モーレツ牛太郎のノートブック

読んだ本、行ったところ、考えていることなどについて紹介するブログです。

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江戸時代、第5代将軍綱吉から第8代将軍吉宗の頃の上方を題材とした経済小説。

主人公の浜屋円蔵は、元赤穂藩士で塩田開発を担当しており、経綸に明るい。赤穂で塩田の開発・経営に成功し、そのことが三河・吉良の塩田経営に影響を与え、刃傷沙汰の遠因となった。円蔵は討ち入りには参加せず、そのことが一生の負い目となって、武士をやめ、商人となった。

彼は、大阪の大和川の改修に伴い、沼地を干拓することを提案し、大商人や庄屋を説いて周り、一大事業を成功させる。干拓地で綿の栽培を行い、合理的な大量生産の計画を立てる。しかし、その計画は世の中から容易に受け入れられない。

大坂の淀屋という大商人が、干拓工事を請け負うことを約束するが、その大商人が没落してしまう。世はお陰参りという風習が流行する不況時代に陥る。円蔵のアイデアと奔走により、東本願寺が請負うことに決まったが、大営農の夢は破れ、多くの農民に土地が分け与えられることになってしまう。

同じ時代を生きた心学の石田梅岩、名古屋で商人として成功した若江屋悟兵衛の主張に耳を傾ける円蔵は、自分の行き方に答えを見つけることは生涯できなかった。その命題とは「人は何のために働くのか」というシンプルな問いであった。

綿、米そして塩などの農産物をたくさん作ると、物価が下がり、世の中は不況になってしまう。それでは自分は目指した大量生産の工法は何のためになるのか、という疑問であった。

作者、堺屋太一によれば、世の中は好景気と不景気を繰り返し、60年に一度、不況に陥るという。これをコンドラチェフの波というが、江戸時代は鎖国もあって、この経済法則が如実に現われたという。そして、世の中が好景気から不景気に陥り、しばらくすると天災が決まって起こるのだそうだ。この時代も元禄の好景気の後に大不況がやって来る。その不況の最中に東南海地震が起き、そのまた2ヶ月後に富士山が噴火する。そして、民衆は苦渋を極める。

そういえば、バブルがはじけ、しばらくすると阪神淡路大震災に襲われたことを思い出す。俯き加減の男、浜屋円蔵は浪人となり、不況の時代を悩みながら、自分の才を発揮する場を探して、世の中を渡ろうとしたが、決して恵まれた地位に上り詰めることはなかった。しかし、塩田の開発と干拓という大きな仕事をこの世の中に残したのである。それだけでも賞賛されるべきではないかと思う。

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