あるスーフィー巡礼者の日記 A diary of a sufi

思い込みや見かけにだまされず、本質を見極めましょう。

最新科学と東洋思想

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 EPRパラドックスとは、解りやすく表現すると「もし量子論の主張が正しいとすると、無限の距離を離れた二つの電子が互いに瞬時に情報交換をしていることになる。そんなことはありえるはずがない」というアインシュタインが提示した思考実験である。

 アインシュタインは、この思考実験を量子論の矛盾を指摘するために提示したつもりだったが、数年後に、この思考実験を肯定する実験結果が観測された。アインシュタインは、自らが提示したパラドックスによって自らの主張を論破することになったのである。

 EPRパラドックスは、結果的に「宇宙の諸現象は、互いに深くつながりあっている」とする東洋の宇宙観の正しさを裏付ける根拠の一つとなった。そういう意味ではアインシュタインが果たした功績は大きいと言える。天才は、その誤謬によっても、真理を際立たせる能力があるのである。

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 これまで見てきたように、量子力学と東洋思想は、切っても切れない仲である。そもそも東洋思想が存在しなかったならば量子力学は存在し得なかったのである。

 東洋と西洋という二つの文明に分化してそれぞれ発展を遂げてきた人類の知性は、いまや、量子力学という学問の中で一つに結ばれようとしている。それは、人間の大脳が分析や論理を司る左脳と統合や直観を司る右脳に機能分化しながら、「脳梁」によってその機能が統合されていることに比せられる。

 量子力学のユニークな点、それは、量子力学の原理が、純粋な数学的演繹思考によって導き出され、(ミクロの世界における)科学的観測事実がその数式を裏付けているという点である。
 そして、要素還元論の極致にあり、真の科学的精神の権化[文末註]とも呼べる量子力学の辿りついた結論が、直観智の具現化である東洋思想の教説と見事なまでに一致しているというところが興味深い。

 「陽が極まれば陰に転じ、陰が極まれば陽に転ず」という陰陽論の言葉を地で行くような話であるが、その原理は、実は太極図そのものの中に図示されている。

 私は、大学の教養課程のセミナーで「量子力学」を専攻した。そして、量子力学の原理が、微分積分などを始めとする数学的思考の蓄積によって導き出せることを、数学的な作業を通して理解することができた。そして、そういった量子力学の原理が、東洋哲学や東洋医学の実践・観察事実と一致することも学ぶことができたのである。 

真の科学的精神の権化…この点については、量子力学者たちとアインシュタインの論争が興味深い。相対性理論によって従来の科学的思考の枠組みを打ち破ったアインシュタインさえも、量子力学の真価を認めることができなかった。アインシュタインが「神はサイコロを振らない」という言葉で量子力学を批判したことは有名である。だが、彼が量子力学を否定するために提出した「EPRパラドックス」が、後に観察事実と合致することが明らかとなり、アインシュタインの敗北が決定的となったことは歴史の皮肉である(「策略にかけては、アッラーの右に出るものはいない」コーランより)。

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 量子力学そのものではないが、現代文明・最新科学を語る上で無視することができないのはコンピューター・サイエンスであろう。コンピューターの基礎理論は、ご存知のようにライプニッツが体系化した2進法である。
 彼は中国の古典『易経』に関心をもっており、1703年、イエズス会宣教師ブーヴェから六十四卦を配列した先天図を送られ、そこに自らが編み出していた2進法の計算術があることを見いだしている。
(なお、歴史上の記述を見いだせる2進法の最初の提唱者はインドの学者ピンガラであると言われている―紀元前200年頃)

 無のゆらぎ(無極)から陰陽の二極(太極)が生じ、太極から地水火風という四大が生まれ、八卦さらに六十四の象(しょう)へと世界が展開していく…。
 森羅万象を、陰陽の相互作用によって生み出された唯一存在の変化(へんげ)としてとらえる陰陽論は、実は「2進法で世界を記述する哲学である」といっても過言ではない。
 易者が占いをする際のテキストである「易経」(I Ching)は、「変化の書」とも呼ばれるが、心理学者のC.G.ユングがその価値を高く評価していたことはよく知られた事実である。

 哲学というより実践心理学としての性格が強い上座部仏教においても、2進法と同じような観察事実が示される。

 上座部仏教の中心的修行法であるヴィパッサナー(「詳しく観察する」がその原義である)は、「自己と世界として現れる事象をあるがままに観察し認識する」ことを本質とするシンプルな瞑想法である。その具体的な技法は、呼吸とともに横隔膜が上下する時に、「上がっている」「下がっている」という念(サティー)を入れるなど、極めて平易なものである。

 ヴィパッサナー瞑想が進んで行くと、大脳の演算処理スピードが加速化され、知覚や認識の歪み(大脳コンピューターのバグ)が自然に除去されていく。そして様々な真理が明らかになってくる(禅でいう「小悟」)。そしてついには、宇宙の全事象は「刹那滅」と呼ばれる超短時間の単位で連続する生起と消滅の繰り返しによって成り立っていることが明らかになってくるという(無常智)。
 まさにコンピューターにおけるONとOFFの繰り返しそのものである。

 森羅万象は、この瞬間瞬間の生滅の連続によって成り立っているのであり、「永遠に存在する実体」という概念や感覚は幻にすぎない。これが、仏教において「無我説(アナッタ)」や「空論(シュンニャータ)」が指し示す真理である。

 そして、この単純な事実を骨の髄まで知るに至ったとき(慧解脱)、無常なる現象への執着が消え(心解脱)、代わりに永遠なる不滅の意識(不生)の存在が明らかとなる。

 このように現象界(相対世界)の無常性にフォーカスをあてるのが仏教的なアプローチであり、どちらかというとその奥に存在する絶対意識の方に注目するのが、ヒンドゥーのアドヴァイタ(不二一元論)哲学やスーフィーのタウヒード(存在の唯一性)哲学の特性である。
 ただし、仏教においても永遠不変の実在に対する言及はあるし、アドヴァイタやタウヒードでも、この世の存在の無常性に対する気づきがその礎となる。

 アドヴァイタ哲学の創始者であるアディ・シャンカラチャリヤ[文末註]は、「仮面の仏教徒」と呼ばれ、その教説の仏教哲学との類似性がしばしば指摘されてきた。

 つまり、インド思想の双璧をなすこの二つの思想潮流は、お互いに対立するものではなく、唯一なる真理の二つの側面を示したに過ぎないのである。

アディ・シャンカラチャリヤ

 アドヴァイタ(不二一元論)哲学の創始者。
 インド思想さらには人類全体の知性に対して彼が及ぼした影響は計り知れない。現在でも、インドの東西南北に「シャンカラチャリア」の称号で呼ばれる四人の教師が存在し、彼の教説を伝えている。「アディ」とは「原初の」「最初の」という意味である。
 「ヴィヴェーカー・チューダーマニ(識別の至宝珠)」(本邦未訳、英語訳では”Crest Jewel of Discrimination"などがある)「ウパデーシャ・サーハスリー(千の花びらの教え)」(邦訳は岩波文庫に収蔵)などの著書がある。

写真は上から「数学者であり哲学者でもあったライプニッツ」「太極図と八卦を示したペンダント」「アディ・シャンカラチャリア」

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 湯川秀樹博士が、その量子力学の着想において、老子の影響を受けていたことは、湯川自身も言及している。

 博士は、ある日、老子の夢をみて、その夢が彼の素粒子論の発想のきっかけになったという…

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 ハイゼンベルグ、シュレディンガーの他にも、東洋思想との接点をもつ量子力学者は少なくない。いや、あえて言うならば、(雑魚は別として、その大御所の中では)東洋思想との接点をもたない量子力学者を見つけることの方が難しいと言えるかもしれない。

 それらの内の何人かの名前を挙げるならば、デーヴィッド・ボーム、ニールス・ボーア、パウリ、湯川秀樹…

 量子論の育ての親とされ「原子模型」で有名なニールス・ボーアは、デンマーク王立科学技術アカデミーから勲章を授与されたが、その際に自分の紋章として古代中国哲学の陰陽論のシンボルである太極図を選定していることから、その東洋思想への傾倒ぶりがうかがえる。

 「原子物理学論との類似性を認識するためには、われわれはブッダや老子といった思索家がかつて直面した認識上の問題にたち帰り、大いなる存在のドラマのなかで、観客でもあり演技者でもある我々の位置を調和あるものとするように努めねばならない。」(ニールス・ボーア Wikipediaより転載)

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