四天王寺小説道場

プロたちの見えないところでの秘策

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出版に関する契約とは3

 これまで2回にわたって、著者と出版社の権利と義務にかかわることを記述したが、どうも現実にはもうひとつのファクターがあることに気付いた。

 それは「自費出版」「共同出版」「企画出版」という契約スタイルについてである。

 まず、世間一般の傾向として、「共同出版」と冠するものが、かぎりなく「自費出版」に近い内容であること。
 この理由は、共同とうたいながら、その協力費が異常に高いということである。
 むしろ、大手新聞社や有名出版社が、「自費出版サービス」とうたい、高額の費用をうたったものと価格面ではほとんど大差ない。
 共同とうたうかぎり、出版社側にも相応のリスクを負うというのならば、共同の意味も成り立つと考えるがどうであろうか。

 まず、分かりやすい「企画出版」から。これは著者の原稿を買い取り、自社のリスクで出版に漕ぎ着けるスタイル、と限定できる。著者および出版社とのやりとりでは「印税」の成否が両者の勝敗をきめることになる。作家・評論家等のプロはこれらのスタイルで、死活をしのいでいるといえようか。

「共同出版」の基本的考えは、著者と出版社の両者がリスクを負うというのが基本的考えである。リスクが一方だけに片寄るのは共同とはいわない。
 その前提で話をすすめると、出版にかかわる「総経費」を100とした場合、その100を50対50で分割するのが共同となるが、60対40ぐらいもその範囲になる。ただし、著者側が70対30でも良いとした場合は、商談として成り立つ範囲かもしれない。
 ただ、この出版にかかわる総経費をどの範囲まで広げるかにあるが、書籍そのものの製作経費以外に、流通経費なるものもバカにはならず、これをどう計上するかによって、100の総数が変化してこよう。

 このスタイルで注意することは「印税」の明記である。著者側のメリットが存在しなければ、共同の価値がそこなわれるからである。

「自費出版」はどうか。
 まず、製作経費を100%著者側がもつという意味ではあるが、これが流通前提か、そうでないかがある。
 たとえば、会社の社長の「自分史」では、流通価値なしとみるのが相場である。したがって、著作物は100%著者側に手渡される。

 が、著者の中には自費でもいいから書店に並ぶ本をこしらえたいと思う人もいる。
 その場合のポイントは、
1) 制作者側が流通図書の資格のある出版社であること。
 (ただの印刷屋に依頼したのでは流通しない)
2) 印税の保証をしてもらえるか。
 この2点にかぎる。

 が、ちまたの話では、自費出版した著作物が新聞などにも紹介されている。その記事を丹念に読むと、「問い合わせ」先に「自宅」ないしそれに近い場所に指定されている。
 つまり、ここにしか著作物はない。流通はしていない書籍と理解できる。

 さらに補足。ネット上での販売は可能かである。
 アマゾン・楽天などのネット書店もまた、取次ぎ経由で書籍を仕入れているので、一般書店と流通スタイルは変らないが、ここでの特色はクイック・リスポンスであるから、注文後、三日で届くといううたい文句である。
 このため、取次ぎは、専用配送センターを確保し、注文後即座に出荷するか、ネット書店自体が配送センターをもっているため、この芸当ができる。

 で、ここまで書いたものは正規の流通図書の場合であると気付くであろう。
 自費出版はどうか。
 著作物は、自らが在庫として確保しているので、現実的には自分のホームページで宣伝し、自分で配送し、自分で集金するというスタイルで、既存の流通は使えない。理屈的にはこれも「流通」といえるかもしれないが、書籍規定にのっからないものであるから、「書籍コード」がない。つまり、書籍として認定されないとなる。
 書籍コードとはどうなっているのか。
 これには次の記号が指示されている。
1) 国際番号 日本は(4)と指定されている。
2) 出版する出版者コード
3) 書籍の種類(文学・評論・教科書などの種類)
4) バーコード これはもっぱら売価表示となる。書籍は外税課税と決まった。
 以上の4件に加えて、著者の著作権を明示するクレジットもついている。いわゆる盗作・模倣・コピーの防止のためだ。
 これによって、出版社も著者もガードされている。

 自費流通はこれの明示がないため、ひょっとすると、コピーとか盗作もありうるだろうか。

 ここまでの記述で、出版形態の意味をご理解いただけたろうか。

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