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ヤンキースに移籍してからのイチローは、10年ほど前の強いマリナーズ時代に持ち味を十分に出し切って溌剌とプレーしている姿とダブって見える。
ここ1年半、囁かれ続けた年齢が起因すると考えられた戦績の低下が嘘のような活躍ぶりだ。
確かに38歳になるのだから、どこかに衰えは近寄ってきているとは思うが、以前は長く続いた絶好調の波が、全くと言っていいほど、来ないままシーズンを終えてしまいかねない状態がマリナーズ時代の終盤は続いていた。
イチローの事だから、この不振からの巻き返しを図るために、身体的にはあらゆる準備はしてきたはずだ。
しかし、結果が出てこない。
悩んだ末に、気力、モチベーションの問題に行き着き、思い切って自分の環境を変えてみることを選んだのだ。
ヤンキーズ移籍の条件は、右腕投手用の準レギュラー、打順も7-9番の下位打線、守備もどこでも守れる外野手、年末までの契約とある意味、屈辱的ともいえるヤンキース寄りの厳しいものであった。
しかし、イチローはプレーオフ進出、ワールドシリーズ優勝の可能性の一番高いチームということで、ヤンキースを選び、厳しい条件をモチベーションあげるバネにして、ヤンキースに飛び込んだ。
この決断の結果、現時点を見ると、移籍後、打率327と200安打水準に戻っている。
特に正念場の9月以降379と盗塁、ファインプレーを含め、水を得た魚の如く、アドレナリンいっぱいの大活躍が続いている。
プレーオフ進出が決まったことから、当面の目標だったここでの活躍も十分期待できるし、常勝軍団の一員としてワールドシリーズでの優勝をはっきりと狙っている様子だ。
こうした状況をみると、ここ1年半のイチローの不振は気力、モチベーションの低下によるものだったようにも思う。
また、逆に言うなら、気力も含めた年齢による低下を、環境を変えることによるモチベーションの高まりで補い、全盛期の調子を取り戻しているともいえる。
イチローの決断は正しかったと現時点の結果は示している。
野球の天才は、自分の行く先(進路)の決断にも機敏なようだ。
いずれにしても、ファンとしてはイチローの活躍する勇姿がプレーオフでも見られることは、非常に嬉しいことだ。
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