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FD保存ファイルが2004年10月23日
4年前に書いた「はいからさんが通る」の二次創作。
関東大震災後、紅緒さんが少尉の所に嫁ぐ前のお話です。
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「生きていられたことが」
突然大きな揺れを感じた瞬間から・・・・
一瞬にして火の海・ガレキの山となった東京・・・・
大切な人を失った人
住む家を失った人
そして・・・・我が家も無残にも焼け落ち跡形も無くなった。
しかし、私達親子は、あの地震で大切な物を得た。
あれから数日の間、私の知らない間に私と少尉の仮祝言の日取りが決まり、
私達親子は避難生活を送っていた。
避難所には、毎日の様に少尉が私達親子に一緒に伊集院家で暮らそうと
私や私の父に説得する日々が数日続いた。
そんなある日・・・
少尉が一本の焼き焦げた木を見上げていた。
その木は、以前私が木から落ち少尉が私をキャッチしてくれた思い出の木。
少尉・・・その木での出来事を覚えていてくれているのかな?
覚えていてくれたら嬉しいな?
少尉の背中を見つめ思った。
私は少尉を驚かそうと少尉の背後からそっと抱きついた。
一瞬驚いたように、ビクッと少尉の体が動いた。
抱きついたその手が私だと気づくと、少尉の胸に回した私の手にそっと自分の
手を置いた。
少尉の匂いがする。
背中は温かくて気持ちが良い・・・・
「何をしていたのですか?姿が見当たらなかったから・・・心配しました。」
「紅緒さん!この木覚えていますか?」
「ええ!覚えています。この木での出来事は私にとって大切な思い出です。
何だか寂しい・・・・」
「何故?」
「だって・・・私にとって大切な思い出の木がこんな姿になってしまって・・・・
思い出が消えてしまうと言う感じで・・・」
「僕にとってもこの木は、思い出深い大事な場所です。しかし、思い出の場所
は、いつかなくなってしまうけど・・・・僕と紅緒さんが生きている限り、この場所
この木は、永遠に僕達の心の中であの時のままの姿で残っています。」
「私達の心の中で永遠に残っている・・・・」
私は、少尉の背中に回していた腕に力を入れ少尉の背中に顔を埋めた。
「紅緒さん?」
「少尉の背中・・・温かい・・・」
「僕の背中温かいですか?」
「はい。暫くこのままにしていて良い?」
「良いですよ」
少尉の背中に顔を埋めて少尉の温もりを感じているだけで・・・・
苦しかった事・悲しかった事など、一瞬にして忘れられるような気がした。
今こうして、生きていられた事が幸せで・・・
これからこうして、この人の温もりを感じているだけで、私は生きているん
だと実感する。
私は、これから・・・この人の温もり・匂いを感じ共に生きて行く。
明日私は、この人の花嫁になる・・・・・
お互いの温もりを感じるまで、随分遠回りしたけれど・・・
あの地震のお陰で・・・私達の心がやっと一つになった。
---END---
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