トレビアンワールド

額に「肉」って書くの難しい・・・・。

小説

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

猫事件3

翌日曜日の朝9時、出勤するや即、Tは昨日子猫放置した場所へ急いだ。

子猫達の姿が消えている事を祈りながら。

事務所から店内へ。従業員しかいない店内は静まり返っている。

店内の売り場から二階の倉庫へ。

階段に脚をかけた時、気配を感じ取ったのか・・・・声が聞こえた。

「にーにーにーにー」

・・・・・子猫の鳴き声だった。

一気に階段を駆け上がり、子猫の様子を伺う。

子猫が夜中勝手に動き回らないようにと、軽く被せていた蓋が移動している。

そして、格子状に箱を覆っていた針金が一部拉げられている。子猫なら通り抜け可能なサイズに。

「?!」

子猫では蓋まで届かない、よしんば届いたとしても動かすには力不足。

増してや、針金の格子を拉げさせるなんて力技など不可能。

明らかに外的要因による結果。

しかし、箱の中では子猫が可愛らしい鳴き声を上げている。

子猫は、昨日と変わらず箱の中にいる。

1匹、2匹、3匹、・・・。

?、3匹?!

もう一度数える。

1匹、2匹、3匹、・・・。

やはり3匹しかいない。

箱の周辺を見回してみる。

手のひらサイズの子猫、更によちよち歩きでは移動距離など知れている。

しかし、子猫の姿は見当たらない。

その代わり、箱のすぐ傍、針金が拉げられている辺りで血痕らしき物を見つけた。

そして・・・箱の中の子猫達は、発見されてから20時間エネルギー摂取をしていない筈なのに、

ごそごそごそごそ、にーにーにーにー、がさがさがさがさ、にーにーにーにー。

「・・・・・元気だね〜・・・。」

導き出される1つの答え、それをより確実にする為に出勤している他の従業員、G、Nに確かめた。

「morni〜ng!今朝、子猫箱の蓋、動かした?」

二人とも一様に

「うんにゃ、動かしとらん。で、子猫、どうなとる?」

箱の蓋を動かすどころか、様子さへ見に行っていない反応。

君達、子猫ちゃんが心配じゃないのかね!!と軽く非難を覚える。

「そうかぁ、動かしてないとなると、やっぱり・・・」

「蓋が移動させられてて、針金格子が破られてて、その傍に血痕と思しきモノがあって、

ほんで、子猫が1匹おらへんねん。」

独り言の後、事実を告げた。

状況証拠から考えて、導き出された答えは

「ってことは、母猫が迎えに来たってことか?」

T、G、N3人の意見は一致した。

店内、レジの周辺で3人、顔を突き合わせて話していたその時、

「にーにーにー」

子猫達の鳴き声が2階の倉庫から聞こえてきた。

開店直後の静寂の中とは言えど、有線放送はかかっている。

明らかに、Tが様子を見に行った先ほどより鳴き声が大きくなっている。

「にーにーにーにー」

まるで、自分達の存在を位置を知らしめるかのように、母猫を呼ぶように。

慌てて2階倉庫に駆け上がるT。

すると、子猫の鳴き声が小さくなった。

おかしい・・・。

階下の売り場に下りてみる。しばらくすると、

「にーにーにーにー」

子猫達の鳴き声は大きくなる。

どうやら、母猫が近くに潜んで居るようだ。

2階倉庫の何処かに。おそらく、子猫達からそう離れていない場所に。

在庫のダンボール箱の影、隙間、若しくは蓋の開いている在庫の箱の中に。

確信を持ったTはGとNに母猫が潜んでいる可能性が高い事を告げた。

そして、3人が選んだ行動は、『母猫を探し出せ!!』だった。

住み着かれたら厄介だ、とにかく猫の親子を確保するべし。

処置はそれから考えよう。

さぁ、親猫探しだ!恐らく、消えた子猫は母猫と居るはずだ。

しかし、大いなる問題が1つ。

もう店は開店している。人手は3人の社員、T、G、Nのみ。

そして、店内には本日のお客様1号、2号が。

本来の業務を疎かにする訳にはいかない。

母猫捜索は、10時、パートさん達が出勤してから開始する事に決まった。

子猫の鳴き声を聞きながら、気を取られながら、通常業務をこなす。

そして、10時。

パートさん達が出勤。

母猫捜索が始まった。



猫事件4に続く。

猫事件第2話

続き。【第1話から約1年かかりました(^^;)】

「にーにーにーにー」

と可愛らしい声で弱弱しく鳴く産まれたての子猫4匹が入った箱を出来る限り水平を保ちながら

店外の倉庫に運びこんだTとG。

手の空いている他の従業員を呼び寄せ、事の次第を説明し、問題のブツを見せる。

運び込まれた箱の中を覗き込み、それぞれ思い思いのうめき声を上げる呼び寄せられた従業員達。

箱の中では、まだ目も見えぬ子猫4匹が不安そうに身を寄せ合いながら不安げな声で鳴いている。

子猫の大きさは手のひらサイズ。

羊水の水気も所々乾燥し柔らかそうな体毛が風に吹かれてフワフワと揺れていた。

誰から見ても愛らしいその姿。

可愛らしい泣き声。

『ど〜するよ・・・・・これ・・・。』

処置に困る従業員一堂。

しかしその日は土曜日で、お店は改装中とは言え、お客さんも結構多く、

何より今は仕事中。

仕事中に職場で起こった事件とは言えど、子猫に構っているわけに行かず、

とりあえず、母猫が連れ戻しに来てくれる事を期待して、倉庫の片隅に箱ごと放置。

TもGも他の従業員も後ろ髪をひかれつつ通常業務に戻ったのだった。

子猫放置から5時間。閉店1時間前、子猫が気になる従業員達は子猫を放置した倉庫の片隅に集まった。

子猫は・・・・

まだ箱の中にいた。

陽も傾き気温も若干下がり、子猫たちはお互いの体温で暖を取っているように寄り集まっていた。

「母猫、来なかったみたいだね・・・」

「さて、困った」

「どうする?」

集まった従業員T、G、N、M、閉店作業組は子猫の入った箱を囲み、お互いの顔を見合わせて

途方に暮れる。

出来る事ならば、母親の元に返してやりたい。

ココで死なれちゃたまったもんじゃない!!

頼むよ、母猫!!迎えに来てくれ〜!!!

【犯人は、犯行現場に帰ってくる】

従業員達の意見は一致し、閉店前のお客さんの少なくなった店内に子猫達は戻された。

彼らがこの世に生を受けた場所に。

そして1時間が経ち、閉店作業が終わると、従業員達は子猫を残して店を後にした。

一晩の内に隙間だらけの店舗に母猫が忍び込み、子猫を連れ去ってくれる事を祈って。

 
猫事件第3話に続く。

猫事件

この物語は、実際に起こった出来事を多少脚色しております。


事件が起きたのは、2年程前の5月だった。ゴールデンウィークも明け、夏の準備が始まっている、

梅雨前の爽やかな気候の時期だった。

場所は世界遺産のお城がある関西弁の喋られている地域。別名、白鷺城なんて呼ばれているお城の姿を

目視できる位置にある、とあるきったねー倉庫で無理やり小売店を営んでいる食品卸会社でその事件は

起きた。

一見、きったねー倉庫のそのお店の名は『ぺぺろん』

長方形の倉庫の裏側に当たるL字面はコンクリートの壁、表側のL字面はシャッター。

店内と店外を遮るものは、ナイロンカーテン?!カーテンすっよ!!

夏は暑く、冬は寒い。単に屋根が付いているだけの、青空市場に毛が生えたってな感じの、実に

自然を満喫できるエコっちゅーか、なんちゅーかなお店『ぺぺろん』は卸業を営んでいる為、

食料品が安い。財布にやさしい『ぺぺろん』はしかし、従業員とお客さんには厳しい環境を強いていた。

冬は寒く夏は暑い、冬、お買い物に来たお客さんは車から降りる時、コートを着込んで店内に入って

来、手袋着用で買い物をする。

「寒い」

お客さんからそんな怒りの声を多数聞いたり、同情されたりなお店『ぺぺろん』は事件の起きた5月、

壁を作る改装工事を行っている最中だった。

この店に足りないものは何だ?まず、壁だろう!!よし!壁だ!!壁を作ろう!!

そんな理由ではないのだけれども、改装工事中の『ぺぺろん』は隙間多き状態だった。

そして、ある土曜日の正午過ぎ。2日に渡る事件の幕が開いた。


昼食を終え、担当商品「うまい棒」の品だしをしようと在庫を置いている店内2階の倉庫に駆け上がり、

13種類あるうまい棒を各箱から取り出していたパッと見少年、中身もかなりの少年の従業員Tが

何種類目かのうまい棒の箱を開けた時だった。

ソレは、箱を開けた瞬間Tの目に飛び込んできた。

「うおっつ!!」

衝撃の現実を目にしたTは思わず、おっさんくさい叫び声を上げ、一歩後ずさった。

うまい棒の箱の中には、今、まさに産み落とされたばかりの4匹の子猫がいたのだった。

産み立てほやほや、血が付いている。子猫は濡れている。しかし、母猫はいない。

そういえば、休憩からあがってきた時、店内が俄かに騒がしかった。従業員数人がやや興奮した様子で

「猫、猫がいた。」

と言って、猫の姿を探していた。

非公認ペットなど良くある事。雀が入ってくることもしばしば、政宗(イタチ)は住み着いている。

そんな状態なので、大して驚きもせず、自分の仕事に取り掛かったTは、従業員に見つかり、

姿を消した猫の落し物を見つけてしまったのだ。

(見なかった事にしたい・・・。)

そっとうまい棒の箱の蓋を閉めて、深呼吸。そして、蓋をまた開く。

揺るがない現実。そこには産み落とされたばかりの子猫4匹。そして、生臭い血の臭い。

(勘弁してくれよ〜。何でよりによってうまい棒の箱だよ・・・。)

途方にくれた様子でうまい棒の箱の中を見つめるTの目の前で、産み落とされたばかりの子猫達は

弱弱しく泣き声を上げながら這っていた。

とりあえず、現状を同じ菓子部に所属する従業員Gに報告。

「G、ちょっと、2階に来てちょ。びっくり箱があんねん。」

自分の担当商品の補充をしていたGを引っ張り、衝撃の現場へGを連れて行きTはびっくり箱を

開いた。

「んが!!」

箱の中身を見て、思わず叫び声を上げる 従業員G。50代のおっちゃんである。

親猫捜索隊だったGは、瞬時に事態を理解した。

「さっきの猫、こいつらの母親か」

「どうしよう、これ・・・。」

うまい棒の箱は産み落とされた時の血が大分染みてちょっぴりやばい状態。

2人で箱の中を覗き込みながら、無言。流れる沈黙。

事実は小説よりも奇なり。晴天の霹靂。うまい棒の箱の中に生みたての子猫。

とりあえず、箱ごと猫達を店外の倉庫へ移動。

箱は血が染みて臭かった。

続く。

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事