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光はゆっくり微笑んで、こう言った。
光「どうぞ。」
冬馬はその仕草に、胸の高鳴りが更に上がった。
冬馬「ありがとう…。」
光はその場をゆっくり去った。
冬馬【やっぱり、俺を覚えていないのか…記憶喪失は本当のようだ…。】
冬馬は淋しさを感じた。
冬馬【だったら、初めから声をかけても同じ結果だったんだな…何の為に待ったんだろう…。】
がっかりも感じた冬馬なので、心は複雑になった。
温「綺麗だから見とれてるだろ〜。」
温がニヤニヤしながらこう言った。
冬馬は光が見えなくなるまで見たかったが、すぐ振り向いた。
冬馬「えぇ…綺麗な人ですね。」
温「そうだろう。」
冬馬「頂きます。」
そう言っては、コーヒーを飲んだ。
温「恋愛のアドバイスが聞きたいか?」
冬馬「えぇ…上手く愛せないんですよ…。フラれてしまってばかりで…。」
温「あ〜…それならね〜…。」
と、ここで温は熱心にアドバイスを始めた。助と永久もこっそりと聞いていた。
光は掃除やら洗濯やらと家事の仕事で忙しくしていた。
その頃、クララは自宅に戻っていた。
クララの父に聞こうとして、通信を試してる。
しばらくすると、大きな画面のようなモノが宙に浮いてる。
その画面にクララよりも大きな顔が映った。相変わらず、怖い感じの男性。
クララ「お父様。お久しぶりでございます。」
ブランディ「ウム。戻る気になったか?」
クララ「いいえ!」
ブランディ「何?!」
クララ「それより、聞きたい事があります!」
ブランディ「またアーサー・ローレンスのことか?」
クララ「えぇ…朝井 芽衣という日本人の方を調べて下さい。この前話した、登坂 広樹と深い関わりがあるようです。そこで、お父様の透視のお力をお借りしたいのです。」
ブランディ「透視を?」
クララ「はい。シールドで隠してるので、私の超能力(ちから)ではかないません。お父様なら…たやすいことでしょう?」
ブランディ「…範囲が広いと難しいんだぞ。」
クララ「魔界にいる可能性も考えられます!どこかにきっと…偽物の登坂 広樹と繋がる、秘密の空間と通路があるはずです!ずっと、あの事務所に居られるのは、そのお陰としか考えられません!」
ブランディ「…クララ…お前は母親を探すのではなかったのか…人様を探すなんて…どうかしてるのではないか?」
クララ「母親を探すのはもちろんのことです!でも、今は、何でも屋さんの従業員である身です。皆で必死になって探してるんですよ。協力しなくてはなりません!依頼されたら、最後までやり通します!」
ブランディ「…分かった…透視してみよう…しばらく待機しろ。」
そう言っては、ブランディ自身が通信を切った。
クララ【出来るなら、真っ先に母親を探したいよ!でも…。】
クララは少し人間くさくなった。何故なら、人助け出来る喜びを初めて覚えてからは、もっと助けてあげたいと思うようになったからだ。
クララは待機してる間、少しだけ母親のことをPCで探してみた。
魔界にも戸籍のようなモノがあるのだ。だから、相関図もあるわけだ。
ブランディ・ゴールドは、クララの父であり、魔王。
クララの実母は、魔界人ではなく日本人――魔界での名前は、エミリー・ゴールド。
そして、日本での名前は、鈴木 絵美里(すずき えみり)。
日本人の姓名である「鈴木」は、全国で極めて一般的な姓の為、一人ずつ確認するのは困難である。
どう探せばいいのか分からずにいた。
母親が魔界人じゃないから、テレパシーを送っても通じないし、魔界人のオーラも無い。見つけにくい人。
唯一、あるのは、父がこの母親と結婚した時の写真だけ。
数十年も前の写真で、今はもう中年を越えてる年齢だろう。顔も多分、変わってるだろう。
クララは母親に逢えたら、聞きたい事がいっぱいある。
そう思い耽っていたら、通信のランプが光った。
クララ「お父様?!」
慌てて、通信に応答した。
ブランディ「クララ!ダメだ!分からん!魔界全体を見たが、見当たらなかった。日本かもしれんぞ。」
クララ「日本も探して頂けますか?」
ブランディ「…待機しろ。」
またブランディが通信を切った。
クララ「魔界じゃないなら、日本…でも、一体どこに?」
この前の結果の印刷を、クララはまた読み返す。
殺人犯のアーサー・ローレンス。指名犯人として魔界の警察が長年追っている。
犯罪歴。天涯孤独。死の呪文書を持ってる。魔女の血を引く人物。
クララはここでハッとした。
クララ「死の呪文書…これを使って隠したとしたら…?あり得る…!これなら、死の呪文を誰も唱えないから、安心して事務所に居る…!シールドでなはくて…魔の時空…の所にいる…でも、どうやって見つけ出せば…?早く、この気付けばよかった!あの時に!!」
クララは慌てて、通信を試みた。
ブランディ「まだだ!」
クララ「お父様!場所が分かったけど、見つけ出す方法が無い…!」
ブランディ「えっ?」
クララは先程の言葉をそのまま話したのだ。
クララ「死の呪文書を使って隠したと考えれます!これなら、死の呪文を誰も唱えないから、安心して事務所に居られるんです!シールドでなはくて…魔の時空の所にいると思います…でも、どうやって見つけ出せばいいのか…分かりません!」
ブランディ「…そういう事か!あり得る!だが、魔の時空の所は、無限大で見つけにくいのだ。地球のどこかかもしれない、宇宙のどこかかもしれない…そういう所にドアがあるのだ!わしも出来ない技だ。クララ!深追いするな!いいな!」
クララ「…ありがとうございます!!」
そう言ってはすぐ通信を切り、すぐ事務所へ戻った。
クララは、立夫に報告したかったからである。
クララはテレポートして立夫のそばへ。
立夫「わっ!!!ビックリさせるな!全く、もう…!」
いきなり姿を現すので、立夫はいつもビックリする。
クララ「報告があります!」
クララは説明したのだ、こういう所に隠してるかもしれないってことを。
立夫「そうか、それならあり得るな!でも、どうやって見つけ出すか?」
二人はそのキーワードを探さなければならなくなったのだ。
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☆小説☆主題「特別なこと」
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詳細
文章力の無い私ですが、暖かい目で見守って下さいね^^;
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立夫も、芽衣が遺したノートを読んだ。
立夫「やはり、知っていたのか…。」
クララ「えぇ。このノートを頼りに、芽衣の足跡とか芽衣の情報とか集められますよね?」
立夫「あぁ、やってみよう!」
光陽は切羽詰まった顔でこう言った。
光陽「ちょっと二人だけで進めないでくれますか!俺達も一緒に探すから、もっと詳しく知りたいし、あの偽物の広樹のことももっと教えて下さい!!」
立夫「…わかった…。最初から全てを話すよ。」
こうして、立夫は最初から説明する度に、光陽と冬馬の顔がだんだんくもって行った。
立夫「このノートは、芽衣が遺したものだ。登坂 広樹の事が書かれてる。二人とも読むと良い。」
二人はノートを読み始めた。その時、クララはあることを考えていた。
【いくら探してもバレない場所がきっとある!多分、あいつはシールドを使って隠しているに違いない!そうだとすれば、このシールドを張ってる場所をつかむ為に、何か方法はないか…?】
シールドとは、通信妨害に役立つ。どんな魔法でも破れない、凄技。
クララは焦っていた。本物の登坂 広樹がどれまで生きてるのかが、気掛かりなのだ。
【父もさすがに無理だろうな…シールドの解除が出来るわけない…。母を探したいけれど、先送りになりそうだなぁ…。】
色々考え込むクララ。
冬馬がノートを読み終えると、真っ先に見上げたのは、クララだ。クララを見てこう思った。
【クララが魔界人なら、多分、居場所が分かるかもしれない…。だけど…俺には…。】
先の見えない恐怖感と、誰も愛せない自分で、ますます殻に閉じ籠る。前よりも固く閉ざそうとしてる。
誰にも心を開かないように…と、心の中でそっと唱えた、冬馬。
光陽もようやく読み終え、こう言った。
光陽「色々分かりそうだけど、芽衣は苦しんでいたでしょうね。登坂 広樹が魔界人と分かってから、ずっと繰り返していますよね。愛してるけど現実が飲み込めないというふうに、書かれていますね。切なく伝わって来ます。でも、一つだけ疑問があります。」
立夫「疑問?」
光陽「えぇ。芽衣は広樹が魔界人と分かってから、半年後に芽衣の親に紹介をしようとしたのは、何故でしょうか?」
クララ「それは、愛してるからこの人って決めたからじゃない?」
光陽「そうかもしれないけど、このノートには親に紹介するという決心など書いていませんよ。」
皆がハッと気づく。
光陽「もしかしたら、仕組まれたのかもしれない。真犯人に。」
立夫「なるほど、そういうことか。真犯人がもし魔界人なら、親には、芽衣の声だけ似せて電話をすればいい!
芽衣には広樹の声を似せて電話をした。多分、本当のことを話すとかで呼び出されたかもしれない!こういう仕組みで、芽衣を殺したんだ!」
光陽「それなら、納得いきますね。」
クララは身震いがした。用意周到的な計画を立ててから殺すなんて…!と。
冬馬「広樹の指紋が無かったのも納得出来ます。だけど、何故、事故現場に荷物などを持ち去ったのか?それもおかしいじゃないか?」
クララ「荷物の中に犯人の捜している物が入ってるか、確かめたかったからじゃない?」
光陽「そうかもしれないな…もっとも謎なのは、何故、芽衣を殺したか?だよ!!」
立夫「そうだよなぁ…芽衣を殺して何の得があるんだ?って感じだもんなぁ…。」
クララ「真犯人の目的は何か?それも探っておきましょう。」
3人は頷く。
4人は、まず、芽衣のノートを頼りに、PCで探し始めた。
何時間も頑張って、探し続ける。ずっと、PCに向かうのも疲れるので、それぞれのペースで休憩したり、食事したり、部屋を出たりしていた。
クララが、事務所の外に出た後を追い、クララの腕をつかむ冬馬。
息が上がる冬馬。
冬馬「ハァハァ…金山くん、歩くの早すぎるよ!」
クララ「あぁ…ごめんなさい…。」
しばらくして落ち着く冬馬。
冬馬「この前、誰も愛さないと言ったよね?」
クララ「…えぇ…。」
クララはそれがショックで、あまり冬馬の顔を見れず、態度もよそよそしい。
冬馬「…金山くんと出会ったのは、自動車学校だ。その時はとても明るくて、親しみやすい感じがあった。金山くんの誘いにOKしたのは、金山くんなら…と思ったんだ。本当だよ。」
クララはこの言葉を聞いて、すぐ見上げた。
冬馬「金山くんは元の明るさに戻って欲しいんだ。その方が、他の奴らもパワーをもらったって喜ぶだろうから。」
クララ「…先生は…?」
冬馬「俺も明るくて良くしゃべる人は嫌いじゃないから…誰も愛さない理由は、俺自身がいけないからだよ。」
クララ「…えっ?」
冬馬「フッ…誰にだってあるだろう?誰にも言えない秘密…いつまでも隠しておきたい秘密…をさ。そういう秘密があって、誰にも愛せないんだよ…いつまで貫き通せるか分からないけれど…。」
クララ「……。」
冬馬「とにかく、前みたいに笑って欲しいんだ。頼むよ。なっ?」
クララ「…はい…。」
元気の無い返事をしたクララ。
冬馬「魔界人は何の為に、日本に来てるのだろう?それが不思議でならない…。」
そう言うと、クララのそばから離れて行った。
クララはまた立ちすくんだ…。
【魔界人が日本に来る理由?人それぞれじゃないの?外国から日本に来る人だっているでしょう?不思議じゃないよ…。むしろ、私の方が不思議でならないよ…先生が誰も愛せないなんて…じゃあ、あの日の朝、湯沢さんと一緒に、あのマンションから出たのは何でよ…。】
クララは色々考え過ぎて、だんだん疲れて来た。
冬馬はまたあの家に行ったのだ、そう「藤井」という表札のある家に。
前と同じだ、旦那に「光!」と呼ばれて振り向く女性。
とびっきりの笑顔で「はーい!」と答える。
冬馬「光…周りを明るくまぶしく照らすほど、美しい笑顔…いいよなぁ…。」
小さな声で呟く冬馬。
その時、光の子供達が冬馬の目の前に来た!
助「お兄さん、ぼくんちに何か用ですか?」
永久「ママの知り合いですか?」
愛らしい笑顔で話しかけられた。
冬馬「…いや…あのママとパパを見てたのさ…楽しそうで幸せそうで…。」
助「そう!いつも仲が良いよ。」
永久「いつも、チューしてるよ!」
キャキャッとしながら、ママとパパのことを話す。
冬馬はその姿が微笑ましかった。
冬馬「早く戻らないと、見つかっちゃうよ。」
永久「入ってかないの?」
助「彼女が欲しかったら、ママとパパに聞けばいいんじゃない?」
永久「うんうん、そうしよ!」
二人の小さな手に引っ張られて、藤井家の庭まで入ってしまった冬馬。
その3人を見て、二人の父である、藤井 温(ふじい あつし)は驚いた。
温「助、永久!どうしたの?」
助「お兄さん、パパとママが羨ましいって!」
永久「お兄さん、彼女が欲しいって!」
焦って話す冬馬。
冬馬「あ…いや…あの…ただ、幸せそうだなって見ていただけで…すみませんでした!!」
温「ハハハ…そうか、そうか!恋愛のアドバイスなら、任せなさい!」
二人「ほら!良かったね!解決出来るよ!」
冬馬「あ…ちが…あ…う…。」
動揺を隠し切れず、されるがままに、とうとう家の中まで入ってしまった冬馬。
【どうしよう!!光にバレたら…!】
温「さぁ、座りなさい。」
フカフカで柔らかいソファに座らされた冬馬。
冬馬「あ…どうも…。」
温「光!お客さんだ、コーヒーをお願い!」
キッチンの方にいる光をでかい声で呼び、光も大きな声で答えた。
光「はーい!」
冬馬はその声を聞いただけで、胸が高鳴った。
温「紹介がまだだったね!俺は、藤井 温というんだ。君は?」
冬馬は下をうつむきながら、答えた。
冬馬「美月 冬馬と申します…。」
温「みつき とうま?どんな漢字を書くんだ?今、メモを持って来るから、待ってて!」
メモを探しに立った温。
冬馬は大きなため息をついた。
二人の子供はソファの裏で遊んでいるフリして、温と冬馬の会話を盗み聞きしてるのだ。
ようやく、温が戻って来て、ペンのフタを外し、こう言った。
温「俺は、こう書いて、ふじい あつしって読むんだ。君の名前、みつき とうまだろ?どう書くんだ?ここに書いてよ。」
冬馬「は、はい。」
多少震えた手で、自分の名前を描いた。震えてるのは、胸の高鳴りが治まらないからだ。
冬馬「こう書きます。みつき とうまです。」
温「珍しい名前だなぁ!君は美男だから、苗字通りでいいね!」
冬馬「はぁ…そうですか…。」
温「んで…。」
そう言いながら、また書き出す。
今度は、子供の名前を書いたのだ。
温「助と書いて“たすく”と読む。それは、右にいる子で、兄なんだ。で、左にいるのが弟で、永久と書いて“とわ”と読むんだ。珍しいだろ?」
冬馬はもう知っていたが、知らないフリして、こう答えた。
冬馬「えぇ、そうですね。いい名前ですね。」
温「名付けたのは、妻でしてね。どうしても、こういう名前が良いってね。理由があるんだ。」
冬馬「理由ですか?」
温「あぁ、実は妻は記憶喪失でね。生死をさまよった時、良く浮かんだ言葉が「助けなきゃ!」と「永久に!」だったからだってさ。これだけが記憶を呼び戻せそうな気がするんだとさ。」
冬馬「……。」
温「まぁ、元気に過ごしてるから、問題はないんだけどね!話がそれちまったな!」
そこに、光がコーヒーを持って来た。
その時、初めて、光と冬馬の目が合ったのだ。
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クララは登坂さんの彼女の両親に逢う為に、テレポートしてから、両親に、娘である朝井 芽衣のことを聞き出した。 |
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窓の外が白んで朝がやって来た。 |

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4人は遅くまで調べ続けた。 |








