2011.3.11 東日本大震災・福島東京電力原発事故から8年
開発の負の面 一部の地域や人々の問題ではない!! みんなの問題,国民国家の問題だ!!と気づくべし。
「汚染土と復興〜東日本大震災から8年」(3月9日土 TBS「報道特集」)より 文字起こしました。
汚染土と復興(1)
再生利用に苦悩する住民
福島第一原発の今
廃炉作業に,1日4200人が当たっている。構内の96%で防護服無しで作業可能。2号機と3号機の間の通路,去年はバスの中でも高線量を記録していたが,通路には鉄板が張られていて,線量は依然として高いままだ。(232〜3μ㏜を手元の線量計が示している)
防護服に着替え,当時原子炉コントロールしていた4号機の中央制御室に。
一進一退の廃炉作業。
去年3号機で,使用済み燃料プールから核燃料取り出しを始める予定だったが,トラブルのため延期されたままである。カバーの中に入ると,安全の柵が取り払われ,歩行や作業が危険な状態である。3号機には今も566体の燃料棒がある。取り出しは来月にも始まる見込み。最も困難なのが溶け落ちたデブリの回収だ。
2号機では,ロボットにより初めてデブリに触るという調査が行われている。
持ち上げることまでできたが,取り出す方法はこれからの検討課題だ。
原発事故の影響は計り知れない。
東北から関東にかけて広く放射性物質が拡散した。
福島県内だけで汚染土は約1400万立方メートル,東京ドーム11コ分の膨大な量になる。
各自治体で仮置きされ,2021年度までに福島原発近くの中間貯蔵施設へ運び込まれることになっているのだが・・・・・
汚染土の現実
2月3日 南相馬市で 緊急の住民集会 福島原発事故で出た汚染土の再生利用計画について
「絶対ダメです とんでもない話だ」と語意を強める住民。
南相馬市小高区の羽倉地域を通る常磐自動車道に汚染土を使う,というものだ。
「孫,ひ孫の代まで苦しめられる・・・」と語るのは 南相馬市小高区の羽倉行政区 相良繁廣 区長だ。
「若い人は戻ってこない 子どもは育たない 作物事業はできない・・全然プラスが見えない」と話す。
汚染土再利用の計画は,環境省の強い意向による。常磐自動車道の4車線道路の盛土の一部に使おうという計画だ。
環境省計画では 南相馬市小高区の仮置き場の汚染土約1000袋を常磐道拡幅工事の盛土として使う。
羽倉地域の住民は・・「なんで羽倉なのか 大熊(中間貯蔵施設)に持って行ったら良い。 東京のど真ん中でもいいな。道路をかさ上げして実験してみたらいい。皆さんどう思うか」
住民の全員一致で計画に反対
環境省 2016年 汚染土の総量を減らすため再生利用の基本的な考え方を示す。8000ベクレル以下の汚染土 公共工事で再生利用目指す。
南相馬市小高区 ほぼ全域で避難指示解除後 震災前の2割(約3000人)しか戻っていない。
南相馬市 市議 渡部寛一さん 汚染土の再生利用反対を表明している。
前市長の桜井氏から電話があったのは去年10月
「再生利用するのをダメだなんて言うべきじゃないと 」
桜井前市長は,原発被害をインターネットで訴え,脱原発を掲げ復興にとりくんできたが,2018年1月市長選に落選。
電話の訳は,・・「常磐道の小高インターチェンジができる方向で前向きに動きが始まって現実になってきた インターチェンジをつくる予算は環境省で出すことに決まっていると ・・・」
それまでは 南相馬市は,国交省に対して小高区にインターチェンジ設置を要望してきた。だが採算性の点から実現に至っていない。
桜井市と同派の市議 渡部一夫氏に聞くと
「小高のインターチェンジをつくる代わりにぶら下がってきているんだと認識した。バーターでつくりあげていくなど思ってもみなかった」
複数の市議から話を聞いた。
市議A「桜井さんが市長をやめるとき 『再生利用を受け入れないと小高ICができないことになっている』と直接言われた。」
市議B「いわばアメやニンジンをぶら下げられた状態ですよ 国に対しては卑怯だといいたい」
桜井勝延 前南相馬市長がインタビューに答えている。
「やむをえず やるべきだと思っています。(メリットは?) 一番は,仮置き場が徐々になくなっていく そのことによって農業の復旧が進む」
当初,汚染土は 3年か5年で撤去される予定だった。だが中間貯蔵施設への搬入が遅れ,いまなお大量の汚染土が積み上げられている。
南相馬市小高区の住民
「仮置き場にフレコンバッグがいっぱいあって再生できなくてどうすんの? そのままでは農業再生なんかできない」
桜井市長は キャスターを 南相馬市の防災林へと案内した。
津波で出た災害がれきが使われている場所だ。放射能汚染されているが,当時3000ベクレル以下のものは入れてきた。防災林の下にがれきを入れてきたわけだから コンクリート廃材やアスファルト廃材を利用しているのになぜ(汚染)土はできないのか」と前市長は言う。
おととし インターチェンジ設置について国交省と交渉した。おおよそ60億円弱かかる 国交省としてはそんな予算がないと そして出された案が 環境省の予算を使う案だった。
「道路局長から 環境省の中間貯蔵施設への除染土の運び込みの予算でつくっているから環境省と話してもらえれば小高(IC)の問題も進むでしょうと。」
ICができれば汚染土の運び込む作業が進むので環境省にとってもメリットがある。
南相馬市 おととし 環境省による汚染土を使った盛土の実験を開始。
<<番組のビデオ画面には,「再生材盛土」と看板が映っている。・・・なぜか除染土とか,汚染土という言葉(説明の)はなく曖昧模糊とされているように見える。公明正大に物事に対処しない日本の風潮だろう。誤解を招かないためとの言い逃れも聞こえてきそうだ。>>
「除染土の再利用 こういう形で行うのは悔しいけれど 理解していただきたい」
環境省は取材に対し,
「小高IC関連 除染土再生利用について意見交換したことは事実だが結論は出ていない」と回答
常磐道の拡幅工事への除染土再生利用については
「市長と具体的に相談した事実はない」との回答だった。
国交省は
『当時の道路局長との間で桜井前市長が話したような除去土壌に関わるやり取りは行われていない』と回答。
実は汚染土の再生利用は,去年二本松市で 頓挫している。
市道(農道)に200メートルほど除染土を埋めて行こうというものであった。
田んぼのわきにある農道。すぐそばを湧水が流れる。
近くに住む男性は
「この道は使わない。農作業などのときにトラクターを走らせるくらいで・・」と笑止に堪えない様子。
計画では近くの仮置き場に在る汚染土500袋を使う予定だった。
仮置き場が早く無くなるなら,と計画に賛成した住民もいた。
≪山盛りになった汚染土をシートで覆った仮置き場の画面は異様に映る≫
地元の主婦 大橋さら さん
「絶対にやめてもらいたい, 反対しなければと思いました」と語る。
娘さんを神奈川へ自主避難させている。
再生利用計画の署名サイトで反対を呼び掛けた。(結局電子署名は1700集まり環境省は計画を中止した。)
「将来,おばあちゃんちには放射能があるから来ない方がいいよ」とは言いたくない。」
住民説明会 (環境省による) で出た意見は・・・
「約束通り,中間貯蔵施設に運べばいい。」
「東京で再生利用すればいい」
「オリンピックの会場の下地に敷いたらいい」
≪問題の背景には,東京という大都会の「中央」と地方の「田舎」との対立,環境の隔たりをも感じさせる≫
【環境省の担当者】
「福島で出たものを東京に持って行ったとしても 皆さんと同じように 気持ちとして難しいかなと」
南相馬市の汚染土処理再生利用は,南相馬市ならではの事情があったからで,一律に同じやり方は進められない,すべきではないとの桜井氏の言葉を最後に添えていた。仮に南相馬市が汚染土を受け入れに踏み切ったとしても他の自治体が同じように進めるのは間違いだという意見でくくった。
汚染土と復興(2)
福島県飯舘村で 汚染土再生利用を受け入れている例
飯舘で唯一つ残っている帰還困難区域「長泥」行政区
唯一の受け入れ判断に続く苦悩〜苦渋の選択
去年4月 白鳥神社 普段立ち入ることのできない神社に人々が集まった。
福島原発から30キロ以上離れているが空間放射線量が高く避難指示が解除されていない。
除染が手つかずのままだった。
特定復興再生拠点 認定 国の費用で除染やインフラ整備が進む
ただ,汚染土の再生利用が盛り込まれた。
汚染土の再生利用を受け入れなければ広範囲の除染はできなかった。住民にとって苦渋の決断だった。
汚染土の仕分けプラントができる予定で工事が進められている様子がうかがえる。汚染土の再生利用計画では,放射性物質の濃度5000ベクレル以下の汚染土を使用。約50センチの新しい土で覆い農地にする計画。
観賞用の花などを試験栽培。
一方でこんな光景も広がる,・・・黒いフレコンバッグが一面に広がり積まれている 膨大な量だ。再生利用のために 飯舘村の他の地区から,約3万4000袋の汚染土が 新たに運び込まれたのだ。
「本当に大丈夫かなという不信感というか・・・安全なのかなあ・・・」と不安を隠せない住人の一人,庄司正彦さん。
去年10月福島市 長泥の住民に対し 説明会が開かれた。
飯舘村の菅野典雄村長は,集まった住民に対し,
「二本松は(汚染土再生利用計画が)ダメになっている。長泥の皆さんは本当にすごいな,良く決心してくれたな,と思ってます。」と語った。
環境省の担当者は,強調した。
「世界初の事業を進めていくことになります」
住民からは憤りの声も上がった。
計画を受け入れたにもかかわらず長泥地区の全域が除染されるわけではないからだ。
「飯館村で1700戸余りあると思うんですが,その中で15〜6軒だけ除染も出来ない 家の解体もできない これは国のやり方なのですか,村のやり方なんですか」と詰め寄る場面も。
長泥地区の集まり 年1度の懇親会 笑顔があるが内面複雑。
「長泥は再生事業で埋め立てて金をもらって利益を上げていると言われるが,それはウソですよ 除染してもらいたくて 長泥住民が選択した最後の砦 」
長泥の避難指示解除は 2023年春ごろの計画だ。
鴫原(しぎはら)良友 長泥行政区長
村営住宅建設予定 入居を申し込んだのは区長一人だったという。一人だけの申込みでは建てられないと言われている」と
汚染土が埋め立てられ 汚染土を使った植物栽培実験もすでに始まっている。
汚染土を受け入れたのは正しかったのか,いまなお苦悩は続く。
「大丈夫なのか 人の住めるところか そんな選択して正しいのかと いろいろ
放射能持ってきてどうだと言われれば 絶対間違っている 言われる のは でも仕方がないんだ きれいにするには」
ほんとうに復興のことを思ってくれる人は100人いたら,4,5人にすぎない,という。それが,8年間に渡って復興の最先端に立ってきた人の実感なのだ。現場レベルの人とは腹を割った話ができる,しかし,霞が関や永田町の人が受け止めてくれない それが悔しいし悲しい,と。
長泥地区は 原発から30キロ離れている。東京電力からは何の恩恵も受けていない。その上何の落ち度もない人たちが,どうして厳しい選択を迫られて,いまもなお悩み続けなければいけないのか。これは長泥地区の人たちだけでなく私たちにもつきつけられた問いだと思います,と日下キャスターは訴える。
汚染土と復興(3)
関東から東北に残る汚染土
福島以外での汚染土の管理は?
千葉県白井市 市役所 駐車場の一角にブルーシートで覆われているのが汚染土。道路の側溝や集合住宅の土がフレコンバッグに入れられている。
大型バッグ85袋分ある。定期的に放射線量を調べている。
「処分のめどは? 今のところ全く立っていない。再生利用は・・これだけの量を使うのは難しい」と。
岩手県内の保育園では,マンホールにたまった汚染土を私有地に埋めていた。目じるしは立てていない。将来,知らないでこの土地を活用したら・・・と保育圏関係者は心配する。
福島県外の汚染土
地上・地下約28000ヵ所で管理 7県分で計33万立法メートル
汚染土再生利用に関するアンケート取材
対象自治体 福島・岩手・宮城・茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉の計83自治体
東京都は汚染土の管理をおこなっていない。
再生利用を検討している・・・ 「0」
検討していない・・・ 「79」
理由は:「盛土など生活圏での再生利用は言語道断。」
「放射性物質は「ある」か,「ない」かで判断する住民も少なくなく,より丁寧な説明をおこなったとしても理解を得ることは困難。」
2015年9月の関東東北豪雨被害を理由に挙げたのは栃木県鹿沼市。
「自然的な被害が懸念され再生利用には大いに不安を感じる」
宮城県白石市
仮置き場 できてから7年がたつという。
始末に困っている。嫌なものはどこに持って行ったって嫌がられる。
「そもそも国の方で責任を持つのであくまでも一時保管という言葉を信じた。処理の仕方をどうするかは国が責任を持ってやるべき。責任を市町村に転嫁しているよにしか受け止められない。非常に困惑していますし,憤りもあります。」と市長。
栃木県鹿沼市 自然災害への不安を拭えない。
宮城県の丸森町は,福島県に3方をかこまれている。地理的な近さから,大量の汚染土をかかえ,仮置き場は町内に25カ所もある。再生利用は検討していない。町では中間貯蔵施設への搬入を認めてほしいと訴えている。宮城県ですからと支援を断られている。被災地としてそれを認めてもらえないことは本当に残念だと町長は述べている。
茨城県 稲敷市 阿見町 宮城角田市 山元町 ・・・どこも 苦悩する姿が浮かび上がる。
福島県内の汚染土は県外の総計より40倍以上多い。
環境省は,再生利用に期待。
福島工業高専の油井三和特命教授
「再生利用はメリットがある。産業が生まれる,いろいろな土木工事が入ってくるし,人は雇えるし,プラスはある。現実的でなければ・・・復興はあり得ない。 最後に大熊町と双葉町の中間貯蔵施設にすべてを押しつけるつもりですか。」
アンケートでは福島県内の自治体の大半が 中間貯蔵施設への搬送を期待している。
汚染土は2045年までに福島県外で最終処分が法律で定められている。
「県外で受け入れるとは思えない。期待できない。皆他人事なんです」と油井氏は言う。「福島が立ちあがらなければ除去土壌の問題は解決しない。」