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最近フェイスブックばっかり構ってブログの更新が疎かになっていた。
まあ、わかっていたことだけど。
簡単な日記記事ならFBの方が機能が充実しているし、ニュースサイトとのシェアも簡単だ。
でも、この記事はFBには書けない。
私の会社は女子社員もいるにはいるが、ガテン系の仕事なので、みな作業着を着て元気に走り回るような女の子ばかりだ。それはそれで素敵な女の子たちなのだが、ひとりO嬢は雰囲気が違う。
O嬢は以前にもこのブログに登場したことがある、大人しめというかゆるふわという感じの女の子だ。
実は彼女は正社員ではなく事務系の契約社員で、電話応対、請求書発行などが主な仕事。だから会社の主業務である現場のことは全くわからない。他の女の子と雰囲気が違って当たり前なのだ。
さて、先日私が昼飯に立ち上がるとO嬢が
「としさん、ご飯行きませんか?」
と声を掛けてきた。彼女から声を掛けてくるとは珍しい。では行きましょう、という事になったがなぜかその場には若手社員のTくんがいた。
向かったのは近くに出来たキレイめの中華屋さん。ちょっとおしゃれな店内になっている。
値段もリーズナブルでいうことない。こんな店よく知ってたね?と私が言うと
「Tさんに教えてもらったんです」
ほ、ほほう
「TVで紹介していたんです。夜もいいけどランチだったら安いし」
とTくん。
ふ〜ん、夜ね、夜。。。
Tくんは私とO嬢の間に入るように席を占めると何かとO嬢に話しかける。
なんだ、おれはオジャマ虫か、と思っていたら
「としさんはどう思いますか?」
とO嬢からパスが飛んできた。
いや、いいんじゃない、と当たり障りなく答えるとTくんが不満そうに肩を落とした。
ありゃりゃ?
私としても若い女の子に構ってもらうのはうれしいに決まっているが、何も若い奴らの恋路を邪魔しようとは思わない。社内の風紀が乱れない範囲で楽しくやって、それがやる気につながってくれれば言う事はないのだ。
まあ、むろんそれは両者の気持ちがマッチした場合に限ってのことだけど。
その日の夕方、私が仕事に手間取っていると、O嬢がやってきて手伝い始めた。
時計を見るとO嬢の勤務時間を回っている。
帰らなくていいの?
「切りのいいところまで。。。」
事務所の反対側から「お先に失礼します」とTくんの声が聞こえてきた。
どうやらTくんが一緒に帰ろうと目配せしていたのを牽制したものらしい。
このTくん、若手の中ではヤリ手の部類に入ると思う。
現場のことはもちろんだがとにかくパソコンに強い。社内で使っている書類のいくつかは彼がマクロを組んで作成したものだ。かといってオタクというわけでもない。すらりと長身のイケメンくんでフリークライミングを趣味としている。平日はよほどのことがなければ残業はしないし、土日は自分の趣味に時間を割いている。
さぞかし女の子にモテるだろうと思いきや、実は致命的な欠点があった。
性格が悪いのである。
こんな業界なので口が悪い奴はたくさん見てきた。口より先に手が出るような親方もたくさんいたし、約束の守れないだらしない人間も掃いて捨てるほどいた。でも彼はちょっと違う。
自分は頭がいいという自負が言葉の端々にあふれている。
彼が気の利いたジョークだと思って発するセリフのすべてが自慢でしかないし、会議では自分の説をまくし立てて人の話は初めから相手にしない。それでいて自分の提案したことが「ではTくんに責任者になってもらって実行しよう」という段になるとのらりくらりと逃げまわるのだ。下請け業者やお客さんからも「あの人はちょっと」と言われているのだが、若くてバリバリ仕事をこなすので、クレームには至っていない。
むろん会社にとっては仕事が出来る社員が良い社員であって、それ以外ではない。だから性格が悪かろうと会社は彼を必要としているのだ。
では会社を出たらどうだろう。
O嬢と私は仕事を片付けると一緒に会社を出た。案の定、話題はTくんのこと。
「Tさんが『Oさん結婚しないの?』っていうんです。そこでまずピキッときちゃって、大きなお世話だよって」
ちなみにO嬢は交際している男性がいる。ただし、彼氏に離婚歴があって家族からいい顔をされていないらしい。そのうえ彼氏は彼氏で、O嬢の家族に会うのを先延ばしにしている。O嬢としては今の宙ぶらりんの関係に早くけりをつけたいと思っている真っ最中なのだ。
「そしたら『僕だったらいつでもフリーだよ(^v^)』って、もう、ありえないですよ!」
そ、そういうのって素で言う奴いるんだ。。。
「実は以前携帯のメアド教えちゃったんです」
おっと、それはピンチだ。
「そしたら毎日メールが来て、それもくだらない内容ばかりで」
ちょっとしたストーカーだな。
「それでスマホに変えたのを機にメアドも変えて、Tさんには絶対教えないようにしたんです。そしたら」
そ、そしたら?
「電話番号で送る奴でメールが来て」
う、うわあ。。。
「だから私、そういう機能があること知らないふりしてるんです。」
Tくんてそういう奴だったんだ。
それで今日はオレに声を掛けたんだね?
「すみませんでした。でもお店のことは私も知っていて一度行きたいと思っていたから」
そういうお店に誘ってくれるんだから良いヤツじゃん。お付き合いする、しないは別にして。
「実は先週も誘われて別のお店に行ったんです」
二人きりで?
「…はい。で、もう二人で行くのは嫌だと」
う〜ん、まあ、二人きりにならないようにするのは賢明だと思うけど、そんなに嫌ならはっきり断るのも必要かもしれないよ。『彼氏いますから』って。
「会社が小さいからあんまり波風立てたくないんです。仕事がしにくくなるから。それに。。。」
女性で、しかも契約社員という立場では当然の心配だろう。
Tくんが爽やかな笑顔で人の欠点をあげつらう姿は何度も見てきた。面と向かって交際を断ったとなると仕事の面で何を言われるかわかったもんじゃない。
そして彼女が口を濁したのは態度のはっきりしない彼氏との関係を終わらせて新しい恋を探したい、という事だと推測した。そのためには宙ぶらりんな彼氏の存在を公言するのは憚りがある。
まあ、この会社で働いている間は我慢するしかないかもね。Tくんもプライドが高い奴だから、人目のあるところではめったなことにはならないだろうし。
「そうですよね。私やっぱり近いうちにここを辞めようと思うんです」
そうかあ〜。それは残念だね。じゃあ、辞める時には。。。
私が『辞める時には送別会を開いて』と言おうとしたときO嬢が
「辞める時にはTさんに『一発殴らせろ』と」
えっ?そこまで嫌いだったの?!
O嬢は可愛らしい手を拳に握ってはあぁ〜と息を吹きかけて見せた。
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