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宮に関する20のお題
『15.公式行事』
チェギョンがマカオから帰国してから二人の公務が殆どないのと同時に公式行事すらもない。
上皇夫婦や女王陛下の計らいで、チェギョンの帰国後、二人に僅かに残された高校生活を
ごく普通の高校生として過ごして貰いたいと言う事で、二人が高校を卒業するまでの間、
皇太弟夫婦には、一切公務と言った公式行事の予定を入れなかった。
二人が高校を卒業すると同時に、公務と言った公式行事が次から次へと予定に組み込まれて行った。
そして今日。
チェギョンがマカオから帰国して初めての公務。
それは、ソウル市内にある養護学校でシンが総裁を務める社会福祉団体のシンポジューム出席。
シンポジュームへの出席の為、二人は皇室専用車に乗り込みソウル市内にある養護学校まで行った。
『チェギョン妃!
帰国後初めてのご公務』
『皇太弟ご夫婦
2週間ぶりに公の場へ』
等と行った見出しが二人の写真と共に大きく一面を飾っていた為、多くの国民が宮やシンポジューム
の会場となる養護学校に報道陣と共に、二人の姿を一目見ようと沿道に押し寄せていた為、宮・養護学校
周辺は、警備の厳戒態勢になっていた。
相変わらずチェギョンは、自分達を一目見ようと集まった国民と報道陣の多さに圧倒され、運転席側の
後部座席に座るシンの手をギュッと握った。
シンは、そんなチェギョンの不安を感じ取り笑みを浮かべた。
二人を乗せた車はゆっくり養護学校の校内に入り、校舎玄関に横付けされた。
「大丈夫だぁ!お前ならできるさぁ。僕がお前の側についているから・・・」
車から降りる前にシンは、チェギョンに耳打ちするとチェギョンは”うん”と言うように首を立てに振った。
養護学校の校長を初め、社会福祉団体の会長等と言った関係者が二人を出迎えた。
二人は、校長の案内と共に校内を見学。
教室に入り子供達の授業風景を見て周り、二人は美術室へ入って行った。
美術室。
美術室には、子供達が描いた絵やちぎり絵や図画工作が展示してあった。
シンとチェギョンは、子供達が一生懸命描き作った作品を釘入る様にみていた。
その中でも、チェギョンはある一枚の絵に釘付けとなった。
「妃宮?」
一枚の絵の前から動かないチェギョンにシンは声を掛けた。
普段は、チェギョンと名前で呼んでいるが、公務や公式行事やチェギョンが他の男性と親しげに
話している時等は、名前でなく妃宮と敬称で呼んでいる。
チェギョンもまた、公務や公式行事等と言った時は、時々公式の場でシンを何時もの様に”シン君”と
呼んでしまう時もあるが、シンを殿下と呼ぶようにしている。
だが、一つの物に夢中になってしまったチェギョンは、シンにいくら妃宮と呼ばれても”一体誰を呼ん
でいるの”と言う感じに気にする事なく一枚の絵に釘入っていた。
立ち止まったままシンは周囲に気づかれる事なく大きな溜め息を付き、長年培った皇太子スマイルの仮
面を被った笑みを浮かべ、チェギョンを見ていた。
「ご熱心に一枚の絵をご覧になられていますね。」
二人に同行していう社会福祉団体の会長がシンに声を掛けた。
「ええっ。妃宮は、美術を専攻していますので・・・妃宮が懸命に見ている絵に何かを感じるんでしょう。」
「チェギョン、そんなにこの絵が気に入ったか?」
一枚の絵から動かないチェギョンの隣にシンが立ち、そっと耳打ちした。
シンに耳打ちされ、はっとチェギョンは我に返った。
「うん。」
「この絵を見ているだけで、不思議に私も頑張らなくちゃ!と言う気持ちになるし・・・見ているだけで
私に何かを問いかけている様な気がするの?」
「そうか・・・」
一枚の絵の前で二人で笑みを浮かべながら話していると後ろから校長先生が話し掛けて来た。
「殿下と妃宮媽媽がご覧になられている絵は、教壇近くの窓際の机に座る児童、チョン・チュテ。
本校の5年生で、一時公立小学校に復帰したのですが、昨年再び白血病が再発し再び本校に転入して
来ました。」
「白血病・・・あのーっ。」
「はい。妃宮媽媽」
「この絵を描いたチュテ君に話掛けてもいいでしょうか?」」
「勿論です?」
校長がチェギョンに言うとチェギョンは、『ありがとうございます』と言うと真っ直ぐ窓際で
スケッチしている少年の方に足を進めた。
「何描いているの?」
突然、皇太弟妃であるチェギョンに話しかけられ、一瞬驚いた表情を浮かべたチュテだが、チェギョン
が持つ独特の皇族だが皇族でない、誰にでも親しみやすい、どんな人でも心を開いてしまう不思議な雰
囲気を持つチェギョンだけあって、チュテも直ぐに警戒心を解き、子供らしい笑顔が出た。
「ここから見える風景」
「学校から見える風景?」
「うん。今日は、空がとっても綺麗だから」
「そうね。外は寒いけれど・・・空気が澄んでいてとても綺麗よね」
「でも、絵具だとどうしても上手く細い線を描いたり出来ないから、どうしても上手く絵が描けないんだ。」
絵具で空を塗りながら話すチュテ。
「水彩画はね、色鉛筆を使っても大丈夫なのよ!」
「えっ!いいの?」
「いいわ。」
「妃宮は、高校からデザインや美術の勉強をしているので、分からない事があったら、質問すると良いよ。」
ニコニコ微笑みながら話しているといつの間にかチュテとチェギョンの後ろに立っていたシンが二人の
話に入って来た瞬間、先程まで気軽に何でも話していたチュテが急に緊張した表情を浮かべ黙ってしまった。
「チュテ君、こう見ても殿下は、とてもお優しい方だから、そんなに緊張しなくても大丈夫よ。」
(おい、チェギョン!こう見てもは、何だ?僕は、元々優しいんだ)と言わんばかりの目でシンは、
チュギョンを見ていた。
チェギョンが緊張しなくても大丈夫だよ!と言う一言で少しずつ緊張が解れ、チュテは、恐る恐る再び遠慮がちに
口を開いた。
「妃宮媽媽。」
「何?」
「絵具で絵を描くにあたって、筆や色鉛筆の他に何を使って描けば良いんですか?」
「そうねぇ・・・私は、水彩画を描く時は、水彩絵具色鉛筆や歯ブラシも使ったりするわ!」
「水彩絵具色鉛筆と歯ブラシ?」
「そう、水彩絵具色鉛筆はね、普通の色鉛筆感覚でも使えるけど・・・水彩絵具色鉛筆で書いた線を水に
濡らし少しぼかしてみたり、色々と応用が利くのよ!」
「へぇ〜。歯ブラシは?」
「歯ブラシはねぇ・・・こう言う所に使うの」
チェギョンは、テチュが描いていた小枝に付く茂った葉を指差し指で絵を描くようにして見せた。
真剣な眼差しでチェギョンの指を見つめるチュテ。
「こんな感じにねぇ!」
そんなチェギョンの姿を見て、初めて自分の未来を思い浮かべ一人シンは、微笑んでいた事は、シン
意外は誰も知りえない。
チェギョンは、今回の公式行事で出会った白血病の少年、テチュとの出会いで皇太弟妃として大きく成
長する切っ掛けとなった。
その日の夕方。
ソファーに座りチェ尚宮が入れた紅茶を両手で包むように持ち、何気にテレビをボーっとチェギョンは見ていた。
すると、ニュースで日中、公務で訪れた映像が流れた。
「ねぇーっ。シン君。私達がテレビに映っているよ!」
一人がけのソファーに座り映画関係の雑誌を読んでいるシンにチェギョンは、叫ぶように言った。
「うん?」
顔を上げテレビを見た。
「あーっ。昼間のかぁ!何時こんな映像撮ったんだろうなぁ。宮の広報もやるもんだなぁ」
と言ってシンは、再び雑誌に目を向けた。
ニュースで流れた映像は、美術室でチュテと話している映像だった。
終わり
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こんにちはです!
チェギョンの優しさがあふれたエピソードですね♪ それを見守るシン君 ステキです☆
2008/9/25(木) 午後 3:37
miharuruさんへ
このお話は、先月、福祉施設の夏祭りに行った時、施設内に飾られてある利用者が描いた絵やレースの刺繍等の展示物を見て思いついたお話なんです。
仕事の打ち合わせ等で、老人ホームに行くと利用者が作ったちぎり絵等が大きく食堂の壁に飾ってあるのを見て、いつも私は、すごいなーと感じながらみています。
2008/9/25(木) 午後 5:10
ともたんさん、こんばんは。
とても気持ちが暖かくなるお話でした。
チェギョンのやさしさが、チュテ君に伝わりその様子をみているシン君も嬉しかったでしょうね。
また、ともたんさんのお話待っています。
2008/9/25(木) 午後 5:24
かぐらさんへ
良く私は、仕事の打ち合わせ&ボランティアで児童福祉施設や更生施設等に行きます。
これから、お話の中でシンとチェギョンを使って、現場で私が見た介護福祉の問題をご紹介出来たらいいなーと思っています。
2008/9/27(土) 午前 11:01