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溶けたかき氷
捲れと誘うのは古いアルバムだった。 でも、休みの間に片付けないと、来月には貴史と新居に越すんだから間に合わない。 ま、いっか。お盆休みはまだ初日。片付けの道草は必然だ。 天然水で作られたオキニのかき氷を器に移した私は、一人掛けソファに腰を落ち着けた。 古ぼけた小さなスケッチブックみたいだった。 色褪せた写真は、間違いなく幼い私自身だ。 かき氷を口に運びながら、覚えはなくとも懐かしい写真に夢中になる。 最後の頁で手が止まった。 あの人だ。 奥底に封じ込んでいたはずの漆黒の感情が迫り上がって来た。 私を捨てて蒸発した挙げ句、自分の幸せさえ掴めず死んじゃった、私を産んだ人。 赤ちゃんだった私を抱っこしてる。 眠ってる赤ちゃんを大事そうに両腕で抱っこしてる。 初めて見るあの人の顔。 ……なんて穏やかな優しい顔なんだろう。 気が付くと、かき氷は白濁した水になっていた。 キッチンに行きシンクに流す。 礼服でなくてもいいかな? お墓参り。
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過ぎさしリ出来事を小さなことで鮮明に思い出しその日の出来事を
きのう様に甦るってありますよね。
脳の中にはそんな事がいっぱい記憶されてるけど日頃は思い出せない
何かのきっかけで突然鮮明に。
だから人って素晴しい能力をもってる動物と言えるのかもですね。
2013/8/15(木) 午後 0:46 [ kurara ]
いつも感想を書かせて頂く時には、何回か読まないと、書けない時間のかかる人間です。
今、言える事は、「白濁の水」が太字ゴシックで物凄く印象に残りました。主人公の気持ち。「白濁」☞「礼服でなくていいのかな?」
「礼服でなくていいのかな?」☞「〜の水」
水というのが許しているということなんでしょうか?
勝手な妄想でm(_ _)m
2013/8/15(木) 午後 7:14 [ 利休 ]
kuraraさん、こんにちは。
写真や日記、モノなどが突然、記憶の引き出しを開けてしまうことがありますね。
その鮮明に蘇った記憶と、写真という記録が伝えたものを再認識することで、赦しにたどり着いた瞬間を、溶けていく氷になぞらえました。
記憶は不思議です。時が経ってしまえば、本当にあったことか判らなくなります。
記憶の中には自分の潜在意識が都合よく書き換えてしまったものもありそうで……。
コメントありがとうございました!
2013/8/16(金) 午後 2:29
利休さん、こんにちは。
何度も読み返して頂いているとのこと、大変恐縮です。ありがとうございます!
制作ウラ話になりますが……。
最初に頭から書いていったときに、かき氷を持ってくるまえにミルクをかける記述がありました。
「400文字ぴったり」の記述スタイルのために、削っていく段階で「ミルク」はなくなりました。
かき氷が水になる記述のところに、「白濁」が残っているのに気付きましたが、透き通っている水は少し違う気がして、「白濁」は残しました。
自分としては「溶ける」ことに意識が行っていて、濁りは気になりませんでしたが、「白濁」の持つ意味がこの作品に意図する以上の影響を与えるようでしたら、変更したほうがいいのかもしれませんね……。
「赦せない想い」が氷が溶けるように、「赦し」に姿を変え、日本人の「水に流す」性質へと収斂してゆく様を描いたつもりでした。
<続きます>
2013/8/16(金) 午後 2:56
水は、人の想念でその姿を変えるという実験をした写真集がありますが、「水の結晶写真集・水からの伝言」悪意とか感謝とかを与えることで、結晶の形が全然違ってきます。
水が悪意も善意も受け止めるということは、「水は赦す」ことかもしれませんね。
感想、ありがとうございます!
2013/8/16(金) 午後 2:56
冷たい心が溶けて温い水に変わるって感じで読まして貰いました
もっとも自分の印象では、決して赦したわけではないけど、憎んでいるだけではないことに気づいた感じかな
いいお話でした〜^^
2013/10/1(火) 午後 10:25 [ kaz*h*naran*bu ]
ロンさんですね!? 血は濃ければ濃いほど、赦しから遠ざかってしまう気がします。
気付けてよかった。ネガティブな感情は全部水に流してしまいましょう。
ありがとうございました。
2013/10/2(水) 午前 1:01
愛沢いさむ様、、おはようございます♪
ご訪問ありがとうございました。コメントに返信させて頂くまえに
お伺いしました。今、携帯モードで拝読しています。白濁の水は、
太さは変わってませんでした。主人公に飲んで欲しかった気もします。^-^
オキニが、最初分かりませんでした。(汗)…死んじゃった人に、
深層部での愛を感じました。
ありがとうございました。
2013/10/5(土) 午前 8:01 [ 野ばらん ]
おはようございます。野ばらんさん。
白濁の文字はPCでは普通のようですが……。目だってしまっているのでしょうね。何故だか。
飲んじゃったほうが心情的には合致していたかもですが、水に流すという象徴のほうを取ってしまいました。
お気に入りでもよかったのですが、若い女性の口語っぽくしたかったので……読み手のほうを向いていない判断だったかもですね。
感想ありがとうございました!
2013/10/6(日) 午前 6:29