【アスペルガー症候群】 アスペルガー症候群の子は、一定の生活習慣や家事の手伝いは、きちんと教えれば覚えます。彼らには決まりを守る几帳面さがあり、一度覚えた習慣は、くどくどと注意しなくても、自分で規則正しく行えます。
一方、規則性のないこと、自由度の高いことは、丁寧に教えてもうまく身につきません。特に難しいのが、自由時間を上手に過ごすことです。規則もない、習慣もないという状況では、彼らはむしろ混乱しがちで、非常に不安定になります。余暇を充実した時間にするためには、周囲からの支援が必要です。 余暇にいくつかの活動をこなすためには、状況に応じて時間や場所、行動を切り替えていく必要がありますが、その切り替えが、アスペルガーの子には難しいのです。勉強机と遊ぶ場所を仕切るなど、時間や場所に意味づけをして、子どもが理解しやすい環境をつくることが必要です。 余暇活動を充実させるためのひとつとして、特有のこだわりを趣味にいかしていくことがあります。アスペルガーの子は、好きなことにはとことんのめり込みます。不確実なことは嫌いますが、確かな事実には興味と理解を示します。それが周囲にはこだわりやわがままと思われますが、興味を否定せず、カタログ的な知識、興味を、趣味にいかすよう、フォローしましょう。 アスペルガーの子は不器用で、運動嫌いと思われがちですが、それは間違いです。複雑な動きが苦手なだけで、身体を動かすのは好きです。好きな運動なら、ストレス解消になります。 アスペルガー症候群の特性は、それ自体がトラブルを起こすのではありません。トラブルになるのは、特性を理解していない人が、彼らに無理を強要するからです。子どもがおなじことをするのは、そうすることで安心できるからです。急に別のことをさせようとすれば、トラブルになるのは当然です。 アスペルガーの子には独特の行動様式があります。周囲の人にはどれも「こだわり」と思えるかもしれませんが、一つひとつに背景があります。多くの場合、こだわりは安心するための行動です。子どもは不安を感じると、自分の好きな、独特の行動をとって、心を落ち着けようとします。 その不安のわけを理解しなければ、行動は止まりません。頭ごなしに否定せず、本人の気持ちを聞きましょう。そして不安を軽減しながら、代わりの行動に導いていくのです。 アスペルガーの子は、決まりごとを守るのが得意で、よくも悪くも厳格なので、規則や時間を伝えるときには注意が必要です。予定外の出来事に強い不安を感じ、予定がずれると混乱します。ほんの小さな変更でも、彼らには大事件なのです。規則や時間は絶対の決まりとして、数値にこだわりますから、多少の幅をもたせおいて、こだわりを和らげるようにします。誤差や予定通りに行かない例外も、あらかじめ予告しておきます。 アスペルガーの子は、知らない建物や人混みなど、慣れない環境には不安を感じます。外出するのが嫌なのではありません。外出して、わからないことをいくつも体験するのが嫌なのです。わからないことがたくさんあるから、パニックを起こすのです。 外出や旅行の前に計画を立て、あらかじめ知らせることによって、子どもの不安は軽減します。予定のなかに子どもの苦手なことがある場合は、事前の準備をしましょう。家庭にいるとき以上に丁寧に、理解と支援をすることが求められています。 大多数の人は、机や椅子やトイレを自宅でも外出先でも同じように使います。色や形が異なっていても、気にしません。当たり前のようなことですが、アスペルガーの子には、それがよく理解できないことがあります。家庭で覚えたトイレや椅子の使い方を外出先では実践できなくなるのです。彼らにとって、家庭と外出先はまったく異なる場所です。家庭で覚えたルールが、違う場所ではどのように変化するか、一つひとつ説明していくなど、外出先で落ち着いて行動するためには、支援が必要です。 アスペルガー症候群の子は、ほかの子にみられない独特の行動様式をもっています。そのためか、彼らを問題児と考える人がいます。新聞、雑誌でアスペルガーの子が犯罪に関わったと報道されることがあり、それが問題児扱いの一因になっているようです。彼らを問題児だと考えるのは大きな間違いです。問題行動が起こるのは、周囲が子どもの特性を理解せず、理不尽な対応を続けたときに限られます。非行や犯罪行為は、周囲の無理解によって引き起こされる二次障害です。 アスペルガー症候群の子の困惑を説明する例として、外国での暮らしがよく挙げられます。私たちは外国を旅するとき、言葉が聞きとれなくて困ったり、異文化にストレスを感じたりします。アスペルガーの子は、国内で同じように苦しんでいます。手がかりなしに外国を旅するような、わからないことだらけの生活をしているのです。生活の端々にストレスを感じるわけですから、当然疲れます。疲れやすいのも特徴のひとつです。過剰な期待をかけずに、本人のペースを優しく見守ってほしいと思います。 佐々木正美「アスペルガー症候群・高機能自閉症の子どもを育てる本」(講談社) 文責:圓山
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