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チェロは大変!

実はよくある事故の一つなんですけど、先週チェリストの方が大きな事故にあいました。チェリストにではなくてチェロにです。海外から日本に来たんですが、なんとチェロの表板と裏板に魂柱割れが入ってしまいました。これはフライトケースを使っても飛行機で客室に持ち込まない限りそこそこよくおきる事故だったりします。この方の場合飛行場ですぐケースを開けて確認していたのですぐに保険会社に連絡を入れられたんですが、一体どうなることやら。演奏会はこちらで急遽楽器を借りて行うことになりました。

 この飛行機移動中の魂柱割れ、本当によくおきます。この数年だけでももう何件もみてきました。特にチェロはケースの良し悪しに関らず衝撃に弱いのでネックが折れたり、魂柱割れがおきたりというのはそこそこありえることです。一度壊れてしまっても直せるといいつつ、楽器としての価値は修復できません。バイオリンはそこまででもないですけど、チェロの場合、特に高い楽器を使っている場合は保険をかけ、もし飛行機に乗るときはできるだけ客室に持ち込みましょう。一人分のチケット代よりはチェロのシート代は若干安いです。

 つくづく今日はそう思い知らされました。実はぐちゃぐちゃの楽器をきれいに直す方が、ほとんど完璧な楽器をよりよくするよりはずっと簡単。特に音というのは感じ方に個人差が大きいから大変。オーナーと完全にシンクロできないと同じ形容詞を使っていても指していることはまったく違ったり・・指していることは同じでも一人はポジティブに捉えててもう一人はネガティブに捉えていたり。こればかりはどうしようもありません。だからこそ皆さんお気に入りのお店があり調整があるんですよね。
 さて、好みについてですがこれまた難しい問題です。たとえは2つの音を聞いてどちらがいい音と思うかと聞いたら100人いたら全員が同じ方を選ぶとは限らないんですよね。そしてそれが正しいんです。でも人によっては自分の耳に自信がない、だから人の意見も大事になる。これは楽器選びのときに顕著になりますが実は調整の時にも大事です。楽器選びの時にはアマチュアプレーヤーの場合、他の人に頼ろうと最初から思っていたりするので逆に問題が少ないかもしれません。それに対して調整はもう大きな外側の枠は決まっているからその中で一つずつ選んでいく訳です。高音をもっとやわらかくとか、全体にもっと音量を、とか。でも最終的には音は相対的に聞いているので一つが変わると他の印象もかわってしまう。そうなるともう果てしなくいろいろとあったりして・・・調整に関してもある程度いろいろな人の意見を聞きながら、というのがお勧めです。なぜかというと耳元で聞こえている音と周りで聞こえている音にはかなりの違いがあって、完全に一人でしか弾かない人というのはまれだから。オケとかには行っていなくてもレッスンに行っていたりして誰かが外から聞いているものなんです。そしてあまりに偏った方向に行き過ぎない歯止め役にもなってくれます。まあ趣味で弾くならとことん自分の志向を追及するのもありだとは思いますが、なんだかんだ人に言われることって気になるものですしね。
 まず調整ははじめての方にお勧めするのはすべてを一度スーパースタンダードにすること。そしてそれからどうするか、考えるというのが一番だと思います。なぜかというとスタンダードにまずするとより客観的にその楽器のキャラクターが判るから。ただちょっと回りくどいと考える方も多いかも・・・・・でもバイオリンってそうダイレクトに何でもできるものじゃないんです、残念ながら。それから最終的には自分と感性の近い人もしくはよく理解してくれる人を見つけることだと思います。結局それが満足な調整か不満が残る調整かの大きな分かれ目ではないでしょうか。

 

Baking Day

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この間雨が降って寒かった日はオーブンの日にしました。これから寒い季節はオーブン料理が良いですね。Bakingは普通クッキー焼いたりケーキやいたるするんだけどこの間は修理用の木の用意でした。修理するときにはボタンを新しくしたり、コーナーを新しくしたりと新たに木を付け足すこともあるんだけどそのときに困るのが、300年もたった木と同じ色している木なんてないってこと。でもコーナーとか直接音に関係しない部分を直すときには焼いた木を使うことで解決。中には薬品で色をつける人も結構いるけど、コーナーとかボタンとかだったら私は焼いてある木の方が好きかな。まあマニアックな話は置いといて上の写真は焼く前と焼いた後の写真。かなり違うのがわかると思うけど、実際古い木ってあのくらい黒かったりするんだよね。すごい違い・・・前、お会いした修復家の方は安いオールドジャーマンとかを買っておいてイタリアンの修復のときにその板を使ったりするって言ってたなあ・・・・オールドジャーマンちょっとかわいそう。

調整

この間ネックを上げた楽器の調整をしてみました。昨日はちょっと手伝ってくれる友達がいたのでその人に弾いてもらって客観的に音を聞いてみることもできました。
 その結果よくも悪くも新作的な特徴が際立って感じられた、というところでしょか。
 どんなところが新作的かといえばいくつかあるのですが、A線E線が耳元ではかなりがんがん聞こえるのに周りからはそうは聞こえず逆に低弦がこもって聞こえるというところが一番大きい気がします。結局、低弦をよりクリアに出す調整で終わりましたが、この数日で新しい駒と新しい張力にぐっとなじんだようで正しくパワフルな新作イタリアンといった感じになりました。フォルテで弾けば弾くほど音がいい、です。これで半年も弾けばかなり全体的になってくるのではないかと思います。

 さて何人か次回のセットアップ講座参加希望の方がいらっしゃるようなので11日かその次の週末でまたやろうかと考えています。それに大体みなさん年末が近づくと気になっていたところを直しておこうと考えられるようなので時期的にも良いのではと思っています。希望の日時などあったらコメントいただけると嬉しいです。

ネックを上げる?

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以前ネックが下がっている楽器って多いですよね、というお話を書いたので今回は下がっちゃったのを直すってどういうことって言うのです。

 写真はネックが下がっているとどのくらい低いか、2番目は上げる修理の途中(一番何しているのかわかるところと、最後にネックをどのくらい上げたのかというものです。

こちらの楽器は新作イタリアン。多いんですよね、新作イタリアンでネック下がっちゃっているの。この楽器も駒のが高さが30mm切っています。これはそこそこ重症。とくにこちらは表板も厚く、かなりパワーがないと箱を振動させられないタイプなので問題です。実際、こちらの楽器の使用者の方も音量がないことを気にしていらっしゃいます。修理前の状況としては、鳴っているのは弦だけで箱は振動していない。振動が小さくても音がでるE線は大きく、G線はよく言えばやさしい音だけど全くなっていない感じ、オーナーの方がオールドっぽい音を求めているようでビオリーノを張っていて表板には本当に少ししか力が加わっていない。多分ナイロン弦の中では最も張力が弱い弦のひとつということで新作をこの弦でこのセットアップで振動させるのはかなり至難の業のはず。時には逆であまりにも負担がかかっていなさすぎで表板が太鼓の皮のように振動してしまうということもあるんですけどね。そういうのは隆起がフラットな楽器に多いです。
 
 というわけでニュヨークネックリセットといわれる修理をしてみました。2番目の写真にあるように、表板とネックの間に薄い木の板を挟むことによりこての原理でネックの角度を変えています。この楽器は幸いにもハングオーバー(二日酔いのことじゃなくてこの場合は表板の横板のはみ出している部分のことね)が十分あったのでこの方法で2.5mm以上上げることができました。

 この状態でささっと駒を立ててみました。まだ駒は仕上がってはいないですが音を聞いてみるには十分です。写真でもわかるように新しい駒は32mm以上あります。丁度標準的な高さ。これででてくる音は?音量は間違いなく倍増したし、この楽器の音らしい音がしています。優等生的に新作の音という感じでしょうか。ただビオリーノだと危惧してた通り中途半端にしか箱に働きかけられず倍音がかなり限られてしまいます。その結果ちょっと安い楽器ぽい音になってします。今試してみた限りエーヴァピラッチの強さが必要なようです。新作で隆起を考えるとある程度当然の結果なんですが、オーナーはなんと言うか・・・・・話している限りではオールドジャーマンのようなやさしい音の楽器を求めているのであって華やかさだのはあまり求めていらっしゃらないようなんですよね。それにまだE線の鋭さが気になります。とりあえず駒を立てたばかりの試し弾きなので数日このテンションで放っておいてまた調整に戻ろうかと思います。表板に圧力がかかった状態に少し慣らすことで音も変わるしすべきこともわかってくるはずです。また数日後にどうなるかお知らせします。


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