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この暑さをどう乗り切ろうかと、悪戦苦闘しています、
愛犬も老犬で夏は外においておけず、部屋にいます、本来猟に使っていたのですが、今は散歩で、川で泳ぐ程度デス。
いつもながら、
五、六十年タイムスリップして懐かしい映画を見ました、
暑さを忘れて泣けるほど楽しい時間を過ごしました。それは、
錦之助さん、ひばりさん、共演の「おしどり駕篭」でした。
若いお二人の溌剌としたお姿、美しさ、当時すでに大スターであった
両人のお芝居はさすがです、
当時専務であった牧野光男氏がこの映画の撮影中亡くなられて、兄
のマキノ雅弘監督が光男氏の希望を叶えるべく二十日間で撮りあげた
そうです、その間、主演された錦之助さん、ひばりさん、の頑張りは
すごくほかの俳優さんの協力も大変なものだったそうです。
錦之助さんの役は某藩のお殿様、武士を嫌って左官屋になって三年、
ひばりさんは弓のあたりやの女座頭、
会えば喧嘩ばかりしているが相思相愛、まさに現実を地で行くような
役どころ、
見る側にしてみれば、気が合った二人の他愛ないラブコメディとしてみるだろう、それでも十分楽しい、歌と踊りと立ち回り、これだけでも堪能
できる、しかし、牧野監督も狙いはもう少し深いところにあったと思う。
お殿様がお家の一大事を家臣から聞かされ急遽大名行列で国元に
向かう、あたり屋の胡蝶姉さん一向が後を追う、
皆の計らいで二人は宿場で会うことができた。
ここから二人だけの長回しの名場面となるのである、
まさに二人が並び立つ舞台そのもの、
錦之助さんの役どころは難しい、言いたいことを言い合える喧嘩相手
といえども、殿様を辞めて三年、惚れた女性はお城には到底居そう
もいない、若いけれど世の中をよく知っている、跳ねっかえり娘、
殿様の姿を見せるのは初めて、だから、はじめ、どう話しかけてよいのか
わからない、
口火を切ったのは胡蝶姉さん、自分が好きになった源太は殿様だった
のだ、と実感する、しかし、
胡蝶姉さんに、責められたり、袂でぶたれたり、
殿様であることを隠していた弱みがある、彼女からは、
自分が好きなのは左官屋の源太なのだと突っ込まれれば殿様は苦しい
このあたりの錦之助さんの演技の見せ所はすごい、
世間ずれしていないからああ言えばこう言う、って言葉が出ない、
蓮っ葉女の言葉尻を言い返すのがやっと、
しかし胡蝶姉さんが殿様を好きと白状して泣き出す下りで、
殿様は劣勢を回復、泣いた、泣いたと大喜び、
そして冷静さを取り戻して、「江戸に帰ってくれ」といって聞かせる、
姉さん、頭ではわかっていても、駄々をこねる、
こうした二人のの芝居は、錦之助、ひばり、のほかに誰ができるだろうか、牧野監督は二人の芝居をたっぷり見せた、
二十六歳と二十一歳の若いご両人、今の俳優さんたちが逆立ちしても
無理、かと思ってしまう。
本当にいい時代でした、
この映画を見ながら、思った、このままずーっと見ていたい、
踊る姿も美しく、透き通るような歌声、
けれど、もう錦之助さんも、ひばりさんもこの世にはいない、
近代技術のありさまは残酷だと思わざるを得ない、
画面をセットすれば、あの頃のあのままの顔が、姿が見られるのだから
それも楽しみにするしかないようです。
錦之助さんとひばりさん、本当に仲が良かったのですね、
好き同士ではあったけれど、お互いに別の方と結婚をして、
プライベートでは別々の道を歩かれました。
けれど、仕事、芸の道では亡くなるまで、助け合い、励まし合いつつ
歩かれていきました、
錦之助さんは言います、
「美空ひばりさんは気が合うというのか、付き合いがいいというのか
私が重症筋無力症から立ち直ったら病に倒れてしまいました、
お互いに戦後の混乱期に無理なスケジュールで仕事漬けでしたから
てんが与えてくれた休養と考えてゆっくりとしたペースで仕事をやっていってほしいものです」
と語っておられました。
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