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テレビなどのメディアで、「ひそかなブーム」と表現されることがあります。
語彙のままに受け取ろうとすると「あなたは知らないブームになりつつあるもの」といった風に受け取れますが、テレビ評論家の弁によると、ひそかなブームとはテレビ戦略の一つ、とのこと。
メディアが何らかの意図を持って(あるいは視聴率を得るため)これから上り調子にしたい事柄を拾って情報をまとめて発信する。
その時に、「これからブームが来ますよ」というよりも「ひそかなブーム」といって「実は知られていないけどこれから流行る予感」というのを何となく匂わせることで、心の中に何となく留まらせることができるのだそうです。「何となく」が大事だとか。直喩よりも隠喩のほうが人の心に訴えかけるものがあるのでしょう。
テレビ朝日系のスーパーモーニング(だったと思う)で、ドギーバッグについて特集のようなものが組まれて数分取り扱っていました。
まだまだ認知度が低く、利用可能な店舗も少ないが、環境意識の高まりと共に日本で一般化していくだろう、というのがその特集の趣旨でした。
どこかの中華料理店で、残った料理を持参したドギーバッグにつめてもらったり、ある店では店で作ったオリジナルドギーバッグにつめてお客が持って帰ることができる、という話をしたり。
中華料理屋のほうでは「何か臭いや異常が見受けられたら捨ててください」とあらかじめ釘をさしていました。もう少し言い方があるだろうとも思いましたが、こういうことを事前に言っておくことで、客のその持ち帰る食品に対するちょっとした安全意識を植え付けることができます。何か危険な気がする、と思えば、店で言われたように捨てることもやぶさかではないと思えるわけです。自分が店で食べて安全だったわけですから、持ち帰って腹痛になったら自分の衛生管理が悪かったのだと思うようにもなります。
しかしテレビの趣旨はやはり「客が持参することが基本」となっており、店側が持っておくことは異例であるかのように思われました。
私は店側が率先してドギーバッグを店内に常備しておいて、客にドギーバッグとその情報を与えていくことで普及が促進され、一般化すると思うのです。
ドギーバッグを販売している雑貨店では「環境に配慮した、主に女性の方が買われて行きます」と言っていました。これは、多分今のまま放っておいても十年後も「環境に配慮した、主に女性の方が買われて行きます」という言葉がテレビの取材で出てくるであろうということを予感させる言葉です。女性同士の連絡網は普及に一躍買いますが、情報の流布と本体の普及はまた別の話で、ファッションでもなければ人の目を引く何かでもない。あくまで外食の持ち帰りの習慣を根付かせようというだけですから、「持ち帰りたい」という意識とは別に「持ち帰るのは恥ずかしくない」という社会の常識を根付かせなければならないのです。それを可能にするのは個人同士のつながりでは難しく、例えば有名な芸能人の使用談、例えば国の推進運動、例えば消費者側からのみならぬ、店側からの積極的アプローチが大事になると思うのです。
ドギーバッグ普及には全面的に賛成します。しかし、今のままでは個人がどれほどがんばろうと、「環境に配慮した人」たちの中での常識にしかなりません。社会の常識となるには、今までの運動とはまったく別方向からの運動が必要だと思います。
例えば「ひそかなブーム」といって一般市民の心をくすぐったり、とか。
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