植物と生物防除のお話 和田哲夫

最近は植物の話が多くなっています。

植物関係

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先週は東京農大で元千葉大の本山先生をお迎えして講演をしてもらう。

昔パラチオンという猛毒の殺虫剤があり、年間自殺他殺事故を含めると500人くらい毎年死者が出ていたよし。

現在は数人から数十人くらいだろうか?

自動車事故死は4−5000人くらいだが、以前は1万人であった。

技術の進歩により、昔は5000人も死亡事後があったということになろうかと思う。

農薬もさらに安全性の高いものにすれば、死亡者数は0になる日が来ると予測できる。

天敵昆虫や、微生物農薬では自殺もできないからである。

ペルピニャン

After checking the powdery mildew degats (damage), visited local experiment station of Roussillon- Oc grape region.

They let us taste white Shelly type wine and dry white wine which were brewed there.

Sweet wine is excellent and we learned that in this region a red red wine called Banyules is famous.


In south France at Roussillon county, visited a small town called Colliour。

This town is now very touristic and lots of vacationers are on the beach, street and restaurants.

We had anchois fishes and kind of bouillabaise type fish soup...with some local white wine...

オランダ南欧マルハナ紀聞

アムステルダムは危険な街だといわれていたが本当にそうだろうか?
かって日本人がそこの運河で殺され浮かんでいるという猟奇事件があり、
アムステルダムの国際的な混淆性も高いことからそんな印象があるようだが、
実際怖い事件に遭遇したことはない。
とはいえ、私の後輩が出張で日本人の客を連れて、飾り窓の通りを歩いていたら、
東洋系の男が向こうの方からかけてきたという。頭から血を流していて、彼らの目の前で転倒。目の前で死んでしまった。
死んだのかどうか、不明だったが、との話だが、大げさに話す男なので
ただの酔っ払いだったかもしれない。
この旧教会(アウデケルク Oude Kerk)あたりは、柄が悪く、有名な
ブラウンカフェというマリファナを吸わせてくれるバーのようなカフェが何軒かある。
大麻の葉を刻んだものを売っていて、それを店の中で吸わせてくれるのである。
価格は高いような安いようなだが、いろいろグレードあり、1000円から2000円といったところだろうか。2−3本は巻くことができるような量だったと思う。
実は以前、カリフォルニアにいたころ、近所の知り合いの奥さんがジャズシンガーで
その人とピアノで遊んだりしたので、一度マリファナパーティに連れていってもらったことがある。
その時の印象としては、いわゆるバッドトリップというやつで、気分が暗くなり、
そこにいた白人連中に磔にされるような強迫観念に襲われたのである。
このトリップという状態は、30分から一時間くらいで消失するが、気分が暗くなることをStoned というのだろうか。そんな言葉を遥か昔に聞いたことがある。
そこでこのアムステルダムでは、どうなったか。
丁度日本からの若い男二人を二人連れていた。
30歳くらいの男は、バッドトリップになってしまい、急に怖がる素振りになってしまい、
日本に帰って捕まったらどうしよう、どうしようを連発。
もう一人はやけに明るくなって笑ってばかり。
人によってずいぶん違う反応を示すものである。
孫悟空が怪物のお腹のなかにはいって、笑うスイッチ、怒るスイッチ、心配するスイッチなどを滅茶苦茶に操作し始めたアニメを思い出してしまった。
二人はとくに問題なく帰国できたようだが、一人の心配性になってしまった男は
心配で買い物もできなくなってしまったようで、悪いことをしてしまった。

ところでアムステルダムはこんな繁華街ばかりでなく、文化的な香りのたつ
素晴らしい都市なのである。
国立博物館には、レンブラントの有名な「夜警」や自画像がいくつもあり、その近くの
ゴッホ美術館にはゴッホがごろごろしている。 オランダ時代の白黒のスケッチなどはかなり雑に展示されている。(近年改装してよりよくなったときいているが。)
うかつなことに僕はここにくるまで、ゴッホがオランダ人であることを
はっきりとは認識していなかった。
オランダ南部の町(Zundertという村で Bredaという比較的重要な町 の15km南西)の出身でそのころ書いた白黒のスケッチは農村風景である。かなり暗いオランダ特有の低い雲の下、畑の周辺の強く剪定したため細い枝が反もしている。木々の奇怪な枝ぶりを描いたり、みじめな農民の絵が多かった。
オランダの植民地はインドネシアだが、オランダ人はインドネシアを領有するまで背が低く、またベッドで寝るとき、完全に横にならず背もたれに体を預けて寝ていたと言われている。そのためベッドは極めて小さい。1m50cmくらいしか長さがない。
ゴッホのオランダ時代の白黒のスケッチとアルルの頃の絵を重ねてみると、同じ画家の絵とは思えない。わずかに農民と木々の描き方に類似性を見るのみである。
パリに出てから油絵が多くなったのだろうか、とくに南仏のニームやアルルの絵が多いので南フランスの人かと思ったりしたのである。
生きている間は一枚も絵が売れなかったというゴッホはやはり不幸だったと言わざるを得ないだろう。弟のテオも早く亡くなっているが、テオとの書簡集がきっかけでヴォラールという画商によって見出されたという。
彼の絵が実際どのように販売されたか興味深い。
アムステルダムから南に30分ほど電車に乗るとオランダの政治の首都であるデンハーグに着く。ここには近年つとに有名なフェルメールの「デルフトの風景」と「真珠の耳飾りの少女」がある。
オランダの貴人の邸宅だったマウリッツハウスという美術館でここの改修工事をしている間に数年前日本に真珠の少女は連れてこられたのである。
またこのデルフトにはシーボルトの収集した江戸時代の日本の文物が展示されている
シーボルト記念館も近年オープンしている。
ただ展示されているものは、コレクションの一部だけであるのが残念ではある。
車でないといけないのが、森のなかにあるクレーラ―ミューラー美術館である。
この美術館を真似たのが箱根の彫刻の森美術館であることを後で知って、本当に日本は真似っ子だと思ったものである。
まあハウステンボスまで作ってしまう国なので、驚くこともないのだろうが。
ついでにいえば東武鉄道が作ったワールドスクエアも、オランダの真似である。
オランダのものはオランダ国内にある建物だけを作っているので、東武よりは
小さいがオリジナルアイデアである。マドローダムという名前である。
中国のことを笑えない。

やさしい農薬学 と 
やさしい生物防除・天敵利用
 
奇跡のリンゴは本当の話か?
 
別にリンゴを無農薬で栽培してできて、当たり前の話です。
みなさんは、ヨーロッパのレンブラントやフェルメールやフランクなどの油絵をみたことがありますよね。
それらの絵にまるまるとした大きなリンゴや、桃、ブドウなどがおおきな鉢に盛られているのが描かれています。
でもこの時代、17世紀くらいでしょうか、農薬はまったくといってなかったのです。
なかったに等しいでしょうね。
ではどうしてそんなリンゴ、桃が病害虫に被害に遭わず健康に育ったのか?
もともと作物は自力で、育ち、種、実をつけ、次世代に引き継いできているので。
これはエジプト以前、たぶん数百万年前、それ以前かもしれませんが、継続してきていることです。
だからリンゴ、桃は現在もあるのです。
エジプト以前、もちろん、農薬はありません。
当時は農薬なしで果実が実をつけていたのです。
アダムが食べたのはたしかリンゴだったはずですね。
 
果樹は、もともと健全な状態で育っていれば、天候条件がよければ通常実をつけます。
それが、農薬を使わないとうまくできなかったのは、人間がそうしてしまったのです。
以下にその説明をします。
キーワードは、お分かりの通り、品種改良、天敵昆虫、天敵微生物、農薬、天候、栽培条件などです。
 
いまさら農薬についての解説書を書いても興味をひかれる人は少ないかもしれませんが、
生物防除、天敵利用を推し進めている筆者が通常の農薬について説明するのであれば
またすこし違ったニュアンスになるかもしれません。
では、始めます。
ところで私のバックグラウンドは農学部ですが、農薬の講義は受けた覚えはありません。
農薬学の研究室でクリタマバチの幼虫をほじくりだしている同級生からフェロモンの話は聞いたことはあります。
食品工学というあまり人気のない学科にいたので農薬と肥料の違いもわからず4年生になったように思います。
いまでははっきりとその違いは判りますが。
以下は私の頭に入っている情報です。とりあえず教科書や参考書は読みません。
教科書になってしまうのを恐れるからです。
 
1.農薬のはじまり 
植物性と動物性のもの
これはどちらかというと生物防除の教科書に書いてありますが、害虫防除はエジプトの時代から行われており、人々はいろいろなものを害虫に散布したりしていたようです。植物性のものが多かったようです。植物油などです
日本では江戸時代にクジラの油を水田の水に流し込み、そのあとで稲穂や稲の株を
棒などではたいて、ウンカなどの虫を水面に落として、溺死させるということが
通常に行われていました。その場面を描いた和書を僕はもっていましたが、
神保町の一省堂で買ったので、個人が持っていて紛失したり、捨てられたりすると
文化的損失と思い、売りに行きました。2万円くらい損しましたが、それでも2万円くらいに売れたことを覚えています。除蝗録という和本です。
油はナガスクジラでも、マッコウクジラでもいいようで、両方の絵が載っていました。
この鯨油法は動物性農薬と言っていいと思います。
 
鉱物性の農薬
 
これがいわゆる近代的な農薬の始まりといえるでしょう。
近代にはいっての鉱物性の農薬はフランスのワイン地帯であるボルドーで発見された
ボルドー液です。
盗難防止で始めたということですが、硫酸銅を水に溶かして散布しても
あの鮮やかな青い色は残らないはずですので、石灰も一緒に混ぜたものと
考えられます。そうすると白い石灰の粉が付着して、ワイン用に持っていきたくなくなることは考えられます。
ボルドーですから、生食用のブドウではなく、ワイン用のブドウだったと想像できます。日本人ですと巨峰のようなブドウを想像しますが、果実の大きさは巨峰の半分くらいで皮が厚く、甘みは濃いのですが、生食用に適しません。
この硫酸銅と石灰の混合物の水溶液をボルドー液といい、ブドウの大病害である
ベト病に効果があり、これはいまだに使われています。
当時は炭酸カルシウム(CaCO3)を使っていたようです。現在は生石灰(CaO)です。
有機栽培やビオワインにも使っていいことになっていますが、どうしてボルドー液だけ他の農薬が認められないのに、許可されているかは、科学的な謎です。
銅イオンが体に良いわけがないからです。
この硫酸銅などに石灰を加える理由は、薬害の防止、効果の延長などがあるようです。
物理化学的には、錯塩という状態になっていて、銅のイオンが直接植物の細胞に
影響をあたえないようにしているという理論を聞いたことがありますが、興味がある方、説明ができる方はご教示賜れば幸いです。
有機銅などもあり、現在は銅イオンを使った農薬の選択しはいくつもあります。
ただ国、地域によっては銅が土壌に蓄積するのであまり連続して使わない方がいいというところもあります。
いずれにせよ、病害虫に強い品種、健康な栽培条件(風通しがいい、土壌が健康その他)、天敵が豊富に存在するようにすることなどがまずは基本ですので、銅や硫黄などばかりに頼るのは化学農薬を使っているのと基本的には一緒と考えるべきです。
異論のある方はコメントいただければ幸いです。
 
他の鉱物性農薬
 
よく使われるものに、硫黄があります。
温泉にもよく使われているので、みなさん、とくに日本人にはなじみ深いですね。
よく硫黄泉の湧出しているあたりを見ると、黄色の硫黄が管やお湯を流す桝などの
縁にこびりついていますね。あれは温度が下がって溶けていた硫黄が析出、つまり
溶けていられず結晶化したのかと思っていたら、実は違うようです。
なんと微生物が析出の働きをしているためだというのです。
硫黄細菌というようです。遺伝子組み換えなどにも関係している、高温耐性細菌の一種です。
閑話休題。硫黄そのものの急性毒性は低いのですが、実際に使う石灰硫黄合剤(多硫化カルシウムが主成分)の急性毒性はラットで500mg/kgLD50 つまり半数が死亡するという数字で、これは必ずしも低い数字ではありません。60kgの体重の人間であれば30グラム飲むと死ぬ可能性があるということです。もちろん人間とラットでは
耐性が違うので、推定ですが、通常10倍の安全係数をかけているので、3グラム以下にすべきという指示が通常はなされます。
硫黄剤は殺菌剤というだけではなく、殺虫剤でもあります。
ハダニや戦前はカイガラムシにも日本でも使われていたようです。
硫黄を燻蒸、温度をかけて揮発させるとウドンコ病がなくなることはイチゴ農家であれば誰でも知っています。
でも硫黄剤で中毒したりした話は聞いたことがないので、安全な部類とあくまで推定ですが、判断できます。
 
ところで、
化学農薬と飢饉のどちらをとるか?
 
という質問は愚問ですね。
だれでも飢饉より、農薬防除して食物が多いほうがいいはずです。
例外の方はいるかもしれませんが。
 
化学農薬がないとたぶん世界の食料生産量は激減するはずです。
現在、中国、ブラジル、インド、米国、ヨーロッパ、日本その他で農業生産が安定して、
飽食できているのは、実に農薬のおかげなのです。
それなのに、農薬は目の敵にされているという非常に矛盾した状況です。
もちろん危険な化学農薬もいくつもあります。
それらが、いまだに販売されているというのも問題です。
ですから、反農薬、無農薬というのは、贅沢な要求ともいえますが、同時に非社会的な要求ともいえます。
農業生産量を落としたほうが、いいのかという問題です。
 
私が専門にしている、天敵による害虫防除、微生物による害虫防除を実施している、できている国は、二つに分類できます。
ひとつはお金がない国です。農薬を買うお金がない国です。
もう一つは豊かなお金持ちの国です。たとえばオランダ、ドイツ、ベルギー、イギリス、
カナダ、アメリカ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、フランス、スペイン、イタリアなどです。それに私たちの日本です。
 
お金がない国とはどこか?それはベルリンの壁崩壊前のソヴィエト、文化大革命のころの
中国、インドネシアやベトナム、タイなどの田舎などです。
そのような国では、国あるいは地方政府が農業試験場などに命令して天敵昆虫などを大量に作って大規模に天敵を放飼していますが、放飼しているというだけで、その結果がどうなったかというデータはありません。共産圏でよく見られた状況です。
東南アジアでは、農家の庭先などで微生物を桶のようなところで増やしたり、大学で作った微生物殺虫剤を単発的に農家に撒かせたりしています。
継続的な作業とはいえません。日本の大学なども日本政府の援助資金でそのような微生物農薬増殖施設をつくったりしていますが、そのような、アカデミックな機構がつくった
施設の運営が安定的にできるはずがありません。ベトナムのケースです。
やはり民間企業と農家、技術者たちが、経済性に則り、生物農薬を生産、販売しないと
成功はおぼつきません。
ひとつだけ例外があります。
それは例として、砂糖会社が自分の畑、あるいは買い上げをする農家の畑にたいして
砂糖工場で生産した天敵昆虫や微生物を使わせるというケースです。
この場合は、管理がしっかりしているので、成功しています。
ブラジルのケースです。
 
さて農薬に戻ります。
 
農薬には殺虫剤、殺菌剤、除草剤があります。その他はとりあえず省略します。
 
このなかで一番金額的にも面積的も多く使われているのが、除草剤です。
これは理解しやすいですね。
広大な畑の雑草を刈ったり、抜いたりすることは事実上不可能です。
水田でも夏場、泥のなかに入っての除草作業は重労働だったと聞いています。
つまり除草剤は現実的に必要であり、農業生産に、大量に穀物、作物を作るのであれば
必要だということです。
狭い畑ならば手で抜いたり、草刈り機で刈ることは可能です。
除草剤に代わる生物系のものは、アメリカや日本でいくつか試みられましたが、まだ実用に耐えるものは出てきていません。草を食べる昆虫、草をからすカビなどですが。
世界の農業生産を支えているのは、除草剤だといってもまさに過言では、ありません。
 
 
 
 

世界の農薬業界の現実

久しぶりに私のブログを読んで参考になったという人がいたので、
うれしくなり、新しい書下ろしの情報を掲載します。
 
農薬業界の現実
 
日本の農薬業界の全体の売上は各県の問屋、全農への卸値レベルで約3500億円程度である。これは冷蔵庫の業界サイズとほぼ同じである。
世界のマーケットサイズはこの約10倍以上で4兆5千億円程度。
世界最大の農薬消費国はずっと米国であった近年はブラジルが首位をリードしている。
数年前は米国が1位、ブラジルが2位、日本はなんと3位だったが、最近は中国に抜かれているはずである。
 
それにしてもこんなに小さな国で、農薬使用金額が世界4位程度というのは使いすぎなのかと言われれば、必ずしもそうでもない。
日本の農薬価格が高いので、売り上げでは、上位になるのである。
それにしても順位が10位以内なのは、直観的には理解しがたいが、やはり使いすぎということもあるとは思うが、主には価格で押し上げられていると思われる。
 
農薬業界は医薬品などと同様により性能のよい薬をもったものが市場を制覇するという原則がある。
そのためメーカー間においては売り手市場である。
よりよい剤、薬剤を求めて原体メーカーに世界中の新規剤導入担当者が日参ではないにしても頻繁に訪問し、開発進捗状況を聴取し、情報をとろうとするのである。
 
20世紀の後半、すなわち1980年代から21世紀にかけて、世界で新規の農薬を発明できる国は限られていた。
いわゆる先進国と言われる国しか発明はできていないのである。
すなわち、ドイツ、スイス、アメリカ、日本、スイス、イタリアだけといっても過言ではないであろう。
以前は、オランダ、スウェーデン、チェコ、ハンガリー、オーストリアもこの新規薬剤の発明戦線に参戦していたが、開発費がかかるわりにリターンが少ないこと、ドイツ、アメリカ、日本のレベルが高く追い付くことが困難であることから、撤退している。
医薬品のほうがリターンが大きいので、それらの国でも医薬品会社は開発を継続している。
近年は韓国、中国が若干農薬の発明品を出してきているようだが、まだ市場に占める割合は極めて小さいか、開発途上である。
メーカー数でいえば日本がもっとも多い。
化学メーカーと農薬専業メーカーが存在しているからである。
日本でも以前は今以上に農薬開発をしている会社があったが撤退している。
売却された部門が多い。あるいは細々と継続しているケースもある。
たとえば、三菱化学、三共、武田、宇部、ダイセル、東レ、三井製糖、徳山曹達、昭和電工、日本化学、塩野義製薬、藤沢製薬、三菱油化、東ソーなどが農薬の開発から手を引いている。
 
世界の農薬業界を牛耳っているのは、スイスのバーゼルに本社のあるシンジェンタである。
この会社は、何社もの農薬会社が合併してできた会社で、それはドイツのバイエル、BASFの農薬部門も同様であるが、この2社は名前をかえずに吸収するだけでこれた幸福な会社といえる。 この2社がシンジェンタに続き、その後に、米国のデュポン、ダウなどの大手化学会社、その後、日本の住友化学、クミアイ化学などが続いている。
日本の農薬会社は小粒ながら、開発力があると定評がある。
その理由はなんであろうか。
いくつかの理由が考えられる。
・基礎となる化学工業が盛んであったこと。
・日本における農薬事業が高収益な構造であったこと。
・日本人の性格として、コピー品を作るより、オリジナル品を作ることに注力したこと。
・農薬取締法によりジェネリック品の日本市場への参入ができなかったこと。
などがあげられる。
もちろん日本人の頭脳が優れていたことも考えられるが、勤勉さでもあったかもしれない。
 
2000年くらいまでは、世界の農薬業界はジェネリック品、いわゆるコピー品を忌み嫌っていた。
価格が下がり、マーケットを奪われるのだから、当然のことであろう。
世界のジェネリック農薬はどこで作っているかといえば、中国とインドである。
 
中国は当初特許を無視してアメリカやヨーロッパ、日本のまだ特許のある薬剤のコピー製品を製造していた。
中国は当初、特許制度がなかったのでこのような勝手な真似が許されたのである。
また世界各国も法律的に訴えることが不可能なので、静観せざるを得なかった。
そのため、中国では数千もの農薬製造工場が乱立する状況となった。
以下日本の特許庁の調査を引用する。
 
その背景として、中国では 1993年以前は化合物(物質)特許制度が導入されていなかったため、外国企業が発明・開発した化合物について実効のある特許は成立しなかったことに加えて、化合物特許制度の導入に先だって、1992年末以前までの間、中国国内企業が製造又は製造計画していた外国発明品の農薬登録を発明者の農薬登録取得に先行し認める政策がとられたことにある。
これに該当する事例は数十品目にのぼり、これらの化合物を中心に模倣品問題が起こっている。
 
ということで、中国におけるコピー品の農薬、現在はジェネリック農薬とよぶ、の勢いはとどまることを知らず、当初は国内や、規制の緩い発展途上国に輸出する程度であったのが、近年では欧米、日本でもオリジナルの薬剤を開発した会社が、コスト削減のためコピー品メーカーから供給を仰ぐようになってしまっている。
このような状態は、健全ではなく、正直者が馬鹿を見ているような状況であるが、経済性の前には、倫理も曲げられるのである。
ただ一方、特許といのは、かっての中国からいえば、豊かな国、先行する国だけがますます利を得る制度で必ずしも、人類の基本的なルールでないという意見もあるようだ。
近代的な特許法が成立したのは、まだ19世紀後半のことである。
それまでは技術は無償で他社に提供されていたのである。
古いケースだが、紙の製造法、羅針盤、古伊万里の磁器の製造法など枚挙に遑がない。
秘密を守ることによって、技術の流出を防ぐことも行われてはいた。
 
いずれにしても現在、中国とインドは世界の農薬工場となっている。
日本もそうなる可能性があったのだが、比較的早い時期に、オリジナル品を発明する方針に転換したことは誇ることができる。
韓国, 中国、インドはいまだ農薬分野の発明では見るべきものは少ない。
それができるようになるとは到底思えないがどうだろう。
アジアの情けないところである。
 

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