あるスーフィー巡礼者の日記 A diary of a sufi

思い込みや見かけにだまされず、本質を見極めましょう。

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 今回の投稿では、先の二つの投稿(その1)(その2)を補足する意味で、トンレンの精神を日常生活に活かす方法(の一例)について解説したいと思います。
 
【他者の悪行や悪徳がもたらす負のエネルギーを引き受ける】
 
 たとえば、現在、国会中継を観ていると、政府や与党のあまりにも不誠実な答弁を耳にすると思わず義憤(怒り)がこみ上げてきたり、呆れ返ってつい絶望的になったりする場面も少なくありません。
 
 つまり、国会中継をテレビ(や動画など)で観ることは、決して「心地良い」ことではないのです。
 でも、真実を知るために、現実をしっかりと把握するために、頑張って国会中継に耳を傾けます。
 
 これは、ある意味「他者の悪行がもたらす負のエネルギーを自らに引き受ける」ことだとも言えます。
 
【自己のネガティブな感情体験の原因は自分自身の心のプログラム】
 
 ただ、たとえ他者の悪徳(にもとづく言動)が、自分の怒りや絶望のきっかけ(機縁)をもたらしたとしても、最終的にそれらのネガティブな感情体験を生み出した原因は、自らの心の性向すなわち「自己の心の内に存在する何らかの執着」です
 
 それを端的に図示すると以下のようになります。

①他者の悪行

⇒②「他者の悪行」に対して怒り(義憤)を抱く自らの心の反応回路
⇒③怒りというネガティブな感情体験
 
 ①が②の反応回路を起動させ、③がもたらされるのです。したがって、③の直接的な原因は②の反応回路にあります
 つまり、②の回路をプログラムし直すことで、①に触れた時に「怒り(義憤)」の代わりに「智慧(理解)と慈悲」を生み出すように自らの心を作りかえることができるのです。

【智慧と慈悲を深めるチャンスに変容する】

 そのように自らの心の反応回路を作り換えることができたなら、同じ「他者の悪行」と言う外界の現象と遭遇したとしても、以下のように全く異なった感情体験を生み出すことができます。

①他者の悪行
⇒②「他者の悪行」に対して「智慧(真理への理解)」と「慈悲」を抱く自らの心の反応回路
⇒③平安、慈悲などポジティブな感情体験 

 智慧(真理への理解)とは、例えば、「悪行を犯す人がやがてその報いを受けて苦しむ(あるいは、悪行を犯す時点ですでに心の内奥では苦しんでいる)」という事実(真理の法則)に対する理解などのことです。

 そのような智慧からは、(すでに苦しんでいる、そして未来に確実に苦しみの報いを受ける)悪行を犯す人に対する慈悲の心が自ずと生まれてきます。

 つまり、「他者の悪行」という一見ネガティブに思える現象も、真理への理解や慈悲心、そしてその智慧と慈悲から生じる心の平安といったポジティブな体験やエネルギーを引き出すチャンスに変容させることができるのです。

 「トンレンとは、そのように自らの心を再訓練するための技法である」と言うことができるでしょう。
 
【「災い転じて福となす」トンレンの奥義】
 
 したがって、もしも、極悪安倍政権の言動によって怒り(義憤)などの煩悩が生じたら、その場でトンレンの瞑想(やその他の精神的技法)などによってそれらを即座に智慧と慈悲のエネルギーに変換することが大切です。
 
 外側で起きる出来事(とくに他者の不幸や苦しみ、悪行や悪徳など、何らかのネガティブな現実)に触れることで何らかのネガティブな感情体験が生じても、それを契機として気づきを高め、最終的にそのネガティブな感情エネルギーを上回るポジティブな霊的なエネルギーに置き換えることができれば、それは「トンレンの実践」だと言えるでしょう。
 
【イメージの視覚化は必須ではない】
 
 トンレンの瞑想の中では、よく「他者のネガティブな精神的エネルギーを黒いエネルギーとしてイメージして(自己のハートの中に)吸い込む」といった指導が行われます。
 
 ただ、私は、必ずしも「黒いエネルギー」などとして視覚化する必要はないと考えています。 
 
 本質は、「自己vs他者」という区別(つまり自我の幻想)を超えること、そして、ネガティブなエネルギー(苦しみ、怒り、執着など)をポジティブなエネルギー(平安、慈しみ、満足など)に変換することです。
 
【日常での実践こそが最終目的】
 
 トンレンの手順に従った瞑想には、そういった心の性向を育む効果があると言えるでしょう。ただ、(クッションの上での)瞑想よりも大切なことは、トンレンがめざす心の性向を日常生活で実践することなのです
 
 トンレンがめざす心の性向を日常生活で実践することができたなら、あえてわざわざ目を閉じてトンレンの(型通りの)瞑想を実践する必要はないとも言えるでしょう。
 
 「動中の工夫は静中の工夫に勝ること百千万倍」と白隠禅師もおっしゃっています。
 「静中の工夫」とは静かな瞑想すなわち座禅を実践すること、「動中の工夫」とは日常生活の只中で座禅の精神を体現することです。

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