Tom's blog

”モノづくり”は楽しい

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Tom's labVINTAGA LAMP(以下VL)移転に際し、
大きな懸念事項が2つあった。

一つ目は、製品在庫や在庫部品などを確保するスペースや、
試作や組立をするスペースがとれるかどうか?

二つ目は、音響的に不利と思える建物構造と間取りをどう解決するか?

前者については、VLオーナーの献身的な計らいによって、
オーナー所有の倉庫の提供と、建物に隣接する1、2階部分に
作業部屋と収納部屋を作ってくれる事で解決できた。

後者については・・・
VL 2階約60m2の広い部屋をTom's labとVLが半分ずつ使用することになっている。
一応音響のプロの端くれである私には、一筋縄ではいかないことは充分分かっていた。

5月のGW開けから6月の初旬に掛けて約1か月間に行った
「Tom's lab新居リスニングエリアの音響特性改善」について、
各種対策とそれに関する膨大な測定データに基づく
試行錯誤の記録を(かなり助長ではありますが)報告させていただきます。

4月末の引越しにより、
事務所兼試聴室であるVL 2階に運び込まれた荷物の状況。
イメージ 1

什器やオーディオ機器を配置すると、
リスニングエリアはほとんど無くなってしまう。
これは困った。

とりあえず、VLの商品であった大きなテーブル1個を、
新設した収納部屋に移動させていただき、
なんとかエリスニングリアを確保した。

オーディオルームのレイアウトの基本はスピーカーの位置でほぼ決まってくる。

通常は、壁側にスピーカーを配置するのが基本となる。
これは、低音の量感などが増し、
音楽的な音響バランスが取りやすいためだ。

---現実のオーディオ その1---
既製のスピーカーシステムの音圧周波数特性は、
無響室における測定で、
マイクとの距離が1m、
高さはツィーターの位置でフラットになるように設定されている。
しかし、実際に音楽を聴く場合は、
有響室且つリスナーとの距離は2〜3mなので、
部屋の定在波の影響や壁などによる反射が多く、
非常にピーク・ディップが激しい特性となる。
更には、
試聴位置では高域になるにつれて若干音圧が下がっていく特性が
音楽として聴きやすい音となる。

しかし今回は、Tom's lab のスピーカーと
VL商品の展示との融合をコンセプトにしたいと思っていたので、
あえてスピーカーを部屋の中心部に置き、
試聴者はVLのテーブルやランプが並べられている
西側の明るい方向を向くようにした。
イメージ 3

イメージ 2

音響測定の結果・・・残念ながらNG。

Lch(東壁側)は問題無いが、
Rch(部屋の中央側)がNG。

50Hz辺りの低音域が10dB程度落ち込んでいる。
この現象は、部屋の定在波の影響と、
反射壁が無いことによると思われる。
よって、簡単には対策出来ないと考え、
このレイアウト(Layout 1)は没。

Layout 2はセオリー通りの壁側配置で左右シンメトリー。
Rchスピーカーの右側に壁があるのが視覚的にも気になるが・・・
イメージ 4

イメージ 5

音響測定の結果・・・
残念ながらこの配置もNG。

Lch,Rchとも50Hzに10dB程度の大きなピークが出ている。
更に、Rchは75Hzに-10dB程度の大きなディップが出ている。
これは後壁の影響と部屋の定在波の影響と思われるが、
床が低音で共振しているのも気になる。
西側の道を大きなダンプカーが通ると超低周波で床が揺れる。

この問題をVLオーナーに相談したところ、
リスニングエリアの床の防振対策をしようということになった。

一級建築士で建築会社の社長でもあるオーナーは、
仕事上でも防音・防振対策に精通しており、
またズブのオーディオマニアなので話が早い。

防振対策の具体的な方法は、
下の写真で示す様に、
床の上に25mm厚の高圧縮グラスウールを2枚敷き、
その上に12.5mm厚の強化石膏ボード、
その上に6mm厚高比重音シート(これが今回の対策のポイント)、
そしてその上に12mm厚合板を敷き、
更にその上にジュータンを敷く。
約8cmほどリスニングエリアの床が上昇することになる。
イメージ 6

音響測定の結果・・・
低域の盛り上がり(オーディオ用語で「ブーミー」という)の傾向は変わらなかったが、
低音の出方が聴感上スムーズになった。

何よりも、1Fへの音漏れが大きく減少した。
これについては、簡易測定器(PHONIC PAA2)にて
Before Afterのデータをしっかり測って確認した。

低域の盛り上がりについては、
床の強度以外に別の要因が絡んでいることが確認されたので、
ここで、いつもお世話になっている私の電子・音響関連の師匠
N氏とS氏に来ていただき、測定及び考察を行った。

測定は、S氏持参のオシロスコープ、オーディオ・アナライザー、マイクにより、
トーンバースト波を再生し、
マイクの位置を変化させて反射波の干渉が起こる時間を計測し、
何が影響しているかを解析。

結果、やはり、後壁があやしいことが分かった。

その対策案としては後壁全体を吸音したり傾斜させたりすることが考えられるが、
簡単に出来る方法として、
裏側に吸音材を貼った有孔硅カルボードを斜めに傾斜させて取り付けることにした。

早速、実際の施工図を作成してみた。
イメージ 10

まず、91cm×91cmの有孔硅カルボードを3枚購入し、
裏にシンサレートの吸音材を両面粘着テープで張り付けた。
上からは紐で吊るし、
下は金具で受けている。
イメージ 7

音響測定の結果・・・
残念ながら低音特性はほとんど改善されなかったが、、
中高音の解像度が一段と増した印象。

次に、傾斜版を右壁と左端に追加し、
更に傾斜版の裏に毛布を入れてみた。
イメージ 8

結果、ほとんど変化無し。

また、部屋の定在波の解析ソフト(StndWave2)で
部屋の定在波の影響を調べてみた。

やはりスピーカーの位置を少し変えると音響特性がガラガラ変わる。

部屋の大きさやスピーカー位置の実際の値を設定し、
まずは全ての壁の反射率を0.8にして実際の音圧周波数特性に
類似したデータが出る位置をMic位置として設定。
そして、後壁の反射率のみ0.2にすると、
ほとんどのピーク・ディップが無くなる。
また、右側の壁面の反射率のみ0.2にした場合は、
Lchの特性にも大きく影響することを確認した。
結果、後壁と右壁の影響が大きいことが確認できた。

以前からスピーカーを前に出せば
低音特性の暴れが緩和されることが分かっていたが、
試聴場所の問題で実施出来ていなかった。

たまたま、VL展示エリアにあったテーブル2個を
VLオーナーが持って行ったので、
試聴スペースに置いてあるアイアンテーブルとウッドテーブルを
VL展示エリアに移して試聴位置を少し後にずらし、
スピーカーを前に出すことにした。
イメージ 9

イメージ 11

微妙に位置をずらして測定し、
ベストな位置を割り出した。

結果、Rchスピーカーを50cm程度、Lchスピーカーを20cm程度前に出すことにした。
左右対称では無くなったので視聴者は少し斜め向きに座ることになる。

結果、ほぼ満足できる特性に改善できた。
Lch,Rchの50HzのピークとRchの75Hzのディップがかなり緩和された。

---現実のオーディオ その2---
部屋の低音特性を改善する為には、
吸音材や音響改善板等少々の対策ではほとんど改善出来ず、
壁や床を剛性又は質量の大きい物で且つ広い面積で適切に置き代える必要がある。
ただし、SPの位置を少し変えればその特性はゴロゴロ変化し、
試聴スペースなどトータルでのベストポイントを見つけ出すことが出来る。

現時点ではこの配置がベストポイントと確信する。
今後はこの設定でお客様にご試聴いただくことになる。

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