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期間 : 平成22年10月23日(土)〜11月11日(木) 奈良国立博物館 昨年の11月某日 今回も、正倉院展へ行ってきました! 正倉院展屈指の御物、 「螺鈿紫檀五絃琵琶」が十九年ぶりに出典されるとあり 昨年と劣らない、大変な盛況ぶりでした。 ガイド音声を借りて、いざ入館。 混みあう館内で、振り返ると、 どくろを巻いて並ぶ人々の中心部に オーラが・・・・!! そうです。 「螺鈿紫檀五絃琵琶」が、光輝き鎮座していたのです まったく霊感はないのですが そんな私にも間違いなくオーラが見えました。 神々しい御物。 どくろのように渦巻いていた人のは この信じられないほど美しい5弦の琵琶を間近で見るために 順番を待っている人たちだったのです 吸い込まれるようにその列に近づき、係員の人に待ち時間を聞くと 「1時間です」 私は人混みが大の苦手なので、よっぽどでなければ、並ぶことなどありません が、今回は別です もしこの機会を逃せば、この神々しい御物はもう見れないかもしれないのです 小説を立ち読みしながら、待つこと1時間超、 「螺鈿紫檀五絃琵琶」は想像した以上に大きな楽器でした。(全長108.1cm。) 殆ど損傷もなく、 1250年前、聖武天皇が愛でた時とほぼ同じ状態で、私の目前に在る! その奇跡に、感謝です 正倉院展で、至極の宝物を数多見てきましたが この繊細で均整の取れた完璧なデザイン。 そして、信じられないような匠の技を、御覧ください。 インドが起源とされる五絃琵琶で、世界唯一の現存品。 ラクダに乗り琵琶を演奏する人や熱帯の食物、唐花文と含綬鳥などを 螺鈿や玳瑁(たいまい)で表現した豪華な品。 「国家珍宝帳」に記載されていることから、聖武天皇御愛用の宝物であることは、間違いありません そして驚愕すべきは、この「五絃琵琶」が、今だ現役の楽器であること! 奈良時代そのままの、幽玄の調べを奏でることができるのです 音声ガイドで聞くことができました もう・・・うっとりでした。 第62回正倉院展は、「螺鈿紫檀五絃琵琶」に圧倒されましたが、 その他も、珠玉の御物が沢山展示されていました 特に面白いと思った宝物をピックアップします。 『種々薬帳』とは、聖武天皇四十九日の折に、光明皇后が東大寺大仏に薬物60種を奉納した目録。 薬物は献納品ですが、実際に人々の治療に用いられています。 光明皇后は、現在でいう「福祉活動」に熱心な皇后様で、 民の苦悩を少しでも慰めたいと、様々な政治活動を行っていらっしゃいます 目録には60種類の薬物が記載されていますが、 そのうちなんと40種類の薬物が、宝庫になお現存しています。 目録末尾には、藤原仲麻呂、藤原永手らの直筆署名があります 時の最高権力者で孝謙天皇の愛人、藤原仲麻呂の署名が、妙に艶っぽく見えました。 NHKドラマ「大仏開眼」以来、私の中では 藤原仲麻呂 = 高橋克典さん のイメージが固定しているせいかもしれません(^^; 『冶葛(やかつ)』 は 宝物に現存する薬物の一つです 『種々薬帳』には 「冶葛卅ニ斤」と記されています 冶葛の原料は、東南アジアから中国南部原産の蔓性の常緑低木(ゲルセミウム・エレガンス)で 中国では「胡蔓藤」と呼ばれていたそうです この根を水洗いして乾燥させたものが、生薬の「冶葛」。 皮膚疾患や神経痛の効果があるものの、元来猛毒であるため、現在では用いられていません。 驚くべきことに、宝庫に納めらたこの「冶葛」は、1250年以上たっても 今尚、猛毒を留めていることが、判明しています。 生薬でありながらも、宮廷の奥深くに隠された猛毒・・・ 天皇家を廻る暗殺や不審死の数々を、実行せしめた薬物ではないか?? そんな、怪しい想像をしてしまいました。 毎年、正倉院古文書を読むのが楽しみなんですが 今年は、道鏡の自筆文書が公開されていました。 道鏡(? - 772) は、山林修行を極めた怪僧で、 近江国の保良宮で孝謙上皇の病を治したことから上皇の寵愛をうけ、 政敵で恋敵でもある、藤原仲麻呂を倒した後、 大臣禅師⇒太政大臣禅師⇒法王、という前代未聞の出世を遂げました やがて、天皇の地位を狙ったものの和気清麻呂らの活動で果たせず 称徳天皇(=孝謙)が崩御すると忽ち失脚し、下野国に左遷されました 公開されていた文書は、天平宝字7年3月10日付の文書。 孝謙上皇の命を受け、造東大寺司の写経所に「金光明最勝王経」十一部など、 732巻の写経を命じています。 上皇の愛情を嵩に命令する、高圧的な内容と言えるでしょう。 道鏡の筆跡を御覧ください。 骨太で男性的です。 道鏡の自筆文書を見るのは初めてだったのですが、 この闊達な文字を見て、 巨根伝説はさておき、道鏡が孝謙天皇の愛人であったことを、私は確信しました・・。 本面は伎楽の最後に酒に酔った胡人の一群を率いる王の役がつけたもの。 さすが、シルクロードの終着地。 異国情緒満点です。 奈良時代の天皇家や貴族達の、 ハイセンスでエキゾチックな文化生活を垣間見る御物も数多く出典されていました。 古代の人々と時空を超えて出会える、奇跡の空間です。 特に今年は、至高の宝物「螺鈿紫檀五絃琵琶」に出会えて、心から感激いたしました。 来年も楽しみです。 |
歴史の扉 古代史2
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