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MIWA-WALL〜我が家のクライミングルーム
フリークライマー大場美和。スポーツビズ所属。tokiwa_dc@yahoo.co.jp

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5月25日、コンバインドジャパンカップ2019の予選が行われています。
まずは男子のスピード。高さ15mの2つの壁に同一のルートが設定されていて、左右の壁を2人の選手が同時に登ります。予選は相手選手との勝負ではなく、全員のタイムで順位が決まっていきます。2回登るチャンスがあり、良かった方のタイムが自分の成績となります。決勝はトーナメント方式で、同時に登った2人のうちタイムの速い選手が勝ち上がっていきます。
わずか10秒前後の間で、1回のミスが命取りになるスピード競技は見ていてとってもハラハラドキドキします!

男子スピード

5月12日に東京で行われた"スピードスターズ"で日本記録を樹立した緒方選手が、一本目でまさかのフォール。フォールしてしまうと、記録が残らないため、2本目で確実にいいタイムを出す必要があります。プレシャーのかかる中、集中した表情で2本目を登りだすと、6秒70というタイムを出して最終成績は3位と実力を出してきました。

前日の記者会見で調子が上がってきていると話していた楢崎明智選手。7秒39と、好タイムを出しますが、直後に納得いかない様子で首を振ります。2本目ではさらにタイムを縮め、6秒94で5位につけます。

杉本怜選手は1本目で自己ベストの7秒32というタイムを出し好調の様子でしたが、2本目ではフォール。成績は8位となりました。

注目の楢崎選手は6秒65と、今期自己ベストを出し、上位につくのを確実なものにすると、2本目は登らず続くラウンドに向けて体力を温存します。

原田海選手は1本目でフォール。しかし2本目では7秒06でしっかりとタイムを出し、6位につけます。

藤井選手は1本目から良いタイムを出し、さらに2本目でタイムを縮め自己ベストの6秒52で、1位で決勝へ向けて大きくリードしました。

519.20日に、ボルダリングワールドカップ第5戦がドイツのミュンヘンで行われました。例年は最終戦がミュンヘンで開催されていましたが、今年は早めの開催でした。

結果はこちら

男子
1
位 ヤコブ・シューベルト (オーストリア)
2
位 アダム・オンドラ (チェコ)
3
位 ヤン・ホイヤー (ドイツ)
4
位 アレクセイ・ ルブツォフ (ロシア)
5
位 アンゼ・ペハルク (スロベニア)
6
位 チォン・ジョンウォン (韓国)

女子
1
位 ヤンヤ・ ガンブレット (スロベニア)
2
位 ファニー・ジベール (フランス)
3
位 ミア・クランプル (スロベニア)
4
位 ジュリア・シャノーディ (フランス)
5
位 カズブコワ・イエブゲニア (ウクライナ)
6
位 カーチャ・カディッチ (スロベニア)

今週末に行われるコンバインドジャパンカップの調整のため、今大会は欠席する日本人選手が多かったので、決勝に一人も日本人がいないという、新鮮な感じでした。
コンバインドジャパンカップは、その成績によって世界選手権への出場権が得られ、世界選手権の成績でオリンピック出場につながるという、大事な大会です。

男子決勝

1
課題目は同じ形のホールドが連なった、パワフルな課題です。体全体に力が入った状態が続き、息をつく間もありません。
前半でゴール付近まで行ったアレクセイ選手やチョン選手も、それ以降のトライでは疲労のためゴールどころか前半をこなすこともできなくなりました。
見ただけで全ての動きを予測するのが困難な課題なので、登りながらもムーブを考えながら登らなくてはなりません。そのため壁に取り付いている時間も長くなり、余計に体力を消耗してしまいます。上部での落下は命取りなのです。
一番惜しいトライだったのはヤコブ選手。少し余裕も感じさせつつ、ゴールの一歩手前まで登りますが、そこで足を滑らせて落ちてしまいました。残り時間が無かったため、もう一度トライすることも出来ず、悔しい表情で壁の裏に戻って行きました。完登する力は充分あったように見えますが、足が滑りやすいホールドで失敗をしない集中力も、実力のうちです。
完登者が出ないまま、準決勝の課題を全て登って1位で決勝に進出した、アダム選手が登場しました。アダム選手は終始落ち着いてゴール手前まで登っていきました。そこからすぐに左手をゴールに伸ばすかと思いきや、まず足を右手で持っているホールドまで高く上げ、体勢を整えてから右手でゴールを掴みました。足をあげるのは、初めから決めていたように動きましたが、最後に右手を出すという選択は咄嗟に判断したように見えました。
アダム選手は1撃で1課題目を登りきり、客席は大歓声をあげました。


2
課題目は、打って変わって完登の嵐でした。全選手が完登します。しかし1回のトライで登ったのはやはりアダム選手だけでした。
選手が落とされたのは、1手目。右にジャンプしながらホールドを取る動きです。右に飛び出すことで体は右に大きく振られます。その振られを抑えることができずに、そのまま右に流れて落ちてしまうのです。
アレクセイ選手は足を先に上げることで振られを生まないムーブに辿り着きました。そのほかの選手は、何度かトライすることで、ジャンプの高さや体の位置を修正して、振られを抑えました。アダム選手は最初のトライで、完璧な動きが出来ていたので、1手目を止めることができました。
体の位置が正しい位置にないと、両手が伸びて力が入らず、振られを止めることができません。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=3323

しかしアダム選手は両手の肘を直角に曲げた状態で固定し、上半身を動かなくして振られに耐え、下半身で勢いを逃しています。
2
課題連続の一撃です。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=4008

3
課題目は傾斜が緩く、バランスをとりながら丁寧に登る課題です。中間部の、右手で小さなホールドを押さえ、左足に乗り込んでいく動きのところ。ここを超えられるかが重要でした。
ここでポイントになるのが、左手です。左手で次のホールドの下側を持ち、乗り込む際の補助にすることで、この難所を超えられます。

ここを超えられなかったヤン選手。左手でホールドの下側を触りますが、結局左手の補助なしで動いて、落下してしまっています。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=5323

この動きが一番上手かったのはアンジェ選手。しかしアンジェ選手はゴールを取れず、完登には至りませんでした。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=4542

完登したのはアレクセイ選手、ヤコブ選手、アダム選手です。アダム選手は3連続の1撃でした。


4
課題目は壁を大きく使った、動きのある課題。ゾーンを取るにはコーディネーションの動きをうまくこなさなければいけません。
この課題を登ったのは、ヤコブ選手とヤン選手。これまで全ての課題を1撃してきたアダム選手は、ゾーンを取ることができませんでした。原因は2課題目のように、肘を曲げていなかったからです。ヤコブ選手とヤン選手の登り見ると、最初に出した右手から、肘がしっかり曲がっているのがわかります。
ヤコブ選手

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=6262

ヤン選手

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=6380

しかしアダム選手は右手が伸びきった状態で左手を出しているため、体の位置が下がってしまい、最後に右手を寄せた時には振られに耐えられる状態ではなくなってしまっています。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=6717

ヤン選手はこの課題を1撃で登り、自国での大会を盛り上げました。3課題目が終わった時点では5位でしたが、この完登によって表彰台入りを果たしました。



女子決勝

女子1課題目は、男子の3課題目のように、バランシーな下部を抜け、ゴールホールドに飛びつくといった課題。
決勝常連の、ファニー選手とヤンヤ選手は1撃で完登。
ウクライナのカズベコワ選手は、登るたびに動きを修正し、3トライ目でゴールしました。

2
課題目ではファニー選手とヤンヤ選手はどちらも2撃。加えてスロベニアのミア選手も完登します。ゾーンを取ってから、何度も足が離れて手だけでぶら下がる状態になりますが、肩の強さで全て耐えてみせます。リーチの長さも助けになり、粘りを見せてゴールまでたどり着きました。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=9885

一方ファニー選手は柔軟性を生かし、技を駆使しながら確実に高度を上げ、安定した動きでゴールまで登りきりました。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=9605

やはり選手によって登り方が違うので、見ていて面白いですね。

3
課題目はコーディネーション課題です。1手目に両手で飛びつき、振られに耐えます。今度は体が反対側に戻されるので、その勢いを生かしつつ両手で体を引きつけて進行方向を上向きにし、手を出して次のホールド、ゾーンをつかみます。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=11142

カーチャ選手は飛び出す際、左足が下に残った状態で飛んでいるため、距離が出せず、なかなかゾーンが取れません。しかし、腕の引きつけ力の強さでそれをカバーし、最後のトライでゾーンを掴みます。しかしパワー消費の大きいムーブで何度もトライしていたので、力尽きてゴールを掴むことはできませんでした。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=11571

4
課題目。一人目に登場のジュリア選手は、競技時間開始から1トライに2分半を費やして11手踏ん張り、1撃で完登しました。
続くファニー選手は、中間部で一度ミスをしてしまい、落下。次のトライではムーブを変え、しっかりゴールホールドを掴みました。
ミア選手はじわじわと丁寧に高度を上げますが中間部のファニー選手がフォールした部分をなんと、自分の腕に足を引っ掛ける、フィギアフォーという技を使って切り抜けて登りました。これは大会で使う場面が少なく、なかなか見ることができない技です。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=12557

カーチャ選手はこれまで0完登でしたが、最終課題では安定した登りを見せ、見事1撃しました。
カズベコワ選手はゴールの一歩手前のホールドが取れず、完登できませんでした。ほかの選手が使っていたホールドの、一個左側のホールドに足を置いてしまったため、バランスを保てなかったのです。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=12849

最後の選手、ヤンヤ選手は随所で余裕を感じさせる登りで上部まで登りつめ、最後は少し慎重に、緊張した動きで確実にゴールを決めました。これで驚異の5連勝。ボルダリングワールドカップは残すところあと1戦。いやでも期待してしまいます。

https://youtu.be/iz7-t3cj0CQ?t=13061



ボルダリングワールドカップ最終戦は、67.8日にアメリカのヴェイルで行われます。
いよいよ最後!その後はリードワールドカップ が始まりますよ!

その前に、来週は愛媛でコンバインドジャパンカップです!

ボルダリングワールドカップ第4戦が、545日に中国の呉江で行われました。

まず結果はこちら。

男子
1
位 楢崎 智亜 (日本)
2
位 原田 海 (日本)
3
位 ヤコブ・シューベルト (オーストリア)
4
位 土肥 圭太 (日本)
5
位 藤井 快 (日本)
6
位 ヤン・ホイヤー (ドイツ)


女子
1
位 ヤンヤ・ガンブレット (スロベニア)
2
位 野口 啓代 (日本)
3
位 森 秋彩 (日本)
4
位 野中 生萌 (日本)
5
位 ジェシカ・ピルツ (オーストリア)
6
位 ジュリア・シャノーディ (フランス)

今回、6人の決勝進出者の内、男子は4人、女子は3人が日本人選手で、日本大活躍の大会でした。
女子3位の森選手はまだ15歳、男子の土肥選手は18歳と、若い選手も決勝で活躍しています。
そして肩の怪我で今まで休戦していた野中選手は今大会で復帰し、変わらない強さを見せてくれました。



女子決勝

1
課題目はゾーンの次の1手を取るところが核心で、選手達はムーブを工夫して難所を乗り越えました。
中でも驚きだったのは、森選手の登りです。森選手は他の選手と比べて身長が低く、最善策と思われるムーブでは距離が届かないことが多くみられましたが、そこを森選手は自身のクライミング能力でカバーして登っていくので、あっと驚くような動きが飛び出すのです。
他の選手の登り(コーディネーション)

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森選手

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ゾーンホールドを持った時点で体が伸びきってしまっているので、そこから勢いをつけるのは困難です。そこで森選手は、左手を離すと同時に右足を次のホールドに乗せ、体のたわみを作ってから片手で勢いをつけ、次のホールドを取りに行っています。
他の選手がコーディネーションムーブを選択している時点で、ゾーンホールドを持って普通に動くことは難しいはずなのに、森選手には持ててしまうんですね



2
課題目は、スロベニアのヤンヤ選手のみの完登でした。多くの選手がゾーンの次のホールドを保持できずにいる中、野口選手はゴールの一手前まで登り進めますが、力尽きたように落ちてしまいました。
しかし次に登場したヤンヤ選手は、余裕ありげに完登。
ゾーンの一手先を両手で持った野口選手は、そのホールドの悪さに少し動きづらそうにしながら次のホールドを取ると、一度右足を上げてから左足をあげて、慎重に動いていました。

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その部分をヤンヤ選手は、ゾーンの次を両手で持つと、両足を離して完全にぶら下がった状態になってから、左足を上げ、次のホールドを取りに行っています。ゴール取りも、しっかり体全体を使って余裕を持って取りに行っています。

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2019
BWCで、これまで全戦優勝しているヤンヤ選手の強さは異次元ですね。見ていて、ヤンヤなら登ってくれる!という謎の安心感があります。


4
課題目もヤンヤ選手の強さに驚かされました。初手のランジをまるで何百回もやってきたかのように鮮やかに決め、上部は他の選手が挑戦しても出来ず、誰も成功していないムーブで登りきました。一撃で。余裕で。強すぎ。
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この課題は野口選手と森選手も完登しています。核心はまたもやゾーンの次、左手を出す一手。これを取れた選手とら取れなかった選手の違いは、手を出すときの体の位置です。
オーストリアのジェシカ選手。ゾーンを右手で取り次の一手を出すとき、一つ前の大きなホールド高さには、胸あたりまでしか上がっていません。
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一方野口選手は、左手を出すときには一つ前のホールドの高さに、お腹が位置しています。体をあげることで右手がロックでき、左足にもしっかり乗れて、次のホールドを取る体勢が整います。
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結局、この課題を登りきった3人が表彰台に乗ることとなりました。




男子決勝

今回の男子決勝は、楢崎選手の登りがキレにキレていました。
まず1課題目の1手目、多くの選手が、左手で止めてから右手を寄せるムーブを選択しましたが、楢崎選手は両手で一気に1手目をおさえにいきました。持ち前の身体能力が光ります。

多くの選手が選択したムーブ
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楢崎選手のムーブ
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そしてゴールも軽く体を引き上げ、1課題目唯一の完登者となりました。


2
課題目も楢崎選手ならではの動きを見せてくれました。ゾーンを取りに行く動き、他の選手の動きはこうです。
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そして楢崎選手。
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両手で一気に飛びついています。普通こんな動きしようと思いません。


まだあります。3課題目の、ゴールの仕方です。
壁が垂直よりも奥に傾いている、スラブと呼ばれる壁。この壁はバランスをとってジワジワと登る壁です。
通常、ゴールもこのようにいいバランスを見つけて保持します。
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しかし楢崎選手はを駆け上がるようにして壁の最上部まで行き、ホールドの上に乗ってゴールしました。
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こういった動きを、自分の強みとして生かして登っているのがすごいです。


最終課題、1番の盛り上がりを見せたのは、今大会2位の原田海選手です。
この課題はゴールが遠く、その前のホールドがとても持ちにくいので、なかなかそこを超えられる選手がいませんでした。そんな中、原田選手はただ一人最終課題を完登したのです。

ゴール手前のホールドは、足が離れたら必ず落ちてしまうくらい持ちにくいホールドです。
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原田選手は、しっかり肘を曲げて体をあげることでなんとか耐えながら少しずつ登っていき、ゴールまでたどり着きました。
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3
位以下の選手が、1完登という厳しい課題の決勝でしたが、楢崎選手と原田選手は3完登という結果で、金メダル、銀メダルを獲得しました。


女子、男子ともに痺れる登りの連続でした!
今回は動画を交えて書いてみました。が、なんか違う...。
動画がそのまま見れるようにしたかったのに...。でも調べてみてもよくわかりません。泣
とりあえず一歩進歩ってことで。


次のワールドカップは、5月18・19日にミュンヘンで行われます。楽しみ!
4月27日、28日に行われたボルダリングワールドカップ 2019 第3戦 中国・重慶大会。

最終結果は以下の通りです。

男子
1位 マニュエル・コルニュ (フランス)
2位 楢崎 智亜 (日本)
3位 アンゼ・ペハルク (スロベニア)
4位 サッシャ・レーマン (スイス)
5位 アレクセイ・ルブツォフ (ロシア)
6位 藤井 快 (日本)

女子
1位 ヤンヤ・ガンブレット (スロベニア)
2位 野口 啓代 (日本)
3位 ジェシカ・ピルツ (オーストリア)
4位 ペトラ・クリングラー (スイス)
5位 伊藤 ふたば (日本)
6位 カーチャ・カディッチ (スロベニア)

男子決勝
1課題目は前半でコーディネーションへの対応力、後半でプッシュ力などのパワーが求められる課題でした。(コーディネーションというのは、これまでの大会にも出てきたような、手を出したらその勢いのまま足も動かし、もう一方の手も出すといったような、連続した動きのことです。プッシュとは、ホールドを手のひらで押して体を上げることです。)

これらの、クライミングの動きの中で特殊と言える動きを求められる課題に、最もよく対応していたのが、スイスのサッシャ選手でした。不安定な動きで、アテンプトを重ねてしまうような課題ですが、迷いのない登りで一撃しました。
最上部、ゾーンを両手で保持したところから、ロシアのアレクセイ選手は左足を上げて、苦労しながらも左手でゴールを触りますが、右手はゾーンに残ったまま、落下してしまいました。しかしサッシャ選手は、左手でゾーンホールドをプッシュし、すかさず右足をあげると、楽々とゴールに両手がかかりました。最後、右手をゴールに寄せるためには、右足の力を利用して手を動かす必要があるので、アレクセイ選手は登りきることができなかったのです。

続く選手もみな右足を上げてゴールしていきますが、楢崎智亜選手は唯一左足を上げてゴールしました。
多くの選手は、バランスをとりながら、ジリジリと左手のプッシュで体を上げていく選択をするところですが、楢崎選手は、軽くジャンプするのと同時に左手をプッシュし、一気に体を引き上げ、素早く左足を乗せました。すると体がかなり高い位置にあり、ゴールを左手で持った後に右足を上げることができたのです。
この動きには、課題を一撃するよりも驚かされました。


2課題目は壁の傾斜が強く、体の強さが求められます。
1課題目で苦戦したアレクセイ選手が、難なく一撃で完登。後の選手の登りを見て、この課題がとても難しいんだということにやっと気づくというくらいあっさりと登っていきました。
フランスのマニュエル選手と、楢崎選手も集中したトライで完登しました。


3課題目は2課題目から一転、垂壁の課題です。足にしっかりと乗って、バランスをとりながら登る力が必要です。少し動きに乱れがあるだけで、体は壁から剥がされてしまいます。
その中で、リスクのある動きをして登っていかなけらばならないのですが、マニュエル選手はこの課題を一撃で登りました。バランス感覚を研ぎ澄ませて、うまくリスクを回避して登っていったという印象でした。
第3課題は、6人全ての選手が完登しましたが、こういった課題を一撃で登るのはとても難しいことです。


最終課題は1課題目のように、前半がコーディネーション系、後半がパワーのいる課題です。
問題は後半、ゾーンを取った後です。右手でゾーンを保持するところまではどの選手もたどり着きますが、ゾーンホールドの悪さに、選手たちは弾き返されてしまいます。
完登者が出ないまま、最後の選手、スロベニアのアンゼ選手が登場します。この時点でアンゼ選手の順位は6位。
1トライ目でゾーンを右手で掴むと、これまでの選手は誰もできなかった、両手でゾーンを持つことやってのけました。たった1手ですが、その瞬間完登の可能性が見え、見ている方も胸が高鳴りました。
2トライ目は最初のコーディネーションの部分で失敗してしまいますが、3トライ目でまたゾーンを両手で持ちます。1トライ目から修正して、良い体勢で次のホールドを取りに行くことができ、ゴール取りもしっかりと決めて、見事完登しました。この完登で、アンゼ選手は6位から3位に順位を上げ、メダルを手にしたのです。胸熱でした。



女子決勝
1課題目は上部のカチ4連続で指の力が試されます。6人中4人が完登しましたが、その中でも野口選手とヤンヤ選手は抜群の安定感での完登でした。

2課題目はうまく壁に入り込み、バランスをとりながら登る課題。
1人目の伊藤選手はバランシーな前半部は1トライ目、2トライ目、3トライ目とムーブを修正して登っていき、ゾーンをとらえ、次のホールドまで進みます。しかしこのホールド、おそらく男子最終課題でほとんどの選手を弾き返した、ゾーンホールドの色違いのホールド。伊藤選手もこのホールドに苦しめられ、ゴールにはたどり着きませんでした。
続くスイスのペトラ選手は、前半部でムーブを解決できず。
3人目に登場の、オーストリアのジェシカ選手も前半部で足止めされますがなんとか抜け出すと、伊藤選手を苦しめたホールドをうまくつかんで完登しました。
4人目の野口選手はやはり別格。前半部をなんなくこなしゴール目前まで一気に登ります。しかし例のホールドを処理しきれず、フォール。完登のトライでは、ムーブを変えて対応しました。
続いて登場したカーチャ選手も野口選手と同じ動きで登ろうとしますが、立ち上がりきれずに落下してしまいます。
最後のヤンヤ選手は、ゴール前のムーブをダイナミックな動きで対応します。掴んだものは離さない、力強さが垣間見えました。

3課題目はバランスをとりながらも、思い切った動きが必要です。
この課題を完登したのはペトラ選手、野口選手、ヤンヤ選手。ゾーンを取る際、ペトラ選手はダイナミックな素早い動きで、他2人の選手はじわじわとバランスをとって登っていきました。動きは違いますが、重要なのは右手で体の回転を止めることです。それに気づければ、ゾーンを止められます。

最終課題はがっつりパワー系課題。大きなホールドが連なり、初手のランジを決めるところから、力を入れっぱなしの状態が続き、上部に行く頃には疲労がピークに。ランジを止めたペトラ選手やカーチャ選手ですが、途中で力尽きてしまいました。ジェシカ選手とヤンヤ選手はこれを2撃で登ります。中間部を素早く抜け、疲労を溜めずにゴールまでたどり着きました。野口選手と伊藤選手はランジに苦しめられました。アテンプトを重ね、野口選手はなんとかランジを止め、中間部は見事にこなして完登しました。
これで野口選手とヤンヤ選手は全ての課題を完登。アテンプト差でヤンヤ選手の優勝となりました。


みなさんゴールデンウイークはいかがお過ごしですか?今週末もボルダリングワールドカップとスピードワールドカップは開催されます。お家でクライミング観戦も、ドキドキワクワクですよ。
4月14日、ボルダリング ワールドカップ決勝。今回は少し動きの解説を交えつつ。私の勝手な推測ですが。

女子決勝
1課題目は、ゴールホールドを取るところが核心だったようです。
左手でカチ(薄く、指先でしか持てないホールド)、右手でアンダー(下から持つホールド)を持った状態で、右足で乗っている大きなホールドを左足に乗りかえると、ゴールホールドがすんなり取れます。

1人目に登場した伊藤ふたば選手が、あまりにも簡単そうに登ったので難しそうには見えませんでしたが、2人目、3人目の選手はどちらも左足がなかなか上がらず、ゴール出来ませんでした。

伊藤選手は左足を上げる時に、右足で少し立ち上がってから左足を上げています。それに対し、ゴールが取れなかった2選手は右足のかかととお尻がついた状態で、完全に体重を預けたまま左足を上げようとしているので、体の自由度が低く、うまく動けなくなってしまっています。

続くファニー・ジベール選手も、伊藤選手と同じく少し右足で立ち上がっているので、すんなりと左足が上がりました。

5人目に登場したヤンヤ・ガンブレット選手は一度左足を上げようとしますが上がらず、最終的には右足のまま、右手でゴールをつかみました。左手のカチを持つ保持力と、ゴールを取りに行く際、左足の位置を少しずらしてバランスを取ったことで可能になったのでしょう。

最後の選手、ショウナ・コクシー選手は左足の膝を使って体を上げてから、足を上げて確実にゴールホールドを取りに行きました。


2課題目は全ての選手が1撃で登ってしまいました。
しかし、選手によって登り方が異なり、同じ動きでゴールまで行った選手は1人もいませんでした。
面白いですよね。


3課題目も1課題目と同様、選手の登りを見ているとこの課題を登るためのコツがわかってきます。

この課題は、右手でホールドを持った状態から、軽くジャンプしながら左手、右足、右手の順番で右方向に素早く移動しなければなりません。

成功の鍵はズバリ、最初に持っている右手です。

一連の動きをより速くやろうとして、左手を出してすぐに右足、右手も出してしまうと、体が十分に右に移動していないので最後の右手を取った時に体を支えられる状態でなく、落下してしまいます。

左手を出したら、右手で体を支えつつ体が少し右に移動するのを待ってから、右足と右手を動かすと、理想の位置に着地できます。

これを、ルチュカ・ラコヴェツ選手は1回目で、完璧な動きで登っていき、見ている人を驚かせました。


4課題目は、3課題目とかなり似た動きで、右方向に素早く移動する課題です。
この課題も選手それぞれ登り方に特徴があり、見ていて面白かったです。

特にヤンヤ選手は1トライ目とは思えないほど余裕を持って、綺麗に登っていきました。
そしてヤンヤ選手は4課題全てを1撃で登り、前回のスイス大会に続き2大会連続優勝となりました。




男子決勝
男子決勝課題で興味深かったのは、1課題目と4課題目です。どちらもぱっと見動きの選択肢が多く、正解を見つけるのが難しく見えました。


まず1課題目は1手目を取った後、スタートに足を乗せるか、左のほうに大きく足を移動させるか、どちらも可能に見えるので 判断し難いです。
1人目のイェルネイ・クルーダー選手と、3人目の緒方良行選手は左に足を移動させる方法を選びました。2人ともゆったりとし動きで登っていき、完登しました。

後の3人はスタートに足を乗せる動きを選択します。しかしその中で、川又玲瑛選手は前半の部分を突破できませんでした。
他の選手に比べ身長の低い川又選手には、体が伸びきって動きのコントロールがしにくくなるこのムーブは合っていなかったのです。
決勝に2位で通過するほどの実力の持ち主である川又選手なので、そのムーブでもかなり惜しいトライがあり、ムーブを変える選択肢が出てこなかったのでしょう。

動きの選択肢がいくつもある中で、自分に合った動きを見つけることが重要な課題だったと思います。


そして4課題目。
中間地点であるゾーンを持った選手は4人ですが、全員ゾーンを取る動きは違いました。

この課題を唯一完登したクルーダー選手は、右足で大きなホールドに乗り、少しずつ左手を上げていってゾーンを取りました。この動きは他の選手も試みましたが、成功した人はおらず、皆違う動きを探そうとしまた。
クルーダー選手がこの動きでゾーンを取れたのは、左手の向きが他の選手と違っていたからです。ゾーンを取る瞬間、左手の手首をくるっと返して、力の入りやすい向きに変えているので、苦しい体勢でも耐えることができたのです。

ヴァディム・ティモノフ選手と川又選手は左足を上げ、それぞれつま先を引っ掛ける"トゥ"、かかとを引っ掛ける"ヒール"という技を使って左手でボーナスを取りました。しかし2人とも次のホールドを取るためのムーブを決められず落下してしまいます。

前大会で優勝したアダム・オンドラ選手は、ただ1人、ゾーンを右手で取りました。
右手でゾーン取ってしまうと、その次のホールドを取りようがなく、完登には至りませんでした。しかし、ゾーンの保持は結果に大きく影響するので、無理にでも取っておくのは一つの戦略です。今回は順位に影響しませんでしたが。

そんなわけで今回の優勝者は、4課題全てを完登したイェルネイ・クルーダー選手でした。



最終結果

女子
1位ヤンヤ・ガーンブレット(スロベニア)
2位 ショウナ・コクシー (イギリス)
3位 ファニー・ジベール(フランス)
4位 ルチュカ・ラコヴェツ(スロベニア)
5位 ジェシカ・ピルツ(オーストリア)
6位 伊藤ふたば(日本)

男子
1位 イェルネイ・クルーダー(スロベニア)
2位 アダム・オンドラ(チェコ)
3位 緒方良行(日本)
4位 アンジェ・ペハルツ(スロベニア)
5位 川又玲瑛 (日本)
6位 ヴァディム・ティモノフ(ロシア)


ワールドカップの映像は、youtubeのアーカイブでいつでも見れるので、今回の大会が気になった方はぜひ見てみてください。言葉だけで解説するのは中々難しい…。映像を見たら、なるほどーとなるとおもいます。
こちらからみれます
https://www.youtube.com/user/ifscchannel

次回のワールドカップは4月27日、28日に中国・重慶で開催されます!
youtubeや、スカイA、Jスポーツで配信しているのでみんなで観戦しましょう!

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