仮面ライダー小説

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第四話 過去への追憶

秋風が吹き始める頃、
「朝礼開始五分前で〜す。急いで集合しなさ〜い!」
濱崎高校の講堂に、神経質そうな教頭の声が響き渡った。
「今日から二学期かぁ〜」
河口光がしみじみと言った。長いようで短かった夏休みを終え、彼らは二学期の始業式を迎えていた。
「(にしても、この夏休みはすごかったよなぁ〜)」
校長の話を聞き流しながら光が後ろを振り向くと、白鳥純一、多上紅輝、波岡健司、村上俊輔がいる。さらに横の列の斜め後ろを見ると、原谷加奈と野沢美咲もいた。
「(中でもやっぱり・・・・・・『アレ』だよな)」
光の思いは、夏休みのある出来事に向いていた・・・・・・。






デンライナーの中で・・・・・・。
「みんな、準備はできたか?」
「ああ」
「オッケー!」
「宿題は終わったか?」
「・・・・・・」
「・・・まだみたいだね」
「ったく。ちゃんとやってこいよな」
「いいじゃんか紅輝」
「帰ってからもできるよ」
「ね、いいでしょ?」
「・・・・・・まったく。帰ったらやれよ?」
「もちろん!」
「よし、行くぞ!」
「おう!」
少年少女たちは外に飛び出した。




夏休みも終盤に差し掛かったある日。紅輝をリーダーとするDUMASのメンバーは、沖縄県の南の海上にある無人島に来ていた。その目的は海底にある遺跡の調査・・・・・・のはずなのだが。
「ヒャッホウ!」
ドボーンという大きな音を立てながら健司が海に飛び込んだ。波打ち際では純一と美咲、加奈が水をかけあって遊んでいた。
「なあ、紅輝?」
木の下に座り込んでいた光が紅輝に話しかけた。
「ん、どうした?」
紅輝は手の中の缶ジュースをグイッとあおってから言った。
「いやさ、俺たち遺跡の調査に来たんだろ?こんなとこで遊んでてていいのかよ?」
紅輝はフッと笑い、
「いいんだよ」
と言った。
「休めるときに休んでおくのは大事なことさ」
紅輝はまたジュースを一口飲んだ。
「ふ〜ん。そんなもんなのか?」
「そうそう。それでいいんだよ」
健司が、全身から海水を滴らせながらやって来て言った。
「一緒に行こうぜ、光」
「・・・・・・ああ!」
光は健司が差し出した手を握り、駆けだした。
「いや〜。光がみんなと打ち解けたみたいでよかったなぁ」
「どうだかな」
紅輝の後ろにある茂みから声が聞こえてきた。紅輝は振り向き、
「なんだよ、不満か?俊輔」
と言った。
「いや、そういうわけじゃない。ただ・・・・・・」
「ただ?」
普段はサバサバしている俊輔が言葉に詰まるのは珍しいことだった。
「あいつは大丈夫なのかって思ってな」
「経験が少ないっていうことか?それなら大丈夫だ。ちょっとずつ積み上げていけばいいんだからな。それより・・・」
紅輝は意地悪く笑っていた。
「なんだよ?」
「いや、お前が人のことを心配するなんてな、って思って」
「そんなんじゃない。あいつが足手まといにならないことを願っているだけさ」
「へぇ〜」
紅輝はまだニヤニヤしていた。
「フン。それより・・・・・・できたぞ」
「お、そうか。ありがとな」
紅輝は立ちあがり、奥の茂みに入った。中にはちょっとした広場のようなところがあり、大きなテントが一つと、小さなテントが一つあった。
「おお〜。すごいな。さすがは俊輔だ」
「大したことじゃない。それより、そろそろメシにしないか?」
「ああ、そうだな」
紅輝は茂みの外に出て、仲間たちに向かって声を掛けた。
「お〜いみんな!メシにしようぜ!」
「ああ!」
「は〜い!」
みんなが集まって来た。




「いっただきまーす!」
パチンと手を合わせた高校生たち。彼らの前には弁当が広げられている。
「純一、それ取ってくれ」
「はい」
「ん。サンキュ」
「で、紅輝どうすんだよこれから?」
「今日は時間的にもう無理かな。明日から始めよう」
「やった!じゃあまだ遊べるってこと?」
「ああ。今日の間はいいよ」
「じゃあ、みんなでビーチバレーでもしようか」
「よし、善は急げだ!行こうぜ!」
健司が立ち上がって駆けだした。
「まったく。気が早い奴だ」
紅輝も立ち上がった。
「行こうか?」
純一が女子に声を掛ける。
「うん!」
加奈はうなずき、立ち上がった。
「河口くんも行こうよ」
美咲が光に話しかけた。
「あ・・・・ああ!」
光も立ち上がりかけ、俊輔の方を向いた。
「なあ、俊輔も来いよ」
俊輔はぶっきらぼうに、
「いや、俺はいい。お前も行けよ」
と言った。
「そうか。・・・わかった」
光は歩き始めた。



「光!」
「まかせろ!」
バシッ!
紅輝が上げたトスを光が相手のコートに叩き込んだ。
「やった!」
紅輝、光、美咲のチームが健司、純一、加奈のチームに勝利した瞬間だった。
「この、もう一回だ!」
健司が紅輝に突っかかる。
「もう無理だよ」
「え?」
紅輝が顎で海を差した。
その先では真っ赤に燃える夕日が眩しく輝いていた。
「そろそろメシだろ」
「またかよ?」
「時間は無駄にはできない。さ、戻るぞ」
「へいへい」
六人はすたすたと歩いて行った。
「やっと帰ってきたか」
テントの中で座っていた俊輔がぼやいた。
「うるせえ。さっさと始めようぜ」
健司がテントの奥からバーベキューのセットを取りだした。
「やめとけ。お前がやるとすぐ壊れる」
俊輔が釘を刺す。
「何だと?じゃあお前はどうなんだよ?」
逆に健司が噛みついた。
「フン。お前とは違うからな」
「じゃあやってみろよ。だいたいお前はなぁ・・・」
二人はテントの外に出、それを追うように他のメンバーもテントから出て行った。


夜。テントの傍の広場で、火が灯っていた。それを取り囲むように座る少年少女たち。
「お、これ美味いよ。美咲」
「ホントに?やった!」
「練習してたもんね。って健司!野菜を残さない!」
「チッ、ばれたか」
「もう、ちゃんと食べてなさいよね」
「肉ばっか食ってるから体だけがデカくなるんだよ」
「あ、言ったな俊輔!そういうお前は肉を食わないから小さいんだよ」
「何だと?」
「事実だろうが?」
わめき始めた二人を尻目に美咲が紅輝に聞く。
「あれ?白鳥くんと河口くんは?」
「そういえば・・・。どこ行ったんだろ」
二人は首をひねった。


「ここにいたんだね」
純一の前には光がいた。その前には海がある。すなわちそこは波打ち際だった。
「純一」
振り向いた光はしかし、すぐに前に向き直った。
「探したんだよ。君を。どうしてここにいるんだい?」
それを聞いた光はフッと笑い、
「波打ち際は好きだからな」
「横、いいかな?」
「ああ」
純一は光の隣に腰掛け、しばらく海を眺めた。海は、空に浮かぶ満月を映し出し、青白く輝いていた。
「君を探したのはね」
ふいに純一が話しだした。
「君に伝えたい事があったんだ」
「?」
「君は知っておいた方がいいと思うんだ」
「何を?」
純一は空を見上げ、星を見つめた。
「僕たちが今置かれている状況。そしてこのチーム・・・DUMASができた理由を、ね」
純一は光に向き直り、
「知りたい?」
と言った。光はちょっと考え、強くうなずいた。
「それは、ちょうど一年前の秋だった・・・」
純一は過去を振り返るようにゆっくりと話し始めた。


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