東京☆キング of フリーダム∞クルンテープ(タイ)

千代田区ではたらくアラフォー課長の告白 24時間道 夢ファクトリー

とつぜん小説

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突然思いつきで始めた小説です。
キックボクシングを題材にしておりますが、流されるままに生きてきた主人公が、頑張っている選手達を見て刺激を受けて、徐々に変わっていく過程を描きたいと思っております。
第1部終了。第2部開始未定。
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☆突然気まぐれで始めた短編小説。ラウンド7に突入。
 もし、初めから読みたい奇特な方いらしたら「とつぜん小説」
 のラウンド1からどうぞ。

ラウンド7 決心


東西ジムのもうひとりの出場選手、竹中アキラ (25歳 日本フェザー級2位)
がセミファイナルでムエタイの現役ランカーと戦う。
この時間になると、さすがに空席はほとんど見当たらなくなっている・・・。

第1ラウンド開始早々からパンチで猛ラッシュをかける竹中。
何かを覚悟したかのようなもの凄い表情だ。
百戦錬磨のタイ人も少なからず動揺しているようだ。
会場も沸いている。

しかし続く第2ラウンド、カウンターのヒジ打ちを貰いダウン。
と同時にセコンドからタオルが投げ入れられ試合は終わった・・・。

試合後の控え室。『東西ジム』と張り紙がしてあるドアをそっと開ける。
会長とトレーナーの他に白衣を着たリングドクターの姿も見える。
「左目がほとんど見えない・・」
という竹中の声が聞こえる。

周りがガヤガヤしており聞こえにくいが、断片的に聞こえてくる声から
推測すると・・・
既に半年前からこのような症状を自覚していたが
リングに立てなくなるのを恐れて隠し通していたらしい
・・・ということである。
と、その時、会長と 既に私服に着替えている斉藤さんと目が合った。
おれは、軽く会釈をすると控え室を後にした。

会場を出ると小雨がぱらついていた。水道橋駅から総武線に乗り込む。
日曜日の21:00過ぎ、乗客がまばらな電車の中で、おれは今日の後楽園ホールのリングに上がった東西ジムの二人の選手について考えていた。

いきさつは分からないが、29歳という年齢でデビュー戦のリングに上がったYUKIE。
顔を腫らし鼻血を出しながらもキャリアで勝る相手と逃げずに真っ向から打ち合った。

そしてもうひとり、竹中アキラ・・・25歳とおれより10歳近く年下なのに
失明するかもしれない、という悲壮な覚悟を胸にリングに上がった。
打ち合いを挑み、そして壮絶に散った・・・。


なぜかおれは、この二人と自分自身の今までの生き方について比較していた。
これまでの30数年間の人生を振り返ってみる。

入りたい学校じゃなくて入れそうな学校。
入りたい会社じゃなくて入れそうな会社。
やりたい仕事じゃなくてやれそうな仕事。

常に自分のやりたい事じゃなく、やれそうな事ばかりを歩んできた人生・・・

学生時代に唯一やりたい事だと思って始めたボクシングからも逃げ出した過去。

その時不意に、昔 何かの本で読んだことばを思い出していた。
『強くなるというのは、まず逃げない事から始まる』

おれは ある決心をした。

それは、あのリングに立てたらなぁ・・・から あのリングに立ちたい!! 
という気持ちに変わった瞬間だった。

【第1部・完】



*この短編小説は一部実在の人物をモデルとしておりますが
 基本的にフィクションです。


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☆突然気まぐれで始めた短編小説。ラウンド6に突入。
 もし、初めから読みたい奇特な方いらしたら「とつぜん小説」
 のラウンド1からどうぞ。

ラウンド6 逃げない女


一進一退の攻防で2ラウンドを終える。
試合経験に勝る小川美紀がパンチとキックをバランスよく繰り出していたのに比べ
YUKIEの方は、ややパンチに頼り過ぎている感じがするのが気にはなったが・・・
そして、最終の3ラウンドへ。

・・・・ラスト30秒。壮絶な殴り合い。
両者ともリング中央で足を止めてパンチのみで打ち合っている。
斉藤さん・・いや、YUKIEも必死に打ち返すが、やや経験に勝る相手に
分があるようにも見える。
しかし、なぜか彼女は一向に下がらない。逃げない・・・

そして遂に3ラウンド終了のゴング。
ジャッジの採点の集計をしている。
・・・・・・・・・。

「勝者。赤コーナー小川!!」
レフェリーが小川美紀の手を挙げる。
しかし、勝者である小川も首をかしげており納得がいかないようだ。
おそらく連続KO記録が途切れた事が悔しいのだろう。

そして、敗者のYUKIEは、対戦相手の小川美紀とそのセコンドに挨拶すると
うつむいたままリングを降り控え室に去っていった。

おれも、彼女達を追って控え室に向かった・・・。

『東西ジム』と張り紙がされたドアをそっと開けると
YUKIEこと斉藤さんが椅子に座って、セコンドの男たちに
グローブを外してもらっているところだった。

「すいません。どうもすいませんでした・・・」

彼女はしきりにセコンドや会長に対して謝っていた。
「結果は残念だったけど、よく頑張ったよ。」
「3ラウンド、あのパンチがもう少し入ってればなぁ・・・」
などとセコンドが慰めの言葉をかけている。
しかし、彼女はうつむいたまま首を左右に振っている。

「何を言おうが、負けは負けだよ!!」
突然、会長が厳しい言葉を投げつけた。

うつむき加減だった彼女が、一瞬顔を上げた。
・・・涙ぐんでおり、全く化粧っ気のない顔。
おまけに鼻血まで噴出しているその顔は、お世辞にも綺麗とは言いがたかった。

しかし、ヘンな言い方かもしれないが、なぜか魅力的にも見えた。
いや、正確にはカッコイイといったほうがいいのかもしれない。
男とか女とかいう以前に一人の人間として。

これだけ純粋に素の自分をさらけ出せる人間が羨ましく思えたのかもしれない。
今までのおれの人生と比較して・・・。
(つづく)


*この短編小説は一部実在の人物をモデルとしておりますが
 基本的にフィクションです。
 次回ラウンド7・最終回!?の更新は3月22日(土)を予定しております。



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☆突然気まぐれで始めた短編小説。ラウンド5に突入。
 もし、初めから読みたい奇特な方いらしたら「とつぜん小説」
 のラウンド1からどうぞ。

ラウンド5 リングイン

第1試合が終わった。
赤コーナーの選手が2ラウンドKO勝ちを収めたようだ。

いよいよ斉藤さん・・・YUKIE の出番だ。
「両選手の入場です!」
場内にリングアナウンサーの声が響き渡る。
YUKIE とセコンド、そして会長がリングに向かう。
おれも、やや遅れてその後を追う。
まだ閑散とした会場内、3割程度の客入りだろうか。
しかし、6メートル四方の青いリングは、なぜか輝いて見えた。

YUKIE が、そのリングに上がった。

対戦相手の小川美紀もリングインしてきた。
ちょっとしたアイドルのような可愛い顔立ちをしているが、リングに上がるなり
YUKIE を一瞥し睨み付ける。

いったいどうなるのだろう?
おれ自身の緊張もピークに達してきた。

「ラーウンド・ワン!」
第1ラウンド開始のゴングが鳴った。

開始早々、YUKIEは左の前蹴りから、右のミドルキックを放つ。
続いてワンツーを放つ。
さらにいったん距離をとってハイキック!
クリーンヒットとはいかないが、相手の出鼻を挫いている。

と、その時
「ダウーン!」と叫ぶレフェリーの声。

不用意に飛び込んだYUKIE が、相手のカウンターの右ストレートをくらって
尻餅をついたようだ。
レフェリーがカウントを数えている。
「ワン・ツー・スリー・・・」
すぐに立ち上がる。あまりダメージはないようだ。
「気にするな!大丈夫、大丈夫!」
セコンドも必死に声をかけている。

チャンスと見た対戦相手の小川は、一気に距離を詰め、パンチを連打してくる。
しかし、YUKIE もそれに応えるかのように打ち返す。

ここで第1ラウンド終了のゴング。
何とか持ちこたえたようだ。

1ラウンド終了後のインターバルで本部席に座っているリングアナウンサーが
両選手の紹介をしている。
「青コーナー YUKIE。東京都出身 29歳 本日がデビュー戦でございます」
パチパチパチ・・・。まばらな観客席からわずかながら拍手が起きる。

「赤コーナー 小川美紀。神奈川県出身 20歳 戦績3戦3勝。なお3勝は
すべてKO勝ちでございます!」
ピンクのはちまきをした5人組の男達が騒いでいる。
既にファンクラブのようなものもあるようだ。
心なしか他の観客の拍手も多いような気がする。

そして第2ラウンド開始のゴングが鳴った。
(つづく)


*この短編小説は一部実在の人物をモデルとしておりますが
 基本的にフィクションです。
 次回ラウンド5の更新は月曜を予定しております。


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イメージ 1

☆突然気まぐれで始めた短編小説。ラウンド4に突入。
 もし、初めから読みたい奇特な方いらしたら「とつぜん小説」
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ラウンド4 後楽園ホール


日曜日の夕方。
水道橋駅を降りて試合会場である後楽園ホールへ向かう。

後楽園ホール・・・格闘技ファンの間では『聖地』と呼ばれているらしい。
東京ドーム手前にある水色のビル。
そのビルを見上げながら、おれはボクシングのプロテストのことを
思い出していた。10年以上前の話だが・・・。

エレベーターで試合場がある5階まで上がる。

入り口でチケットと引き換えに、本日の対戦カードが書かれたチラシをもらった。
『YUKIE』というリングネームが目に留まった。

第2試合
小川美紀(Jインタージム) VS  YUKIE(東西ジム)
20歳  3戦3勝(3KO)     29歳 デビュー戦
と書かれてある。

(たしか、斉藤さんと言ったな。)
(万が一会社にばれるとマズイのでリングネームにしてあるのだろうか?)
などと考えていると、突然背後から
「おう、来たか!」
と声をかけられた。
振り返ると、昨日の小柄なオヤジ・・いや会長が立っている。
「第2試合だから、もう準備してるよ。おう!そうだ。一緒に来いよ」
「いや、おれの席立ち見なんですけど・・」
「いいから、いいから、まだそんなに客も入ってないしよ」
などと言いながら、会長は半ば強引におれを会場左手の西側通路の方へ
連れて行った。

通路の奥の方に、昨日の彼女・・・斉藤さんがいた。
既に試合用のコスチュームに着替え、両手に青いグローブをはめている。
昨日ジムで見たときと同じ・・何かに憑かれたかのような表情で、トレーナー相手に
コンビネーションの練習を繰り返している。

その様子を見ていたら、なぜかおれの方まで緊張してきた。
自分がリングに上がるわけでもないのに・・・。
(つづく)


*この短編小説は一部実在の人物をモデルとしておりますが
 基本的にフィクションです。
 次回ラウンド5の更新は日曜を予定しております。

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☆突然気まぐれで始めた短編小説。ラウンド3に突入。
 もし、初めから読みたい奇特な方いらしたら「とつぜん小説」
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ラウンド3 試合

「なんだい、入門希望者かい」
小柄な男がおれに向かってたずねた。
「週一回コースで練習したいのですが」
「週一回なんてケチな事言わないで、毎日練習に来なよ。へっへっへ」
笑みを浮かべてはいるが、鋭い眼光が只者ではない雰囲気を醸し出している。
年齢は50過ぎといったところだろうか?
「いや、普段は仕事がありますから」
「いやぁ、この子だって仕事が終わってから毎日練習に来てんだよ。さっき計量から
帰ってきたとこなんだよ。ふつうは試合の前日くらい練習休むもんだけどなぁ・・」
このオヤジ・・いや会長は、女性練習生の方を見ながら苦笑いを浮かべている。
「計量?・・・試合?」
おれも女性の方を横目で見ながら会長にたずねる。
「あぁ、明日試合なんだよ。前日に計量とドクターチェック?があるんだよね。
昔は試合の当日にやってたんだけどさ。へへ。ウチのジムからも2人出るんだよ。
この子と もうひとりフェザー級のランカーが出るよ。竹中ってのがね。
あいつは計量パスして部屋に帰って休んでるよ。明日の試合に備えて。」

入会手続きをするだけのつもりで来たのだが、おれは明日の試合の件にも
ちょっと興味がわいてきた。
(どうせ明日の日曜はヒマだしな・・・)
などと思っていると会長が話しかけてきた。
「そうだ!チケット買ってかない?割引はしないけどさ。へっへっへ」

とりあえずおれは一番安い3000円の立見席を購入することにした。

会長がチケットを取りにジムの奥にある机に向かったのと入れ替わるように
練習中だった女性がこっちに向かってきた。
「斉藤です。よろしくお願いします」
彼女が折り目正しく頭を下げる。
「岡本です。週一回コースですけど、これからよろしくお願いします。
それと、明日の試合頑張ってください」
おれも挨拶を返した。

と その時会長が奥から戻ってきた。
「これがチケット。明日の午後6時開始な。場所は後楽園ホールだ。
知ってるだろ?」
おれは、3000円と引き換えにチケットを受け取った。
(つづく)


*この短編小説は一部実在の人物をモデルとしておりますが
 基本的にフィクションです。
 次回ラウンド4の更新は土曜か日曜を予定しております。

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