仮面ライダー小説

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そこは、一見普通に見える街。
しかしどこかが違う。
あちこちに飾ってある看板や標識はすべて、鏡に映したように反転していた。
そこの名はミラーワールド。鏡の中にあるもう一つの世界である。
ビルが立ち並ぶ中にぽつんと空いた30メートル四方ほどの空間。そこに集まっている白い集団がいた。
それらは人の姿ではなかった。いや、人型ではあったが人間ではない。厚い甲殻に覆われた体、無表情な丸い顔、その口はうねうねと蠢いている。
ミラーモンスター、シアゴースト。その数は数十体にもおよび、複数で行動することが多いモンスターだ。その白い輪の中心に、人間の女性がいた。灰色のスーツにタイトスカート。オフィス街を歩いていたOLのようだった。女性はシアゴーストたちの姿を見て、恐怖のあまりに身動きがとれないでいた。
その時、何かがシアゴーストたちの間に突っ込んできた。流線形の透明なフード、前後にある大きなタイヤ。それはバイクであった。
「そこまでだ!」
大きな声を響かせながら、バイク――ライドシューターという――から人影が降りてきた。
健司が変身した、仮面ライダー龍騎であった。
龍騎は、群がるシアゴーストたちを蹴散らしながら女性のところまで進んだ。
「あなたは・・・?」
女性はおびえた声で言った。
「俺のことはいいから、早く逃げろ!」
龍騎は女性の体を押し、シアゴーストたちに向き直った。
「よっしゃ、行くぜ!」
龍騎は走り、一体のシアゴーストを蹴り飛ばした。そのまま左右の拳を繰り出した。それだけで、そのシアゴーストは叫び声と共に爆発した。
「よし!」
これによって勢い付いた龍騎は、別のシアゴーストに向かった。次々とパンチを繰り出したが、これはすべてかわされてしまい、逆に突進を喰らって吹き飛ばされた。
「ぐわっ!」
地面を転がった龍騎。その周りをシアゴーストたちが取り囲み、龍騎を蹴り始めた。一撃は弱いが、数十体にも囲まれているのでその威力はかなりの大きさである。
「くそっ、邪魔だぁ!」
龍騎はベルトのカードデッキからカードを一枚引き抜き、左腕にあるガントレットタイプの召喚機、ドラグバイザーに差し込み、カバーをスライドさせた。
<アドベント>
電子音が流れると、空から巨大な龍、無双龍ドラグレッダーが現れた。
ドラグレッダーは大きく一声吠えると、龍騎のまわりを取り囲んでいるシアゴーストたちに向かって大きな火球を放った。
それも、1発で3、4体ものシアゴーストを吹き飛ばせる炎の塊をいくつも。
龍騎はその炎の間をくぐり抜け、シアゴーストと距離を取った。
「助かったぜ、ドラグレッダー!」
ドラグレッダーは、その声に答えるように吠えた。
龍騎は、火球に翻弄されるシアゴーストたちを見て、
「(この状況を何とかしないと・・・あ、そういえば、俊輔とか紅輝が前に言ってたな・・・)」
『お前は周りが見えていない』
『もっと状況を読め!』
「(周り・・・状況・・・)」
龍騎は周囲を見渡した。
「(・・・・・・そうだ!)」
何か考えがあるのか、龍騎はシアゴーストたちに向かって駆け出した。その動きにつられ、20体ほどが追いかけて来た。しかし龍騎は気にする様子もなく走り続ける。
「いいぞ、ついて来い!」
彼が向かった先は、ビルの間にある細い路地だった。道の間隔は狭く、シアゴーストは同時に3体ぐらいまでしか通れない。しかし、立ち止まった龍騎の背後には壁。
「よし、ここならいいだろ」
龍騎は振り返った。
シアゴーストたちは、相手を追い詰めたと思ったのだろうか、一気に距離を縮めてくる。
それを見ながら龍騎はカードをデッキから引き、それを左腕のドラグバイザーに差し込んだ。
<ストライクベント>
電子音が鳴り、龍騎の右腕に、ドラグレッダーの頭の形をした手甲状の武器「ドラグクロー」が装着された。
「はあぁ・・・」
龍騎は左手を前に、そしてドラグクローを装着した右手を後ろに引いて力を溜めた。その間も、シアゴーストたちは近づいていた。
龍騎はまだ力を溜めている。
シアゴーストたちは、手を伸ばせば届くほどの距離まで来ていた。
その瞬間、龍騎は勢いよく右腕を前に突き出し、溜め込んでいた力を一気に解放した。
「あぁ・・・・・・だあぁ!」
突き出したドラグクローから、ドラグレッダーが放つ火球の何倍もの大きさの炎の奔流が放たれた。走り出していたシアゴーストたちは止まれない。突然目の前から現れた炎のうずに次々と呑み込まれてしまった。
「よっしゃー!決まったぜ、<昇竜突破>!」
龍騎は大きくガッツポーズをとる。
その時、広場から通路へシアゴーストが新たに入ってきた。
「くそっ、次から次に!」
龍騎は走ってシアゴーストを蹴り飛ばし、逃げ場が無くならないうちに広場に戻った。1回の戦闘で、同じカードは2回使えないからである。
広場には、だいぶ減ったとはいえ一人で相手するのは大変な数のシアゴーストがいる。
「さて、今度こそどうするかな・・・」
龍騎は周りを見渡しながら言った。
「仕方ない。とにかくやってみるか!」
龍騎は目の前のシアゴーストに走り、蹴り込んだ。そのシアゴーストはのけぞったが、龍騎の蹴りを受け止めた。
「げっ、またかよ!」
シアゴーストは龍騎を倒し、大勢で襲いかかった。
「ちょ、おい、やめろ!」
その時。
シアゴーストの集団に切れ目ができた。
「え?」
わずかに見えるのは白と黒の閃き。
その謎の二つの物体は急速に龍騎に近づいた。
「危なかったね」
「行き当たりばったりでやるからだ」
美咲が変身した仮面ライダーファムと、紅輝が変身した仮面ライダーナイトだった。
「お前ら、何で?」
龍騎は呆然として聞いた。
「あなたが遅いからでしょ?」
ファムがシアゴーストを斬り倒しながら言った。
「そんなことより、さっさと終わらせるぞ!」
ナイトが二人に檄を飛ばした。
「お、おう!」
「ええ!」
三人はカードデッキからカードを引き抜いた。それぞれ自分のデッキのマークが描かれている。
そのカードを、龍騎はドラグバイザーに、ナイトは長剣型の召喚機、ダークバイザーに、ファムはレイピア型の召喚機、ブランバイザーに、それぞれセットした。
<ファイナルベント>
三台同時に電子音が鳴ると、龍型のドラグレッダー、コウモリ型のナイトウイング、白鳥型のブランウイングという三人の契約モンスターが現れた。
ドラグレッダーが力を溜める龍騎のまわりでとぐろを巻き、ダークウイングが槍のような剣、ウイングランサーを手にしたナイトの背中に合体、そしてブランウイングがシアゴーストの後ろにまわり込んでファムの方向へ吹き飛ばした。
「「はっ!」」
龍騎とナイトが空へ跳び、ファムはウイングスラッシャーという薙刀を手に取った。
「だあぁ!」
空中から放たれる龍騎のキックをドラグレッダーの炎が包む。
「とあぁっ!」
ナイトはウイングランサーを下に構え、背中のダークウイングがドリルのように変形する。
「ハッ!」
ファムは自分の方に飛んできたシアゴーストを見て、ウイングスラッシャーを構えた。
真紅の炎、漆黒の旋風、金色の閃きのあと、周囲の空気を揺るがすほどの大きな爆発が起こった。
「・・・ふう」
煙が晴れ、三人の姿だけが残っていた。
「じゃあ、悪いな」
ナイトはそう言うと、そそくさと去っていった。
「なあ、行っちゃったけどいいのか?」
龍騎はファムに言った。
「そうだ、早く追いかけないと!」
「おい、ちょっと待ってくれよ〜!」
ファムは駆け出し、龍騎も後を追った。



誰もいなくなったミラーワールドの一角。
そこに、黒い影が現れた。その視線は龍騎たちが消えた所を見つめていた・・・。



「結局、あれから何もなかったね」
静かな風が吹き抜ける夜の住宅街。
そこを歩いていたのは純一と美咲。
「う〜ん。絶対何かあると思ったんだけどな〜」
美咲は残念そうに言った。
「そうだね〜・・・あ、ここじゃないの?」
純一が止まったところは、住宅街の中央ほどにある一軒家だった。
「うん。白鳥くん、送ってくれてありがとう」
「あ、もう一つお願いしていい?」
「もちろん。なに?」
純一は美咲に尋ねた。



「では、お邪魔しました」
純一は丁寧に頭を下げた。
出てきたのは先ほどの家。美咲の「お願い」を聞き入れ、純一の家で勉強をしていた、という話にしていたのだった。
純一の美貌と低い物腰から、母親は納得したようで、「またよろしくお願いします」と言っていた。クラスでも上位の成績をとり続ける美咲なので、それなりに期待されているようだ。
「美咲ちゃんも大変なんだね〜」
純一は街灯で照らされた道路を歩きながら言った。
その時、何者かの視線を感じて純一は振り向いた。その目の先に映る何者かは、人間であるようだが、逆光で表情まではうかがえない。
「誰?」
純一が影に向かって言ったが、返答はない。ただこちらに向かって歩いてくるのだけが見える。
『おい、純一!』
純一の頭に声が響く。デンライナーの中にいるモモタロスが意識を飛ばしてきたのだ。
『あいつからイマジンの匂いがするぜ!』
「イマジン?じゃあ契約者なの?」
純一が言うと、謎の影はベルトのようなものを取り出し、腰に巻いた。
「え?」
さらに影は長方形の物体を手にして言った。
「変身・・・」
影は物体をベルトにかざした。
<ネガフォーム>
低い電子音が鳴り、影の体をベルトから溢れ出てくるオーラアーマーが包んだ。そしてその頭に桃のかたちの電仮面が装着された。
「まさか・・・!」
街灯のもとに現れたその姿は、「電王」であった。姿かたちは電王ソードフォームと同じであったが、体や電仮面の色は紫。さらに各所に、水色の炎の模様がある。
「君、名前は?」
純一が聞いた。
「俺は・・・そうだな、ネガ電王と名乗っておこう。貴様、電王か?」
ネガ電王が言ってきた。
「そうだと言ったら?」
純一は挑発するように言った。
「その力、試させてもらう!」
ネガ電王は腰のデンガッシャーをソードモードに組み替え、剣で斬りかかってきた・・・・・・。


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