巨大ブルドーザーが街を襲った驚愕事件の顛末 今から15年前の2004年6月……アメリカ・コロラド州の田舎町で全米を震撼させる重大事件が起きていたことをご存じだろうか? それは、1人の男が狂気ともいえる“巨大モンスター”を自宅倉庫で造り上げ、それを操り、銀行や新聞社さらに役所までも……1つの町を完膚なきまでに破壊するという信じがたいものだった。その事件はなぜ引き起こされたのか? 地元警察官たちは、街を破壊し続ける“巨大モンスター”といかに闘ったのか?
【写真】街を破壊する巨大ブルドーザーはこれだ フジテレビ系全国ネットで8月31日(土)21時から放送される「ワールドポリスカム〜世界の警察が撮った重大事件・決定的瞬間〜」の取材班は、事件が起きたコロラド州グランビーを取材、地元警察に残る犯行の一部始終を捉えたビデオ映像のほか、297枚に及ぶ捜査写真、そして犯人の犯行声明などを入手、事件の真相をつかむべく追跡取材した。
■警察カメラに刻まれた狂気の破壊行為 アメリカをはじめとする世界各国の捜査現場で、警察官が常時撮影を行う小型高性能カメラ・通称「ポリスカム」。ポリスカムは警察が捜査を開始した瞬間、自動的に録画が始まり、これまで決して捉えることができなかった重大事件の最前線が、信じられないほどの至近距離で撮影されている。 取材班が訪ねたのは、ロッキー山脈を望む自然豊かな町・グランビーにあるグランド郡警察。そこで見せてもらった映像には、街を破壊する“巨大モンスター”の姿が克明に捉えられていた。前後に、複数の穴が開けられ、銃口がのぞいている。そのモンスターが街中を縦横無尽に動き、次から次へと建物を破壊している。
銀行、役所さらには新聞社の入るビルまでも……警察も銃などを使って、必死に対抗しようとするが、厚い鉄板に覆われたモンスターは、あらゆる弾丸にも、びくともしない。最終的に、プロパンガス施設の破壊を目論んだとみられるモンスター。 このままでは、建物だけの破壊にとどまらず、大爆発を伴う大惨事に発展してしまう……。
この巨大モンスターは、後に、殺人ブルドーザー「キルドーザー」と呼ばれ、今も町の人たちに大きなショックを残していた。取材に対し、口を閉ざす街の人々。「忘れたい、関わりたくない」……それほどまでに住民を恐怖に陥れた「キルドーザー」は、1人の男によって生み出されたものだった。 2004年6月4日金曜日午後2時すぎ……警察に1本の通報電話が入る。「巨大ブルドーザーが、気が狂ったように走り回っている」と。 巨大ブルドーザーが暴走? いったい、何が起きているのか? 現場に駆けつけた警察官は目を疑った。
目の前に広がる無残な光景……破壊音のする方向へ足を進めると、そこには見たこともない巨大装甲車のような姿が……。 前方には大きなシャベル、武骨な黒い鉄骨に覆われたその車体には運転席が見当たらない。しかも、車体には複数の穴があり、そこからライフルの銃口が顔を出し、警官たちに弾丸を浴びせてくる。 多くの車を押しのけながら、街を破壊、傍若無人に振る舞う姿に、警察官はとてつもない恐怖を感じていた。その時の様子を捉えた映像にも、ただ傍観するしかない警察官の後ろ姿が記録されている。 このままでは多くの人命が奪われかねない。住民を避難させると同時に、警察官は、あらゆる手段を使って、この“巨大モンスター”を止めるべく闘いを挑んだ。
しかし、まったく歯が立たず、銃弾は跳ね返される。 最初にコンクリート工場を破壊した「キルドーザー」は、続いて、街の中心部へ。市役所、銀行、さらには、新聞社の入っているビルへと襲いかかる。 ■よみがえる当時の恐怖の記憶 当時、このビルにいた新聞社の社員は、われわれの取材に対し、こう語った。 「地震が起きたかのようにグラグラ揺れ始め、その後、建物が一気に崩れ始めた。その後、頭上を銃弾がかすめ、必死に逃げ出したんだ」
昨日のことのように、よみがえる恐怖の記憶、今でも忘れられないという。 一方、別の捜査員は、道に刻まれた大きな轍(わだち)をたどり、「キルドーザー」が生み出されたアジトを突き止めていた。 その場所は、大きな穴が開いたガレージだった。あのモンスターは、このガレージで作られ、壁を突き破り、外へと出てきたのだ。ガレージ内部の壁には、今回の犯行を示唆する手書きの文字が……。 「何を実際にやるか計画せよ」。犯行計画を練っていたとみられる数多くの痕跡……このガレージの持ち主こそ、この事件の犯人であるマービン・ヒーマイヤーという男だった。彼はなぜ、狂気ともいえる犯行に及んだのか? 今回、警察から入手した2時間48分におよぶ彼の肉声テープなどから、その根源に迫った。 小さな自動車修理工場を経営していた善良な男だったというヒーマイヤーだが、あるトラブルがきっかけで孤立してしまうことに。 もともと、スノーモービルなどウインタースポーツが趣味だった彼が、ロッキー山脈を望むこの町に憧れ、家を購入し、引っ越してきたのは1991年のことだった。
■決定打となったコンクリート工場建設 暖かく素朴な住民たちに囲まれた田舎暮らしが暗転するきっかけとなる出来事が、その8年後に起きてしまう。彼の家のすぐ隣にコンクリート工場の建設計画が持ち上がったのだ。キルドーザーが最初に破壊したのがコンクリート工場だったことからも、彼の深い憎悪がうかがえる。 産業の少ないこの町に、工場ができれば、職を生み出し、町も潤うなどの経済効果が見込まれ、多くの住民たちが歓迎していた。気がかりは、騒音や公害だったが、建設場所は住民の少ない町外れの土地に決まる。
しかし、その数少ない町外れの住民がヒーマイヤーだったのだ。 工場建設反対の彼は、住民たちに相談するもうまくいかず、ついには自ら弁護士を雇い、町に対して工場建設反対を訴え、裁判まで起こすことに……。結果は敗訴。予定どおり、コンクリート工場は建設されることになった。彼が残した肉声テープからは住民たちへの恨みともいえる心の叫びがうかがえる。 「住民の悪意、町の新参者に対する悪意がコンクリート工場をあの場所に建設させたのだ」
こうして、住民たちへの憎悪を募らせた彼は、倉庫に引きこもり、あのモンスターマシンを1人黙々と作り始めるのだった。 超大型ブルドーザーを厚さ10センチのコンクリートと鋼鉄で覆い、さらに車体の前後、側面に銃口を開け、5つの銃を配置した。 こうして「キルドーザー」を作り上げた彼はついに、「私は人間の間違いを正すために殺し合いをするのだ」「神からグランビーの住民たちに天罰を下せとお告げがあった」と思い込み、街の破壊を実行に移すのである。 最初に襲いかかったのは、あのコンクリート工場だった。続いて、工場の建設許可を出した前市長の家、銀行、新聞社など次々に破壊を繰り返していく。ついには、プロパンガスタンクのある貯蔵施設へと向かっていく。 その北側には、住宅地があり、ガス爆発を起こせば、大惨事になる危険性がある。キルドーザーからガスタンクに向かって銃を連射するヒーマイヤー、この緊迫した状況に警察は超強力ライフルなどを使って闘いを挑んだ。 さらに、キルドーザーの行く手を阻むべく、大型重機「スクレイパー」を動員したのだが、圧倒的なパワーの前になすすべもなく、失敗に終わる。
現場に駆けつけた警察官はわれわれの取材に対し、当時の心境をこう語った。 「キルドーザーで破壊を続けるヒーマイヤーから町を守ることは不可能だと思っていました」 ■ヒーマイヤーが迎えた最後 しかし、事件は意外な結末を迎える。キルドーザーでの破壊行為開始から3時間……突如、あのモンスターマシンから大量の煙が上がったのだ。エンジントラブルだった。動きが止まったキルドーザー……警察が犯人確保に向かおうとした矢先、内部から銃声が響いた……自殺だった。 結局、15カ所の建物が破壊されたものの、住民への被害はなく事件は幕を閉じた。あれから15年、現場にいた警察官は、当時をこう振り返った。
「彼のしたことは許されることではありません。しかし、こんな悲惨な事件が起きる前に何かできることはなかったのかと、今でも悔やまれます。孤立していく彼を救ってやることはできなかったのかと考えることがあるんです」 事件の一部始終は、8月31日(土)21時からの「ワールドポリスカム〜世界の警察が撮った重大事件・決定的瞬間〜」(フジテレビ系全国ネット)で放送される。 フジテレビ「ワールドポリスカム〜世界の警察が撮った重大事件・決定的瞬間〜」取材班
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米空軍、レーザー兵器でのミサイル迎撃に成功 21年に戦闘機に搭載へ
May 10 2019
US Air Force / flickr
戦闘機がミサイルの脅威から解放されるという新たな時代が近づいている。米空軍研究所は、レーザー兵器によるミサイル撃墜試験に成功したと発表した。装置は将来的に戦闘機に搭載される計画で、空中戦の様相は一変すると複数の米専門メディアが伝えている。
♦︎高出力レーザーで迎撃
米空軍研究所は3日、レーザー兵器の実験的システムにおける初期段階のテストに成功し、ミサイルの撃墜に成功したと発表した。実験はニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場で4月23日に行われ、空中に発射された複数のミサイルを地上のレーザー装置から発射された高エネルギーレーザーが撃墜した。兵器は、米空軍が推進する自己防衛高エネルギーレーザー実証プログラム(SHiELD)の一環として、米ロッキード・マーティン社と共同で開発が進められている。
今回の初期試験では地上の装置からレーザーを発射したが、将来的には戦闘機への搭載が計画されている。小型化を進め、F-15戦闘機に搭載することが今後の目標だ。2021年までに戦闘機への搭載試験を行う計画で、実現すれば地対空および空対空ミサイルの脅威から戦闘機を保護することが可能になる。ロッキード社のほか、米ボーイング社および米ノースロップ・グラマン社がそれぞれ異なる部材の開発を担う。
♦︎空中戦の様相は一変
レーザー光線によるミサイル撃墜は、状況を一変するほど革新的な技術になり得る可能性がある、とデフェンス・ニュース誌は指摘する。空中発射レーザーの実現は米空軍の長年の悲願だった。実用化すれば、戦闘機の脅威であるミサイルを、既存の迎撃手法よりも大量かつ安価に破壊できる。ロッキード社のレーザー兵器担当者は、これまでは小型化が課題で実現が困難だったと語る。しかし、光ファイバーをレーザー媒質として利用するファイバーレーザー技術の進歩により、実現の目処が立った。消費電力は最小限に抑えられており、かつ廃熱量も小さい、と担当者は長所を強調している。
ポピュラー・メカニクス誌は、SHiELDが実現すれば空中戦にもたらす影響は甚大だと予測している。現状では、空対空ミサイルからの防衛手段としては、追尾ミサイル向けにダミーの熱源を散布するフレア、レーダーを阻害するチャフ、そして電磁波を妨害する電子攻撃の3タイプが主流となっている。これらはいずれも消極防御であり、ミサイルそのものに作用しないと同誌は指摘する。今回実験に成功したレーザー兵器は積極防御にあたり、従来手法とは一線を画する。具体的にレーザーがミサイルを無力化する手法としては、赤外線検知器の破壊により追尾性能を喪失させる、ミサイル本体や動翼を損傷させ飛翔不能にする、あるいはレーザー光の熱エネルギーで動力部または弾頭を発火させる、など多数のシナリオが考えられるという。







