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1938年秋リーグ、親父の出場試合2
親父の秋リーグ2回目の登板は、意外と早くやってきた。
9月18日の対南海戦で先回のセネターズ戦は11日だったので、丁度現在の投手ローテの間隔と同じ中6日と丁度コンディションもよかったのか、リリーフだが、念願のプロ初勝利を上げることになる。
『職業野球実況中継』よると内容は以下。
S13年秋 イーグルス対南海 1回戦 1938年 9月18日(日)甲子園
123456789 投手
イーグルス 000000200 2 亀田 望月
南海 010000000 1 宮口
勝利投手 望月 1勝0敗
敗戦投手 宮口 2勝3敗
イーグルスは、16日のジャイアンツ戦で延長14回(5対5の引分)を完投したエース亀田が先発。
流石に2日前の疲労が溜まっているのか2回に3連打を許し、1点を取られ、加点されるところを味方の好守に助けられ1点止まりに食い止めた。
3回も何とか抑えたが、延長完投の疲れがはっきりしていたのか、4回の頭から望月がリリーフ。
この4回からの望月の投球を『職業野球実況中継』では、以下のように解説している。
『4回から登板の望月は6回を除く毎回安打を許す。しかしバックが良く盛り立て、4回は高野百介の二盗をハリスが刺し、5回は先頭の宮口に中前打を許すがハリスの一塁牽制にタッチアウト。7回は一死後高野百介に中前打を打たれるが吉川は6-4-3のゲッツー。8回は宮口、小林を連続三振に取りながら平井に左前打、更にエンドランで栗生信夫に三遊間を破られ平井は二塁を蹴って三塁に向かうがレフト大貫賢からの三塁送球にタッチアウト。9回は二死から中野正雄に中前打を打たれるが高野を中飛に打ち取りプロ入り初勝利をあげる。ここまで負け試合のリリーフに起用されて好投を続けてきた経験がものを言ったのであろう。』
以上のように球そのものは走っていなかったようで4回からの6イニングで6安打されたが味方の好守と無四死球が示すように制球重視で丁寧に投げて何とか零封に抑えられた。
一方、南海のエース宮口も好投し、6回までイーグルスを零封に抑え、0−1でイーグルスが負けていたが、7回満塁からの四球と併殺崩れで2点を取り逆転。
この1点差を何とか守り切り望月に嬉しい初勝利が付くことになった。
実況で解説して頂いているように、負け試合のリリーフでもしっかり好投を続けてきた経験が非常に役に立っている。
また、ここが甲子園球場だったことで、思い出した事があった。
父は、高3の夏に投手として甲子園の土を踏んだが、その時、1回戦で1−2のサヨナラ負けを喫したのだ。
特に最後の1球は変化球の握りから、塁上の走者に惑わされ、中途半端な投球となり、痛恨の失投。
ここが甲子園球場であり、しかも、点数が2−1という接戦と言う事で、父の脳裏には、この苦い経験も教訓とし、コントロール重視の丁寧な投球を最後まで続けたことが、初勝利に繋がったと思う。
また、『バッキー・ハリスが4補殺、レフトの杉田屋守と大貫賢も1個ずつ補殺を決めるなど、両チーム無失策の引き締まった試合であった。』 と言うように、両チーム無失策、特にハリスの再三の好守が、父のピッチングを助け、投球リズムを作ってくれたことがもう一つの大きな勝因だ。
ともあれ、この1938年9月18日、親父が入団2年目の後半、ようやく味方の好守に助けられながら、念願のプロ初勝利を上げた。
我が家ではこの9月18日を記念日にすることに決めた。
親父、初勝利おめでとう。
(追記)
この初勝利に対しこの『職業野球実況中継』独自に定めている週間MVPの中で以下のコメント共に望月は殊勲賞を頂いている。
『殊勲賞 イーグルス 望月潤一 1 /9月18日の南海戦でプロ入り初勝利を飾る。昨年は投げるたびに四球で自滅していたが、今春はリリーフで試合を作ってきた。徐々に長いイニングを抑えられるようになりバックの援護もあって初勝利に結びついた。望月の成長振りを見ると、いかにステップを踏んでいく過程が重要であるかがよく分かる。』
ベースボールを熟知した含蓄の深い基準で決められている独自の賞であり、全球団中、その週に本当に輝いた選手の中から、公平に選出されており、非常に名誉あるありがたい事だ。
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