仰天望地

人生を面白いと思うかつまらないと思うかはその人次第だと思います。

ご飯持ち帰りの談

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

 テレビなどのメディアで、「ひそかなブーム」と表現されることがあります。
 語彙のままに受け取ろうとすると「あなたは知らないブームになりつつあるもの」といった風に受け取れますが、テレビ評論家の弁によると、ひそかなブームとはテレビ戦略の一つ、とのこと。
 メディアが何らかの意図を持って(あるいは視聴率を得るため)これから上り調子にしたい事柄を拾って情報をまとめて発信する。
 その時に、「これからブームが来ますよ」というよりも「ひそかなブーム」といって「実は知られていないけどこれから流行る予感」というのを何となく匂わせることで、心の中に何となく留まらせることができるのだそうです。「何となく」が大事だとか。直喩よりも隠喩のほうが人の心に訴えかけるものがあるのでしょう。

 テレビ朝日系のスーパーモーニング(だったと思う)で、ドギーバッグについて特集のようなものが組まれて数分取り扱っていました。
 まだまだ認知度が低く、利用可能な店舗も少ないが、環境意識の高まりと共に日本で一般化していくだろう、というのがその特集の趣旨でした。
 どこかの中華料理店で、残った料理を持参したドギーバッグにつめてもらったり、ある店では店で作ったオリジナルドギーバッグにつめてお客が持って帰ることができる、という話をしたり。
 中華料理屋のほうでは「何か臭いや異常が見受けられたら捨ててください」とあらかじめ釘をさしていました。もう少し言い方があるだろうとも思いましたが、こういうことを事前に言っておくことで、客のその持ち帰る食品に対するちょっとした安全意識を植え付けることができます。何か危険な気がする、と思えば、店で言われたように捨てることもやぶさかではないと思えるわけです。自分が店で食べて安全だったわけですから、持ち帰って腹痛になったら自分の衛生管理が悪かったのだと思うようにもなります。

 しかしテレビの趣旨はやはり「客が持参することが基本」となっており、店側が持っておくことは異例であるかのように思われました。
 私は店側が率先してドギーバッグを店内に常備しておいて、客にドギーバッグとその情報を与えていくことで普及が促進され、一般化すると思うのです。
 ドギーバッグを販売している雑貨店では「環境に配慮した、主に女性の方が買われて行きます」と言っていました。これは、多分今のまま放っておいても十年後も「環境に配慮した、主に女性の方が買われて行きます」という言葉がテレビの取材で出てくるであろうということを予感させる言葉です。女性同士の連絡網は普及に一躍買いますが、情報の流布と本体の普及はまた別の話で、ファッションでもなければ人の目を引く何かでもない。あくまで外食の持ち帰りの習慣を根付かせようというだけですから、「持ち帰りたい」という意識とは別に「持ち帰るのは恥ずかしくない」という社会の常識を根付かせなければならないのです。それを可能にするのは個人同士のつながりでは難しく、例えば有名な芸能人の使用談、例えば国の推進運動、例えば消費者側からのみならぬ、店側からの積極的アプローチが大事になると思うのです。

 ドギーバッグ普及には全面的に賛成します。しかし、今のままでは個人がどれほどがんばろうと、「環境に配慮した人」たちの中での常識にしかなりません。社会の常識となるには、今までの運動とはまったく別方向からの運動が必要だと思います。
 例えば「ひそかなブーム」といって一般市民の心をくすぐったり、とか。

 数日前、YAHOOニュースで外食での残った料理の持ち帰りについての意識調査が公表されていました。
 
 調査ではレストラン等の外食で残してしまった料理の持ち帰りをしたいか否かで四段階(持ち帰りしたい、どちらかといえば持ち帰りたい、どちらかといえば持ち帰りたくない、持ち帰りたくない)。さらに欧米では常識と化していることを教えた上で賛成か反対かで四段階(賛成、どちらかといえば賛成、どちらかといえば反対、反対)という質問が主体で、さらに持ち帰り専用のドギーバッグの認知度等についても調査していました。

 結果としては、持ち帰ることに前向きな意見(持ち帰りをしたい、どちらかといえば持ち帰りたい)が全体の7割、持ち帰りについて賛成する意見(持ち帰りについて賛成、どちらかといえば賛成)が全体の9割弱にまで達するという圧倒的な結果になりました。
 多くの人は外食での料理を持ち帰ることに前向きで、可能ならば自身も持ち帰りたいと思っているというのが調査でははっきりしていたようです。

 一方で、持ち帰るための容器として使われるドギーバッグの認知度は全体の3割に足らず、所有者はなんと1%、欲しいと思う人は1割を少しだけ超える程度の結果となりました。
 持ち帰りをしたいし、持ち帰りを推進することに賛成である意見は多いのですが、では実際にどういう動きがあるのか、その動きに積極的に参加したいかと聞かれると慎重に、悪い見方をすれば面倒くさくなってしまうというのが、今回の調査でわかったことだと思います。
 でもこれは決して消費者に非があるわけでは在りません。料理を持ち帰りたいという希望はあっても、それをレストランの店員に伝えるのは恥ずかしく、またそのための容器を常に、あるいは外食をするたびに持ち歩くというのははっきり言って面倒くさいです。
 もしもレストラン側が残った料理を見て「お包みしますか?」とか尋ねてきて、店の中から専用の紙容器でも持ってきてくれるのなら、それなら持ち帰りたいな、と思うものですが、さすがに食べ物を持ち帰る準備はあらかじめ整っている、という状態でレストランに入ったり、食べ残した料理をバッグから容器を取り出してその中に詰めていって、というのは外聞も恥も気にしてしまうものです。

 何よりも専用の容器を自分で買わなければならないというのは消費者にとって大きなネックになります。
 消費の冷え込みだとか、外食離れだとかいう世情とは無関係に、上記のように恥も外聞もある人で、環境に対して強く思ったり外食をするたびに残してしまうような人でもない限り、食べ残しを持ち帰るために自分で容器を買うのは正直嫌な話ですし、購入費用だって、その分でジュースを何本か買ったほうがよっぽど良いような気がします。なにせ、外食をしたら必ず残すわけでもないですし、常にドギーバッグを持っているというのも恥ずかしいですし、そんなあるかないかの事態のために自分の財布を軽くしたいと思う訳がないんです。それが一般的な感性というものです。

 早い話、ドギーバッグは消費者が推進するものではなく、外食産業、料理を出す側が積極的に導入に意欲を見せ、行動しなければいつまで経っても一般化しようがないのです。
 それは今回の調査結果が明らかにしています。持ち帰りには賛成、でもそのために自分が積極的に動きたくはない。消費者とはそういうものですし、それをその気にさせるように努力するのが企業の勤めです。
 残飯の処理費用とドギーバッグ購入費用とでどちらが企業負担が少ないかを計算して、CSR(企業の社会的責任)についてよく考えた上で、導入のメリットとデメリットをよく検討すれば、導入に積極的になるべきか、あるいは消極的になるべきかが結論付けられます。
 もしも検討の結果消極的になったほうが有利と結論付けられたなら、日本でドギーバッグが一般化することはないでしょう。しかしもしも積極的になるべきだという結論が出たのであれば、食品リサイクル法の改正を含めた、国を動かす大きな運動を起こすべきだと思います。

 ドギーバッグの導入には、消費者の意識の高まりも重要ですが、何より重要なのは、「料理を食べてもらっている」という意識のある企業側の意識の高まりとそれに伴う行動だと思います。
 レストランの唐揚げが家で気兼ねなく食べられるようになる日が来ると良いですね。

 10年ほど前、英語の教科書でアメリカにドギーバッグという文化があるということを知って、ある種の感動を覚えました。
 ドギーバッグ(doggie bag=直訳で犬用の袋の意)とは、レストランなどで食べ残したメニューを袋に詰めて持ち帰る習慣です。食べ残しを持ち帰って食べるというのは世間体からして恥ずかしいので、あくまで建前として「犬の餌として持って帰ります」ということで袋に詰めてもらうわけです。

 数ヶ月前にYahooニュースでもドギーバッグの話が載っていたのですが、それ以降世間は特にリアクションもしなかったので、どうも浸透していないように思います。

 例えばレストランでハンバーグとフライドポテトを頼んだ時、ハンバーグの皿は主菜ですから、当然平らげるでしょう。でもフライドポテトは少し多すぎて食べられない、ということがあると思います。
 今はもう満腹で食べられないけれど、あとで小腹がすいたときに少しつまみたいな、ということはあるのではないでしょうか。特にレストランの小皿料理は家で作るには少し面倒ですし、レストランらしい味付けですごくおいしくできています。
 そういうのを店の人に頼んで袋に詰めてもらって、持ち帰って温めなおしたりしてもう一度食べる。それがドギーバッグなわけです。

 しかし日本ではあまり浸透していません。原因は店が消極的であることに大きな要因があると思います。
 これは私の体験した話なのですが、近所のレストランで食事をしたときに、主菜のほかにから揚げとフライドポテトの付けあわせを頼んだんです。しかし途中でおなかが一杯になってしまって全部は食べきることができませんでした。
 なので店員さんに、包んで持ち帰ることはできるのか、ときいてみたのですが、店員さんは「お客様が持ち帰って食中毒になった場合、店の責任になってしまうので・・・・・」といわれてしまいました。
 つまり責任問題が発生したら面倒だ、ということです。店としても食中毒になった人に慰謝料を払うのは面倒くさいでしょうし、世間、特にマスメディアが口やかましく騒ぎ立てて社会的に孤立してしまいます。店はそれを避けたいわけです。
 また、消費者に理解があまりされていないことも一因があります。
 基本的に日本では浸透していない習慣ですし、店は責任問題が怖いですから、レストランにドギーバッグがおいてあることは非常に珍しい話です。
 東急ハンズで取り扱っているという話ですが、消費者がわざわざ普段から持ち歩いているというのも変な話です。かばんの中に常備していて、レストランで残してしまったときにドギーバッグを取り出す。
 それでは狙っていたかのようで、見方によっては卑しい人に見えてしまいます。もちろんこれはそういう習慣がないからこそですが、欧米でもドギーバッグは基本的に店においてあるもので、消費者が持ち歩くものではありません。東急ハンズのものは一応、パーティなどに出席したときに使うと便利、という話ですが、それはそれで余計に卑しい人になってしまいます。
 つまる話、下地がまるでないわけです。下地がない上に、店には冒険しようという根性がなく、消費者は現状の変革を特に意識していません。そんなわけでなかなか一般化はしかねている状態なのですね。

 解決策もなくはないと思います。例えば食中毒になったとき、会計を済ましてから12時間以内の場合は店が、それ以降では消費者がその責任を負う、という取り決めを設ければ良いわけです。もちろん消費者の中には嘘をつく人もいるでしょうが、そこはそれ、ドギーバッグを用いる場合には必ずレシートを受け取り、一定期間は保持することを消費者側に強く知らせておけばいいのです。時間が曖昧になってしまった場合には、基本的には持ち帰るという希望を出したのは消費者ですから、消費者の方が責任問題があるのだ、ということを規定しておけば、また、それを消費者に理解させればいいのです。難しいのは確かですが。

 またドギーバッグは通常、紙袋なので(中に耐水加工がしてあったり、ビニール袋との二重構造だったり)、この紙袋の素材が再生紙であれば、資源ごみから作り出せて、残飯が減少することでごみが減らせて。環境に良いことがたくさんあるわけです。なので、これを省庁が推進すれば良いわけです。レストラン業界に協力要請をするなどして、浸透するように国を挙げて努力すれば、数年で大分一般化できるでしょう。これによる環境負荷軽減を計算すれば、二酸化炭素排出量減少の数値目標に近づけますし。

 レストランのから揚げ、おいしいから気軽に持ち帰れるようになればいいんですがね。家庭では作れないような手順を踏んで作っているらしいので、やっぱりレストランの味はレストランだけの味ですから。

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事