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セリの佳奈が六月の頭くらいから伸長成長を始めました。
ずいぶんと遅い報告になりましたが、状況が刻一刻と悪化していくので、経過の観察を優先していたのです。
茎が伸びたのは三株。
今ある佳奈は四株なのですが、内一株はそろそろ枯れそうで、それ以外が生長した次第です。
その三株のうち一株は今のところ問題はないのですが、残る二株がちょっと危険な状態になってきました。
植わっている基盤が軟弱、というよりもヘドロよりも粘性が低く基盤として機能しておらず、その下は貫くことが不可能な陶器の底。
そんな土壌では伸び行く地上部を支えることが出来ないため、扇風機の風で恐ろしいほどに全体が揺れ、葉が大きくなるとその重みで茎が傾くという、非常に不安定な状態になってしまいました。
片方は放射状に根を伸ばしているのか、そんな状態でもなんとか自力で立っているのですが、もう一方はもはや立つ立たないという次元を超えてしまいました。
上の写真がその状態。
根が伸び、日々その数を増やしているのですが、それと同時に少しずつ株全体が上へ上へと昇っているのです。背丈が伸びる、という意味ではなく、根っこごと持ち上がっているのです。
おそらく放射状に根を伸ばそうとしたところ、すぐ後ろが器の壁だったためにそれが叶わず、それでも伸ばそうと頑張ったところ根で自分を持ち上げてしまった、という感じでしょう。
右側に何本か緑色のやや太めの根がありますね。それが原因だと思います。
加えて同じ勢いで壁とは逆方向に同じように根を伸ばしたところ、器の底の固さに根の伸びようとする力が負け、不運にも全体が持ち上がる状況と相まって株を壁方向に倒そうとする力に変わってしまいました。
普通なら底に這うように根は伸びていきますが、すでに根が伸びようとするのと逆のベクトルの力が株自体から発せられているために、根の力はその方向へ向かう力を強化するように働いてしまいました。それが放射状に、斜めに向かう力だったために、株全体が倒れこむ事態を招いたのです。
写真では何とかなっていますが、これは茎と壁の間に石を挟みこんで無理やり立たせているためです。この写真を撮ったあと数分と経たずに再び倒れてしまったため、石をさらに何個も積みなおして何とか支えられるようにしました。
別のアングルから、上の写真よりも前の時間に撮った写真です。
縦に伸びる太い緑色が茎で、その切れ目が地上部の底辺です。
本来ならば土中に没していなければならないその部分が、完全に水から顔を出してしまっています。
なんだかわさびのようですね。でもこれはセリの基部です。
最初にこれが顔を出した時、さすがにこのままにしておくのは危険すぎると思って押し込もうとしたのですが、すごい反発力で押し返されてしまいました。
何がどうなっているのかよくわからないのですが、太い根がフロックマットの下に転がっている石ころか何かに引っかかっているらしく、私が押し込むと根が引っかかっているところを起点にたわんで押し返すようです。
緑色の太い根が二本、垂直に伸びているのがはっきり見えますね、これらが押し上げた張本人です。一枚目の写真に写っていた一本と合わせて、計三本の根でこの株を持ち上げています。
すさまじい膂力といえましょう。感心はしますが嬉しくありません。
それとその横にあるよく分からない何か。
以前沙耶の花蕾にも発生した、硬くて薄くて脆くて不気味、そんな何かです。
ずっと前から佳奈の器には、水際にあったのですが、最近成長著しく、こうして縁に触れるまでに高くなってきました。
生物由来、あるいはこれ自体が生物である、ということは分かっているのですが、逆に言えばそれ以上何も分からないともいえます。
変形菌のような生物に見えなくもないですが、触っただけでぼろぼろと崩れてしまうような硬く脆い構造体なので、その可能性は低い、というかまず除外していいと思います。移動をせずに広がり続けるため、変形菌の特徴と異なりますし。
真菌類の菌糸かとも思いましたが、変形菌と同じで硬く脆い構造はありえませんのでこれも除外。
この構造体は器との間に空間を作っていて、端は器に接しているために袋のようになっています。水に触れている部分、おそらくカビのコロニーを経由して水を吸い上げてこの袋の中に溜め込んでいます。
構造体が広がる際には、新しい縁部をまず形成してから古い、内側になってしまった前の縁部を破壊しているようです。そのため外側から見ると年輪のような層が見て取れるのですが、内側に層はなく全体で一つの貯水槽となっています。
また面白いことに、触っただけで簡単に崩れる一方で、崩れて本体と切り離されてしまった部分を本体に接着するように元の位置に戻すと、2,3日で元通りにくっついてしまいます。
かと思えば元の位置に戻さないでそのまま放置を続けると、壊れた場所はいつまでも壊れたままで、修復されません。
これらの特徴から考えるに、袋の中の水に微生物が住んでおり、これが何らかの術でこの構造体を形成しているものと思われます。
壊れた箇所が修復されないのは、曝気されたことでその生物にとって苛烈な環境となり、修復に向かえないためでしょう。元の位置に戻してやれば修復されるのは、環境の再構築を優先して命がけで修復するためのだと思います。
しかし、そうなると構造体を層状に広げる方法が説明できません。一度外気に触れなくては新たに外側の縁部を構築することなど出来るはずがないのですから。そこは今後考えるべき謎ですね。
佳奈の器は、佳奈本体も含めて住人が皆活気があり面白い特徴を持っています。
夏になって生物の活動がさらに活発になればより一層面白い事になるでしょう。
これからどんなことになるのか、今から楽しみです。 |
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