シェフの休日

明日はパリ祭(国民の休日)ですね。

ワイン

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大好きなワインの事の書庫です
ワインに詳しい方、全く解らない方にも
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先日の9月20日にブルゴーニュワインの巨匠である


アンリ・ジャイエ氏が死去しました



心よりご冥福をお祈りします。

彼はワイン作りの神様と呼ばれ
その教えを受けた人は世界中に数多くいます。
また、彼に影響を受けてワイン作りを変えた人も世界中にいます。

そんな彼のワインは事実上引退をした後も高騰を続けて
現在でも安いものでも、1本15万前後はします。
(もちろんそれ以上の高価なものもあります)

私も2度ほど彼のワインを飲む機会がありましたが
なんともビックリするほど優しくてピュアな味
人によっては


たいしたことない



と言ってしまいそうなほど、透明感のある葡萄の本来の力やテロワールなどを
純粋に追求したワインというのが最初に口に含んだ印象でした。

口に含んだ後、ワインはどんどんとその姿を変えていきます。
それはまるで

名家の御令嬢が、イヴニングドレスをまとった大人の女性に変化していくようです


複雑さを増していく味わいは勿論ですが、時間と共に香りも変化を続けていきます。
(しかも恐ろしいほど余韻が長くて、香り高く最終的な印象は力強いっていう初めての感じです
                  上手く説明できないのですが何となくわかりますか?)

幸運にも私が飲んだアンリジャイエの2本のワインは



ヴォーヌ・ロマネ・クロパラントゥ 86
ブルゴーニュ・パストゥグラン 90



なのですが、ワインに詳しい方なら解かると思いますけど
パストゥグランっていうワインは
ピノ・ノワールという葡萄とボジョレーで有名なガメイという葡萄を混ぜた安ワインなのですが
(といってもアンリジャイエ物なので普通の1級ワインよりも高価でした


こんな安ワインのはずなのに香り高くて味に深みがあるばかりか





余韻が10秒以上も続くんです




これってグランクリュ(特級)並みですよ。

とにかく半分はガメイ種が入っているとは感じさせないほどの
素晴らしく上品なワインでした。


ヴォーヌ・ロマネ・クロパラントゥという畑は
一説によるとアンリジャイエ氏自らが開墾したという説があるのですけど
それくらい彼の代名詞的なワインなのですが1級ワインであるにもかかわらず
ブルゴーニュの特級ワイン筆頭である「ロマネコンティ」などと双璧と評されるばかりか
時に越えると評価された事もしばしばありました。


まさに神様のワインですね



(勿論アンリジャイエのワインの中で最高の物といったらリシュブールだと思います)


神様は特別なことは全くしません。


葡萄の為に良い事、その土地の気候や風土地層、場合によっては風の抜け方や水はけなど
(これがいわゆるテルワールと呼ばれる物)をとても大事にした作り方です。


今では当たり前になっていて、誰しも行うブルゴーニュスタイルのワインの作り方ですが
彼が行うワイン作りは葡萄を手摘みして、果梗を丹念に除去した後にタンクで発酵させるのですが5〜7日の「低温浸漬法」という予備発酵を行います。

その後1ヶ月ほど果皮ごと発酵させてアリエ産とトロンセ産の新樽に入れて
3度の澱引きを経て18ヶ月ほど熟成させた後、卵白で清澄させて
濾過せずに手作業で瓶詰めをします。


この方法は当時の醸造学者の見解からみたら、恐ろしく危険な方法
ワインが揮発酸臭してしまったり酸化をしてしまったりする可能性があるのですが
まったくもってそんな批判や事例がないということは
いかに葡萄を健康な状態で栽培させているかの裏付けでもあると思います。
(アンリ・ジャイエのワインが高価なのは、勿論人気があるのが原因なのですが
葡萄の木も高樹齢でかなりの剪定をするために低収量であるために
市場に出回る本数が極端に少ない事も原因です)


アンリジャイエのワインを飲める機会は、この先ほとんどないでしょう。
しかし、ジャイエ氏の伝承者である甥のエマニエル・ルジェ
ワインの醸造を長く教えていたメオ・カミュゼなど
多くのジャイエワインの遺伝子を持つ人達のワインを通して
今後もアンリ・ジャイエはずっと生き続けるのかもしれません。



ブルゴーニュワインの偉大なる神様の死


そのご冥福をお祈りすると共に、アンリ・ジャイエ・イズムを伝承するワイン達にエールを送ります。


では、また。


アンリ・ジャイエ氏に興味を持った方は、白水社の「アンリ・ジャイエのワイン作り」という本を読んでみたらいかがでしょうか?

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今日は久し振りにワインのお話です。


ボルドーのメドック地区に燦然と輝く5つの一級ワイン
世界中のワイン愛好家の延髄の的といっても良いと思います。


5大シャトーといえば、ご存知の通りラフィット、マルゴー、ラトゥール、ムートン
そしてこのオー・ブリオンとなるわけです。


5大シャトーで唯一メドック地区でないにもかかわらず
メドック地区の1級に選ばれたオー・ブリオンのお話は、5大シャトーの中でも
唯一お話していなかったので、今日はそのお話です。









今でこそ、世界最高のワインの産地として君臨しているボルドーのメドック地区ですが
15世紀頃までは夜盗が暴れまわる場所でした。


当時のボルドーワインといえば、ボルドーの街のすぐ南にあるグラーブ地区のワインでした。
この中で、群を抜いた別格な扱いを受けていたのがオー・ブリオンの前身である
ポンタックのワインです。


ポンタックとはジャン・ド・ポンタックという人の事で
リブルヌ市長の娘と結婚をし、その持参金でグラーブ地区のぺサック村のぶどう園を手に入れました。
これが、後のオー・ブリオンです。


ポンタック氏は101歳まで生きた長命な方でしたが
最高のワインには最高のシャトーをと考え
貴族の館であるシャトーを買い取り現在のシャトーを建てました。

何と、1549年の事です。(その頃の日本は信長がうつけものと呼ばれている時代です。)
ポンタックの死後は孫であるアルノー3世がシャトーを継ぎます。
このアルノー3世はワインのオリを取る方法
ワインを長く寝かせて長期熟成させる方法などをあみ出し、ますます名声を高めます。
その後何人かの所有者を経た後、あのタレイランの所有となります。


タレイランとはナポレオン時代の外相です。
タレイランは有名な方なので、フランス史が好きな方ならよくご存知の人物ですね。
一応、ざっとだけ説明しておきますと・・


シャルル・モーリス・タレイラン(1754〜1838)

貴族の子として生まれるが、少年時代の事故により容貌が怪異になってしまった彼は
貴族として生きるよりも、聖職の道を選びます。しかし純粋さゆえに教会を非難した事で
聖職者の道を追われ、外交の道に入ります。自国の利益を追究し、最良の結果を得る彼がいなかったら、フランスは今頃幾つかの国に分割されていたかも知れません。



本当に簡単なんですが、興味がある方は各自調べて下さい(すみません)



さて、そんなタレイランですが、外相である彼はウィーン会議に決死の覚悟で臨むのです。


それというのもナポレオンの敗戦により、フランスの処置を決める会議なのです。


少しでもフランスに有利な処置にしたいタレイランの相手は
オーストリアの鉄血宰相メッテルニヒ、ロシア皇帝のアレクサンドル1世
イギリスの全権大使カッスルリーなど実に200人に及んだと言われています。


昼夜を通しての外交合戦ですが、これらの人達はグルメたちばかりで
ここでオー・ブリオンの実力が発揮されるのです。


毎晩のように続く晩餐会で振舞われ続けたタレイランのオー・ブリオンは
たちまち各国の首脳を虜にさせます。
その結果、各国首脳は次第に態度を軟化させていくのです。


こんなに美味しい物を作るフランスを潰す事はないじゃないか



となっていくのです。
(この間、実に2年の歳月を要しています


最後までただ1人強硬姿勢だったのは、オーストリアのメッテルニヒでした。


フランスにオー・ブリオンがあるのなら、我が国にはヨハネスベルガーあり



といって、自国のライン河の甘口の白ワインで饗宴を開くのです。


そっちの渋いワインよりも、我が国の美味しい甘口ワインを



という作戦ですね。



いくら美味しいヨハネスベルガーでも、デザートならともかく
メインディッシュに合わせるなどというのはやはり難しい上に
タレイランのお抱え料理人は当時ヨーロッパ随一と言われ
ヨーロッパ王朝料理の神様と言われた伝説の料理人


アントナン・カーレムです



まさに無敵のコンビだったのですね!




俗に『料理会議』ともいわれるウィーン会議で、フランスを救った立役者の1つ
まさにオー・ブリオンだったのです。



こうした歴史背景があるかどうかは解りませんが
それほど美味しいワインなので、1855年のメドックの格付けの際に
唯一越境してまで格付けされたのかもしれませんね(しかも1級)


オー・ブリオンは他にもたくさん逸話が残っています。


ウィーン会議の約30年前には、当時の在仏大使のアメリカ人がとても気に入って上客になりました。
そのアメリカ人は貿易でも大成功を収めるのですが、その後アメリカ大統領になります。


彼の名はトーマス・ジェファーソン、第三代の大統領です



彼はかなりのワイン通で、本なども出版していました。
後にオー・ブリオンはホワイトハウス御用達となるのです。




フランスを救い、ホワイトハウスでもてなされていたシャトー・オー・ブリオン。
記念日などに奮発してその味わいを味わってみても良いかも知れませんね。



ちなみに私が初めて美味しいと思ったワインでもあります。


(先輩にお裾分けしていただいた64年のオー・ブリオンでした。
それまでワインって渋くて美味しくなく、ブルジョワって我慢して飲んでいるのか?
とさえ思っていたものですが
シルクのような舌触りで、香り高く優しく染みわたる味でした。私がワインにめざめた瞬間ですね)


ワインのお話、続きはまたいつか。

では、また。

『ベルタンの畑』

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たまにはワインのお話でもいかがでしょうか?


すっかりワインのお話はご無沙汰してしまいました。
昨日自分のブログのワインの書庫見てビックリ!!

去年の11月の終わりからずっとご無沙汰していました


今日は私の大好きなブルゴーニュワインの中で最初にはまったワイン

シャンベルタン


のお話をしたいと思います。

シャンベルタンはブルゴーニュワインの頂点に立つワインの1つで
『ワインの王』などと呼ばれ様々な逸話が残っています。

かの『皇帝ナポレオン』が愛してやまず
戦地まで持っていったという話はあまりにも有名ですよね。

ワインの大きな樽をいくつも持って、アルプス越えをさせられた戦士は
死ぬ思いで必死で大きな樽を守りぬいた事でしょう。

話が横道にそれますが、皇帝ナポレオンは実はまったくの食通ではなかったようです。
というのもナポレオンはシャンベルタンを冷して飲んでいたようですし
消化器系の過敏なあたりをやわらげようと、水で薄めて飲んでいました。

ワーテルローの戦いの敗戦も、前夜の夕食にシャンベルタンを飲まなかったからとか
幽閉を受けたセントヘレナ島で早死にしたのは、好みのシャンベルタンの代わりに
無理やり飲まされたボルドーのせいだとか・・・。
(これは海沿いのボルドーの方が輸送に適していたからだという説があります)
そんな数々の逸話がありますが、どれも信憑性に欠けますね。

このシャンベルタンはブルゴーニュの首都ディジョンから南に向かって約10キロ
ブルゴーニュワイン中心ボーヌの北30キロの所にある
『ジュブレイ・シャンベルタン村』にある
特級畑から作られるワインの事をいいます。

この地はブルゴーニュワインの中心的な『コートドール地区』最北にある特級畑がある村です。
この村には多くの素晴らしいワイン畑があり、9つの特級畑と28の1級畑があります。
特級は7つと区切る本もあります。これはマゾワイエールをシャルムまたはマジ・シャンベルタンをして含んだり、どちらを名乗っても良い場合があるのでこういう風にある場合があります)

特級畑の中でも別格扱いをされているのが

シャンベルタンとシャンベルタン・クロ・ド・べーズです


もともとシャンベルタンとは『ル・シャン・ド・ベルタン』と呼ばれていました。
直訳すると『ベルタンの畑』です。
その昔、べーズ修道院がジュブレ村のブドウがよく育ちそうな
東向きの斜面を選んで『囲い畑』(クロ)を作りました。

美味しいワインが出来るのを見た『ベルタン』という農夫が
その南隣りにブドウ畑を開墾したのです。

これが『ベルタンの畑』つまりシャンベルタンです


(お気付きの方もいると思いますが、べーズ修道院が作ったクロなのでクロ・ド・べーズです

後にジュブレイ村の名前よりもシャンベルタンの名前の方がはるかに有名になってしまったので
村名を改め『ジュブレイ・シャンベルタン村』と、シャンベルタンの名を付けたのです。

見習いの子(たまにはお客様でも)などは

○○で飲んだシャンベルタンは1万円だったのに、○○は5万円もした


なんて話を聞きますが、これは・・・・

シャンベルタンとジュブレイ・シャンベルタンを間違えているケースが多いですね


村名ワインのジュブレイ・シャンベルタンの上に1級畑があり、さらのその上に特級畑があって、その特級畑の頂点、見方によってはブルゴーニュワインの頂点に君臨するのがシャンベルタンなので1万円などということはありえませんね。はっきり言ってその値段なら私が買い占めますよ!


たまに『ブルゴーニュワインは難しい』という事を耳にしますが
それはボルドーワインとの格付けの仕方が違うからなのでしょう。

ボルドーはシャトー(つまり生産者)に格付けされているのに対して

ブルゴーニュは畑に格付けがされているのです


しかも、シャンベルタンの畑は1人の生産者の独占というわけではなくて

何人もの生産者が少しづつの区画を持っているので

色々な人が作ったシャンベルタンが存在するのです


この事は、他のブルゴーニュワインにもいえることなので

難しい感じがするのですね


反対に、私のようなうんちくを語りたくなるような輩には

格好のワインと言えるかもしれませんね!


難しいと思いがちなブルゴーニュワインですが、実はそんな事無いんです。
やっぱりとのワインと同じで、丸暗記が1番の近道です(それが難しいのですけどね!)

『ワインの王』そして『ナポレオンがこよなく愛した』ワインの味を
ボーナスで飲んでみるのもいいかもしれませんね。

たまにはシェフの休日らしくてワインの話もいいもんですね(??)
また機会を見てワインのお話をしたいと思います。

では、また。


ちなみに画像は参考までに私の好きなシャンベルタンの造り手です。
アルマン・ルソーという造り手です。
その下はシャンベルタン村の有名な造り手です
クロード・デュガとベルナール・デュガ・ピー、ポンソです。
(残念ながらシャンベルタンの畑は持っていません)
この他、ルロワとかデュジャック、ポンソ、ルーミエなどの素晴らしい造り手の特級はありますが、シャンベルタンは残念ながらありません。
それから参考までに9つの特級畑の名を書いておきますね!
シャンベルタン  シャンベルタン・クロ・ド・べーズ  シャペル・シャンベルタン
シャルム・シャンベルタン  グリヨット・シャンベルタン  ラトリシエール・シャンベルタン  マジ・シャンベルタン  マゾワイエール・シャンベルタン  リュショット・シャンベルタン
です。
ちなみに1級でも時として特級よりも美味しく、価格も特級よりも高価なものもあります

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例年通り、11月の第3木曜日に、ボジョレー・ヌーボーが解禁となります。
今年は17日なのでもうすぐですが、世界で最も早くボジョレー・ヌーボーを飲める国として、今年も様々な商戦が繰り広げられています。

ご存知の方も多いこのボジョレー・ヌーボーですが、では何故このワインだけ早く飲めるかというと、意外と知らない方が多いのではないでしょうか?

ボジョレーという場所はご存知でしょうか?
フランスというのは知っている!という人は多いと思いますが、実際にフランスのどの辺り?と聞かれると、意外と知らない人が多いかもしれません。(当たり前ですが)
ボジョレーは、ブルゴーニュ地方の最南端にあり、フランス第3の都市『リヨン』から北へ車で約1時間の場所にあります。(ブルゴーニュ地方とは別に区別される事があります。)
この地区には10のクリュと呼ばれる、村名を名乗って良いものがあり、ブルゴーニュのほうから訪れるとまず最初に出迎えてくれるクリュ・ボジョレーが『サンタムール』です。(ここから店名を頂いた訳ではありませんが、意味は同じ『聖なる愛』です。)

このボジョレー地区で、ガメイ種という葡萄品種を使って生産された『ボジョレー』と『ボジョレー・ヴィラージュ』銘柄のワインで、その年に造った物がヌーボー(新しいという意味)です。
ガメイ種は、早生種なので早く熟成し、房を丸ごと使った伝統的な造りかたをするので、フルーティーで早く飲めるというのも理由の1つです。

元々、収穫したばかりのガメイ種から造られるフレッシュなワインは、リヨン周辺の地元住民に手軽な日常酒として愛されてきました。
その歴史は古く、1800年頃にはすでに存在していたようです。
フランス政府の政令により、1951年11月15日をボジョレー・ヌーボーの解禁日として、発売を認められるようになります。
こうしてボジョレー・ヌーボーは、正式にパリに参入する事になります。
フレッシュな味わいのヌーボーは、ジャーナリストや生産者の熱意によって、パリのビストロで人気を呼びます。
その後1970年代に入ると、陸路・空路の飛躍的な発達に伴い、ヨーロッパのフランス語圏のベルギーやスイスなどから徐々に世界中へと広まっていきます。
ボジョレー・ヌーボーの躍進で、フランスから遠い世界中の国々まで平等に届けるため、1985年に11月15日から『11月の第3木曜日』と、解禁日を変更します。

リヨン近郊の、若飲みのフレッシュなワインが世界的成功を収めたのには、ジョルジュ・デュブッフという『ボジョレーの帝王』の存在と、ポール・ボキューズという『フランス料理の帝王』と、2人の帝王の惜しみない努力が実った結果かもしれません。
(ポール・ボキューズは3星レストランのオーナーシェフで、安酒だったボジョレーをいち早くレストランに取り入れました。ジョルジュ・デュブッフは、ボジョレーの品質を飛躍的に上げた生産者です。この2人は親友でもあります。)

実は、ここまでボジョレー・ヌーボーの事をお話しておいて何ですが・・・実はサンタムールはボジョレー・ヌーボーを長い事扱っていません。(ヌーボーでないものはあります。)
『天邪鬼な私らしい』と、思われる方も多いと思いますが、何だかこのお祭り騒ぎに馴染めないのです。
ワインを扱っていなかった業者さんも『ボジョレー・ヌーボー』だけ扱うし、居酒屋さんや焼肉屋さん、スーパーやコンビニにまで置いてあります。
なので、『サンタムールで扱わなくてもいいかな?』と、考えているからです。

人によっては、生産者の違いなど解からず『高い!』と思う人もいるでしょうし、そもそも日本のヌーボーは高いので、フランスでの価格を知ってしまっている以上、販売しようという気にならないのです。
(生産者によって違いますが、安いものは日本円で300円ほどで、こだわった生産者でも1,000円位です。)

とは言え、今年の葡萄はなかなかよい出来だそうで、美味しいボジョレー・ヌーボーが期待できそうです。
仕事が終わったあと、従業員と一杯やってみるのも悪くないかもしれませんね!

では、また。

 (このお話は、2005・11・2にサンタムールのホームページに載せたものです)
     レストランサンタムール ホームページ http://www.saint-amour.jp

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一般的に、ブルゴーニュワインを『ワインの王』、ボルドーワインを『ワインの女王』と呼ぶのをご存知の方も多いと思いますが、今でも私は疑問に思っています。
色深く、濃い味わいでどっしりとしているボルドーワインと、色鮮やかで、繊細な味わいのブルゴーニュワインとでは、男女逆に思えてしまうからです。

以前お話をした、何本かのボルドーワインは、その歴史に女性の影が見え隠れをしていて(ポンパドール婦人やデュバリー夫人など)、そういった意味では女性的なのかなぁ?と思わなくもありません。
私が、ボルドーワインが男性的だと思う根底には、今日お話しするワインのイメージが、あまりにも強いからかもしれません。
シャトー・ラトゥールという、ボルドーきっての硬派で秀逸なワインのお話を今回はしたいと思います。

5大シャトーと呼ばれる、ボルドー地方のメドック地区、格付け第1級のシャトーラトゥールは、世界中のワインの頂点に君臨する1本です。
恐らくは、品質的にはシャトー・ラフィットやシャトー・マルゴー(以前お話をしました。)を凌いでいた事も頻繁にあるでしょうが、1級の筆頭になれなかったのは、その味わいに理由があるのかもしれません。

ラトゥールは、非常に力強いワインで寿命が長く、数あるボルドーワインの中でも、1,2を争う長命なワインです。
実際に、現在でもメドック地区のワインで飲み頃を迎えるのに1番時間がかかり、当たり年のラトゥールは50年、もしくはそれ以上の熟成が必要なときもあります。
その為、マルゴーやラフィットのように宮廷でもてはやされる事が無かったのではないでしょうか?
繊細優美な生活に明け暮れ、豪華絢爛なパーティーを夜毎繰り返す貴族達は『雅』を好み、力強いラトゥールは好まれなかったのかもしれません。

ラトゥール(塔という意味)とは、その名の通りジロンド河を見張る塔の役目をしていました。(もちろん、秀逸なワインも作っていました。)
現在はフランスのボルドー地方も、かつてはイギリス領で、陸沿いに攻めてくるフランス軍や海賊を見張る必要があったのです。
この百年戦争の終わり頃、イギリスは撤退せざるをえない状況になります。
このボルドーの地を奪還する為に立ち上がった勇者、彼の名がジョン・トールボットといいます。
ラトゥールのワインのラベルを見ると、塔の上に勇者の証『ライオン』が横たわっていますが、このライオンこそトールボットです。
トールボットは、ボルドーメドック地区のサンジュリアン村に、自分の名前を冠したシャトーが存在する事からも、軍事的理由からよりもワインの為にボルドー地方を奪還をしたのかも知れないですね!?
(トールボットの名前を冠したシャトー・タルボは格付け4級ながら、2〜3級の実力を持った優秀なシャトーです。)

百年戦争という長い戦下の為、ブドウ畑は荒れ果てシンボルの塔は無残な形になってしまいます。
しかし、17世紀の後半になって、ラフィットやムートンの所有者である、セギュール家がオーナーになり見事復活を遂げます。
誰でも同じだと思いますが、財産を手放す事になったときには、大事なものは後回しにしてなるべく取っておきたいと思うはずです。
セギュール家は、同じ1級のラフィットやムートンを先に手放し、ラトゥールはだけはその後300年近くずっと手放さず、品質向上に努め、維持していくのです。
この事からも、ラトゥールが他の1級ワインより優れていた事の証であると思います。

伝統的ながらも、現代のハイテクをいち早く取り入れ、常に最高の品質を提供し続ける『塔』は、ボルドーワインの中でも最高の1本であり続けます。
剛毅で、情けを持ち、媚びず、がっしりと頼もしいボディーのラトゥールからは男らしさが満ち溢れていると思います。
長年の熟成を重ねていくうちに、だんだんと丸く、まろやかになっていくその様は、本当に男らしいワインだと思いませんか?

塔の上に横たわる勇者のライオンは、トールボットとセギュール家と、そして今まさに飲もうとしている貴方かもしれません?
勇者の味わい、貴方のバースデーヴィンテージを探して、乾杯してみてはいかがですか?

では、また。

 (このお話は、2005・6・5にサンタムールのホームページに載せたものです)
     レストランサンタムール ホームページ http://www.saint-amour.jp

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