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不可解な愛と反動形成との相関 勝手なコラボ企画 the same as… / ONE OK ROCK
ひっくり返した湯桶のお湯は、ひと塊で頭にぶつかり、床で弾けた。 無駄に広い古い風呂と、お湯の衝撃が何だか懐かしい。 前触れなく引戸が開く。 父さんか。湯気を分け入ってかかり湯をすると、湯舟にざぶんと浸かった。 「ふぅ〜っ」 父さんの感嘆符が届く。 僕が湯舟に沈むと溢れたお湯が存外な音をたてた。 「東京も随分変わったんだろうなぁ」 「多分ね」 「学生の頃だから、三十五年前か」 会話は進展することなく、二人でタイル壁の模様を眺め続けた。 ふと思い出した。 「小さい頃さぁ、よく言ってたでしょ、お天道さまが見てるぞって。それ、この前、後輩に言っちゃってたんだよね」 相好を崩した父さんに連投する。 「気付いたんだけど、お天道さまって自分自身だよね」 「そうだな。神であり宇宙であり自分自身でもある」 「じゃあ、自分が神!」 「かもな」 父さんは立ち上った。 「母さんを心配させるなよ」 見送る父さんの背中は、幼い頃見たのと変わらないと思った。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【勝手コラボ楽曲】⇒the same as…【歌詞付き】/ ONE OK ROCK
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お天道さまは自分自身だよね!
自分が神かぁ。なんとも深い考え方ですね!。内容は違いますが昔父と会話したことを思い出しました。人間の意思の伝達、表現する言葉の大事さが身にしみるし長々と説明なんて要らないんですね。
2013/8/20(火) 午前 9:30 [ kurara ]
息子にとって一番最初の仮想敵国である父性との微妙な距離感が活写されていて、とても味わい深い。不在の現代ヤンキー社会ではお目にかかれない光景ですね。400字という文字数制限のなかで、情景をありありと浮かばせる描写は見事です。
2013/8/21(水) 午後 5:32 [ newtabogonbo ]
kuraraさん、こんにちは。
本来、私たち自身(魂)は神(の一部)であるのでしょう。
その自覚をなくして我欲に溺れてしまった結果がこの世の有様だと思われます。
意志の伝達は本当に難しいですね。
言葉を尽くすほど真意から遠ざかるようで……。
コメントありがとうございました!
2013/8/22(木) 午後 2:04
TABOさん、こんにちは。
「父を超える」は男としての永遠のテーマでしょうか。
400字の制限は、自分のためでもあります。
一度書いた文章を、文字数調節のため、センテンス単位で、他の表現はないかを探る作業を行います。
見事とのお言葉、ありがとうございます。身に余るものです。
「反動形成」は直接出てきませんが、父の台詞「母さんを〜」で風呂に入る前の主人公の言動を匂わせたのですが、家族愛に相対したときの主人公の反応が「反動形成」である、それを承知の父が主人公に寄り添った、という構図でしたが、なかなかそこまで読み取ってもらうには少し短すぎたのかなぁ(400字の題材ではなかった。隠れテーマも盛り込んであるし)と反省しています。
コメントありがとうございました!
2013/8/22(木) 午後 2:26