仰天望地

人生を面白いと思うかつまらないと思うかはその人次第だと思います。

環境について考える

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結論は「先延ばし」

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 COP17が昨日閉幕しました。
 海抜低下が著しい海洋国家や近年乾燥と砂漠化が進んでいるというアフリカ諸国が早急な新枠組みを求めるのに対し、アメリカを含む中国やインド、ブラジルなど新興国は新枠組みの構築を拒否。すでに京都議定書に削減義務を課せられた先進国は主要排出国を含めた大きな枠組みを作ろうとしながらも、EUとそれ以外の国では意見が必ずしも一致せず、それぞれの立場にある様々な国が意見を平行線に乗せながら日程を潰していました。
 EUは新枠組みに主要排出国を含めるために京都議定書の延長という譲歩を出し、中国がこの条件に賛意を示し新しい枠組みに参加することを受け入れ、これを受けてアメリカもこれに同意。
 この合意に基づいて2017年あるいは2020年まで京都議定書を延長することを議会全体の合意とし、「ダーバン合意」として議会は締めくくりられました。
 
 来年行われるCOP18で京都議定書延長を正式に定め、他の詳細についても次回に持ち越しということになりました。また先進国は毎年1000億ドルを拠出し、途上国が温暖化対策に利用する資金として使える「緑の気候基金」という基金を設置することも決定しました。
 
 結局意見の平行線は一部交わることにはなっても、考え方そのものは交じり合うことはなかったのではないかと考えます。
 しかしそれも当然といえば当然のこと。身近に危機感を感じている国、自国発展に目を向けている国、様々なことについて考える余裕を持っている国。一つの事柄をそれぞれの立場から見ているのですから、月の表と裏を見るように、見る場所で抱く思いが違ってしまうのです。
 でも気候変動は確実に起こっていて、その原因の一端がヒトの社会にあるというのは疑いようもありません。
 持続可能な社会のためには環境を無視することはできず、持続可能な社会を目指さなければヒトはいずれ自らの行いのしっぺ返しを受けることになります。
 かつて日本が高度成長期に川に家庭排水や工業排水を垂れ流しにして大きく汚したことは誰もが覚えているでしょう。若い方でも映像資料などで洗剤の泡が浮かぶ荒川を見たことがあるはずです。そして忘れてはいけない公害病。周囲の環境に配慮しなければ自身もその被害者となる。それを日本は知っています。
 日本がかたくなに議定書延長を認めなかったのは、環境に配慮するばかりではなく、同じ苦しみを味わう人を一人でも減らすためです。私たちの犯した罪と罰を他でも起こさせてはいけないという義務感があるのです。
 
 今回の議定書延長という結論は非常に残念ですが、中国、アメリカから譲歩を引き出させることができたのはある程度評価できるものと考えます。
 あとは議定書の延長期間中にどれだけ削減義務を課すことができるか、どれだけの国に削減義務と目標を持たせることができるか、それらに焦点を当てていく必要があると思います。単に「気候変動大変だね、みんなで頑張ろうね」と言い合って話が終わっては井戸端会議と変わりません。
 
 多くの国が賛同し、特に主要排出国が自身を強く縛る新たな枠組みに期待します。
 
 
 環境に配慮しつつ国を発展させる、ではなく環境配慮と発展が不可分の一体となったシステムの構築こそが最善なのではありますが、そのためにも社会全体のシステムの見直し、技術の発展など様々な分野で研究されることが重要ですね。
 
 商業的な見方をすれば、そういった研究・開発は今後進んでいくでしょうから、大きなビジネスチャンスを持つまだ発展途上の市場です。今のうちに情報を集め早いうちから飛び込んでしまえば、まだ誰も手をつけていない分野に先んじて着手することができ、将来の大きな利益につなげることができます。
 EV研究なんかはその代表例ですね。各社が自社製品をスタンダードモデルにしようと競り合っています。国単位での競り合いではスマートシティが例に挙げられます。
 
 環境ビジネスは今やきわめて大きな市場となりました。それでもまだ発展途上。より多くの人がこの市場に関わって成功を手にしてくれれば、それは同時に気候変動への好影響をもたらします。そのことに多くの人が気づくことを望みます。 
 
 
 ちなみに写真は記事とは関係ありませんが、アボカドの新芽。愛らしいですよね。

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 昨日スナゴケの記事を書いた後でふと思い出した事を書こうかと思います。
 屋上緑化というのはご存知の方も多いかと思います。家庭では少ないですが、都心のビルなどの大きな建物で最近増えているエコ活動で、屋上あるいは屋根に植物を植えることによって大気汚染物質を吸収したり、建物内の温度上昇を抑えることで夏場の電気の使用量を抑える事ができるので環境配慮と同時に維持管理費も抑える事ができるという話で、この十年でその規模は大分広がったように思います。

 その屋上緑化でここ最近注目を浴びているのがスナゴケなのです。
 コケ類共通の特徴として、肥料を与える必要がありません。根も無いに等しいので土もほとんど必要ありません。スナゴケはそれだけでなく乾燥に強く温度変化に強いという特性を持っているため、ビルの屋上や壁面などの温度が上がりやすい場所に適しています。そういった耐久性と管理のしやすさからスナゴケの注目が上がっているのです。

 どのように利用されるかというと、とある会社がスナゴケの栽培を行っています。といっても畑で育てているわけではなく、詳しい話は覚えていませんが薄いシートか何かの上に薄く土を敷き、その上にスナゴケを育てているのです。
 そうして育てたスナゴケはシートごと出荷され、必要なところに敷かれます。先の通り土が必要ありませんので屋上の補強をする必要もありません。潅水設備とそれに伴う屋上の防水機能が必要になるのでそちらにお金はかかりますが、土のように肥料足したりおこしたり入れ替えたりという作業は必要ないので、一度設置してしまえばあとは楽になります。
 さらに食害をする害虫や病気の類も無いので殺虫剤も何も必要ありません。本当に時々水を撒けばいいという手軽さが人気の原因かもしれません。

 最近は屋上緑化や敷地緑化が自治体によって促進されていて、東京都では比較的大きい建物では屋上緑化を義務付けていたりそのほかの自治体でも努力義務を設けていたりします。一般家庭でも屋上緑化をした家庭には助成金が出たりします。自分の自治体ではそうした助成が無いかを調べてみると、案外あったりしますので、一度調べてみると良いでしょう。
 決してエコに参加するんだ、という意気込みでやるのではなく、趣味の一つとして、助成を受けてできるのなら始めてみようか、という軽い気持ちでやってみるとよいかと思います。


 話は変わりますが、屋上緑化として屋上で野菜を育てている会社をテレビでみた事があります。
 しかもプランターでの鉢植えではなく土を屋上まで運んでちゃんとした畑にしていました。
 その上その畑を管理する部署を設けるのではなく社員みんなで持ち回りで管理しているのです。
 自分で育てた野菜はうまいというのは誰もが同じに思いますから、野菜に対するありがたみも芽生え、また同時に屋上緑化もできるという一挙両得の案です。
 管理は大変ですしお金はかかりますが、お金では買えない気持ちも得られる方法として、こういうのもありかと思います。


 ちなみに関係ない話ですが、写真は昭和の日に撮ったうちの庭先のゴヨウアケビの花。
 なぜか雄花だけで雌花は一つもなし。いつか実を結んでくれるのでしょうか。

 夕方にテレビを何気なく見ていたところ、去年の鳩山首相の温室効果ガス25%削減発言にまつわる話、とかいうので農業分野の排出削減努力について紹介されていました。

 野菜を商品として化粧する際に出てくる野菜くずや家庭の生ごみなどを牛糞と混ぜて堆肥を作るというもので、これを行う工場が近隣の農家と連携して稼動することで、作り出した肥料などを効率よく使えるという話でした。
 こうして作る有機肥料は堆肥と液肥の二つが出来るわけですが、これらを連携している農家が活用し、安全な有機肥料を使った野菜として市場価格よりも高めに取引することで利益を出す、と紹介されていました。また同時に生成時に生まれるメタンガスを自動車に使うことでさらに環境負荷を抑える事ができるということで、話には聞いたことはありましたが実際にそこまで稼動しているものは初めて見たのでなかなか面白いものではありました。
 しかしながら工場の人の話では、メタンガス生成時に出来る液体は液肥として近隣農家に使ってもらっているものの、他の似たような肥料工場ではお金をかけて廃棄しているのが現状で、その工場でも一日に大量に出来てしまうために、頭の痛いところだそうです。それにかかるお金のこともあって、堆肥やガスの利益だけでは儲けはほとんど無いとのこと。

 ここまでは工場の話だったのですが、次に国の話に移って、農業分野での削減目標が提示されていました。
 農業分野では8%の削減を目論んでいるということで、それにかかるのは目標年までに30兆円はかかる、と話をしていました。
 内訳とかはまったくわからないしこれが大きい額なのか小さい額なのかもよくわからないのですが、番組としてはこの額を不安要素と見ていて、農水省の人がこれによって生まれる雇用だか経済の流れだかで元は取れる計算だ、という話をしていたものの一抹の不安を残した形で締めていました。
 実際に国がこれだけのお金を使ってどれだけの経済効果があるのかはわかりませんし、税収の落ち込む中でこれだけのお金を使って大丈夫か、みたいなことをナレーションしていたのですが、私はそういうことよりも気になる事があります。

 これから10年で農業に環境負荷軽減を目的として30兆円使います、と国が言ったとして、それに国民が賛同するか否か。経済の専門家でも笑顔を見せるような経済効果をもたらす事ができたとしても、国民はこれに賛同しないような気がするんです。
 日本に限ったことではないのでしょうが、地球環境大変だ、どうにかしなくてはいけない、と騒ぐものの実際に自分の身にそれに関わる負担がのしかかるとそれは嫌、と言います。
 国が出す30兆円は国家予算、つまり私たちの税金から捻出されるものですが、これを充てることを国民は嫌だと思うのではないでしょうか。温室効果ガス削減を声高に叫びながらも、それに税金を使わなければならないのだというと、それはそれ、これはこれ、と言い出しそうで心配です。
 また農水省が30兆円をつかって生み出せる経済効果で使った分は相殺できると言っていますが、仮にこれが経済の専門家でも笑顔でうなずくくらい信憑性の高い話であったとして、それに国民が納得するのか。
 人々はお金が使われるという話だけ聞いて、それ以上のことには耳に蓋をしてしまいそうな気がします。それで税金は使うな、国民に負担をかけるな、と怒鳴りそうな。
 環境負荷は軽減しよう、という話には乗り気ながらも、それをするのはどこかの他人で、自分はまったく関係ない、そんな風に考えている人が多いのではないのか、と思うのです。
 仮に次の衆院選で民主党が与党から脱落したとしても、国の温室効果ガス削減の動きは止まらないでしょう。国がそのように動くということはその主体である国民も当然当事者であり、総意として環境負荷軽減を望んでいる上、そのためにお金が必要となれば税金から支出されるのは当たり前の話。しかし理屈では当たり前とわかっていても、それに皆が納得するのだろうか、と心配です。
 税金や自分たちの生活に負担がかかることに国民は何も考えずに反対する気がしてなりません。

 自分の腹を痛めずに行える規模の話ではない、と誰もが理解できているはずですが、環境税一つとっても反発は大きくて、本当に環境問題に自分たちが関わらなくてはいけないという事実を理解できているのか疑問が湧きます。
 これから国や企業、建物や農地、様々なところで環境負荷の軽い状態への変革は進められるでしょう。その中に個人も含まれている、というのをちゃんと理解しなくては何も前には進みません。

 私は国の方針よりも、国民の意思がどちらに向いているのかが気になります。
 環境に負担をかけないようにしたいのか、それともそんなことは気にせず好きにしたいのか。

 私の思い過ごしであるなら、それに越したことはないのですがね。

 今日の夕方、テレビで電気タクシーなるものを見つけて、見ていました。
 何かと思えば、電気自動車でのタクシー業、ということでした。最近はHV車、すなわちハイブリッド自動車よりもBEV、電池自動車のほうが注目を浴びていて、開発が進んでいます。

 その中でタクシーの運転手の方が問題としていたのが、充電と走行距離でした。
 現在のBEVでは、フル充電でも200kmは走れません。しかも家庭用コンセントからでは早くて7時間の充電時間を要します。丸一晩です。
 その使い勝手の悪さを解消するべく各方面で研究されており、特集の中では二つの解決策が挙げられていました。

 一つはコスモ石油が横浜市に二箇所置いているという、高速充電器。ガソリンスタンドの一区画に設置されています。
 高速充電器というのは文字通り、7時間の充電を30分まで短縮できるものです。これによって、丸一晩待たなくてもいいわけです。
 しかし30分といったら、ケンタッキーフライドチキンのような軽食コーナーでも用意しておかなければ待っておけない時間です。高速といっても利用するには少し長すぎる待ち時間です。

 そしてもう一つが、アメリカから上陸してきたベタープレイスという会社による電池交換の構想が挙げられていました。
 電池自動車はその名の通り電池を積んでおり、それに蓄えられた電気で走ります。電池が少なくなってきたら交換してしまえば、すぐに充電満タンです。テレビではラジコンの電池交換を例にしていました。理屈としてはまったく同じです。ラジコンも電池が切れたら新しい電池に入れ替えればいい。そうしたらまた走らせることが出来ます。自動車でそれを行おうというわけです。
 ガソリンを注入するガソリンスタンドのように電池を交換するバッテリースタンドを作り上げようというわけです。
 しかも電池交換に必要な時間は2分弱。ちょっと用を足しに行っている間に全工程が終わってしまいます。値段についてはまだわかりませんでしたが、普通乗用車用のもので一万円などということはないでしょう。高くとも安くともガソリンとはさほど差は無い思います。
 電池自動車が普及すれば、このバッテリースタンドもその横に並ぶようにして歩を揃えて普及していくと思います。

 ただ、電池自動車が一般化したからといって自動車における温室効果ガスの問題が全て解決した、とはいえません。
 一つは現在の発電量の過半数が火力発電によって為されているということ。排気ガスが出なくなったからといっても、電気自動車が町中走り回るには今よりも供給電気の量は増えると見るべきでしょう。そうなると当然火力発電所も今以上に稼動することになり、それに伴う温室効果ガスも比例して増加するわけです。もちろん自動車の排気ガス全体と比べれば少ない量でしょうが。
 そしてもう一つが、今のところ開発されている電気自動車の類はどれも普通乗用車である、ということです。大型自動車、トラック類は物流において絶対に必要ですが、これを焦点にした開発というのはついぞ聞いたことはありません。
 トラックだけではありません。現在低迷しており、国を挙げての努力が必要な産業。第一次産業に関わるものはまったく開発に着手されていないといって間違いはないでしょう。
 特に自動車に関わるのは農業です。軽トラはまだしも、トラクターやそのほかの機械類は電池自動車にシフトするのは大変です。一つ一つの機械がそれぞれ特殊化しており、汎用的なモデルというのが提示できません。なので一つの機械に一つの開発機関を必要とします。しかも大概目玉が飛び出すほど高いもので、トラクターは、耕すための装備類が付きますが、それでベンツの新車を超えることも普通です。そんなものをほいほい買い換えることなんて出来ませんから、仮に電池自動車が開発されてもなかなか交換は進まないでしょう。
 もっとも、こういう特殊車両は電池自動車にするつもりは無い、というのであればそれで終わる話ですが。


 話は変わりますが、近年自然利用型の発電システムが脚光を浴びています。
 太陽光充電携帯電話、家庭用太陽光発電システムはよく話を聞くことと思いますが、用水路ほどの幅があれば設置できる小型螺旋型水力発電機や駅の改札下に設置する重さを電気に変える発電機など、ユニークなものもあります。これらの共通点は、どこかの発電所から電気をもたらされるのではなく、小型でありながら自分で発電して自家消費が出来るものである点です。
 私たちはもしかしたら今岐路に立っているのかもしれません。電気との付き合い方が変化しつつあります。それはさながら燃料が石炭から石油に代わったように、大きな発電所からの電気供給に完全依存する従来のあり方から、発電所からの供給も受けつつも、身近なものや家庭用の電気の一部を自分たちで発電する時代に移りつつあるのかもしれません。
 例えば上の例をひとつ取り上げれば、小型水力発電機。各家庭の横には必ず水路が付いて、その中では家毎に発電機が回っていて家庭に電気を供給している、なんていうのが当たり前になる時代が来るかもしれません。今は夢のような話、あるいは馬鹿げた話にしかなりませんが、これから先自然利用型発電が進めば、今のように家に自家発電システムが付属するのではなく、発電システムに即した家が出来てもおかしくはないわけです。
 瓦の代わりに太陽光パネルが貼ってあって、テレビのアンテナよろしく風力発電の風車が家のてっぺんでくるくる回っている、なんてことも可能性としては絶対にないとは言い切れません。もっとも、私はそんな家に住みたくはありませんがね。屋根はやっぱり瓦がいい。風車くらいは回っていてもいいですが。


 環境負荷の軽い生活、というのが推し進められていて、自動車や発電システムに変化がもたらされつつあります。
 自分の生活に何を望むか、変化にどう対応し、あるいは受け入れていくのか。それは各人の判断にゆだねられるものですが、確実に20世紀後半の頃の生活から変化しつつあります。受け入れざるを得ないものですが、それを世間の潮流に流されるままに受け入れるか、自分の頭でよく考えて納得して、流れに棹をさす様に変化を受け入れるか。それによって生活も心向きも違ってきます。
 これから私たちの生活がどう移ろっていくかはわかりませんが、世間の移ろいにただ身を任せるのではなく、ここら辺で一考すべきなのかもしれません。これからの時代のヴィジョンというものを。

 昨日だったか一昨日だったか、テレビでなかなか興味深い話をしているのを見て、紹介しようかと思います。

 先に予備知識を。
 バイオエタノールを作るのには、主にトウモロコシやサトウキビを使っているのはご存知のことと思います。これらを破砕した後、硫酸と反応させて糖を取り出して、それを発酵させてエタノールを取り出します。
 このとき、原材料から取り出せるエタノールの量はサトウキビが1トン当たり85リットル、トウモロコシが1トン当たり390リットルといわれています。(出典:西島章次 著 ブラジルのバイオエタノールに関する覚書)
 原材料が100%エタノールになるわけではないので、廃棄分は出てしまいます。環境に対する負荷を考えても、経営上の出費を考えても、廃棄分は少ないに越したことはありません。

 そこで今回のお話。
 廃棄分を少なくした上で、且つ環境負荷もそれ以上に軽くなる方法のお話。
 番組で紹介されていたのは、一台の機械でした。木のチップをその機械の投入口に入れて待つことしばし。中から出てきたのは、木のチップであったドロドロの液体でした。
 先の説明の通り、原材料から糖を取り出す過程では原材料を破砕します。このとき、より細かくは際できれば取り出せる糖の量も必然的に多くなります。また、分解速度も変わりますので、より効率的なエタノール生成が出来ます。
 つまりこの機械は、破砕を可能な限り細かくした結果、液化するほどに組織をすりつぶすことに成功したのです。
 製造した会社の社長さんが機械の中を見せてくれたのですが、その中にあったのは、私たちも良く知る、石臼だったのです。しかしただの石臼ではありません。特殊な樹脂で表面を覆った、スーパー石臼だったのです。
 普通の石臼は、中のものをより細かくしようと速度を上げると、摩擦によって急速に痛んでいきます。また、石臼の素材となる石の特性上、表面には微細な穴が開いており、細かくなった素材の粒子がそこに飛び込むことで破損の原因となったり、カビなどが繁殖してしまう可能性もあります。表面を樹脂で覆うことでそれらの問題を解決し、塊を泥状になるまで粉砕できるようになった、と話していました。

 ここでエタノールのお話に戻ります。
 先に挙げたとおり、バイオエタノールの原材料にはトウモロコシ、サトウキビといった、分解しやすい糖質を多く含むものが使いやすく、コスト面から考えてもこれら二種はバイオエタノールの原材料として優れています。
 しかし糖質はこれらだけが持っているわけではありません。糖質とはそもそも、炭水化物のより小さい単位。家庭科や理科で習ったとおり、炭水化物を分解してブドウ糖等の糖類は生まれます。要するに炭水化物さえあれば糖が出来る、バイオエタノールになりうる、ということです。
 そして現在注目されているのが、セルロースからエタノールを取り出そうという構想。セルロースとは植物の細胞壁を構成する炭水化物で、植物であれば何でも持っています。これをエタノールに変えることが出来れば、わざわざでかい畑を作ってエタノール用トウモロコシを作らなくても、作物の廃棄部分、稲わらのような物からでも作れるようになる、かもしれないという話です。
 先の機械の最初の話、木片を泥に変えたというのは、それを可能にする機械だ、ということです。セルロースは分解が難しい炭水化物で、エタノールにするのはなかなか面倒です。しかし、そのセルロースをもエタノールに変換させやすく出来る、というのがこの機械の能力だとか。
 もともとはもっと違う、トウモロコシからコーンスープを作り出すときに、廃棄を出さずに全部スープに変えることで、トウモロコシのうまみを全て引き出せる、といった使い方を目的として生まれたようですが。

 さて、ここからは私の思うところ。
 この機械で木片からでもエタノールを取り出すことが出来るというのなら、これと林業を組み合わせるというのはどうでしょう?
 「林業代行業」、みたいな会社を立ち上げてみましょう。業務内容は、放棄林の間伐です。杉やヒノキなどの材木を取る為の森は、定期的に間伐や枝払いなどをしなくては価値のある材を取り出せません。しかしその作業が面倒で、しかも間伐作業はまったくといって良いほど儲かりません。その上内国産の材はほとんど売れていない状態で、結局森を放棄するのが最も楽な方法なのです。そうすると管理されなくなった森は質が落ちて、さらに材の価値がなくなっていく。悪循環に次ぐ悪循環です。
 その林業を代行するのが、林業代行業。間伐、枝払い、下草払い。そういった林業のお仕事を引き受けます。通常、そういう林は私有地になっているので、あらかじめ山の所有者に許可を出してもらいます。行政にも申請が必要なはずなので、それもやってもらいましょう。林業代行業は、その上で業務を行います。間伐の一番面倒くさいのは、切った後の間伐材の処理です。値が安いので、そこに捨て置くのが一番手っ取り早い方法ですが、あまり捨て置き続けても、山の環境が悪くなってしまうので良くありません。でも山から下ろしてきても、それまでにかかるコストに比べて得られる収益がないので、林業をするにあたっては頭の痛い話です。
 林業代行業はそれを切って持ち帰ります。チッパー(材を木片に変える機械)をあらかじめ持っておけば、簡単にチップに出来るので、それを先の石臼機械で泥に変えて、バイオエタノールを作って、売る。そうすれば間伐材をも無駄なく活用できるので、それだけでも利益を上げることが出来ます。もちろん林業代行でもお金はもらいましょう。一つの作業から賃金二重取りです。
 こうして間伐を行うようになった杉林からは質のよい材が取れるようになるので、あとはこれを採って木材として売れば良い、と。それも代行業がやってしまって、売値の大部分は山の所有者、残りは代行業、という感じ。

 山の所有者としては、持っているだけであとは代行業がやってくれるので楽。林業代行業としては、間伐などの作業とエタノール売却とで収益を上げられるので良い。さらに環境にも良いので、国が補助でもすれば国はバイオエタノールの推進でCO2削減目標に少し近づく、かもしれない。三者得する事業となるのです。
 山を持っている人がこの石臼機械を買って自分でやっても、対コストで考えるとマイナスのほうが大きいはずなので、やっぱり代行をする人たちがやらないとこれは成功しません。そう考えて出したのが、林業代行業というお仕事ですが、誰かまじめにやってみようかと思う人が現れてくれると面白いんですがね。やってくれないかな?

 ちなみに石臼機械、多分名前は「スーパーマスコロイダー」です。調べてこれしか出てこなかったので、多分これで合っているでしょう。石臼機械石臼機械と呼んでいましたが、でもやっぱり石臼機械なんだよな。

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