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このところ個人的理由でバタバタと日本との間を行き来しています。そのためブログの更新も遅れ気味ですが、無理せずポチポチやっていきます。
「ジェンダ主流化(ジェンダ メインストリーミング)」とは開発援助関係者にとって「当たり前の当たり前」です。
村で「男は酒を飲んで博打をしているだけ」「女性は真面目で働き者」「女性は子供を育てる」「女性は社会参加が遅れている」ことから、村の開発において「女性」にフォーカスしましょう、、、、という発想があります。これはWID(Wemen in Development)と呼ばれます。
そのような開発における女性へのフォーカスだけでなく、社会・コミュニティ開発のあらゆる局面で性差による視点の差を反映させ、より効果的な開発を行うために女性(厳密にいえば両性)の視点を反映させていくことを「ジェンダ主流化」と呼んでいます。
荒っぽく言えば、「生理用品の開発を男性が行う」のが男性社会。「生理用品の開発に女性がかかわる」というのが「WID」。「生理用品だけでなく、ひげ剃りクリームの開発にも女性がかかわる」のが「ジェンダ主流化」です。ひげ剃りクリームを使うのは男性ですが、それを購入するのは主婦だったりするため、女性がかかわることにより売上げが伸びたりする、、、、そんなことです。
(いい加減な例えだけど、あっているのかなあ?)
筆者などは、開発援助において「WID」も「ジェンダ主流化」も激しく同意するのですが、一方で女性の権利に対してヒステリックにラジカルな人もいるわけで、そのような発言に対しては引いてしまったりします。
前置きが長くなりました。今日は筆者が参加している某メーリングリストでのジェンダに関する話題です。結構激しく意見交換がなされていますが、信頼関係のあるメンバーですので、別にケンカしているわけでありません。オモシロイので引用します。
Kさん;
今日(イスラム圏である)事務所スタッフの面接をしました。
残念ながら、CVは一見立派だけど実際に面接し、翻訳・文書作成テストをやってみるとボロボロ(>_<)の者が多くて・・・。結局使えそうなのは男性1、女性1の感じです、総合点では女性の方が抜きん出ているのですが、保守的なイスラム社会での外部折衝などで支障がどの程度出るのか? ちょっと悩みどころです。
Qさん;
ジェンダーメインストリーミングを推進する立場としては、能力がほぼ同じならば、是非とも女性の採用をお願いいたします。
イスラム圏で女性が重要な仕事を得るのは名誉なことです。他の女性の励みにもなります。折衝面で大変なことはあると思いますが、事務所がバックにある以上、それこそ普段男性に対して日常いえない発言ができるというものです。現場からの、女性への支援と活用は重大な意義があります。彼女がやる気があるのでしたら、宜しくお願いしますね。
Dさん;
Kさんの雇用の悩みに対してQさまの反応はあるだろうなと予想できる流れでしたね。確かに社会状況を抜きにして個人の能力を優先して選別するのが当然の方向性だと思います。ただ、能力と考えた場合、筆記試験ができることがイコール能力とは言えないと思うので、ジェンダーのみならずKさんの培った人を見る目で公平に雇用にいたると良いなあと思いました。Qさまにはあとでお叱りを受けるかもしれませんが、Q様だけの押しでは逆に不公平になりかねないと思うのであえてもうしあげます。
Sさん;
Qさんには叱られそうですが、、、、
こちらでは今まで延べ20人以上雇いましたが、
「『優秀さ』で選考すると、女性ばかりになってしまいます」
男性の応募があると、優先的に男性を採用を検討してしまう私はなんなのでしょう?
そうしないと、女性ばかりの職場になってしまいます。
Kさん;
成績だけで採ると女性の比重が高まるのは万国共通の傾向のような気がしますね。男性の自分がそうそうに白旗を揚げるのは残念ですが・・・(-_-;)
他方、仕事上の戦力としては、知識・技術だけではなく、忍耐力・許容力・想像力・交渉力・体力など職種によって様々な能力・資質の総合力(場合によってはコネも能力の一つかも知れません)で判断されるのは当然だと思っています。職場での男女比も業態によっては重要な要素ですし、それを雇用者として考慮するのは必ずしもジェンダーコードに抵触する訳ではないように思いますがどうでしょうか?(Qさまの反撃がちょっと怖いですが・・・)
その上で、結局、女性を第1交渉先(小さい子供がいるので労働条件(うちの事務所では日常的に残業してもらっています。)その結果によっては見送りも有り得ます)に決めました。
筆記試験だけではなく、口頭試問の受け答えを含めての総合点で判断したつもりです。ジェンダーバイアスも考慮しましたが、他ドナーではむしろ女性スタッフが多いぐらいですので、多分何とかなるのではないかと思っています。
Qさん;
ジェンダーメインストリーミングを推進する立場としては、何が何でも女性というわけではなく、同じ条件なら女性を優先的に採用してください(affirmative action)と提案しているわけです。
それにしても、小さい子どもを抱えての残業とはきつい。ただでさえジェンダー格差のあるイスラム圏のなかで仕事も大変だと思います。大家族で子どもの面倒を見てくれるひとがいるのでしょうか?それとも保育所などの施設がしっかりしているのでしょうか?
ジェンダーメインストリーミングの考えでは、もし、男女が育児の担当をシェアしない社会で、女性が一方的に育児をすることが慣習化している社会では、就労女性をそれなりに配慮することも奨励します。従って、これこれの条件で採用したのだから、残業できないのはおかしいと非難してはいけません。残業する意思があっても、子どもの突然の病気やその他の理由で、残業が難しくなる事態が多々生じると思います。そのときには、雇用者側は、女性労働者の状況を理解し、支援する措置を取るべきだと思います。そのため、生産性は男性と比べて低くなりますが、このような社会的・制度的支援がないと、女性は男性と同様に働くことができません。
ということで、残業の件に関しては、あまり詰めないでくださいね。実際、小さい子どもを抱えて仕事することは精神的にも肉体的にも大変な負担です。是非とも、やさし〜い配慮をお願いします。もし、そのような配慮ができないならば、最初から男性を採用すべきかもしれません。と、いうことで、日本では結果的に男性労働者の方が好まれます。北欧のような成熟した社会では、女性への支援体制がかなりできており、また、職場でもそのような雰囲気ができあがっているので、女性も力を発揮できるのではないかと思います。
Yさん;
事務所のスタッフの雇用でメーリングリストが盛り上がっていますね。
やはりイスラム圏のこちらでは日本人を最小限にし現地のリソースを活用するという方針で、プロジェクトスタッフを15人雇っていますが、女性はお掃除おばさんだけです。NGOの女性スタッフがオートバイに乗ってフィールドを回っている姿を見かけますが、まだ多くありません。
以前はイスラム圏では、出身部族がどこであるのか、南か北か、スンニかシーアかなんてことも少々考慮しましたが、最近ではどうなんでしょう。
Sさん;
さすが、Q様 ジェンダの勉強になります。
ところで、ジェンダもそうですが「障害者メインストリーム」がこちらではヒドンアジェンダとなっています。
個人的に思うのですが、障害当事者団体が、「障害者の権利を主張する」→「権利を認めつつ、現実の課題を前に障害者の機会均等が進まない」→「だから、障害者の権利を主張する」のデッドループになっているような気がします。
「障害者メインストリームを行うことによって、『非障害者』にどんなメリットがあるのか」を説明することが障害者メインストリーム化への強烈なインセンティブになると思うのです。
(現実に、非障害者にとって大きなメリットがあります。大多数の人間はそのメリットに気づいていないだけでだと思います)
先日、飲み会でジェンダの大御所(専門家)と同席することがあり、直球で「素朴な疑問なんですけど、『なぜ、ジェンダメインストリームが必要なのですか?』『プロジェクトでジェンダメインストリーム化を行うことによる直接的なメリットは何ですか?と聞いてみました。(ど素人だからできる、怖いモノ知らずの質問です)
「ジェンダの主流化をはかることにより、ニーズを的確に知り、効率的なプロジェクト運営ができます」という『予想された』答えが帰ってき、飲み会の席だったこともありそれ以上尋ねなかったのですが、大阪人的にいえば、
「ジェンダ主流化をすればもっかりまっせ!!(それはないか?)」
とか、
「プロジェクトの成功確率が2倍になりまっせ」
とかそんな答えがあれば、みんな頑張ってジェンダ主流化を図るのになあと思います。
「権利の擁護」だとか「あいまいなメリット」では、
「確かに言うことはわかるがねえ。。。てんてんてん」
「ジェンダ入れとかないと最近プロジェクト通らないしねぇ」
「報告書にジェンダ配慮してます、って一応書きとかないと」
とかいうことになって、「多くのプロジェクトでジェンダ配慮しているはず」が、「実体は何も変わっていない」ことにならないかと思います。
※ちょっと、揚げ足を
『もし、そのような配慮ができないならば、最初から男性を採用すべきかもしれません。と』
障害者主流化とジェンダ主流化が違うのかも知れませんが、
『障害者に配慮ができないなら、最初から非障害者を採用すべきかもしれません』と置き換えると、相当な違和感があります。「困難をいかに回避するか」ではなく「困難にいかに向き合うか」が、エンパワーメントアプローチなので。
今日は、素人ながら真面目に書いてしまいました。
しっかし、子供を持ってジェンダを昔よりずっと考えるようになりました。やっぱり、「体験」って大きいなあと思うこのごろです。
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