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細川律夫議員
私は、きょうは警察とか法務の身内の人が絡んだ事件の捜査についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
四国の方で警察の白バイに絡む事件が二つありまして、今裁判でも争われております。その件をちょっと二つ御紹介いたしたいと思います。
『一つは、二〇〇四年十一月に起きた松山市での事故でございます。
これは、松山西署の白バイが高校生の少年の運転するオートバイに衝突をして、両者が重傷を負ったものであります。松山西署は少年を業務上過失傷害で書類送検して、松山家裁は少年の非行事実を認めて保護観察処分といたしました。
しかし、少年側は警察の主張する事実認定を否認いたしまして、自分が停車中に白バイがぶつかってきた、こういうことを主張いたしまして高松高裁に抗告をいたしました。
高松高裁は、警察関係者の供述調書だけに基づいて事実認定をしているとして、審判を差し戻しました。
そこで、松山家庭裁判所での差し戻し審判では、白バイにはブレーキ跡があるがオートバイにはなく、非行事実の認定には疑問が残るということで、少年を不処分に決定いたしました。これは、刑事事件に例えれば逆転無罪ということでございます。
そこで、少年側は国や県に損害賠償を求める訴訟を地裁に起こしまして、県の方では逆に白バイの修理費を求めて反訴している。これが、松山での事件でございます。』
二つ目は、二〇〇六年の三月、高知県の春野町というところで起きた事故でございます。
これは、スクールバスを運転中に白バイと衝突いたしまして当時二十六歳の隊員を死亡させたということで、運転手が業務上過失致死罪に問われたものでございます。運転手は、右折しようと停車しているところに白バイが衝突した、バスのスリップ痕は警察による捏造と主張しましたけれども、一審、二審ともに退けられまして、現在最高裁に係属をいたしております。この事件では、バスに乗っていた当時の中学生や随行した先生たちが、自分たちの体験した事実と裁判の結果が異なるということで、運転手の無実を訴えております。
この事件は、二つとも白バイの事件でございます。これは、現在も係争中でございますから、その事実関係について立法府で私が意見を述べる立場ではないということは承知いたしておりますけれども、いずれも警察が身内の人間をかばっているんではないかという疑問が寄せられております。
現に、『松山の事故では高等裁判所と差し戻し審の家庭裁判所で警察の事実認定に疑義が示されています』し、高知の事故では被疑者が実況見分は警察車両に乗せられたまま行われた、こういうことを言っていることなどもありまして、大変不自然なところが多いところでございます。
また、『松山の事件では、警察の捜査記録に少年の保護者がこんなことを言ったと記せられていますね。本件捜査に対して異常なまでの異議、苦情を申し立てたというようなことが捜査記録に残っておりまして、捜査に当たった警察官の主観があらわになっているような事実が散見をされます。』
そこで、この二つの例を見ましても、私は、警察官が関与した事件である場合は、例えば最初から検察などがまず調べていくとか、警察官関与事件あるいは警察の内部のような事件については第三者がしっかり監視できるような制度というものをきちっと検討いたしまして、偏った捜査がされているのではないか、身内に甘い捜査がされているのではないか、そういうことを疑われないような制度をしっかり検討すべきではないかというふうに思っております。
以前から考えておりますように、李下に冠を正さず、あるいは瓜田にくつを入れずというような格言がありますように、国民の側から疑いの目で見られる可能性があるのならば、最初の入り口段階から変えていくべきではないだろうかというふうに思っております。そうでないと、警察の言い分が事実だとしても、世間の方は信用しないのではないかというような危惧を持っております。
私はそのように考えているところですけれども、この点について、警察庁の見解をまずお聞きしたいと思います。
★末井政府参考人 交通事故事件の中でも、当事者間の証言が食い違う、あるいは一方の当事者が死亡してその証言が得られないなど、事実関係の究明が困難な事案や、御指摘のような警察職員が当事者となる事案につきましては、私ども、より緻密で慎重な捜査が組織的に行われる必要がある、このように考えております。
そこで、本年三月には、交通事故事件捜査体制の質的な強化を図るため、警察本部に交通事故事件捜査統括官、交通事故鑑識官の職を設けるよう、都道府県警察に指示をしております。これによりまして、警察職員が当事者となる事故や、いわゆるひき逃げ死亡事故、一方当事者の供述以外に証拠が得られないおそれがある事故などにつきまして、正確、綿密な実況見分や監視活動など、客観的な証拠の収集、具体的な捜査指揮や組織的な取り組みを一層推進しまして、的確、緻密な捜査を行って、事故原因を究明するとともに、警察捜査に対する信頼を確保してまいりたい、このように考えております。
細川議員
そこで、これはちょっと古くなりますけれども、十年ぐらい前に神奈川県警でいろいろ不祥事がありまして、当時の本部長が、全県下の警察署長を集めまして、警察署長と県警の幹部に対して行った訓示の要旨があります。県下の署長はそれを聞いて、ある警察署長は本部長の訓示の要旨を書きまして、それを自分の警察署の署員に渡した、そういうメモがあるんですけれども、本部長が訓示をしたという内容をちょっと御紹介いたします。
いろいろ書いてあって、「不祥事はあるということを前提として、その場合の対応を考えなければならない。不祥事とはなにか、事案があっただけでは不祥事ではない。これがマスコミに騒がれて、初めて不祥事となる。」ちょっと略しますが、不祥事のようなものが「あった場合は、県警全体で処理に当たる。県警としてチエを出していく。組織に乗せる。情報の伝達、スピードとの勝負である。事を小さくおさめる。物事は二重、三重の帳簿で処理していく。危機管理とは責任である。」こういうことを訓示した。それで、その署長がメモして、そしてまた署員にそれを配った、こういうことでございます。
このことを簡潔に言いますと、不祥事がマスコミに出たら二重帳簿でも駆使して事を小さくおさめろ、こういうことだ。私は、とんでもない発言だというふうに思います。こういう意識が警察共通のものになったら大変だと私は思いますけれども、警察庁はこの訓示そのものをどういうふうに思っていますか。
★米村政府参考人 お答えをいたします。
お尋ねの点につきましては、古うございますけれども、平成十年九月の三日の神奈川県警察における警察署長会議で、当時の本部長がそのような訓示と申しますか発言をしたのではないかというような点であろうかと思います。
私どもとしまして、同県警においてそういう発言があったのかどうかという事実を確かめました。また、その会議に出席した者等からも話を聞いた上でございますけれども、そういう発言があったということについては確認ができなかったということでございます。
その上で、一般論として申し上げますが、仮にそのような発言があったとすれば、私どもといたしましては、まさしく不見識な発言でありますし、およそ理解しがたい発言であるというふうに考えております。
なお、警察におきましては、先生御承知のとおり、神奈川県警におきまして一連の非違事案が発生をし、これをきっかけといたしまして、警察行政の透明性の確保と自浄機能の強化というものを目指しまして警察刷新会議が立ち上がり、また、その提言を受けて警察改革要綱というものを定めたわけでございます。それ以降、監察部門を充実し、非違事案が発生した場合には厳正に処理をするという姿勢で臨んでいるところであります。
監察処分の処分基準あるいは処分の発表の指針、これらはいずれも公にお示しをしているところでございまして、これに基づいて処分及び発表について厳正に対応しているということでございます。
細川議員
確認をする必要があるかも含めて対応していきたいと言うが、私が言っているのは、きょうは、白バイの事件を二件出して、そして埼玉県警の問題も出して、警察内部の問題について、もっと別の機関をつくるとか、あるいは別の機関が調べるとか、そういうことをしなければいけないんじゃないかということで提起しているんです。
警察の内部の方では逆に、今官房長が、もしあれば、あってはならないようなことなんだ、こういうようなことも言われたんですけれども、これは現実にあった、間違いないと私は思いますよ。だから、ちょっと調べるぐらい調べたらどうですか。
★米村政府参考人 ちょっと舌足らずな面があったかというふうに思いますので、おわびを申し上げたいと思います。
昨日関係者等からいろいろ聞いた限りにおいて確認できなかったということでございますから、さらに確かめてみたいというふうに思います。
以上です。
細川委員
それでは、大臣にお聞きします。
私がこれまで、白バイ二件のケース、それから警察内部で起こった内部の者の事件、そういう不祥事と事件を例に出してきたわけですけれども、こういうケースに対しては警察以外の機関が捜査に当たるとか、あるいは警察を監査するような何か別の機関が必要だというふうに思うんです。
法の正しい執行の責任者としての法務大臣の見解、それから、今神奈川県警の訓示のお話もちょっとしましたけれども、それも含めて、大臣、どうお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
★鳩山国務大臣 大変難しい内容の事柄で、細川律夫先生がどういう観点で問題意識をお持ちであるかということは十分理解することができたと思います。
また、先生がそういうような観点で物をお考えになるのは決して間違いでない。要するに、身内に甘いとか、身内に有利であるとか、身内同士で傷口をなめ合って物事をごまかすということが、それは通常世の中ではよくあるわけで、うちの事務所なんかよくあるわけで、何かまずいことがあると、みんなで口裏を合わせて隠すものですからいつも苦労するわけですが、ただ、やはり司法警察職員というような権限を持った存在というかパブリックな存在の方々では、そういうことは特に許されないことと思うわけでございます。
ただ、先生御提案の、第三者的な機関をつくるかということになりますと、直ちにそういうことが現実的に可能であるかどうかについては、私も余り前向きの御答弁ができないわけでございます。
一つには、もちろん自浄能力を皆さんが発揮してくださることが大事ですが、警察官あるいは警察と検察というもの、ともに捜査することができるわけでありますが、警察が事件と思えばこれを検察に送る、検察がまたみずから必要と認めるときはみずから犯罪の捜査ができると刑事訴訟法に書いてあって、そして結果的には起訴するかしないかというのも検察がやるということでありますから、検察がしっかりしておれば適正な捜査ができるのではないかというふうに私は思います。
ただ、細川先生御指摘の事柄、高知の話、それから愛媛県の話、埼玉県の話、警察庁の答弁を聞いておりましても、余りすかっとしないですがね、後ろで聞いておって。
だから、何か先生の持たれる疑念のようなものは、そうしたものが国民に持たれてはいけないわけで、どういうことができるかというのは今後やはり研究すべき課題であるということはよくわかりました。
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