ゆーくんはどこ?

皆様ありがとうごさいました。アメブロへ引越しますので、また、お会いしましょう! 我人に媚びず、富貴を望まず。(黒田官兵衛)

全体表示

[ リスト ]

人斬り半次郎

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/e7/03/tomyu1999/folder/1222326/img_1222326_41978562_0?20060930004425.jpg



「人斬り半次郎」(幕末編 / 賊将編) 池波正太郎先生著


この小説は、「人斬り」と畏怖された薩摩藩士 中村半次郎(=維新後、桐野利秋と改名)の、
西郷隆盛と共に駆け抜けた全編「チェスト!」の痛快歴史小説である。

イメージ 1イメージ 2







   
   幕末編         賊将編


流刑人の父を持ち極貧の生活にあった半次郎は、西郷先生に見出され、
西郷先生の背中を追っかけてて幕末を疾走する。(幕末編)

西郷が征韓論で破れ、故郷鹿児島へ下野したときは
陸軍少将という地位も名誉もなげうって共に帰郷して再起を計り
西南戦争では西郷隆盛に最期まで付き従い、城山では敵に切り込み壮絶な戦死を遂げる。(賊将編)


カバー挿絵の桜島を「西郷先生」に見立てることもできよう。
半次郎と西郷隆盛達最後の日も、桜島は噴火していたという。


前回紹介した「西郷隆盛」は僅か240ページながらも、遊びも余興もなく、
研ぎ澄まされた文体で「西郷隆盛」という人物を描いた池波先生だが、
この「人斬り半次郎」は、艶ありチャンバラありユーモアあり涙ありの
エンターテイメント120%の娯楽作品として仕上がっている

この違いはやはり主人公「中村半次郎」の、
いかにも薩摩っぽらしい、豪放磊落で情にあつく何よりも西郷隆盛という男を惚れぬいて
無心に人生を走りぬいた、そういう「明るさ」ゆえだと思う。

この小説で、池波先生は、おそらく唯一の創作上の人物を登場させている。

京都「不了庵」に住む 謎の尼「法秀」である

すこぶるイイ女なのである!
彼女は半次郎にとっては「菩薩観音」のような存在なのだ。

愛人で、しかも、書や文章などの先生でもあった。
半次郎は彼女から、動乱の時代を生き抜く勇気と知恵を教えて貰ったのだ。


事実、京都藩邸で西郷や小松帯刀ら、藩の重鎮から信頼を得るようになるのは
半次郎の卓越した剣の腕前だけではなく、偵察能力や、調整能力を見込まれてのことであった。

極貧の生まれゆえ、無学文盲と思われていた半次郎だか、この京都時代には
見事な文字で日記をつけているなどなかなかの教養を身につけている。
維新前夜の目まぐるしい多忙な日々のなかにありながらも、
向上心をもって必至に勉学に励んだからこそ、明治維新で「陸軍少将」まで出世できたといえよう。


池波先生も書かれているが、
幕末、「人斬り」の異名をもった志士の殆どは悲惨な最期を迎えているが、
唯一例外だったのが、中村半次郎であったのだ。



ちょっとここで、「征韓論」について考察してみよう

小説後編である「賊将編」の大部分は、桐野利秋(半次郎)の目からみた西郷隆盛の姿であるからだ。
その筆には熱い思いが込められている。

西郷の征韓論は、現代でも批判の声は大きい。西郷の政治能力の限界を示すとも言われていた。
しかし、そうだろうか?

朝鮮は李氏王朝の末期で、消滅した徳川政権のみが正統な日本国代表だと主張し
明治新政府に対しては非礼で高圧的な態度で接し続けていた。

それは、李氏王朝自身が、国内で起こった「改革運動」という
内憂を抱えていたことが原因であったからだ。

列強の力を借りながらも、清王朝のように植民地として飲み込まれることなく
独立した国家を樹立した日本政府を、認めることが出来なかったのである。

しかし、隣国一つの国交も正常化できない「日本政府」が
井伊直弼が締結した「不平等条約」をどうやって改善できるのか?
西郷隆盛の杞憂は増すばかりであった。

そこで、西郷自らが朝鮮への全権大使として単身で赴き
戦争するのではなく、話し合いで国交を結ぼうと、決意したのである。

小説では、根っからの軍人であった桐野が、武力で朝鮮を併合すべしと西郷に申し立て
西郷に諭される場面がある。

「よいか、わしゃ、戦争を起こさぬための談判をしに行くのでごわす。間違えてはいかん」
しかし、軍隊も付けず西郷1人で乗り込んでら、西郷の命が危ない。
「もしもおいどんな、朝鮮で死んだとしても後のことにゃ、心配いらぬ。
大久保どんなおるかぎり、新政府な安泰でごわす」ときっぱりと言った。

西郷と大久保の友情は、余人には分らぬ深いものであったのだ。

しかし、政府内では西郷の突出した行動に危機感を持つ人脈があった。
そして大久保は大久保で、ヨーロッパ視察で目の当たりにみた列強の、文化の高さ、強さに圧倒され
まず、国力の充実が先だと考えていた。(いわゆる富国強兵)

結局、西郷は岩倉具視の朝廷工作にあって破れ、参議を辞職したのである。

池波先生曰く、
幕末の混乱のなかから、維新を実現させた西郷ほどの人物が
戦争にまで持ち込むことなく事を解決する自信は当然あったろう。
またもし、戦争となっても、日本の不平等士族を一丸として奮い立たせることもできよう。
朝鮮との談判に成功していれば、西郷への評価も一変したことであろう。
と述べておられる。

鹿児島へ帰郷した西郷隆盛が日本の不平士族の頭領として担ぎ上げられた末に敗北し
くすぶり続けた不満の火種がこの後沈下したのは、まさに皮肉であった。。。


明治10年9月24日 城山に立てこもる半次郎(桐野利秋)最期の日

小説ではその直前、謎の尼「法秀」が再び登場する。
半次郎へ「フランス香水」を一瓶、手渡すため、鹿児島城下までやってきたのだ。
結局対面かなわなかったが、義兄の手でその「フランス香水」は半次郎の手に渡る。

半次郎は死が目前というのに、京都における法秀との「よしみ」をうっとりと思い出し
「おいどんな女子のことしか頭にうかばんのじゃ・・・」と従妹の別所晋介に語る。
「きっと西郷先生も同じだろう。あれで女子には目がないほうじゃった・・・」

城山での玉砕も、半次郎にかかれば、どことなく陽気な色に染まるのであった。

そして西郷隆盛は別所晋介の介錯で旅立った。
桐野は、いや半次郎は、「チェスト!」と敵に切り込む。

最後まで闘う、それが半次郎の生き様だ

討ち死にした彼の右手には和泉守兼定が、しっかりと握られていた・・・

官軍による検死結果によれば、体中弾丸や刀創だらけで凄惨な血闘であったかが知れる。
そして史実でも、半次郎の血と泥の中から、「フランス香水」のにおいが漂ったという。

池波先生は、この愛すべき男の成仏のために、法秀という「菩薩」を登場させて
あの世へ引導してあげたかったに違いない。

享年40歳。
南州墓地で西郷隆盛の右隣の墓標に眠る。

閉じる コメント(24)

顔アイコン

言われてみれば、人斬り以蔵、鍬次郎・・・皆暗めのキャラですが、この半次郎さん、持ち前の明るさゆえに人から愛され最期まで西郷どんと共に生きれたのでしょう。私も西郷どんに殉死したのは本望であったろうと思いますね。

2006/11/22(水) 午後 0:30 natumi

顔アイコン

中村半次郎は、豪傑と呼ぶにふさわしい人物です。西郷隆盛の側近中の側近で、新選組も手が出せなかったほどの剣の達人。しかしどこか愛すべきキャラ。三国志でいえば張飛的存在ですね。

2006/11/23(木) 午前 3:04 [ 春夏 ]

顔アイコン

見事なレビューですね。私は、まだこの作品は読んではいないのですが、思わず感情移入してしまいましたよ!確かに幕末の人斬りはどこかくらいイメージが付きまとうものですが、この中村半次郎はそういったイメージがないのはなぜかな?と思っていたのですが、この記事を読んで納得ですね。これは、ぜひ読まないと!

2006/11/23(木) 午後 11:25 すくね

顔アイコン

中村半次郎は、いつも西郷隆盛の側にいる陰気は凄腕の用心棒ってイメージでしたが、この記事を読んでかなりイメージが替わりました。陽気でカッコイイ男だったんですね。機会があれば鹿児島の西南戦争関連史跡を訪ねたくなりました。

2006/11/23(木) 午後 11:38 remiy

僕の母は鹿児島出身です!ですので、薩摩隼人ハーフです! 半次郎は当然知ってます!桐野利秋っていい名前つけましたよね。

2006/11/24(金) 午後 1:33 ゆきえもん

顔アイコン

万年太郎さま、池波先生の本をたくさん読まれているのですね。山中鹿之介が主人公の『英雄にっぽん』に興味あります。鹿之介大好きなんですよ〜。なるほど、どんな英雄でも「人間ぽい」ってのは池波先生のあったかい視線のなせる業なんでしょうね。

2006/11/30(木) 午後 4:43 ゆーくんままま

顔アイコン

西郷先生に見出されなければ、タダの荒くれ男で終わっていたでしょうね。西郷先生を信じてすべてをかける。その潔さが半次郎の明るい性格にも現れているように思えます、私も西郷と共に生き、ともに死んだことは半次郎の本望であったと思います。

2006/11/30(木) 午後 4:45 ゆーくんままま

顔アイコン

あざらしさま、どちらかといえば「敗者」への眼差しが温かいですよね。西郷も半次郎も結局は「負けた」わけですから・・・池波先生の筆づかいで半次郎という人物を生き生きと蘇らせてくれました。

2006/11/30(木) 午後 4:47 ゆーくんままま

顔アイコン

NextStageさま、中村半次郎は埋れた英雄だと思います。しかも愚直なほどに西郷隆盛を信頼しきっている姿に心打たれますよね。西郷隆盛もそんな半次郎達を見捨てることが出来ず、無謀な西南戦争へと駆り出された気がします。

2006/11/30(木) 午後 4:50 ゆーくんままま

顔アイコン

なつみさま、以蔵も鍬次郎も、やたら暗めのキャラですもんね・・半次郎の持ち前の明るい性格は部下にも慕われたようです。むしろ「人斬り」という剣の腕前よりも、このキャラと忍耐強いところを、上層部から愛されたのでしょうね。京都時代、犬猿の仲だった長州藩士とも仲良かったそうですから。

2006/11/30(木) 午後 4:54 ゆーくんままま

顔アイコン

春夏さま、ほんとうだ、張飛とかぶるキャラですよね。張飛も愛すべき男でした。。

2006/11/30(木) 午後 4:55 ゆーくんままま

顔アイコン

すくねさま、「人斬り」とあだ名がありますが、史実で確認できるのは1人だけだそうです。ただし、龍馬暗殺の犯人候補の1人ですから、暗殺などにはかなり手を染めていたでしょうね。

2006/11/30(木) 午後 4:57 ゆーくんままま

顔アイコン

れみいさま、明るく洒脱な性格でモテタのは間違いないようで、数々の艶聞が残っているようですね^^;

2006/11/30(木) 午後 5:00 ゆーくんままま

顔アイコン

ゆきえもんさまって薩摩隼人ハーフなんですか〜!カッコイイですね。私は鹿児島県人、大好きですよ。西郷隆盛への温かい思いが未だに息づいている土地なんですもんね。

2006/11/30(木) 午後 5:01 ゆーくんままま

顔アイコン

征韓論についてはなんともいえませんが、おっしゃるとおり中村半次郎は人斬りとしては、最後にいい死に方をしたのかもしれませんね。それにしても、どうしても半次郎=チェスト!!のイメージがあります^^;;

2006/12/10(日) 午前 11:12 たいりょう

顔アイコン

たいりょうさま、半次郎=チェスト〜!はイメージが固定しちゃってますね(笑 征韓論については意見交換してみたいですね〜。西郷隆盛という人物をどう評価すべきかはここにかかっていると思いますよ。

2006/12/23(土) 午前 3:47 ゆーくんままま

顔アイコン

西郷と半次郎は清水次郎長と森の石松のような関係みたいですね。半次郎には西郷は常に親分でした。それはそれで良かったのですが、西南戦争の時に半次郎のような子分ばかりだったので戦略というものがまるで無い。熊本城に50日も取り付いている必要は全く無かったのですから。城にかまわず東京を目指せば良いものを。やはり西郷には大久保のような賢い参謀が必要だったのです。その肝心な大久保と喧嘩したのですからうまく行きませんね、歴史とはそんなものでしょうか。運と不運が混ざり合うところがこの世でしょうかね。(猶興)

2007/6/3(日) 午後 7:51 kan*u*uuk*u

顔アイコン

熊本城での攻防が結局西南戦争の明暗を分けたといえますね。半次郎は昔の「さむらい」時代を引きずったままでしたし、もともと西郷さんも軍略に長けてはいませんでした。大久保や岩倉のもと近代化が進んだ新政府軍を舐めていたとしか思えません。でも半次郎の、西郷さんへ自分の人生をかけた生き方は、他の「人斬り」とは違ってさわやかな印象があり、私は好きな志士の一人ですね〜。>猶興さま。

2007/7/1(日) 午後 2:45 ゆーくんままま

桐野利明は、好漢ですね。
西郷をよく思っている人びと(元、維新の功労者組み)からは
「桐野が、西郷の人生を狂わせた・・」
と、いわれたりしてしまいましたけど。

2008/4/23(水) 午後 10:21 [ トリケラku_ma_sa_n ]

気に入っていた女性との別れや、普段の磊落さ、その死に様など、「颯爽」
としていて
「薩摩隼人の典型的な感じ」
がして、憬れたりしていました。
人斬り・・が陥る
「心の暗い闇に落ち込まなかった」
のも、強靭な精神力の持ち主だったと、証明していますね。

2008/4/23(水) 午後 10:21 [ トリケラku_ma_sa_n ]

開く トラックバック(1)


.
ゆーくんままま
ゆーくんままま
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

ブログバナー

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

友だち(1)
  • 龍王山瑞雲寺
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事