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【珠玉の名作映画「山の郵便配達」のご紹介】
今夜(日付は1月1日)午前3:45から、BSジャパンで「山の郵便配達」という映画が放映されます。これは、私が今までの人生で観た映画の中で最も深く心に残り、最も好きな映画の一つです。
中国辺境部の山村地域で長年郵便配達人を勤めてきた初老の男が、身体の衰えを自覚して引退を決意します。そして、まだ若い息子に郵便配達の仕事を引き継ぐために、二人で二泊三日の徒歩の旅に出ます。
この映画は、父親から息子への家業の引き継ぎをテーマとしているので「男の物語」と思われがちです。
確かに、物語の大半は、郵便配達人としての父親の最後の(そして郵便配達人としての息子の最初の)旅の中での出来事を綴ったものです。
しかし、物語の後半において、女性が極めて重要な役割を演じます。
若い息子とトン族の若い娘の初々しい恋のエピソード。そして郵便配達人としての父親と若い頃に恋に落ち、父親の仕事を支え続けてきたトン族出身の母親との回想シーン。
この二人の女性の存在が、この物語に命を吹き込み、奥深さを与えています。これは、男の物語であるとともに女の物語でもあるのです。
原作は、「那山、那人、那狗(あの山、あの人、あの犬)」という題名の中国の短編小説(日本語訳は「山の郵便配達」という題名で集英社などから出版されています)。その題名が示唆するように、主人公の一家が飼っている犬「次男坊」がとても象徴的な役割を演じています。
自然と人、人と人のつながりの中で生きてきたアジアの民の魂を鮮やかに描き出した珠玉の名作です。
物語の舞台は中国の湖南省西部の山村地域ですが、私が3年間住んだネパールの山村地域を彷彿とさせる自然と人々の暮らしが映しだされ、とても懐かしい気持ちがしました。
ただ、懐かしさを感じたのは風景がネパールに似ていたからだけではないと思います。この物語で描かれる人々の暮らし、家族の絆や共同体の一体感が、私たちアジアの民の心の底に流れる東洋的な精神性、いや洋の東西を超えてすべての人々の心の中に生きている人としての根源的な思いを揺さぶるからではないでしょうか。
放映が深夜なので生で観るのが難しい方は、是非録画して、正月休みの間にじっくりと鑑賞されることをお薦めします。
映画についてのより詳しい解説は、以下のリンクをご参照ください。
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