仮面ライダー小説

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第五話 昔の約束


12月。町は色とりどりの輝きに包まれ、クリスマスという日に向けて着々と準備を進めている季節。
そんなある日のこと。クリスマスの飾り付けがあちこちに見受けられる街中に彼らはいた。
一人は少女。長い髪を赤のリボンでポニーテールに束ねている。ショートパンツを履き、寒い風をまったく気にしていないような格好である。
もう一人は少年。厚手のジャンバーを着て、ジーンズを履いたラフな格好である。
笑顔で腕をからめてくる少女に対し、少年――多上紅輝は渋い顔をしていた。
「ねぇ紅輝♪次はどこに行こうか?」
紅輝の顔色など気にすることなく少女は言った。
「なあ綾香(あやか)、いつまでこれを続けるつもりなんだ?」
紅輝は少女――綾香に言った。
「そんなの決まってるじゃない。あなたが振り向くまでよ♪」
軽くウインクを決めながら言った言葉は、大抵の男なら簡単に落とされてしまうような妖しい雰囲気を纏っていた。が、紅輝には通じなかったようで、
「ハァ〜」
とため息をついていた。




時をさかのぼることおよそ三ヶ月。二学期の始業式の翌日に戻る。
その日は、クラスに新しい転校生がやってくるという噂が流れ、あちこちでざわめきが起こっていた。そのうち担任の松本が教室に入ってきた。
「ほら着席しろ着席!」
松本が言うと、話していた生徒たちは急いで自分の席に戻った。
「え〜もう知っている人もいるだろうが、今日からこのクラスで一緒に生活する転校生を紹介するぞ」
そう言うと、教室の扉を開いて三人の生徒が入ってきた。最初の二人は少年、最後の一人は少女だった。
「彼らは親の仕事の関係で転校してきた三つ子の兄妹だ。じゃ、自己紹介を頼む」
「はい」
先頭の少年が言った。
「皆さんはじめまして。今日から一緒に勉強することになった銀直也(しろがね なおや)です。隣にいるのは兄の拓馬(たくま)。その向こうは妹の綾香です。何かとご迷惑をかけると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
直也という少年が話す間、クラスの生徒たちはみんな息を呑んで見つめていた。なぜなら三人が三人とも
とても顔立ちが整っていたからであった。その美少年、美少女ぶりはそれまでクラスで一番の美形だった白鳥純一さえも絶句させるほどだった。
長男の拓馬は、髪にウェーブがかかっており、わずかな風が吹くたびにさらさらという音が聞こえてくるかのように揺れた。
次男の直也は、黒ぶちのメガネをかけ、その瞳は常に何かを考えているかのように光に満ちている。
そして末っ子にして長女の綾香は、最も目立つ容姿をしていた。二人の兄に負けず劣らずの長身、魅力的な大きな瞳に長いまつ毛、そしてわずかに茶色掛かった髪をポニーテールにしていた。
「よし、じゃあ三人は空いてる席に座ってくれ」
三人は呆然とする生徒の間を通って列の最後尾まで進み、拓馬は横三列の真ん中、直也は扉側、綾香は窓側に座った。綾香の左には紅輝、直也の右には村上俊輔が座っていた。
俊輔は何ともない風だったが、紅輝は綾香の顔を見て驚いていた。
「お前・・・・・・!」
「あら?あなた、もしかして紅輝!?」
綾香は笑顔になりながら言った。
「多上くん、知り合いなの?」
純一は驚きつつ聞いた。
「え、あ・・・ああ」
美少女転校生と紅輝が知り会いだとわかると、クラスはまたざわめき始めた。
「はい静かに!」
手を叩きながら松本が言うと、教室はまた静かになった。
「あ、それからもう一つ。数学の三船先生が全治三か月ほどのけがをされた。なのでしばらくは代理の先生が入ることになる。今後のことについては、その先生に聞いてくれ。以上!」



「えぇ〜っ!?幼なじみ!?」
その日の昼休み。紅輝のまわりには、友人――DUMASのメンバーが集まっていた。彼らの中心には、紅輝とその友人、綾香がいた。
「そ。幼稚園は一緒だったんだけど、小学校になってからはず〜っと会えなかったんだぁ」
綾香はのんびりと語った。
「紅輝、お前がうらやましいよ」
波岡健司は綾香にすっかり目を奪われている。
「で、何でお前はそんなにくっついてるんだ?」
紅輝は自分のすぐ横に座る綾香にうんざりしながら言った。
「え?だって約束したじゃない」
「何を?」
「覚えてない?幼稚園の頃、言ってくれたじゃない。私と結婚してくれるって」
「な!・・・それは子供のたわごとだろ!」
「あなただって、まだ子供じゃない?」
紅輝がうろたえているのを、まるで楽しむかのようにクスクスと笑いながら言った。そんな二人のやりとりを恨めしそうに見ている者がいた。
「美咲、機嫌悪いね?」
原谷加奈が野沢美咲に言った。
「え?そ、そうかな」
知らないうちにふて腐れていたのに気づき、わずかに動揺しながら答えた。
「ま、しょうがないよね。だって美咲は・・・」
「ちょっと加奈!」
加奈はニヤニヤしながら
「おっと口が滑った」
などととぼけている。
「それにしてもカッコいいよねぇ。拓馬くんと直也くん」
加奈は教室の後ろの方を見ながら言った。そのようにして二人を見つめている女子生徒は多い。それも当然だろう。純一も一般的な高校生と比べ、かなり整った顔である。しかし拓馬と直也の二人は、さらにその上を行く顔立ちであったからだ。当の二人はまったく意に介さないようだったが。
「あ、そろそろ次の授業だ」
純一が言った。それを聞いたまわりの生徒たちは席に着いた。異様なほどに順応な生徒たち。その理由は、次の授業が数学であるからである。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン・・・
チャイムが校内に鳴り響いた。それと同時に、教室に近づいてくるコツコツ・・・という足音。
ガララッという音と共に教室に入って来たのは、
本日何度めであろうか。
俳優のような顔の男。
「学級委員、礼をお願いします」
男は爽やかな口調でそう言った。
純一が号令を終えると、
「皆さん初めまして。三船先生のお怪我が治るまでの間、非常勤講師として皆さんに教えることになった佐渡慶介(さど けいすけ)と言います。僕はまだ教師になりたてなのでまだ不安なことも多いでが、少しずついろいろなことを学びたいと思います。僕と一緒に一回り大きな人間になりましょう」
少し緊張した様子で言った男――佐渡は、銀兄弟よりもさらに綺麗な顔だった。そのまま俳優としてデビューすることもできるくらいだ。
佐渡の言葉は続く。
「今日はまず、みんなのことを知ることから始めたいと思います。みなさんそれぞれ自己紹介をしてください」



「まったく。一体何なんだよ、ここ最近は」
冬の夜の街。紅輝はぼやいた。
「え?何か言った?」
綾香は紅輝の顔を覗きこみながら言った。
「別に。何でもねえよ」
「もう。照れ屋なんだから♪」
綾香は紅輝の腕に自分の腕をからめながら言った。
そう言って歩いて行く二人の後をつけている影。
「綾香さん、ちょっとくっつきすぎじゃない?」
「まあまあ、美咲ちゃん」
「言葉に棘が見えてるって」
「え、そうかな?」
「バレバレだ」
美咲、純一、健司、俊輔である。
四人は二人の動向を探りに来ていたのであった。
「あ、移動したよ」
純一の言葉を聞き、健司が立ち上がったその時。
「!」
頭に響くような鋭い耳鳴りを彼は聞いた。横では、他の三人もまわりに目を配っている。
「もう、こんな時に!」
美咲がつぶやくように言った。
「白鳥くん、お願いできる?」
「う〜ん、それはできないな。僕の<オルタナティブ>はこの前の戦いの修理がまだ終わってないからね」
純一が言うと、
「俺も無理だ。<タイガ>は誰かさんのせいでダメージが大きい」
俊輔は健司を見ながら言った。
「な、あれは・・・・・・」
「波岡くん、お願い」
美咲が懇願するように言った。
「あ〜もう、わかったよ!」
健司は立ち上がった。



三人から離れた健司は、ガラスが張ってあるビルの前に立ち、ズボンの後ろのポケットから黒いカードデッキを取り出して、それを目の前のガラスに向けた。すると、銀色のベルトが彼の腰に巻かれた。ベルトには大きなスロットがある。健司が右手を左に伸ばし叫んだ。
「変身!」
デッキが差し込まれたベルトから光が発せられ、それが健司を包んだ次の瞬間、鎧が彼の体を覆った。赤い体に、肩や膝には黒い装甲がある。顔は鎧だが、大きな赤い目が覗いていた。
健司は仮面ライダー龍騎に変身した。
「っしゃあ!」
短く叫んだ龍騎は、鏡の中に飛び込んだ。


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