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4月27日、28日に行われたボルダリングワールドカップ 2019 第3戦 中国・重慶大会。
最終結果は以下の通りです。 男子 1位 マニュエル・コルニュ (フランス) 2位 楢崎 智亜 (日本) 3位 アンゼ・ペハルク (スロベニア) 4位 サッシャ・レーマン (スイス) 5位 アレクセイ・ルブツォフ (ロシア) 6位 藤井 快 (日本) 女子 1位 ヤンヤ・ガンブレット (スロベニア) 2位 野口 啓代 (日本) 3位 ジェシカ・ピルツ (オーストリア) 4位 ペトラ・クリングラー (スイス) 5位 伊藤 ふたば (日本) 6位 カーチャ・カディッチ (スロベニア) 男子決勝 1課題目は前半でコーディネーションへの対応力、後半でプッシュ力などのパワーが求められる課題でした。(コーディネーションというのは、これまでの大会にも出てきたような、手を出したらその勢いのまま足も動かし、もう一方の手も出すといったような、連続した動きのことです。プッシュとは、ホールドを手のひらで押して体を上げることです。) これらの、クライミングの動きの中で特殊と言える動きを求められる課題に、最もよく対応していたのが、スイスのサッシャ選手でした。不安定な動きで、アテンプトを重ねてしまうような課題ですが、迷いのない登りで一撃しました。 最上部、ゾーンを両手で保持したところから、ロシアのアレクセイ選手は左足を上げて、苦労しながらも左手でゴールを触りますが、右手はゾーンに残ったまま、落下してしまいました。しかしサッシャ選手は、左手でゾーンホールドをプッシュし、すかさず右足をあげると、楽々とゴールに両手がかかりました。最後、右手をゴールに寄せるためには、右足の力を利用して手を動かす必要があるので、アレクセイ選手は登りきることができなかったのです。 続く選手もみな右足を上げてゴールしていきますが、楢崎智亜選手は唯一左足を上げてゴールしました。 多くの選手は、バランスをとりながら、ジリジリと左手のプッシュで体を上げていく選択をするところですが、楢崎選手は、軽くジャンプするのと同時に左手をプッシュし、一気に体を引き上げ、素早く左足を乗せました。すると体がかなり高い位置にあり、ゴールを左手で持った後に右足を上げることができたのです。 この動きには、課題を一撃するよりも驚かされました。 2課題目は壁の傾斜が強く、体の強さが求められます。 1課題目で苦戦したアレクセイ選手が、難なく一撃で完登。後の選手の登りを見て、この課題がとても難しいんだということにやっと気づくというくらいあっさりと登っていきました。 フランスのマニュエル選手と、楢崎選手も集中したトライで完登しました。 3課題目は2課題目から一転、垂壁の課題です。足にしっかりと乗って、バランスをとりながら登る力が必要です。少し動きに乱れがあるだけで、体は壁から剥がされてしまいます。 その中で、リスクのある動きをして登っていかなけらばならないのですが、マニュエル選手はこの課題を一撃で登りました。バランス感覚を研ぎ澄ませて、うまくリスクを回避して登っていったという印象でした。 第3課題は、6人全ての選手が完登しましたが、こういった課題を一撃で登るのはとても難しいことです。 最終課題は1課題目のように、前半がコーディネーション系、後半がパワーのいる課題です。 問題は後半、ゾーンを取った後です。右手でゾーンを保持するところまではどの選手もたどり着きますが、ゾーンホールドの悪さに、選手たちは弾き返されてしまいます。 完登者が出ないまま、最後の選手、スロベニアのアンゼ選手が登場します。この時点でアンゼ選手の順位は6位。 1トライ目でゾーンを右手で掴むと、これまでの選手は誰もできなかった、両手でゾーンを持つことやってのけました。たった1手ですが、その瞬間完登の可能性が見え、見ている方も胸が高鳴りました。 2トライ目は最初のコーディネーションの部分で失敗してしまいますが、3トライ目でまたゾーンを両手で持ちます。1トライ目から修正して、良い体勢で次のホールドを取りに行くことができ、ゴール取りもしっかりと決めて、見事完登しました。この完登で、アンゼ選手は6位から3位に順位を上げ、メダルを手にしたのです。胸熱でした。 女子決勝 1課題目は上部のカチ4連続で指の力が試されます。6人中4人が完登しましたが、その中でも野口選手とヤンヤ選手は抜群の安定感での完登でした。 2課題目はうまく壁に入り込み、バランスをとりながら登る課題。 1人目の伊藤選手はバランシーな前半部は1トライ目、2トライ目、3トライ目とムーブを修正して登っていき、ゾーンをとらえ、次のホールドまで進みます。しかしこのホールド、おそらく男子最終課題でほとんどの選手を弾き返した、ゾーンホールドの色違いのホールド。伊藤選手もこのホールドに苦しめられ、ゴールにはたどり着きませんでした。 続くスイスのペトラ選手は、前半部でムーブを解決できず。 3人目に登場の、オーストリアのジェシカ選手も前半部で足止めされますがなんとか抜け出すと、伊藤選手を苦しめたホールドをうまくつかんで完登しました。 4人目の野口選手はやはり別格。前半部をなんなくこなしゴール目前まで一気に登ります。しかし例のホールドを処理しきれず、フォール。完登のトライでは、ムーブを変えて対応しました。 続いて登場したカーチャ選手も野口選手と同じ動きで登ろうとしますが、立ち上がりきれずに落下してしまいます。 最後のヤンヤ選手は、ゴール前のムーブをダイナミックな動きで対応します。掴んだものは離さない、力強さが垣間見えました。 3課題目はバランスをとりながらも、思い切った動きが必要です。 この課題を完登したのはペトラ選手、野口選手、ヤンヤ選手。ゾーンを取る際、ペトラ選手はダイナミックな素早い動きで、他2人の選手はじわじわとバランスをとって登っていきました。動きは違いますが、重要なのは右手で体の回転を止めることです。それに気づければ、ゾーンを止められます。 最終課題はがっつりパワー系課題。大きなホールドが連なり、初手のランジを決めるところから、力を入れっぱなしの状態が続き、上部に行く頃には疲労がピークに。ランジを止めたペトラ選手やカーチャ選手ですが、途中で力尽きてしまいました。ジェシカ選手とヤンヤ選手はこれを2撃で登ります。中間部を素早く抜け、疲労を溜めずにゴールまでたどり着きました。野口選手と伊藤選手はランジに苦しめられました。アテンプトを重ね、野口選手はなんとかランジを止め、中間部は見事にこなして完登しました。 これで野口選手とヤンヤ選手は全ての課題を完登。アテンプト差でヤンヤ選手の優勝となりました。 みなさんゴールデンウイークはいかがお過ごしですか?今週末もボルダリングワールドカップとスピードワールドカップは開催されます。お家でクライミング観戦も、ドキドキワクワクですよ。 |
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4月14日、ボルダリング ワールドカップ決勝。今回は少し動きの解説を交えつつ。私の勝手な推測ですが。
女子決勝 1課題目は、ゴールホールドを取るところが核心だったようです。 左手でカチ(薄く、指先でしか持てないホールド)、右手でアンダー(下から持つホールド)を持った状態で、右足で乗っている大きなホールドを左足に乗りかえると、ゴールホールドがすんなり取れます。 1人目に登場した伊藤ふたば選手が、あまりにも簡単そうに登ったので難しそうには見えませんでしたが、2人目、3人目の選手はどちらも左足がなかなか上がらず、ゴール出来ませんでした。 伊藤選手は左足を上げる時に、右足で少し立ち上がってから左足を上げています。それに対し、ゴールが取れなかった2選手は右足のかかととお尻がついた状態で、完全に体重を預けたまま左足を上げようとしているので、体の自由度が低く、うまく動けなくなってしまっています。 続くファニー・ジベール選手も、伊藤選手と同じく少し右足で立ち上がっているので、すんなりと左足が上がりました。 5人目に登場したヤンヤ・ガンブレット選手は一度左足を上げようとしますが上がらず、最終的には右足のまま、右手でゴールをつかみました。左手のカチを持つ保持力と、ゴールを取りに行く際、左足の位置を少しずらしてバランスを取ったことで可能になったのでしょう。 最後の選手、ショウナ・コクシー選手は左足の膝を使って体を上げてから、足を上げて確実にゴールホールドを取りに行きました。 2課題目は全ての選手が1撃で登ってしまいました。 しかし、選手によって登り方が異なり、同じ動きでゴールまで行った選手は1人もいませんでした。 面白いですよね。 3課題目も1課題目と同様、選手の登りを見ているとこの課題を登るためのコツがわかってきます。 この課題は、右手でホールドを持った状態から、軽くジャンプしながら左手、右足、右手の順番で右方向に素早く移動しなければなりません。 成功の鍵はズバリ、最初に持っている右手です。 一連の動きをより速くやろうとして、左手を出してすぐに右足、右手も出してしまうと、体が十分に右に移動していないので最後の右手を取った時に体を支えられる状態でなく、落下してしまいます。 左手を出したら、右手で体を支えつつ体が少し右に移動するのを待ってから、右足と右手を動かすと、理想の位置に着地できます。 これを、ルチュカ・ラコヴェツ選手は1回目で、完璧な動きで登っていき、見ている人を驚かせました。 4課題目は、3課題目とかなり似た動きで、右方向に素早く移動する課題です。 この課題も選手それぞれ登り方に特徴があり、見ていて面白かったです。 特にヤンヤ選手は1トライ目とは思えないほど余裕を持って、綺麗に登っていきました。 そしてヤンヤ選手は4課題全てを1撃で登り、前回のスイス大会に続き2大会連続優勝となりました。 男子決勝 男子決勝課題で興味深かったのは、1課題目と4課題目です。どちらもぱっと見動きの選択肢が多く、正解を見つけるのが難しく見えました。 まず1課題目は1手目を取った後、スタートに足を乗せるか、左のほうに大きく足を移動させるか、どちらも可能に見えるので 判断し難いです。 1人目のイェルネイ・クルーダー選手と、3人目の緒方良行選手は左に足を移動させる方法を選びました。2人ともゆったりとし動きで登っていき、完登しました。 後の3人はスタートに足を乗せる動きを選択します。しかしその中で、川又玲瑛選手は前半の部分を突破できませんでした。 他の選手に比べ身長の低い川又選手には、体が伸びきって動きのコントロールがしにくくなるこのムーブは合っていなかったのです。 決勝に2位で通過するほどの実力の持ち主である川又選手なので、そのムーブでもかなり惜しいトライがあり、ムーブを変える選択肢が出てこなかったのでしょう。 動きの選択肢がいくつもある中で、自分に合った動きを見つけることが重要な課題だったと思います。 そして4課題目。 中間地点であるゾーンを持った選手は4人ですが、全員ゾーンを取る動きは違いました。 この課題を唯一完登したクルーダー選手は、右足で大きなホールドに乗り、少しずつ左手を上げていってゾーンを取りました。この動きは他の選手も試みましたが、成功した人はおらず、皆違う動きを探そうとしまた。 クルーダー選手がこの動きでゾーンを取れたのは、左手の向きが他の選手と違っていたからです。ゾーンを取る瞬間、左手の手首をくるっと返して、力の入りやすい向きに変えているので、苦しい体勢でも耐えることができたのです。 ヴァディム・ティモノフ選手と川又選手は左足を上げ、それぞれつま先を引っ掛ける"トゥ"、かかとを引っ掛ける"ヒール"という技を使って左手でボーナスを取りました。しかし2人とも次のホールドを取るためのムーブを決められず落下してしまいます。 前大会で優勝したアダム・オンドラ選手は、ただ1人、ゾーンを右手で取りました。 右手でゾーン取ってしまうと、その次のホールドを取りようがなく、完登には至りませんでした。しかし、ゾーンの保持は結果に大きく影響するので、無理にでも取っておくのは一つの戦略です。今回は順位に影響しませんでしたが。 そんなわけで今回の優勝者は、4課題全てを完登したイェルネイ・クルーダー選手でした。 最終結果 女子 1位ヤンヤ・ガーンブレット(スロベニア) 2位 ショウナ・コクシー (イギリス) 3位 ファニー・ジベール(フランス) 4位 ルチュカ・ラコヴェツ(スロベニア) 5位 ジェシカ・ピルツ(オーストリア) 6位 伊藤ふたば(日本) 男子 1位 イェルネイ・クルーダー(スロベニア) 2位 アダム・オンドラ(チェコ) 3位 緒方良行(日本) 4位 アンジェ・ペハルツ(スロベニア) 5位 川又玲瑛 (日本) 6位 ヴァディム・ティモノフ(ロシア) ワールドカップの映像は、youtubeのアーカイブでいつでも見れるので、今回の大会が気になった方はぜひ見てみてください。言葉だけで解説するのは中々難しい…。映像を見たら、なるほどーとなるとおもいます。 こちらからみれます https://www.youtube.com/user/ifscchannel 次回のワールドカップは4月27日、28日に中国・重慶で開催されます! youtubeや、スカイA、Jスポーツで配信しているのでみんなで観戦しましょう! |
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4月5日、6日にボルダリング ワールドカップの初戦がスイス・マイリンゲンで開催されました。
今回はその決勝の様子を簡単に書いてみました。 まずはルール説明です! ワールドカップの決勝は、4課題が用意されており、1課題目から一人ずつ順番に登っていきます。一人の持ち時間は4分間。その時間内なら何度でもトライできます。 決勝ルールの特徴として、4分の競技時間が終了しても、その時に壁に取り付いていれば、そのトライを続けてもいいというルールがあります。 順位の付け方 まず完登数が一番多い選手が上位とされます。その次に、ゾーンの獲得数です。ゾーンとは課題の途中に設定されたものです。完登までいかなくても、スタートしてすぐ落ちた選手と、中間あたりのゾーンに設定されたホールドまで登って落下した選手では、実力は違っていますよね。ゾーンがあることで、より細かく順位が付けられます。 完登数とゾーン数が同じ場合、完登にかかったトライ数が少ない方が上位になります。それも同じ場合は、ゾーンをとったトライ数、となります。 男子決勝 1課題目は軽やかなムーブで、テンポよく進んでいきました。選手が次々に完登を決める中、藤井選手は唯一1課題目を完登できませんでした。核心のスタートは1撃で決めたものの、ゴール取りでスリップを繰り返し、惜しくも完登を逃してしまいました。 しかし2課題目では、1人目、2人目の選手が止められなかった1手を見事にホールドし、スピーディに完登して実力を見せつけました。 3課題目はちょっとしたことでバランスを崩してしまうようなストレスフルな課題。楢崎選手と、準決勝で全完登したチェコのアダム・オンドラ選手のみが完登しました。 選手が最も苦しめられた4課題目、中間部でハンドジャムをするためのホールドがついており、ほとんどの選手がそこでフォールしてしまいました。 ハンドジャムとは、隙間入れた手を、抜けないようにしっかりかませる技です。亀裂が入った岩を登る時によく使う技で、人工壁ではほとんど使うことがないのです。 慣れない動きを求められ、制限時間いっぱいまでトライし続けても誰も登れなかったこの課題を、アダム選手はいとも簡単に登ってしまいました。問題のジャミングの場面では、左手でハンドジャムを決めると右手で観客を煽る余裕までありました。 今まで岩を登ることをメインにして、2018年にはリードで世界最難のルートを登ったアダム選手にとっては、なんの問題でもなかったようです。 決勝は日本時間では深夜に行われたので、リアルタイムで見ていた私には眠気が襲ってきていたのですが、このアダム選手の登りは眠気が吹っ飛ぶほど衝撃的でした。 普段ボルダリングの練習などでほとんどやることのないジャミングですが、これまでにも何度か大会で登場しています。 毎年傾向の変わるワールドカップのルートに、ジャミングが頻繁に出てくることがこれからあるかもしれません。 女子決勝で衝撃的だったのは、1課題目の野口選手の登りです。 1手目を両手で持ち、右手で次のホールドを取りに行くと同時に左手も動かして体勢を整える動きを、一瞬のうちにやらなければいけないこの課題ですが、野口選手は右手を出し、左手はホールドしたまま止めました。 そのムーブで登れちゃうの!?と、見ている人は誰もが思ったでしょう。 前に書いたノースフェイスカップの決勝でも、野口選手は他の選手と違う動きで驚きのクライミングを見せていました。 今回も、野口選手の強さを垣間見ることができました。 3課題目が終わった時点で、スロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手とイギリスのショウナ・コクシー選手が1位タイで並んでいました。野口選手も完登数やゾーン数は同じでしたが、トライ数がかさんでいたため3位につけていましたが、4課題目ではヤンヤ選手と野口選手のみ完登したため、順位が変わり、1位がヤンヤ選手、2位に野口選手、3位がショウナ選手となりました。 ボルダリングワールドカップの決勝では、1課題目、2課題目と進むごとに順位が変動するので、見ていてとてもドキドキします。 次のワールドカップは今週末!4月13日、14日に開催されます。YouTubeでライブ配信されるので、見てみると楽しいと思います! こちらのチャンネルでやってます↓ https://www.youtube.com/user/ifscchannel 今回の最終結果 男子 1位 アダム・オンドラ (チェコ) 2位 楢崎 智亜 (日本) 3位 杉本 怜 (日本) 4位 藤井 快 (日本) 5位 チョン・ジョンウォン (韓国) 6位 高田 知尭 (日本) 女子 1位 ヤンヤ・ガンブレット (スロベニア) 2位 野口 啓代 (日本) 3位 ショウナ・コクシー (イギリス) 4位 ファニー・ジベール (フランス) 5位 ペトラ・クリンガー (スイス) 6位 オシニア・マッケンジー (オーストラリア) |
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