主要原因、飲酒習慣は食道がんの危険度を高め、他にも胃、肝臓、大腸、乳房などのがんの発病にも関係している。第二に、運動習慣も重要で、カロリーを取りすぎると糖代謝に重要な役割を果たすインスリンの分泌が多くなり、それがレセプターを介して核内の増殖遺伝子を刺激してがん細胞の増殖を促すと考えられているが、運動習慣はインスリン感受性を高めて分泌抑制に作用するなどがんの低減効果がある。第三に、バランスの取れた食習慣で、日本人の食習慣は欧米化により一般的栄養状態は改善されたが、日本人古来の食習慣が失われ、その代償として大腸、乳房、前立腺など欧米型のがんが増えてきた。日本民族にあった食文化、豆類、穀類、魚類、それに野菜や果物を重視した日本食を見直すべきである。
 次に、第四の要因が本学術総会で注目すべき慢性感染症である。ピロリ菌感染による慢性萎縮性胃炎と胃がん、肝炎ウイルスによる慢性肝炎・肝硬変と肝臓がん、女性の乳頭腫ウイルス感染による子宮頸部びらんと頸がんなどは典型例である。すでに、これらのがんに対しては除菌やワクチンなどを用いた撲滅対策が進展しつつあり、将来的に罹患率も激減するものと予測される。
 一方、最近になって非特異的な起炎菌による慢性口腔内感染症もがんの原因となっている可能性が疫学的に注目されつつある。例えば、国内外の疫学研究の報告から、歯の温存数など口腔衛生の指標が口腔がんのみならず上部消化管がんの危険度評価になることを示す知見が得られつつある。インド南部からスリランカにかけて流行している口腔がんは、彼らの習慣である噛みたばこに起因しているが、一方では、口腔衛生の不備がそのリスクを助長していることも明らかである。
 消化管は口腔から始まり、今や口腔衛生管理は消化管がん予防の原点になり得る、言っても過言ではない。
 
一般口演
 
1.A大学歯学部臨床実習生における実習に対する意識態度とSOC
山崎志穂1)、森 正喬1)、安井 綾1)、山崎明紘1)、 
宮園将也1)、三輪祐子1)、望月大督1)、中村文彦2) 
1)愛知学院大学歯学部3年生 2)愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座 
 A大学の臨床実習•臨床予備実習において、ストレスを受けたときに、どのように対処するのか、また、SOCの高低によってその対処の仕方に違いがあるのかを明らかにすることを目的に本研究を行った。
対象は臨床実習を行っている学生とし、調査は無記名の自己記入式の質問表を用いて行った。質問項目は、SOC、実習への取り組み方、臨床実習を楽しいと感じているか・ストレスと感じているか、などについてたずねた。実習に対する意識・ストレス・取り組み方を従属変数とし,SOC、性別、年齢を共変量としてロジスティック回帰分析を行った。
 SOCの平均値は50.0±10.5であり、coは18.8±5.0、maは15.6±3.7、meは15.8±4.2であった。
SOCが高い人は、低い人よりも臨床実習・臨床予備実習を楽しく感じ、勉強・実習や人間関係に対してストレスを感じにくいこと、インストラクターに怒られたり失敗をしたとき、落ち込んだり、あたふたしたり、ひきずったりしない傾向にあるということがわかった。
 
2.カップラーメンの種類、調理法による塩分濃度
飯島晴弥1)、石川陽一郎1)、石黒諒馬1)、加藤一夫2) 
1)愛知学院大学歯学部3年生 2)愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座 
 カップ麺の塩分濃度について調理法による違いがあるか明らかにすることを目的とした。
パッケージ通りの方法(調理法A)と、麺を茹でた湯を捨て新しい湯を用いた方法(調理法B)で調理し、実験①、②を行った。①味別での塩分の分布を見るため調理法A、Bでのカップ麺のトータル平均塩分濃度を求めた。②各カップ麺で調理法A、B間の塩分量の違いを求め、スープ量別の塩分量の相関を調べた。塩分濃度は食塩濃度屈折計S82E(ATAGO社製)を用いて測定した。
 スープ、トータル共に味噌味は最も塩分濃度が高くなった。トータル塩分量(g)は、調理法Aで15.65±5.12、調理法Bで14.79±5.40となり。調理法Aではスープ量と塩分量が比例する結果となった。
 味噌味が最も塩分濃度が高い理由として味噌の生産過程に用いられる多量の塩が考えられ、調理法Bによる塩分カットは効果的だと考えられる。
 カップ麺には多量の塩分が含まれ、調理法により摂取を抑える事が可能である。
 
3.岐阜県版「歯周病セルフチェック票」とCPIの関係
石津恵津子1)、高木幹正2)、水野明広2)、松村康正2)、 
野村岳嗣2)、 青木雅敏2)、五明岳彦2)、筧 錦子2)、磯篤則1) 
1)朝日大学歯学部口腔感染医療学講座社会口腔保健学分野 2)岐阜県歯科医師会 
 岐阜県では、歯周病の予防啓発目的に歯周病セルフチェック票を作成し、特定健康診断などの場での利用を推進している。そこで本研究では、歯周病セルフチェック票が実際に歯周病のスクリーニングとして利用できるかどうか、すでに有効性が確認されているCPIの結果と比較し、その精度について検討した。
 その結果、歯周病セルフチェック票の総点数とCPIコードの間に関連性を認めたが、平均総点数を比較するとコード1とコード2の間には差を認めなかった。総合判定のCPIコードの分布から、「健康」や「要注意」の判定にコード3とコード4を40〜50%の確率で含むことを確認し、「健康」をコード0、「要注意」をコード1・2、「要検査」をコード3、「要治療」をコード4に設定すると、スクリーニングの感度は低い値を示した。よって歯周病セルフチェック票では、「健康」と判定されても問題がない訳ではなく、カットオフ値の調整など、偽陰性者対策が必要であると思われる。

この記事に


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事