MLBとイチロー

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イチローの『僕の歩んだ道』MLB10年を観て

BS1元旦の目玉番組、イチローと糸井重里(コピーライター、作家等)、住吉美紀(アナウンサー、帰国子女、同年代)とのフリートーキングに近い対談を観ました。

異例の2時間に渡る対談は『僕の選んだ道』と題されて、イチローがMLBでの10年の中で、戦績以外の内面を中心に語ってくれました。

全体を通して思ったことは、実績を積み上げ、前人未到の記録が重ねられていくにつれ、本音の部分がより率直にさらけ出されているようで、より親しみやすい人間性を印象付けた対談だった。

まずは、人から自分がどう見られているかを常に意識して行動していて、こと野球に対しては、人から見られている自分と自分が意識している自分のイメージとの差は殆どないとのコメント。

これは、それだけ運動神経と日頃の鍛練ガ、隅々まで行き届いているかを示すものだと思う。

そしてイチローが今までで一番強烈に印象に残っている打席は、第2回WBC決勝戦の延長で放った勝ち越しタイムリーで、あの時の内面の葛藤を以下のように語った。

それまで不振に苦しんでいたこともあり、バッターボックスに立つまでは、「どうか、敬遠してくれ。」と、かつて経験した事のない弱気な気持ちになった。

それが、バッターボックスに立ちキャッチャーが座ってからは、逆に「絶対に打ってやるぞ!!」と言う強気の気持ちが支配し、ファールを打つ毎に打てそうな感覚が増し、低めのボール球をファールした時、次の好球は打てると確信してセンターに弾き返したと言う。

流石のイチローもあの場面では、かなりのプレシャーがあったようだが、少なくとも外からは、そんな内面の葛藤は微塵も感じさせない落ち着き払った振る舞いに終始していたのはやはり凡人には出来ないことだ.

それと相手に弱みを悟らせないと言うのも勝負に勝つための大事な要素であることを、イチローが教えてくれていると思う。

また、王貞治さんがイチローを語るコーナーでは、第1回目のWBCのキャプテンイチローを、「メンバーが集まった初練習の時、初っ端のランニングで、イチローキャプテンが全力で走って意気込みを行動で示した事で、みんなの心が一体になって最高のチームが出来、最高の力が発揮できた。」と絶賛。

そして優勝直後のグラウンドで王さんは優勝のトロフィーを手にイチローに歩み寄り、「君のおかげで優勝できた。有難う。」と率直に言ってくれた。

2回目のWBCでも、「打撃不振で苦しんでいたにもかかわらず、キャプテンとしてそんな悩みは一切態度に見せず、振る舞いでチームを引っ張り、最後はやはり自分で決めてくれた。」

とイチローのリーダーとしての素晴らしさを語った。

これを観てイチローは、椅子に正座でもするようなしぐさで本気で尊敬している事を態度で表し、「なんであんなに真っ白なんでしょうね」とイチローらしい表現で王さんの偉大さを言い表した。

恐らくこの偉人二人の間には前人未到の世界記録を打ち立てた人達にしか分らないような相互理解と最高の心の師弟関係が存在するように思えた。

そして、イチローは「僕はまだあんなに真っ白ではない。」と表現して王さんに人間性の面でまだまだ追いついていないと謙虚に言及している。

王さんのまっ白さがそうさせるのか、この二人の相互評価は本当に気高く清々しいものがある。

その後、前の最多安打記録保持者のジョージ・シズラーの子孫のインタビューで、イチローがシズラーのお墓に跪いて参拝したときの写真をその子孫に見せた時、その子孫が感涙した場面があったが、これなどはイチロー自身も、人間的に王さんに近づいている証だと思う。

その後ピート・ローズも出てきたが、上記の話の後だけに悪役に見えたのは仕方のない事か。

さて、これからのイチローだが37歳と言う事で、辞め際の美学を貫くか、ボロボロになるまでやってみるかは、まだ、想定はしていない様子だ。

とにかく、1年、1年を大事に集中してやっていくのだろう。


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