あるスーフィー巡礼者の日記 A diary of a sufi

思い込みや見かけにだまされず、本質を見極めましょう。

SF映画、怪獣映画の奥深さ

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【核兵器の無意味さを見抜いていた】
 
「ウルトラマン(初作)」には科特隊とは別に、通常の防衛組織が怪獣や宇宙人との戦闘に参加している。第2話ではバルタン星人に対し、核ミサイル「はげたか」を都心で二発使用したが、小爆発を起こしただけでほとんど効果がなかった。
 
核兵器が世界平和に無効であることを象徴したストーリーである。
 
【初期ウルトラマンの名作「宇宙の難民シーボーズ」】

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ウルトラマン・シリーズにも数々の名作がある。処女作「ウルトラマン」の第35話「怪獣墓場」は、亡霊怪獣「シーボーズ」を主人公にした物語である。少数民族問題や近年の対テロ戦争の本質にも迫るシンプルだが深い思想が語られ、自分と異なるものを「悪者」とする人間の愚かさと身勝手さが見事に描かれていた。

「ウルトラファイト」第113回「墓場からの使者」から21回にわたって再登場したシーボーズは、セブンに対抗して「宇宙陰陽の構え」を繰り出した。

日本の怪獣映画に携わる人たちは、なぜこうも東洋思想かぶれの人たちが多いのだろうか。もっとも、「怪獣」の本質を考えると、東洋思想に行きつくのは当然の帰結なのであるが…。
 
【ウルトラマンとタイの伝統文化との接点】
 
因みに、スペシウム光線を放つ時の姿勢は、「タイのヨーガ」と呼ばれる伝統医療体操ルーシー・ダットンのポーズの一つにそっくりである。右手の肘と左手の手首が合わさる時、電流が増幅されると設定されているが、ルーシー・ダットンでも、そのポーズは経絡を通した気の流れを増幅させる作用がある。
 
 
【随所に見られる日本の伝統文化】
 
ウルトラマンの原型は「科学特捜隊ベムラー」に登場する宇宙人ベムラーであるが、ベムラーの容姿は仏法の守護神の一人である烏天狗に酷似している。
 
科学特捜隊の女性隊員フジ・アキコ(ルパン・シリーズの峰富士子の原型か?)は、男勝りの隊員であったが野立て怪獣供養では和服姿も披露している。「怪獣供養」というのは日本の伝統文化に深く根ざしたプロットである。
 
その他、怪獣を寄せ付けなくなる結界を結んだり、ウルトラマンには日本の伝統文化が色濃く反映されている。
 
【ウルトラマン・ガイア 歌舞伎を踊る怪獣】
 
「ウルトラマン・ガイア」の主人公・高山我夢は科学者集団に属し、「ワームホール」「反物質」など専門用語や造語が頻繁に使われ、ウルトラシリーズの中でもSF要素の強い内容となった。
 
ストーリーは、環境を破壊して野生生物を絶滅させ、地球自身を破滅に追いやるかもしれない現代の人類が描かれている。同時に、怪獣も地球の生物であり、根源的破滅招来体に覚醒させられたという設定で、前半はウルトラマンガイアも怪獣と戦って倒していたが、後半は怪獣も地球生物だという自覚のもとにむやみに倒さなくなる
 
「我夢」という主人公の名前は、個人としての「我」はただの概念であり実在しない「夢幻」であるという仏教の思想、あるいはヒンドゥー教のアドヴァイタ(不二一元論)の思想を凝縮したものであろう。それはまた、「我」という概念に支配された世界は実在しない幻であるというスーフィーの思想とも同一のものである。(あまり関係ないが、高山は私の妻の生まれ故郷である)
 
怪獣にも生命の尊厳を認める思想は、先述したように処女作「ウルトラマン」の「亡霊怪獣シーボーズ」の中ですでにその萌芽が認められる。
 
本シリーズでは、怪獣が雅楽に合わせて舞を踊る日本の伝統文化「歌舞伎」をモチーフにした極めて芸術性の高い作品も作られている。

怪獣映画の製作者たちは、「子供たちのため」というより、自分たちの趣味で番組を作っているような気がしてならない。

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モスラVSバガン
1990公開予定だった日本怪獣映画東宝が製作、配給を予定していた。

ゴジラ』と『ゴジラvsビオランテ』の成功で、ゴジラシリーズ復活の確信を持った東宝ゴジラ以外の怪獣で充実させるべく企画された。結局モスラではキャラクターが弱いだろうと判断され、代わりに企画されたのは『ゴジラvsキングギドラ』である。

この企画を大改稿したのが後の『ゴジラvsモスラ』であるが、本来はモスラをこの作品で復活させ、ラストで復活したゴジラとモスラが戦う『ゴジラvsモスラ』へ続ける予定であった。


「バガン」とは、中国の詩書『文選』に登場する、悪と偽政の世に現れる怪獣・場衛の事で、廻りの環境に応じての三神獣として登場する。本作ではバガンは宇宙人が残したナスカ文明の遺跡に関係があり、大昔、森の闇の神と呼ばれ、モスラによってヒマラヤの氷雪の中に封印されたが、地球温暖化によって復活。再び人類を滅亡に陥れる。

物語

ボルネオ島で発見された謎の大きな卵はモスラの卵だった。島にいた小美人がかつて封印された大怪獣・バガンの復活を予言する。やがて生まれたモスラとバガンが因縁の戦いを繰り広げる。


Wikipedia「モスラ対バガン」より抜粋)

う〜ん。「モスラ対バガン」観たかったな…。私はネパールでは、毎日ヒマラヤを見て過ごしました。バンコクは食事が美味しいし、タイ式マッサージは極楽だし、シンガポール式焼きそばやシンガポール・チャーハンも美味しいもんな。あ、でも映画とはあまり関係ないか。

ところで、正義の味方、自然とともに生きる先住民の守護神であるモスラが何で神獣バガンと戦わなけりゃいけないの?その辺がちょっと理解に苦しむところですが…。

でもまあ、少なくとも全くの悪者としては描かないところが、日本映画の奥深さですね。
 
Wikipedia「モスラ(1996年の映画)」からの抜粋を掲載し、最後にコメントを加えてみた。
 
東宝がゴジラ、ラドンに続く怪獣キャラクターとして注力した、製作費に2億円(当時)をかけた日米合作の大作特撮映画。本作で初めて登場した怪獣モスラは、その後も多くの作品で活躍し、ゴジララドンと並び「東宝三大怪獣」と称される。
 
フェミニズム先住民問題がテーマとして掲げられている。
 
あらすじ
 
台風により日本の貨物船第二玄洋丸が座礁沈没。ロリシカ国の水爆実験場であるインファント島に漂着した乗組員が救助されたが、不思議なことに放射能障害が見られなかった。スクープ取材のため、乗組員たちが収容された病院に潜入した日東新聞記者福田善一郎は、カメラマン花村ミチと共に、原田博士に注意されながらも、原水爆実験場であるはずのインファント島に原住民がいることを知る。
 
当初、ロリシカ国は原住民の存在自体を否定したが、急遽日ロ合同調査隊の派遣を決定。福田は調査団員の言語学者中條信一と知り合う。インファント島調査隊の見送りが盛大に行われる中、福田は調査団の船に密航し、辛うじて臨時の警備員として、記者活動を行わないことを条件に参加を認めら れるが、ロリシカ国側事務局長クラーク・ネルソンは、参加する科学者たちの収集資料のすべての提出を求めたりと科学調査隊としては極めて不審な行動をとる人物だった。
 
インファント島に上陸した調査隊の前に現れたのは、放射能汚染された島の中心部に広がる緑の森だった。奇妙な植物群の中に謎の石碑を発見し、記録をとった中條は巨大な吸血植物に絡め捕られるが、その窮地を小美人という双子の妖精に助けられる。ネルソンは小美人を「資料」として捕らえたが、彼らを守りインファント島に暮らす原住民の存在を知った調査隊は小美人を解放、誰が言うとなく緘口令を敷き、帰国した調査隊は誰一人島の秘密を語ることなく解散した。
 
その時、モスラによる甚大な被害に心を痛めながらも、原子熱線砲によるモスラの死を喜ぶネルソンへの憤りを感じずにはいられなかった福田や天野、中條の前に、羽化した成体モスラが黒焦げになった繭を突き破り、姿を現した。遠く離れた小美人の所在を感知し、活動を再開したのだ。原子熱線砲の攻撃は、繭の表面を焼いたが内部のモスラのダメージとならず、むしろ羽化を促進してしまっていた。やがて、モスラは巨大な羽で台風以上の突風を巻き起こすと、ロリシカ国の方角へ飛び去っていった。
 
イ ンファント島民
 
太平洋某所に浮かぶ、ジャングルにおおわれた絶海の孤島に住む。無人島であると判断され、ロリシカ国の水爆実験場にされたが、彼らは島に生息する巨大な胞子植物から「赤い汁」を採り、これを飲み、体に塗ることで放射能から免疫を保っていた。中條によってアトランティスとの関連が語られ、島の奥に古代遺跡の神殿祭壇(モアイ像が配置されている)がある。島民は巨大な蛾「モスラ」を守護神としてあがめ、踊りを奉納している。武器を持たない平和主義文化を持ち、進入者には石を叩き合わせて警告する。
 
(以上Wikipedia「モスラ」からの抜粋)
 
コメント
 
【怪(警告・いましめ)を敬う文明と、敵視して滅ぼそうとする文明】
 
「ロリシカ」国は、ロシア+アメリカのアナグラムである。当時核実験を繰り返していた両国を批判するものである。
 
この映画でも、怪獣は、自然の守り神、そして自然とともに生きる先住民の守り神として登場する。日本の伝統文化では、昔から「怪物」「妖怪」などは、人間と対立する悪者としてでなく、人間に警告を発するメッセンジャーとしての役割を果たしてきた。
 
怪(かい)は戒(かい)に通じ、「いましめ」としての役割を負っているのである。
 
ここに怪物や妖怪を「理解不能な者」そして「人間に危害を加える悪い者」さらに「殲滅すべきもの」とする近代西洋文明との決定的な違いがある。
 
西洋でも、土着の信仰の中では、怪物や妖怪を敬う文化は存在した(今でも存在する)。だが、自然を支配することを是とする近代文明が発展するとともに、そのような良き伝統は廃れて行った。
英語のmonsterも、その原義は「神聖な徴(警告)」であった。
 
以下Wikipedia「モスラ(架空の怪獣)」からの抜粋(>以下の節)にコメントする。
 
《モスラの起源と語源》
 
講談社の『モスラ対ゴジラ』の小説版では、「相次ぐ地球の異常気象による気候変動によってヤママユガの一種がインファント島で進化したもの」とされており、これは『ゴジラVSモスラ』での設定の基にもなったという説もある。
 
>英語ではMothra。蛾を意味する英語のMothと母を意味する英語のMotherを掛け合わせたもの。つまり、本来の「蛾の怪獣」という意味の他に、「母性を象徴する怪獣」としてこの名称がつけられた。事実、モスラは出演する映画において必ず何かしらの守護神となっており、いわゆる「敵役怪獣」になった事は一度もない
 
【モスラは平和的警告者】
 
モスラもまた、環境破壊を続ける人類に警告する使命を負っている。だが、モスラは母性の象徴でもあるため、その警告も破壊的なものではなく平和的なものである。平和的な警告が受け入れられない時、後述するバトラ(戦闘モスラ)のような破壊的警告者が必要となってくる。
 
現代に破壊的警告者が活躍しているのは、人類が平和的警告者(唯一神の預言者たち)のメッセージを無視し続けてきた証拠である。
 

《破壊的警告者バトラ (戦闘モスラ)》

>モスラの亜種であり、地球生命が環境汚染などに対し造り出した怪獣。モスラと同様に地球の守護神というべき存在であるが、『守護』を目的とするモスラとは相反し、『破壊』を目的としている存在である。その名は「バトルモスラ」の略であるとされる(実際にこの名称で発売された商品もある)。別名戦闘破壊獣。はるか太古の発達した文明時代に、気候を自在に操る機械が発明され地球生命を脅かしたため、文明を滅ぼそうと地球自らが生み出したとされる怪獣である。インファント島の遺跡にはバトラがモスラと同じ卵から産まれた事を示すと思われる壁画が描かれている。

【仏の慈悲相と憤怒相】

チベット仏教では、仏には慈悲相憤怒相という二つの顔があると考えられている。他の怪獣たちが、仏の憤怒相の象徴であるのに対し、モスラは常に人類の味方であり、仏の慈悲相の象徴であると言えよう。だが、仏の憤怒相も、人類の味方なのである。仏の慈悲相も憤怒相も、仏の慈悲の異なった現れに過ぎない

「モスラ」映画の中でのバトラ(バトル・モスラ)は、仏の憤怒相を象徴した存在であると言えよう。

ヒンドゥー教では、シヴァ神「破壊の神」としての側面、シヴァ神の妃で「破壊の神」であるカーリー女神などが、仏の憤怒相に相当する。

コーランでも、唯一神には怒りの顔愛の顔があるとされている。だが、唯一神の怒りは愛の現れの一つであり、その本質は愛である

「わが愛は、わが怒りにまさる」(コーラン)

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神の慈悲の顔モスラと怒りの顔バトラ

 
>バトラは(地球の先住民族)コスモスの築いた古代の文明を攻撃し、コスモスの守護神モスラによって最終的に北の海に封印されたが、その際の気候操作機械の破壊により地表のほとんどが海中に没し、コスモスの文明は滅びた。巨大隕石落下による汚染が引き金となり20 世紀に復活する。

【自然破壊に耽る文明は滅亡する】

アトランティスを始めとする古代文明が滅びたのは、人間が自然破壊を行ったからだと考えられている。古代文明を想定しなくても、(自然)支配のパラダイムにもとづき戦闘と自然破壊に明け暮れる文明が滅亡するのは歴史が証明している(ポンペイ、イースター島の古代文明、ローマ帝国など)。

【平和を求める祈り】
 
「モスラ」は、自然との調和のうちに生きる日本の伝統文化や先住民文化の思想を色濃く反映した映画である。最後に、映画の中で登場する「モスラの歌」(原文はインドネシア語)の日本語訳を掲げて、本稿の結びとしたい。大衆の切なる祈りには、宗教聖典の祈りにも匹敵する美しさがある。
 

モスラよ モスラ
光輝くあなたの生命で
平和をもたらす守り神となり
われらを守りたまえ


平和はわれらに残された生きる道
永遠の繁栄にわれらを導き給え

 
 
 
 
 
【善悪の本質を示したゴジラ・シリーズ】

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モスラとともにキングギドラと戦うゴジラ
 
ゴジラは南太平洋における米国の水爆実験によって生まれた怪獣である(第五福竜丸の被爆という歴史的事件を下敷きにしているらしい)。これもまた、核実験も含め核兵器を容認する思想への警告の映画である。日本の怪獣映画にこれほど「反核」のメッセージを込めた映画が多いのは、やはり唯一の被爆国という歴史を背負っているからだろうか。
 
ゴジラはその後のシリーズでは、「正義の味方」となって他の地球生まれの怪獣たちと共に宇宙からの侵略者キングギドラと戦う。「悪者」に見えていた者が実は正義の味方であり、地球を守る存在だったというのは、「デビルマン」やルーミーの「悪魔王イブリースの独白」にも通じる思想である。モスラ映画のバトラもそうだし、「マグマ大使」もそのことを逆説的に証明している。
 
それはおそらく製作者が最初から設定していたことではないと思う。しかし、「大魔神カノン」に見るように、時代の変遷とともに、人々の集合的無意識を反映してそのような設定に変化して行くところが大衆映画の奥深さなのである。

ゴジラは、「怪獣王」という異名を持つが、「獣王」(パシュパティ)という別名をもつシヴァ神を連想させる。シヴァ神は、魑魅魍魎(様々な自然の精霊)からなる
眷属(従者・家来)を従えるとされる。日本神道でも、実在の動物だけでなく様々な想像上の動物が神の使いとして想定されている
 
【日本のゴジラには比べるべくもないハリウッドのGODZILLA
 
ハリウッド映画の「GODZILLA」は特撮技術では進歩したかもしれないが、GODZILLAは単に突然変異の新種生物という設定で、古代生物の復活という設定の中に伝統文化の復活というメッセージを込めた日本の「ゴジラ・シリーズ」が持つような深みはない。
 
【責任をなすりつける文化の象徴】
 
 GODZILLAは「フランスがタヒチ周辺で行なっていた核実験の結果として生まれた」超巨大爬虫類という設定である。本場のゴジラがアメリカの核実験によって生まれた怪獣であるのに対し、自国の非を棚にあげフランスのせいにするというアメリカ人の自己責任感の欠如を象徴する映画ともなっている。
 
監督候補としては、一時「アバター」のジェームズ・キャメロンの名も挙がったが、結局アメリカ合衆国大統領が全人類を率いて宇宙人侵略者と戦う軍事国家合衆国礼賛の映画『インデペンデンス・デイ』を製作したローランド・エメリッヒが監督を務めることになる。
 
同監督は「1の製作者たちが現代のSFX技術を持っていたらどのような映画になったか」を考えて作ったと言ったらしいが、第一作の製作者たちが、このような品性のない薄っぺらな映画を作ることはなかっただろう。
 
【敵対するものに人間性を認めない文化】

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ミニラ
 
GODZILLAは冷血動物で、その子供も誕生直後から獰猛性を示し、日本のゴジラに見られるような血の温かさや、ベビー・ゴジラやミニラに見られる愛嬌のかけらも感じられない生物である。アメリカ国土を脅威に陥れるGODZILLAがいかに差別的な目で敵視されているかが良く分かる。これは、自分たちに対する脅威や敵対する者を徹底的に敵視し、相手に人間性をまるで認めないアメリカ文化の一面を如実に示している。アメリカ国家権力に従わない国を「悪の枢軸」「ならず者国家」と呼ぶアメリカ政府の代表者と軌を一にする発想である。
 
日本文化は、「泥棒にも3分の理」という諺が示すように自分に損害をもたらす者の言い分にも耳を傾ける文化である。「一寸の虫にも五分の魂」という言葉が象徴するようにすべての生物に尊厳を認める文化である。
 
【自然征服思想の象徴】
 
>日本版ゴジラがミサイルなどの通常兵器やそれを上回るレーザー砲などの空想兵器などでは倒せない無類の強さを誇るのに対し、ハリウッド版はライフルの射撃で傷を負い(血液が回収される程度だが)、F/A-18のミサイル攻撃で絶命するなど、「生物」としては強靱だが「怪獣」としては脆弱であ る。日本版映画でもバルカンなど通常兵器で傷を負う、細胞が回収されるといった描写はあったが、この『通常兵器で絶命する』という設定は日米ゴジラにおける大きな相違点となっている。プロデューサーの富山省吾は「アメリカにおける怪獣とは『乗り越えるべき存在』、日本においては『畏怖すべき存在』であるという価値観の違いが現れた」と述べている。(WikipediaGODZILLA」より)
 
【大衆は違いを見抜いている】
 
日本映画の「ゴジラ」では、ゴジラは大自然の象徴である。一方GODZILLA「人間が自然を征服できる」という人類の驕りをストレートに反映した映画であると言える。日本の映画監督のみならず、アメリカのゴジラ・ファンも、「GODZILLAはゴジラではない」と絶叫したらしいが、日本の「ゴジラ」の哲学を理解する感性をもったアメリカ人大衆は、ハリウッド映画「GODZILLA」と日本映画「ゴジラ」の本質的な違いを見抜いているのである。大衆の感性とはかくも鋭いものである。
 
筆者はテレビでGODZILLAも観たが、何の感慨も残さない映画だった。
 
>『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001)では、「アメリカにもゴジラに酷似した巨大生物が出現し、『ゴジラ』と名付けられたが、日本の学者は同類とは認めていない」と冒頭の防衛軍の隊員の台詞で言及されている(Wikipedia GODZILLA」より)
 
このセリフは、ハリウッド映画のGODZILLAとゴジラを同列に扱われたくない日本人やアメリカ人ゴジラ・ファンの心情を見事に代弁している。
 
【ゴア元米副大統領の出現を予言していた「マグマ大使」】

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同時代に放映された手塚治虫原作の「マグマ大使」は逆説的な意味で奥深い。
 
ストーリーは、宇宙の帝王「ゴア」が送り込む怪獣たちに対して、地球の創造主「アース」が生みだしたロケット人間「マグマ大使」が挑むというもの。
 
「ゴア」が悪者、「マグマ大使」が正義の味方という設定だが、日本の怪獣映画では、怪獣は常に自然の象徴として描かれている。つまり、怪獣を送り込むゴアは、実は自然の法則そのものであり、宇宙を司る原理であると言えよう。それが「地球の侵略者」と呼ばれるのは、「物質文明へのアンチテーゼ」の役割を果たしているからだろう。
 
「アース」とは、「地球」という意味の英語が語源であると思われるが、惑星としての地球というよりも「地球文明」の象徴ととらえるべきだろう。でなければ、アースが生んだのが核ミサイルの象徴ともとれる「ロケット人間」であるはずがない。
 
「アース」には自分が創造しなかった植物をコントロールする力はなく、植物生命体「人間もどき」にはお手上げ状態だった。このことからも、「アース」は真の地球の守護神ではなく、人間の創造行為(人為)を象徴したものであることが裏付けられる。
 
一方「ゴア」は「ガイア」(ギリシャ神話の「大地の女神」NASAの科学者ジェームズ・ラヴロックが提唱した地球生命体「ガイア」の語源)から派生した言葉であると思われる。実は「ゴア」こそが地球生命体の守り神なのである。
 
手塚治虫がそこまで考えて命名したかどうかは分からない。だが、大衆化される映画の命名とストーリー設定の中には、執筆者個人の思惑を超えた集合的無意識の叡智が反映されることが少なくない。
 
日本神道では、太陽神「天照大神」を崇める一方で、天之御中主(あめのみなかのぬし)を地球の守護神あるいは地球そのものとして崇拝してきた。「ガイア思想」は古今東西の文化に共通する普遍的な思想である(天之御中主を「宇宙の根源神」「宇宙そのもの」とする説もある。そうであるなら、宇宙の帝王「ゴア」こそが、地球生命体の守護神であるということもさらに納得できる)。
 
映画「不都合な真実」(文末註)で地球温暖化への警告を発し環境問題に取り組み続けている元アメリカ副大統領が「ゴア」という名前なのも興味深い一致である。「マグマ大使」はゴア元副大統領の出現を予言していたのだろうか。
 
ゴア元副大統領は、環境問題に真剣に取り組まず物質文明の無限の推進こそが人間の幸福への道だと信じる人々からは、「悪の帝王」呼ばわりされている。
 
2000年の大統領選挙で(不正によって?)勝利したブッシュ地球破壊への道を歩み、ゴア地球守護の道を歩んでいることも象徴的である。

2000年と言えば、「その前後、火星(軍事の象徴)が幸福の名のもとに支配する」という言葉で有名なノストラダムスの予言詩が示した1999年の翌年である。アメリカ史上最大の軍事大統領ブッシュは、その年にアメリカ合衆国大統領になったわけである。
 
【反自然的な手塚の一面】
 
手塚治虫は数々の名作を生みだしたが、「マグマ大使」のように単純な勧善懲悪にもとづく「反自然的」「文明礼賛」的な作品もいくつか残している。その代表格が「鉄腕アトム」であろう。
 
「アトム」は、原子力エネルギーを原動力として活躍するが、言わば放射性廃棄物をまき散らしながら飛びまわっていた訳である。アトムの周りでは、きっと沢山の人が癌になって死んだことだろう。

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アトムの兄弟姉妹はウランとコバルトであり、放射性物質のオンパレードである。当時脚光を浴びつつあった原子力発電に因んで名付けたものであることは間違いなかろう。
 
本人の意図に沿ったものであったかどうかは知る由もないが、原子力発電推進に利用された面は否定できない。
 
【人間の身勝手さから生まれた原子力の消滅すべき定め】
 
交通事故で死んだ天馬博士の息子トビオの身代わりとして生みだされたアトムは自分の存在意義に悩む。アトムは、死あることを定めとする生命を不死化しようという人間の身勝手から生まれた存在である。限界のあるエネルギー資源を無限化しようという人間の野望にもとづき科学技術の鬼子として生みだされた「原子力発電」の本質を示唆している。
 
アトムは、地球を危機から救うため、核爆弾とともに太陽に突入してその命を終える。原子力発電も、地球を守るために自らの歴史を終わらせるべき運命を担っている。太陽は核反応の場である。核から生まれたものは核をたずさえて核へと回帰することで、自己消滅すべき定めがあるのである。
 
原子力エネルギーを原動力としていたアトムの体の中には、放射性廃棄物が蓄積されていたはずである。それは、遅かれ早かれ廃棄すべき運命にあった。原子力発電所は、放射性廃棄物がある程度蓄積されると発電所ごと解体されるべき運命にある。その最終処分の方法は、まだ技術的にも確立されていない。膨大な量のエネルギーが必要となると考えられていて、その際に排出される二酸化炭素の量は現時点では推定することができない
 
【原子力の最終処分によってストーリーを結んだ】
 
最終処分の一案として考えられているのが、地球の奥深くマグマに溶かしてしまうことである。マグマは「地球の中の太陽」とも呼ばれている。手塚がアトムを最後に太陽に突っ込ませたのは、核廃棄物を無害化するにはマグマに溶かすしかないことを感じ取っていたのかもしれない。
 
手塚は、原子力支持を出発点としてアトムを書き始めたと思われるが、最終的には、原子力の消滅によってストーリーを結んでいる。「EPRパラドックスによって自らの間違いを証明したアインシュタイン」の中でも述べたように、天才は、その間違いを転じて真理のメッセージに変えてしまう能力を持っているのである。
 
 
【ゴジラとウルトラマンについては後述】
 
日本の怪獣映画の代表と言えば「ゴジラ」「ウルトラマン・シリーズ」であるが、「ゴジラ・シリーズ」「ウルトラマン・シリーズ」は作品の数が多く、深い思索のもとに様々なメッセージが込められているので、別稿にて詳しく取り上げたい。
 
 
映画「不都合な真実」

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地球温暖化の問題に熱心に取り組んできたアル・ゴアのスライド講演の様子を、アル・ゴアの生い立ちを辿ったフィルムを交えつつ構成したドキュメンタリー映画。過去の豊富な気象データや、温暖化の影響を受けて衝撃的に変化した自然のフィルムを数多く使いながら、この問題を直視しない政府の姿勢を批判し、人々が生活の中で環境を守る努力を続けることの重要さを訴えている。
 
この映画が契機となり、環境問題の啓発に貢献したとしてゴアのノーベル平和賞授与が決定した。
 
アメリカ合衆国内では、ブッシュ政権が「地球温暖化など単なる学問上の仮説で、現実にはそんなことは全く起きていない!」という公式見解を出して温暖化を否定し続け、国内のメディアもほとんどがそれに追従してきたため、この映画を見て地球温暖化問題について初めて知ったアメリカ人は非常に多く、合衆国内に強い影響を与えたとの評もある。
(以上Wikipedia「不都合な真実」より抜粋)
 
地球温暖化はコーランの中でも予言されている。一時期、地球温暖化には科学的根拠がないという主張がなされ、環境問題をおろそかにする企業や産業無限推進論者を勢いづかせたことがあった。しかし近年は、様々な科学的データによって地球温暖化は証明されつつある。
 
一部の学者を除き、日本では「庶民的な感覚」から地球温暖化を否定する人はほとんどいないと思う。しかし、米国では、庶民の感覚から著しくかけ離れたことも、学者が主張すると信じられてしまう一面がある。「自分たちの浪費生活をこれからも継続したい」という心理が「温暖化が嘘であって欲しい」という願望を生み、事実をありのままに認識する能力が損なわれてしまうからであろう。
 
アメリカが大量消費を是とする文化で、大量消費を繁栄の礎とする経済システムであるのに対し、日本には、「小欲知足」を美徳とし、節制を美徳とする伝統文化がある。日本人は、地球温暖化防止運動を受け入れやすい素地を持っていると言えるだろう。
 

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