ゆーくんはどこ?

皆様ありがとうごさいました。アメブロへ引越しますので、また、お会いしましょう! 我人に媚びず、富貴を望まず。(黒田官兵衛)

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中条金之助景昭  文政9年(1826)-明治29年(1896)


もしこの名前を見て、近藤勇局長の顔を思い出した人はかなりの”通”である。
中条金之助は、尊皇攘夷論者・清河八郎の発案で、発足した「浪士組」で
山岡鉄太郎(鉄舟)とともに、浪士組の最初の取締役に名を連ねていた幕臣の一人である。

結局、中条は江戸に残り、遅れてきた隊士達の面倒をみることになったが、彼の運命は
親友であり師でもある山岡鉄舟と同様、幕末の激動にさらされることとなった。


二千石の旗本、つまりエリートであったが、剣の道では山岡の門弟格である。
(一刀無念流)
旧幕府精鋭隊隊長として、最後まで徳川慶喜の警護を務めた武士であった。

「精鋭隊」とは慶喜が大阪城から逃げ帰った後、その身辺を危ぶみ勝海舟らの肝いりで発足した
警護隊である。
旗本の子弟から剣の使い手であった70余人を抜擢した、まさに近衛兵であった。

その隊長に任じられたということは、中条が当代一流の剣客であったことを証明している。
慶応4年4月(明治元年)慶喜が水戸へ謹慎する際にも随行している。

徳川慶喜や、徳川宗家を継いだ徳川家達が駿府(静岡)へ強制的に移住された後も、中条は
慶喜に従い精鋭隊とその家族200人とともに駿府(静岡)へ移住してきた。

「精鋭隊」は新政府を慮って「新番隊」と名前を改めたが、彼らに警護の仕事などあるはずもなかった。

旧幕臣への風当たりはきつい。
俸禄は五人扶持。とても食べいけない。

2千石の大身エリートからの転落であった。

一方、親友の山岡鉄太郎は、明治4年(1871年)廃藩置県に伴い、新政府に出仕。静岡藩権大参事となる。
「江戸城無血開城」での活躍や、その清廉潔白で剛毅な性格を、西郷隆盛に見込まれての抜擢であった。

さすが、西郷の目に狂いはなかった。

西郷に会うまでは剣だけの貧乏御家人であったが、実は大変有能な官吏であったのだ。
山岡の、私利私欲のない人望と政治手腕を頼ってに多くの旧幕臣が彼を訪ねてきた。

その殆どの問題は「食っていけない」武士達の相談ごとであったという。
また山岡もそんな彼らのために自腹をきって面倒もみていた。
中条達、新番組もそんな連中の一人であったのだ。

しかし、中条は、先見も明があったのであろう。


ある日中条は山岡鉄太郎に、

「藩を捨て自活の道をとるため、新番組一同、牧之原で茶畑の開墾を行いたい」と申し出た。
そのために、牧之原の土地の払い下げと助成金を静岡藩に考慮してほしいとのことであった。

中条は旗本という身分をすて、帰農することを決意したのである。

しかも彼は、新番組の隊長として粘り強く隊士とその家族を説得したばかりでなく、
牧之原は、地質や気候など、茶の栽培に好適であることまですでに調査済みであったのだ。


武士という身分に縛られていまだに自活できない御家人達の苦情ばかりを陳情されていた山岡は
親友の申し出をすぐに了承し、早速政治庁で会議にかけた。
もちろん皆、大賛成である。
藩知事であった徳川家達は、中条ら新番組の帰農希望者200人に牧之原の土地(1425町)を
払い下げた。

この中条金之助の潔い行動は多くの幕臣達に衝撃を与え、旧彰義隊であった大谷龍五郎なども
この開墾事業に参加した。

慣れない手に鍬や鎌を持ち、近辺の農家から指導を受けながら茶の栽培に邁進した。
先ず自活するため麦や大豆、大根などの栽培も行っていた。

ところが農業の素人集団であったため、最初は失敗続きであったという。

そんなくじけそうになる心を励ますために、中条は自分の家の隣に道場を建てて
そこで若者や子供に剣術を教えたりした。


そして、牧之原で初めて待望の茶摘が行われたのは、入植して4年後、明治6年の初夏である。
中条金之助は、摘みたての新茶を茶壷に入れて、静岡に住む徳川慶喜へ献上した
また東京に移住していた徳川宗家家達にも新茶を献上している。

その香高いお茶は、瞬く間に評判があがり、商人達が争って買い付けるまでになった。
積年の苦労が実り、静岡産のお茶はブランド価値を持つようになったのだ。

中条は70歳でなくなるまで、牧の原のお茶栽培に従事し、
静岡茶の代名詞である牧之原茶園3000町歩の基礎を築いた。

また、中条の開いた山岡鉄舟の無刀流道場は、後に門弟1000人を超えたといい、
彼は静岡県剣道中興の祖とも呼ばれている

私は、親友が静岡に住んでいるので、毎年静岡の新茶を送ってもらっている。
静岡の新茶の香は毎年の楽しみである。

中条の話を知り、一度金谷から牧之原まで行ったことがある。
旧幕臣が開墾した茶畑は濃い緑の波となって、山野を多い尽くしており
それは新茶のさわやかな香にも似て、激動にも負けない中条達旧幕臣に似合った剛毅な印象であった。

静岡茶の基礎を築いた旧旗本の、激動の人生の味わいである。


参照@「山岡鉄舟」南條範夫先生著
写真は島田市にある「中条金之助像」

拙文ではありますが ⇒ 「江戸城無血開城」も参照くださいませ。

閉じる コメント(12)

久しぶりに幕末のマイナーネタです。
来年の大河は「篤姫」だし、どっぷり幕末に浸りそうな予感です。
山岡鉄舟は、私の中ではかなりポイント高い人物の一人ですので、まだ時間があれば、じっくりと取り上げてみたいですね。

2007/12/5(水) 午前 2:15 ゆーくんままま

とても勉強になりました。
祖母が静岡に住んでいますが、全く知りませんでした。

この時代、多くの旗本などのエリートが帰農したんでしょうね。
旧幕府側の人々がいかに悲惨だったか・・・。

2007/12/5(水) 午後 9:37 141

オレの地元は静岡です。
牧之原ではないですが、
お茶畑が広がっているところが近くにあります。
中条は、今で言う脱サラをしてお茶作りに取り組んだということですね。
今の「静岡茶」があるのは中条のおかげで、
もっとこの人物について調べてみたいと思いました。

ちなみに、山岡鉄舟は地元でも評価は高いです。
鉄舟寺をご存知なら、足を運んでみる価値はあるかもしれません。

2007/12/5(水) 午後 9:43 シゲさん

へ〜静岡のお茶って明治からのものだったんですね〜。もっと歴史が古いのかと思ってました。しかも、こんなに壮絶な旧旗本達の物語が隠されていたとは・・・かなり感激しました。

2007/12/7(金) 午前 10:35 natumi

静岡茶の歴史についてはあまり知られていないようですね。やはり旧幕臣ということがネックなのかな・・・?
でもどん底から這い上がった中条さんたちの努力の結晶とおもうとロマンの香がします!>ノンさま

2007/12/7(金) 午後 5:43 ゆーくんままま

静岡在住なんですね〜。いいところです。鉄舟寺にはまだ行ったことがありません。禅と剣の融合という離れ業を成し遂げた山岡鉄舟のお墓参りがしたいです。>Tessyoさま

2007/12/7(金) 午後 5:46 ゆーくんままま

そうなんです。時代劇でよく将軍様へ献上する茶壷なんてのがありますけど静岡産はないんですね〜。意外な事実なんです。
けど、いい話でしょ〜。私もかなり感激した一人です>なつみさま

2007/12/7(金) 午後 5:48 ゆーくんままま

牧之原って僕の住む静岡市から近いです!さらに、新撰組も大好きです! この像、見に行きたいなぁ。

2007/12/7(金) 午後 11:42 ゆきえもん

幕臣であったがゆえに、苦労もしたんでしょうね〜!でもそんな偏見を弊害を乗り越えた中条さんと、それを救った山岡さん。いいお話です。静岡茶のイメージが変わりました。

2007/12/8(土) 午後 10:19 remiy

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今頃になってこの記事を読ませて頂きました。エリート幕臣からの見事な転身ですね。この話が徳川時代から明治時代へ移り変わった典型ですね。人間というのは、発想次第で行き詰まりなんてないものだということを教えてくれる話です。現在の日本も中国やインドなどの新興国に生産を奪われる心配をしていますが、発想さえ替えればいくらでも新しい道は開けるのだろうと思います。今後、静岡のお茶を飲むときにはこの話を思い出して味わって戴きましょう。(猶興)

2008/9/2(火) 午後 6:14 kan*u*uuk*u

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静岡茶が明治からということはないと思われます。
静岡市を中心とした地域のお茶栽培の歴史があったからこそ、牧之原の開墾もできたのであって、何の伝統もないところからいきなり茶栽培を始めたところでうまくいくはずがありません。
事実、静岡市内の「茶町」という町名は400年前からあり、お茶の集散地として知られていました。
現在も静岡茶市場はこの地域にあり、全国で生産される茶葉の2/3は一端ここに集められ、再製加工されて全国へ出てゆきます。
また、静岡市の山間地である井川地区のお茶は将軍家へ毎年献上されていたようです。
毎年市内で「お茶壺道中」の再現行列が実施されています。

2008/12/17(水) 午前 11:09 [ あべかわもち ]

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始めまして・・・興味深い記事を読ませて頂きました。
実は妻の祖先が・・・との事で検索したらHITしました。
妻の旧姓が”中条”(ちゅうじょう)なので(^^)

2009/4/20(月) 午後 10:58 [ kujira ]


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