あるスーフィー巡礼者の日記 A diary of a sufi

思い込みや見かけにだまされず、本質を見極めましょう。

バンクーバー五輪特集

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【すべての国家・社会は複数の文化・民族の混淆から生まれた】

 縄文文化と弥生文化が融合して日本文化の原型を形作った。その後、長い歴史を通して大陸の文化や技術を取り入れ、鎖国の間も出島や倭寇などを通じて海外の文化や技術を取り入れ、明治維新の後には、西洋の科学技術や社会思想などを大々的に取り入れて来た。日本の文化、日本の経済、日本の科学、日本の社会は、そうやって様々なものが融合しながら作り上げられたものである。
 日本人が単一民族、日本文化が単一文化であるというのは幻想である。

 アメリカでも、当初は白人が先住民を征服したが、ヨーロッパだけでなく世界の各地から移民が集まり、黒人の文化や音楽、南米の文化、イスラームの文化、中国をはじめとするアジアからの移民の文化、日系人の文化や技術、そして先住民文化の影響も色濃く受けながら、現在のアメリカの文化や文明が形作られて来たのである。

 オーストラリアも同じである。思想犯が多くを占めていた白人の流刑者や移民、近隣のアジア諸国からの移民、そしてやはり先住民文化の影響を表に裏に受けながら、オーストラリアという国家とその文化が形成された。

【固定した民族・文化という幻】

 そういった「歴史の事実」を前にすれば、誰が先住民であるか、誰が土地への権利を持つのか、誰が加害者で誰が被害者なのか、誰が文化の担い手なのか、そんなことにこだわることは、無意味であることがわかってくる。

 そもそも「○○民族」「○○文化」という固定した実体が存在するという思い込み自体が幻想なのである。あらゆる民族・文化は、様々な民族の融合と様々な文化の影響を受けて形成されたものであり、他との関係性なしに独立して存在する「個」はないからである。

 それは、仏教の「無我」「空」「因縁生起」の教説の説くところである。

「諸々の事象には我(中心・実体)がないと知るならば、葛藤は消え、平和がもたらされる」(ゴータマ・ブッダ)

【チリ大地震が教えてくれたこと】

 「弥生」を目の前にして発生し、日本列島を津波の恐怖で満たしたチリ地震は、地球の裏側で起きたことが、私たちの生活と密接に結びついていることを如実に示している。
 温暖化問題を始めとする近年の地球環境問題の超国境性と合わせて、もはや私たちは、この地球で、他の国の人たちと独立して生きることは不可能であることを自覚させられる出来事であった。

 「我という幻に根ざした生き方が不毛である」としたブッダのメッセージが、これからのグローバル社会において持つ意味は計り知れないものがある。
 それはまた、預言者ムハンマドがもたらし、「全人類」「全生態系」「全宇宙」のために生きることを説く「イスラーム」のメッセージとも同一である。

【パシュートでの銀メダル獲得に思う】

 メンバーにメダリストが一人もいなかったのに、見事に銀メダルを獲得したスピード・スケート「パシュート」の日本チームの在り方が、これからの世界が歩むべき道筋を指し示しているように思う。
 パシュートは、リードする人は必要だが、最後の一人が遅れないように気を配ることが最も大切な競技である。これからの地球社会では、先を進む国だけに注目するのではなく、一番後を歩む国を気にかけて行くことが大切なのではないだろうか。

 地球温暖化問題では、どんなに環境先進国が頑張ろうとも、後発開発国が温暖化ガスを排出し続けるならば、現時点での「より多くの温暖化ガスを排出する産業先進国家vsまだ少ししか温暖化ガスを排出していない発展途上国」という図式もやがて逆転し、すべての努力は徒労に終わることが明らかにされている。

 資本主義や自由主義の考え方は、「競争」を重視し、優秀な者を優遇し、まず富める者が富み、上から全体を引き上げて行こうという考え方である。
 そういった競争原理のすべてを否定するわけではない。だが、今、世界はあまりにも「競争」と「分離」に傾き過ぎ、「分かち合うこと」「ともに生きること」をおろそかにしてしまったのではないだろうか。

 現代社会で、資本主義と社会主義の闘争で資本主義が勝利したかのような錯覚が蔓延している。
 しかし、本当に敗北したのは、社会主義や共産主義の思想そのものではなく、その一部の「一党独裁」「労働者階級の独裁」という「独占」の思想である。社会主義や共産主義の中の「分かち合い」や「平等」の思想は、実は現代の資本主義の中にも取り込まれているし、これからますますその重要性を増して来るだろう。
 そして資本主義の中の「競争原理」や「欲望の拡大再生産」の思想は衰退していくだろう。もしそれらが衰退しないならば、生態系の中でこの先人類が生き残る希望はない。

 ロシアのメドヴェージェフ大統領が、メダル獲得数が大幅に減少したロシア・オリンピックチームの責任者に辞任を促す会見を行った。よその国の話ながら、空恐ろしい気持ちがする。オリンピックという平和の祭典が幕を閉じた後で、そのような分離の発想に後退してしまうことは残念でならない。

【オリンピックをめぐる二つの新聞記事】

 韓国のスピード選手は日本選手をお手本にしてきた。逆に、ショートトラックの日本チームは韓国人の五輪メダリストをコーチに招く時代になった。中国も各競技に、韓国などから積極的にコーチを招いている。
 国境を超えて行き交う選手や指導者が、互いの技を高めあった。そこに地域の経済発展が重なり、冬季スポーツでのアジアの台頭を生んだと言える。

 身近な国とフェアに競い、学びあう中でアジア全体のレベルが上がり、その結果、世界でのアジアの存在感が増していく。スポーツから学びとるべきことは、実に深い。

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 東京・大久保のコリアン・タウン。韓国料理店「ワールドカップ」では、日本人と韓国人の客約40人が集まり、浅田選手と金選手の演技を見守った。金選手がジャンプを決める度に、「きれい」「やった」の声と拍手が巻き起こり、演技終了と同時に「金メダル」の声が上がった。
 次に浅田選手が登場すると、韓国人の客からも「真央ちゃんがんばれ」と声援が。演技中盤にミスが出ると、「あ〜」とため息が漏れた。
 ひときわ大きな声で応援を続けていた許銀子(ホウンジャ)さん(53)は「やはり故郷のことだと胸が熱くなります。でも、2人とも良く頑張った。金メダルが二つあればいいのにね」と話した。

(いずれも朝日新聞2月27日朝刊より抜粋)

【本当に「アジア」が躍進したのか?】

 国境を超えた技術交流やフェアな競い合いが身を結び、韓国・中国(・日本?)が躍進したことは素晴らしいことである。だがここで、躍進したのは「アジア」なのかという問題を考え直してみる必要がある。

 韓国が今回の冬季オリンピックで大躍進を遂げ、数多くのメダルを獲得した一因には、イミョンバク大統領が就任当初から「先進一流国家入り」を目標に掲げ、スポーツの分野でも、国を挙げての強化策を実行したことが挙げられている。2018年平昌五輪招致委員会は、26日「今回五輪での韓国選手の金メダル量産は冬季五輪強国のイメージをアピールするもので、誘致に極めて有益だ」と述べた。

 躍進する韓国に水を差すつもりはないが、「富国強兵」「脱亜入欧」を掲げて戦争に突き進んだ、かつての日本を見るようで少々心配になる(もちろん韓国に戦争をする気があると疑っているわけではないが)。

 キム・ヨナを見ていてどうしても「気の毒な」印象をぬぐえないのは、キム・ヨナがそのような国家レベルの執着からもたらされる期待(重圧)の犠牲者だからではないかと思う。キム・ヨナの「(オリンピックが)終わって良かった」という言葉が、そのことを象徴している。浅田真央が「オリンピックがいつまでも続いてほしい」と思ったことと対照的である。

 日本は、韓国とよいライバル関係は保ちつつも、韓国の真似をする必要はない。今回、アジア勢が大躍進したといっても、それは、中国・韓国(・日本?)という二つ(三つ?)の限られた国だけである。アジアには、他にも多くの国々があるが、中国・韓国・日本以外にメダルを取った国はない。
 アジアの大国「中国」の思惑による「台湾の不参加」という問題も残り、オリンピックはいまだ「大国主導」であることを知らしめた。

【アジア諸国全体の底上げを】

 アジア諸国の多くが暖かい地域に位置し冬季五輪には不利だと言う理由もあるだろう。
 だが、例えばモンゴルは日本や韓国や中国よりも北に位置する国である。
 日本は、韓国や中国とだけでなく広くアジアの国々に対して、トップレベルでの技術協力だけでなく草の根レベルでのスポーツ振興への協力を行い、アジア全体としての進歩を目指して行くべきではないだろうか?

 青年海外協力隊の私の先輩隊員や同期の隊員は、柔道や空手など日本の武道の技術や精神をネパールの人々に伝えることで、ネパールの人たちと国境と文化を超えた友情を育んだ。
 それは、日本がどんなメダルを取ることよりも価値のあることだと私は思う。

【世界のバランスを取るために】

 日本は「脱亜入欧」ならぬ「脱欧入亜」をこそ目指すべきであり、戦時中に歪んだ形で利用された「大東亜共栄圏」の理想を真の意味で追求するべきではないかと思う。

 もちろん、最終的に目指すべきなのは、西洋と東洋、北と南、先進諸国と途上国、といった壁を超えた「全人類の調和と統合」である。だが、経済・科学技術・スポーツなどの分野で後れをとっているアジア諸国の底上げを図ることは、世界のバランスを取る上で重要である。

 アジア(・アフリカ)諸国の社会の停滞は、欧米の植民地支配とその遺産であるグローバル資本主義経済のシステムによってもたらされたものであるから、そのアンバランスを率先して是正する役割を日本は果たすべきであると思う。それが、過去の過ちに対して日本がとるべき償いなのではないか。

 日本では、今回のオリンピックでの成績不振(とくに韓国に後れをとったこと)をやり玉に挙げ、「国策としてメダリスト育成に取り組むべきだ」という声が強くなっている。

 国家としてベストを尽くすことには異論はない。だが、「自国のメダル獲得」にこだわり、技術の独占に走ったり、自国だけの強化を目指すとしたら、それは本末転倒である。

【韓国料理店で】

 真央とヨナの頂上決戦に決着がついた翌日、私と妻は、キム・ヨナ選手の金メダルと浅田真央選手の銀メダルを祝福するために、近所の韓国料理店で祝杯をあげた。煙を立てて焼き上がった牛肉に韓国伝統の調味料コチジャンをつけ、発酵酒「マッコリ」に舌鼓を打った。仕上げは、韓国の冷麺をもとに日本風のアレンジを加えた人気メニュー「盛岡冷麺」だ。

 日本文化と韓国文化の融合によってもたらされた料理で腹を満たしながら、私と妻は、様々な話をした。

 日本と韓国が戦争をしたのは歴史上ごく短い間だけで、両国はずっと隣人としてお互い学びあい友情を育んできたこと。

 仏教や漢字を始めとする大陸文化は、韓国を通してもたらされたこと。刺身は韓国にもあるが、韓国の刺身が日本の起源なのか、日本の刺身が韓国に導入されたのかは定かでないこと。

 韓国の「テッコムV」は、日本の「マジンガーZ」を模倣して作られたアニメであるが、韓国の人たちは、日本の「マジンガーZ」が「テッコムV」の真似だと思い込み、激しい非難を繰り広げたこと。

 原日本人とも言える縄文人は、大陸(朝鮮半島)から渡ってきた弥生人によって軍事的には征服されたが、その後、両者の間は混血が進み、現在の日本人である私たちには、朝鮮人の血が色濃く流れていること。そして、弥生時代以降の日本の文化は、縄文文化(原日本文化)と弥生文化(大陸・朝鮮文化)の融合によってもたらされたものであること。

 その原日本人である縄文人でさえ、旧ソ連の北方土着民族と南方民族の混血によって形成されたと考えられている。私たちの体の中には、シベリア人の血や南方諸民族の血も流れているのである。

 相手国を侵略しようとしたのは、日本だけではないこと、蒙古に脅されて仕方なくという面もあるが、蒙古襲来で直接日本を襲ったのは朝鮮軍である。対馬では、かなり残酷な虐殺が行われたと歴史書に記述されている。

 だから、誰が誰を征服したか、どちらがオリジナルでどちらが模倣か、なんてことは悠久の歴史の流れから見ればナンセンスであること。お互いに過去へのこだわりを捨て、未来に向かって友情を育み、協力していくことが大切なんだということを話した。

 北米先住民も、もともとアジア大陸から渡り、先住民族を追い出して住み着いた。チベット民族も、かつてチベット土着の民を追い出して住み着いた。ニュージーランドのマオリ族も、土着民を追い出してニュー人ランド人となった。

 パレスチナの地では、現在ユダヤ人がパレスチナ人を追い出そうとしているが、遥か昔には、そこはユダヤ人の地であった。そしてユダヤ人もまた、パレスチナの土着の民ではない。

 そもそも人類そのものが、生態系において他の生物種を追い出して棲息地を確保してきた。つまりすべての人類は「征服民」なのである。

「あなた方の中に罪のない者がいたら、この女に石を投げなさい」(イエス・キリスト)

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 ヨナとの対決に真央が敗れたというのにこのさわやかな気持ちは何なのだろう。おそらく多くの日本人が同じような感覚を抱いているに違いない。テレビの街頭インタビューでもそうだったし、私の周りの人たちの感想もそうである。

 それは、真央やヨナ、そして他のすべての選手が、(結果にこだわらず)「努力すること」の美しさを身をもって示してくれたからなのではないだろうか。日本の文化の中に連綿と受け継がれてきた「努力」の美徳を、彼女たちが私たち日本人の心の中に、そして世界中の人々の心の中に思い出させてくれたのではないだろうか。


 今回のオリンピックで、多くの日本人選手の口から出たのが「支えてくれた人たちのために頑張りたい(頑張った)」という言葉である。
 オリンピックだけでなく、トヨタ自動車リコール問題の公聴会で証言したトヨタ社長からも「私は多くの人たちに支えられた。これからも支えてくれるみなさん(労働者も消費者も含め)のために頑張りたい」という言葉が語られた。
 公聴会では、問題追及の急先鋒と目され息巻いていた議員たちも、豊田社長の率直な謝罪・今後の改善の努力への決意などの誠実さを認め、公聴会後はその態度を一転している。

 オリンピックのみならず、トヨタ自動車問題や一連の反捕鯨問題でも、日本文化の美徳が世界に認められた。シーシェパード問題では、敵対者であるはずの侵入者を丁重に扱う調査捕鯨船乗組員たちの態度が報道された。
 国際的な一流雑誌インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙にも、日本を全面的に擁護する記事が掲載された(拙ブログの「反捕鯨は鯨を救うか?」の中にその要約が転載されている)。

 オリンピックでは、多くの期待されていた選手がメダルを逃し、金メダルを目されていた選手が銀メダルや銅メダルに終わった。日本人は、「メダル取り」という勝負には負けたと言えるのかもしれない。
 トヨタ・リコール問題でも、反捕鯨問題でも、一見すると日本人がバッシングを受け敗北したと取ることもできる。だが、日本人は勝負に負けることでその美徳を世界に知らしめた。日本には「負けるが勝ち」という言葉がある。「身を捨つばこそ浮かぶ瀬もあれ」という和歌もある。
 合気道の開祖植芝盛平翁の「絶対不敗」の境地とは、すべてに勝利することではなく、「敗北が幻である」と知ることである。

「敗北が幻である」とは、そもそも勝ち負けは実在しないということである。敵味方という区別自体が幻だということである。私たちはみな、ともにこの宇宙いうドラマを演じる共演者なのだ。

 ヒンドゥー神話の「マハーバーラタ」(実在した歴史上の戦争を描いた叙事詩であると考えられている)の中で、カウラヴァ兄弟は、神クリシュナがついたパーンダヴァ兄弟と敵対して闘った。
 だが、カウラヴァ兄弟も、神のために戦っていた。そして、その戦闘の場で、人類史上最も美しい聖典の一つと呼ばれる「バガヴァッド・ギーター」がクリシュナ神によって語られ、人類にその英知がもたらされた。
 それは、カウラヴァ兄弟とパーンダヴァ兄弟が、見掛け上「敵対する」ことによって可能となったのである。つまり、「バガヴァッド・ギーター」とは、カウラヴァ兄弟とパーンダヴァ兄弟の競演によってもたらされた共同作品なのである。
 
 ヨナの完璧な演技も、真央のさらなる未来の進化を感じさせた演技も、彼女たちが、そして他の選手たちが、競い合い、切磋琢磨しあったことによって生まれたものである。
 彼女たちの演技は、すべての選手の共同作品だったのである。

 「努力」の美徳は、日本人だけのものではない。私がこのブログでしばしば引用するバガヴァッド・ギーターでは、全編にわたって「結果にこだわらない努力」の大切さが詠われている。

 それはまた、イスラームの「ジハード」の精神でもある。ジハードは、「聖戦」と訳されることが多いが、アラビア語の基本動詞JAHADA(努力する)の変化形であり、その本来の意味は「(神のために)努力すること」である。
 「神のために」とは、特定の宗教の特定の存在のためにという意味ではなく、自分を支えてくれるものたちのために、人類のために、世界全体のために、という意味である

 それはまた、道元禅師の「自己放下」の精神であり、親鸞聖人の「自然法爾(じねんほうに)」の精神である。
 禅における「身心脱落、脱落身心」とは、何か特別な神秘体験のことを示すのではなく、小さな自己の殻を抜け出し、大いなるもののために自己を委ねることを示している。

 オリンピック選手たちは、みなこの「自己放下」の精神を身をもって示してくれた。勝っても負けても彼らが美しかったのはそのためであろう。

 キム・ヨナもまた、この「自己放下」を示してくれた。クリスチャンである彼女は、最後の演技を前に、「すべての結果は神様が決めること」と言い切った。ヨナは、行為の結果を神に委ねたヨーギであり、「神への帰依」を意味する「イスラーム」の徒だった。だからこそ彼女は、重圧に打ち勝ち、あれだけのパーフォーマンスを演じることができたのであろう。

 バガヴァッド・ギーターの「無執着の努力」、イスラームにおける「(神のための)努力」、禅の「自己放下」、これらはみな同じものを指し示しているのである。


 私は、オリンピックそのものがジハードであると思う。それは選手たちのジハードであり、コーチたちのジハードであり、大会役員たちのジハードであり、先住民たちのジハードであり、人類のジハードである。それは何より「平和と人類の統合」を達成するためのジハードなのではないか。

 マハーバーラタで勝利したパーンダヴァ兄弟の長兄ユディシティラは、この世での義務を果たし、その高潔さゆえに肉体をもったまま天国に入る。そこで彼は、パーンダヴァ兄弟だけでなく、カウラヴァ兄弟とも再会する。彼らは、もともと従兄同士だったのだ。かつて史上最大の戦闘を闘った彼らは、今や、天国においてともに談笑する仲となっていた…。

 フィギュア・スケートのエキシビジョンの情景を観ながら、私はそんな「マハーバーラタ」の結末を思い出していた。

 今回のオリンピックは、私に人間の美しさと人生の素晴らしさを再認識させてくれた。

 生涯にわたって「人生の苦」と「苦からの解脱」を説き続けたゴータマ・ブッダは、その最晩年において次のような言葉を残している。

 「アーナンダよ。この世界は美しい。人生とは甘美なものである。」(マハー・パーリ・ニッバーナ・スッタンタより)

※マハー・パーリ・ニッバーナ・スッタンタ(大乗仏典の大般涅槃経とは別物)は、中村元博士の手によりその日本語訳が岩波文庫から「ブッダ最後の旅」として出版されている。円熟した釈尊の境地を表わした美しい原始仏典である。

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 トリプル・アクセルを2度完璧に決めながら細かいミスを2度犯した真央。前に滑走した選手の溝にはまったことも十分に考えられるが、2度もミスしてしまったということは、技術か精神性のいずれかに未熟性が残っていたということだろう。だが、それは決して悪いことではない。

 戦国時代の武将山中鹿之助は、月に向かって「我に七難八苦を与えたまえ」と祈ったという。白隠禅師の座右の銘は、「南無地獄大菩薩」である。真央は、この挫折を胸に更なる高みを目指して行くだろう。試合後のインタビューで真央は「金メダルを取れなかったことが悔しい」とは口にしていない。「自分の演技をパーフェクトに演じ切れなかったことが悔しい」と言っている。

 現女王としてのヨナの勝利には非の打ちどころがなかった。ショート・プログラムで妖艶な女性を演じて観客とジャッジの心を掴み、フリーではスタンダードな曲で一転して清楚な女性を演じきった。陰陽が調和した完璧な勝利である。哲学書「易経」で言えば、すべての爻(こう)が、正位(あるべき位置)についた「水火既済」(すいかきせい)である。

 だが、「変化の書」と言われる易経では、「水火既済」は必ずしもいい卦であるとは考えられていない。今すべてが完全であるということは、変化の先に衰退が待っているということだからである。夢の実現、名声、お金のすべてを手に入れたキム・ヨナには、これから進むべき先がない。キム・ヨナは今回のオリンピックで引退するのではないだろうか?(もし引退しなかったならばあっぱれであるが)

 韓国国民の期待を一身に背負い、崖っぷちの闘いをしていたヨナは、次のオリンピックまでそのテンションを保ち続けることは不可能だったろう。つまり、今回のオリンピックが彼女にとって最後のチャンスだったわけである。ヨナはその唯一のチャンスを見事にものにした。

 一方の真央は、易経で言えば「火水未済」(かすいびせい)である。すべての爻が逆位にありタイミングを失しているが、「未来の発展」を意味する素晴らしい卦とされている。今回金メダルを取れなかったことで、真央は「伝説の女王」への道を歩んで行くだろう。

 水火既済と火水未済は、裏表の卦である。すべての爻において陰陽が逆転している。ヨナは、演技力が主と言われていたが、今回のオリンピックではトリプル-トリプルを見事に完成させ、ジャンプでも技術力の高さを達成した。「ジャンプの真央」は、今シーズン、タラソワ・コーチとつなぎの演技を洗練させ、演技力に磨きをかけた。二人は、見事に対称的である。
 ヨナが「真央はもう一人の私です」と言ったのは、ユング心理学で言えば、真央とヨナはお互いがお互いのシャドーであるということを示すのだろう。
 水火既済も火水未済も、それぞれの中では陰陽のバランスがとれている。だが、場所とタイミングが正反対である。水火既済は、現在において完璧であり、火水未済は、未来に発展する卦なのである。
 

 国籍を超えて誰もが応援していたロシェットが見事に銅メダルを獲得した。メダルからは遥かに遠いと考えられていた長洲未来が4位に食い込んだ。長洲は、将来真央たちの女王争いに加わってくることを予感させた。日本人の両親を持ちながらアメリカ国籍の選手である長洲は、東西文化の融合と国境のない世界の象徴である。長洲の笑顔は屈託がなく、さわやかだった。将来が楽しみである。

 メダル争いとは無縁の鈴木明子は、滑走直後、自分のベストを尽くせた喜びに泣き崩れた。さわやかな泣き顔だった。

 奇しくもトヨタ自動車所属の安藤は、ショートで犯したミスをカバーして5位に踏みとどまった。リコール問題でミスを犯したが公聴会で踏みとどまった豊田社長とともに、今後の巻き返しを期待し、応援したい。

 決勝の滑走順もこれ以上の演出はないというくらいだった。ヨナと真央の対決に決着が着いた後でロシェットが滑り、勝負を超えた感動を呼び華を添えた。最後に長洲が滑り、未来への明るい予感を残して終わった。これは、神が仕組んだとしか思えない。

 今ここの世界にとって、今回のフィギュア・スケートの結果は完璧である。

写真は上から「山中鹿之助」「白隠禅師」「水火既済」「火水未済」

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ボンドガール

多くの場合、観客の気を引くようなグラマラスな女優が起用され、作中の役どころとしてはボンドの敵役のガールフレンドや敵国の女性スパイなど、ボンドと対立する立場からプレイボーイのボンドの手練にかかって寝返るパターンが多い。

シリーズの初期は女性を性的対象と捉えたり、ボンドに使い捨てにされるような設定で女性蔑視との声もあったが、女性が社会進出する時代の流れ(第17作以降、上司のM部長も女性になった)と共に、自立して闘うボンドガール像が創られるようになった。

1990年代までは大半が国際的には無名の女優が起用され、007作品出演後は伸び悩むのがジンクスとなっていた。

ジェームズ・ボンドが好むボンドガール

* 性的関係を持った相手は、そうでなかった相手より、若くスリムで魅力的であり、眼鏡をかけていない傾向がある。
* ベッド・インした女性の90%以上が、平均以上に魅力的で可愛らしい。
* アメリカン・アクセントで話す女性は全体の四分の一に過ぎないが、ヨーロピアン・アクセントの女性よりも性交渉を持つに到り易い。
* 武器を使う女性の方が、そうでない女性より性的接触を持ち易い。2人が性的接触の前に、2人がセックス中に、10人が後にボンドを殺そうとした。

また、最近の傾向として、髪がより短くなり、相手を選ばなくなっている。女性の大役の数は増えているが、ステレオ・タイプに固定されてきている、なども指摘された。この調査は、クリーブランド州立大学の、キンバリー・ノイエンドルフ教授の主導で行われた。

(以上、「Wikipedia ボンドガール」より抜粋)

「自立して闘うボンドガール像」…彼女らは、何のために戦っているのか?ジェームズ・ボンドを助けるボンドガールもいるが、彼女らが助けているのはマッチョてプレイボーイ英国諜報員である。世界平和や正義や女性の自立のために戦っているのではない。自立した女性の象徴とされるM部長はボンドガールではない(ボンドの上司が女性であることは、ボンドガールが自立した女性に変わってきたという根拠とはならない)。ジェームズ・ボンド映画の中では、ボンドガールは、どう転んでも主人公の引き立て役でしかない。

ボンドガールを演じた女優が007作品出演後に伸び悩むのは、「男性の引き立て役」というイメージが定着し、その人の自立した魅力が描かれていないということを示していると思う。

ステレオ・タイプに固定されてきていることは、女性の個性を重視していないことの証拠である。

ボンドガールの役回りとして、主人公ジェームズ・ボンドの性交渉の相手という要素が占める割合は少なくない。ボンドガールが、その後ジェームズ・ボンドと結婚する、あるいは結婚しないまでも継続的なパートナーシップを築いていくというストーリーは聞いたことがない。両者の関係は一時の衝動に駆られた刹那的な関係である。

ジェームズ・ボンドは、新たな作品ごとに次から次へと相手を変えている。これは、男性が女性を使い捨ての対象としていることの象徴である。

キム・ヨナが演じるボンドガールも、これらのボンドガールのステレオ・タイプなイメージを脱していない(むしろ積極的に利用している)。男を挑発するなまめかしい姿態を演じ性的な魅力を前面に押し出している。

キム・ヨナの演技の最後が、拳銃を撃つシーンで終わるのも象徴的である。(倫理規範によって)制御されない性衝動と暴力の密接な関係を示すものである。

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