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第三章 所有権
第二百九条 土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2 前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
第二百十一条 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
第二百十二条 第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
第二百十三条 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。
第二百十六条 他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。
2 両岸の土地が水流地の所有者に属するときは、その所有者は、水路及び幅員を変更することができる。ただし、水流が隣地と交わる地点において、自然の水路に戻さなければならない。
3 前二項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
第二百二十条 高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。
2 前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。
第二百二十二条 水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる。ただし、これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
2 対岸の土地の所有者は、水流地の一部がその所有に属するときは、前項の堰を使用することができる。
3 前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。
2 当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。
第二百二十七条 相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。
一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない。
2 高さの異なる二棟の隣接する建物を隔てる障壁の高さが、低い建物の高さを超えるときは、その障壁のうち低い建物を超える部分についても、前項と同様とする。ただし、防火障壁については、この限りでない。
第二百三十一条
相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。
2 前項の規定により障壁の高さを増したときは、その高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有に属する。
第二百三十二条 前条の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
第二百三十四条
建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
2 前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。
第二百三十五条 境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側
(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
2 前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
2 導水管を埋め、又は溝若しくは堀を掘るには、境界線からその深さの二分の一以上の距離を保たなければならない。ただし、一メートルを超えることを要しない。
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事件番号
平成24(わ)6191
事件名
威力業務妨害被告事件 裁判年月日
平成26年7月4日 裁判所名・部
大阪地方裁判所 第9刑事部 結果
原審裁判所名
原審事件番号
原審結果
判示事項の要旨
1 震災がれきの焼却説明会の開催を阻止するために扉を叩くなどした行為が威力業務妨害罪に当たるとされた事例。 2 駅前での街頭宣伝活動における副駅長に対する行為が威力業務妨害罪に当たらないとされた事例。 主文
被告人を懲役8月に処する。
未決勾留日数中100日をその刑に算入する。 この裁判確定の日から2年間その刑の執行を猶予する。 平成24年12月28日付け起訴状記載の公訴事実については,被告人は無罪。 理由 以下,別紙記載の本件被害者を単に「被害者」という。
【犯罪事実】
被告人は,東日本大震災により起きた福島第1原子力発電所の事故ののち,大阪市が大震災により生じた廃棄物(いわゆる震災がれき)を受け入れて焼却し,焼却灰を埋立処分する方針であることを知り,震災がれきの広域処理は放射能汚染を全国に拡散させ,処理施設周辺の住民に健康被害をもたらすものであるから,これを阻止しなければならないと考えた。 そして,大阪市が開催する震災がれきの焼却に関する住民説明会で反対の意思を表明しようとしたが,説明会に参加できる者が大阪市民等に限定されたため,できなかった。大阪市は,平成24年11月13日午後7時から大阪市a区bc丁目d番e号大阪市立A区民ホールで震災がれきの試験焼却に関する住民説明会を開催することにしたが,同時に,これを最後の説明会とし,これが終われば同月下旬から試験焼却を始めることを決めていた。
そこで,被告人は,放射能汚染による健康被害を防ぐため,震災がれきの試験焼却は阻止しなければならないと考え,そのために,上記説明会自体を阻止しなければならないと考えて,同日,同区民ホールに行った。同区民ホールには,被告人と同様に,震災がれきの試験焼却を阻止しなければならないと考える者が多数集まっていた。
平成24年11月13日午後3時30分頃,大阪市環境局の職員らが説明会の会場となる同区民ホール西側大ホール内において会場の設営作業を行い,同局職員である被害者が部外者が立ち入らないように大ホール出入口の扉の前に立っていたところ,被告人は,B,C及び氏名の分からない者らと共謀の上,「開けろ」と言いながら,被害者を押したり,大ホールの扉をたたいたりして被害者の業務を妨害した。続いて,その頃から同日午後5時15分頃までの間,被害者やその他の職員らが会場設営のために同区民ホール南玄関ホール内に設置したパーテーションをその外に運び出し,さらに,トランジスタメガホン等を用いて「焼却反対」などと大声で連呼するとともに,笛や太鼓等の楽器を打ち鳴らすなどして前記職員らを威嚇し,その業務を妨害した。
【証 拠】
(各証拠書類等に付記した番号は,検察官・弁護人請求の証拠番号である。) ・ 第2及び第3回公判調書謄本中の被告人の供述部分 ・ 第2回公判調書謄本中のBの供述部分 ・ 第1回公判調書謄本中の被害者の供述部分 ・ 報告書(弁護人30)謄本 ・ 写真撮影報告書(検察官甲1)謄本 ・ 写真撮影報告書(検察官甲7)抄本 【争点に対する判断】
1 共謀について ⑴ 弁護人は,被告人を含めた現場にいた者たちは,各自の行動は自分で決める,互いの行動には干渉しないという考え方で行動していたから,本件業務妨害行為に関する共謀はないと主張し,被告人も同様の供述をする。 ⑵ しかし,共謀とは,犯罪の計画を立てて謀議をしたりお互いの役割分担について協議をしたりすることを意味するのではなく,お互いに協力し合って一緒に犯行をしようという考えを持ち,そのような考えを通じ合わせていることを意味している。被告人とその他の現場にいた者たちは,震災がれきの試験焼却を阻止するため,その説明会の開催に対して抗議しようという共通の目的を持ち,そのためにお互いに協力し合って行動しようという考えを通じ合わせていたと認められるから,そのために具体的にどのような行動を取るかは各自で決め,お互いの行動には干渉しないという考えを持っていたからといって,共謀が成立しない訳ではない。
⑶ そして,被告人は,本件説明会を実力で阻止することを意図して現場に行き,本件当日午後3時30分頃,本件区民ホールの大ホール扉前において,Bや現場にいた者たちが扉の前に立つ被害者と押し合い,「開けろ」と言いながら扉をたたいているすぐ横で,被害者を扉に押し付けたり,「開けて」などと言いながら扉を複数回激しくたたいたりし,その後も,他の者たちと一緒にパーテーションを外へ運び出すなどしている。そうすると,被告人は,遅くとも午後3時30分頃の妨害行為の時には,Bなど現場にいた者たちと,協力し合って一緒に行動するという考えを通じ合わせ,その後の妨害行為の際にも同様の考えを通じ合わせていたことは明らかである。
⑷ したがって,共謀の事実が認められる。弁護人の主張は理由がない。 2 正当行為の主張について
弁護人は,被告人らの行為は,試験焼却による放射能汚染による健康被害から被告人らを含む処理施設周辺住民の生命身体を守る目的で行われた正当な行為であるから違法性がないと主張する。 しかし,試験焼却により処理施設周辺住民に放射能汚染による健康被害が生じるのかということ自体,証拠上必ずしも明確ではないが,仮にそのような健康被害が生じるおそれがあるとしても,これに対しては,被告人らの人格権に基づく差止め訴訟を行い,仮処分を求めるなど,合法的に試験焼却を阻止する手段は残されていたのであって,被告人らが本件妨害行為に及ばなければ阻止できないほどの緊急状態に置かれていたものではない。
しかも,被告人らの妨害行為は,これが続いていれば本件説明会の開催が困難になるほど激しいものであって,実力行使によって問題を解決しようとした被告人の行為が社会通念上相当なものでもない。 弁護人は,説明会は現に開催されているから被告人らの行為によって生じた被害は小さいと主張するが,それは途中で警察が介入した結果に過ぎず,それがなければ説明会が開催できない事態に至っていた可能性は相当高いのであるから,弁護人の主張は採用できない。 したがって,被告人らの行為が正当行為であるとはいえない。弁護人の主張は理由がない。 3 公訴権濫用の主張について
弁護人は,被告人は狙い打ちで逮捕・起訴されたから,その起訴は違法無効であり,公訴は棄却されなければならないと主張する。しかし,公訴の提起が検察官の訴追裁量権の逸脱として無効となるのは,公訴の提起自体が職務犯罪を構成するような極限的な場合に限られるのであり,本件にそのような事情は見当たらない。したがって,弁護人の主張は理由がない。 【法令の適用】
1 被告人の行為は,刑法60条,234条,233条に当たる。 2 定められた刑のうち懲役刑を選択する。 3 その刑期の範囲内で,主文のとおり刑を定める。 4 被告人はこの裁判に関し身柄を拘束されていたから,刑法21条を適用して,主文のとおり未決勾留日数の一部をその刑に算入し,刑の執行が終わったものとして扱う。 5 情状により,刑法25条1項を適用して,刑の執行を猶予する。 6 訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させない。 【量刑の理由】 被告人らは,集団で,2時間近くにわたって市職員らによる説明会の会場設営を執拗に妨害しており,その態様も粗暴なものであって,妨害行為がその後も続いていれば説明会の開催は困難だったと思われる。震災がれきの焼却については被告人自身も強く訴えているとおり我が国における重要な政治問題となっていたのであって,その説明会に参加したいと考える国民にとっては重要な情報入手の場であったのに,被告人は,そのような説明会の開催が困難となるような妨害行動をしたものである。もっとも,結果的には説明会は行われるに至っている。また,被告人が試験焼却による生命身体への危険を感じ,自分たちだけではなく処理施設周辺住民への健康被害を阻止するために妨害行為を行ったというその動機は,量刑上考慮すべきである。 そうすると,本件は,罰金刑で処断するほど軽い事案でもないが,実刑は重すぎ,刑期の点でも比較的短期が相当な事案である。そこで,主文のとおりの刑を定めた。
刑法60条
234条
第二百三十三条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百三十四条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
233条
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最高裁判例事件番号
平成24(行ヒ)245 事件名
水俣病認定申請棄却処分取消等請求事件 裁判年月日
平成25年4月16日 法廷名
最高裁判所第三小法廷 裁判種別
判決 結果
破棄差戻 判例集等巻・号・頁
民集 第67巻4号1115頁 原審裁判所名
大阪高等裁判所 原審事件番号
平成22(行コ)124 原審裁判年月日
平成24年4月12日 判示事項
公害健康被害の補償等に関する法律4条2項に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟における審理及び判断の方法
裁判要旨
公害健康被害の補償等に関する法律4条2項に基づく水俣病の認定の申請を棄却する処分の取消訴訟における裁判所の審理及び判断は,処分行政庁の判断の基準とされた運用の指針に現在の最新の医学水準に照らして不合理な点があるか否か,公害健康被害認定審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があってこれに依拠してされた処分行政庁の判断に不合理な点があるか否かといった観点から行われるべきものではなく,経験則に照らして個々の事案における諸般の事情と関係証拠を総合的に検討し,個々の具体的な症候と原因物質との間の個別的な因果関係の有無等を審理の対象として,申請者につき水俣病のり患の有無を個別具体的に判断すべきものである。 参照法条
公害健康被害の補償等に関する法律2条1項,2条2項,2条3項,4条1項,4条2項,
公害健康被害の補償等に関する法律施行令1条,別表第2第4項 全文
主 文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
理 由
第1 事案の概要
1 亡X(平成25年3月▲日に死亡。以下「本件申請者」という。)は,昭和 53年9月30日,熊本県知事に対し,公害健康被害補償法(昭和48年法律第1 11号。なお,同法の題名は,昭和62年法律第97号により「公害健康被害の補 償等に関する法律」に改められた。以下,改正の前後を問わず「公健法」とい う。)4条2項の規定に基づく水俣病の認定の申請(以下「本件認定申請」とい う。)をしたところ,同知事は,同55年5月2日,本件認定申請を棄却する処分 (以下「本件処分」という。)をした。 本件は,本件申請者の子である上告人が,被上告人を相手に,本件処分の取消し
を求めるとともに,熊本県知事において,公健法5条及び4条2項に基づき,本件 申請者がそのかかっていた疾病が水俣市及び葦北郡の区域に係る水質の汚濁の影響 による水俣病である旨の認定を受けることができる者であった旨の決定をすること の義務付けを求める事案である。 2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。 (1) 救済措置に係る法令制定前の状況
ア 水俣湾周辺地域においては,昭和28年頃から原因不明の中枢神経疾患にり 患した患者が散発的に現れていたところ,同31年5月1日,原因不明の中枢神経 疾患が多発している旨の報告がチッソ株式会社(旧商号は新日本窒素肥料株式会 社。以下「チッソ」という。)水俣工場附属病院の医師から水俣保健所に対してさ れたことによって,上記疾患が一つの特徴的な疾病として公に認知されることにな り,その後,水俣病と呼ばれるようになった。 イ チッソは,水俣工場において,昭和7年頃から,有機水銀化合物(以下「有
機水銀」という。)の一種であるメチル水銀化合物(以下「メチル水銀」とい う。)が製造過程で生成されるアセトアルデヒドの製造を始め,同24年頃からは その製造量を増やした。当初は,同工場のアセトアルデヒド製造施設からの排水の 排出先は水俣湾内にある百間港であったが,昭和33年9月,湾外の水俣川河口付 近に変更され,同34年頃からは,水俣湾沿岸のみならず,その北東に位置する水 俣川河口付近の住民等にも上記疾病にり患する患者が発生するようになった。 チッソは,昭和43年5月,水俣工場におけるアセトアルデヒドの製造を中止 し,これにより同工場からメチル水銀が含まれる排水が排出されることはなくなっ た。 ウ 国は,昭和43年9月,上記アの疾病はチッソ水俣工場のアセトアルデヒド
製造施設内で生成され工場排水に含まれて排出されたメチル水銀が原因で発生した ものである旨の政府見解を発表した。 エ このようにして,上記疾病は,チッソ水俣工場のアセトアルデヒド製造施設
内で生成され同工場の排水に含まれて水俣湾や水俣川河口付近に排出されたメチル 水銀が,魚介類に蓄積され,その魚介類を多量に摂取した者の体内に取り込まれて 大脳,小脳等に蓄積し,神経細胞に障害を与えることによって引き起こされる疾病 であると捉えられ,その主要な症状としては,感覚障害,運動失調,求心性視野狭 窄,聴力障害,言語障害等が確認されるに至っている。 (2) 救済措置に係る関係法令等の定め
ア 昭和44年に制定された公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法(昭
和44年法律第90号。昭和48年法律第111号により廃止。以下「救済法」と いう。)は,事業活動その他の人の活動に伴う相当範囲にわたる著しい大気の汚染 又は水質の汚濁の影響による疾病にかかった者の健康被害の救済を図ることを目的 とするものである(1条)ところ,同法2条1項は,同法において「指定地域」と は,事業活動その他の人の活動に伴って相当範囲にわたる著しい大気の汚染又は水 質の汚濁が生じたため,その影響による疾病が多発している地域で政令で定めるも のをいう旨規定し,同条2項は,前項の政令においては,併せて同項に規定する疾 病を定めなければならない旨規定していた。 また,救済法3条は,指定地域の全部又は一部を管轄する都道府県知事は,当該
指定地域につき,前条2項の規定により定められた疾病にかかっている者につい て,その者の申請に基づき,公害被害者認定審査会の意見を聴いて,その者の当該 疾病が当該指定地域に係る大気の汚染又は水質の汚濁の影響によるものである旨の 認定を行う旨規定していた。 救済法を受けて制定された公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法施行令
(昭和44年政令第319号。以下「救済法施行令」という。)1条及び別表は, 同法2条1項の政令で定める地域として「熊本県の区域のうち,水俣市及び葦北郡 の区域並びに鹿児島県の区域のうち,出水市の区域」を定め,同項に規定する疾病 として「水俣病」を定めていた。このように救済法施行令別表に「水俣病」が定め られるようになったのは,昭和44年8月に財団法人日本公衆衛生協会が厚生省か ら研究の委託を受けて佐々貫之を委員長として設置した公害の影響による疾病の指 定に関する検討委員会(以下「佐々委員会」という。)によって,公害に係る健康 被害の救済制度の確立と円滑な運用に資するため,制度の対象とする疾病の名称, 続発症検査項目等の問題について検討が行われた結果,有機水銀関係について,政 令に織り込む病名としては「水俣病」を採用するのが適当であること,水俣病の定 義は「魚貝類に蓄積された有機水銀を経口摂取することにより起こる神経系疾患」 とすること等の意見が取りまとめられ,かかる佐々委員会の意見を受けて,救済法 施行令別表に「水俣病」が規定されるに至ったという経緯によるものであった。 イ 昭和48年に制定された公健法が翌年に施行されたことにより救済法は廃止
され(公健法附則2条),救済法による救済措置は,以下のとおり,公健法による 救済措置に連続性をもって切り替えられている。 公健法は,事業活動その他の人の活動に伴う相当範囲にわたる著しい大気の汚染 又は水質の汚濁の影響による健康被害に係る被害者等の迅速かつ公正な保護及び健 康の確保を図ることを目的とするものである(1条)ところ,同法2条1項は,同 法において「第一種地域」とは,事業活動その他の人の活動に伴って相当範囲にわ たる著しい大気の汚染が生じ,その影響による疾病(次項に規定する疾病を除 く。)が多発している地域として政令で定める地域をいう旨規定し,同条2項は, 同法において「第二種地域」とは,事業活動その他の人の活動に伴って相当範囲に わたる著しい大気の汚染又は水質の汚濁が生じ,その影響により,当該大気の汚染 又は水質の汚濁の原因である物質との関係が一般的に明らかであり,かつ,当該物 質によらなければかかることがない疾病が多発している地域として政令で定める地 域をいう旨規定し,同条3項は,前2項の政令においては,併せて前2項の疾病を 定めなければならない旨規定している。そして, 公害健康被害補償法施行令(昭和49年政令第295号。なお,同施行令の題名は,昭和62年政令第368号により「公害健康被害の補償等に関する法律施行令」に改められた。以下,改正の前後を問わず「公健法施行令」という。)1条及び
別表第2は,公健法2条2項の政令
で定める地域として「熊本県の区域のうち,水俣市及び葦北郡の区域並びに鹿児島 県の区域のうち,出水市の区域」を定め,同項に規定する疾病として「水俣病」を 定めている。 公健法4条1項は,第一種地域の全部又は一部を管轄する都道府県知事は,当該 第一種地域につき同法2条3項の規定により定められた疾病にかかっていると認め られる者で,申請の当時当該第一種地域の区域内に住所を有し,かつ,申請の時ま で引き続き当該第一種地域の区域内に住所を有した期間が一定期間以上であるなど 同法4条1項1号ないし3号の要件のいずれかに該当するものの申請に基づき,当 該疾病が当該第一種地域における大気の汚染の影響によるものである旨の認定を行 い,この場合においては,当該疾病にかかっていると認められるかどうかについて は,公害健康被害認定審査会の意見を聴かなければならない旨規定している。 公健法4条2項は,第二種地域の全部又は一部を管轄する都道府県知事は,当該 第二種地域につき同法2条3項の規定により定められた疾病にかかっていると認め られる者の申請に基づき,当該疾病が当該第二種地域に係る大気の汚染又は水質の 汚濁の影響によるものである旨の認定を行い,この場合においては,当該疾病にか かっていると認められるかどうかについては,公害健康被害認定審査会の意見を聴 かなければならない旨規定している。 公健法附則3条は,同法の施行の際現に救済法3条1項の認定を受けている者 は,政令で定めるところにより,公健法による認定を受けた者とみなす旨規定する ほか,同法附則4条1項,2項は,同法の施行の際現に救済法3条1項の認定の申 請をしている者に対しては,従前の例によりその認定をすることができ,この認定 を受けた者は,政令で定めるところにより,公健法による認定を受けた者とみなす 旨規定している。 ウ 公健法及び公健法施行令並びに救済法及び救済法施行令(以下,併せて「公 健法等」という。)における水俣病の認定に係る所轄行政庁の運用の指針について は,昭和46年8月7日,認定に当たり留意すべき事項を示すものとして,各関係 都道府県知事及び政令市市長に宛てて「公害に係る健康被害の救済に関する特別措 置法の認定について」と題する通知(昭和46年環企保第7号環境庁事務次官通 知。以下「昭和46年事務次官通知」という。)が,同52年7月1日,後天性水 俣病の判断条件を取りまとめたものとして,各関係都道府県知事及び政令市市長に 宛てて「後天性水俣病の判断条件について」と題する通知(昭和52年環保業第2 62号環境庁企画調整局環境保健部長通知。以下,同通知において示された判断条 件を「昭和52年判断条件」という。)が,同53年7月3日,認定に当たり留意 すべき事項を整理し再度明らかにするものとして,各関係都道府県知事及び政令市 市長に宛てて「水俣病の認定に係る業務の促進について」と題する通知(昭和53 年環保業第525号環境事務次官通知。以下「昭和53年事務次官通知」とい う。)がそれぞれ発出された。 昭和52年判断条件は,四肢末端の感覚障害,運動失調,平衡機能障害,求心性
視野狭窄,歩行障害,構音障害,筋力低下,振戦,眼球運動異常,聴力障害などの 症候は,それぞれ単独では一般に非特異的であると考えられるので,水俣病である ことを判断するに当たっては,高度の学識と豊富な経験に基づき総合的に検討する 必要があるが,一定のばく露歴を有する者であって,① 感覚障害があり,かつ, 運動失調が認められること,② 感覚障害があり,運動失調が疑われ,かつ,平衡 機能障害あるいは両側性の求心性視野狭窄が認められること,③ 感覚障害があ り,両側性の求心性視野狭窄が認められ,かつ,中枢性障害を示す他の眼科又は耳 鼻科の症候が認められること,④ 感覚障害があり,運動失調が疑われ,かつ,そ の他の症候の組合せがあることから,有機水銀の影響によるものと判断される場合 であることのいずれかに該当する症候の組合せがある者については,通常,その者 の症候は,水俣病の範囲に含めて考えられるものであるとした。 昭和53年事務次官通知は,水俣病の範囲に関する昭和46年事務次官通知の趣 旨は,申請者が水俣病にかかっているかどうかの検討の対象とすべき全症候につい て,水俣病に関する高度の学識と豊富な経験に基づいて総合的に検討し,医学的に みて水俣病である蓋然性が高いと判断される場合には,その者の症候が水俣病の範 囲に含まれるというものであるとし,昭和52年判断条件はこの趣旨を具体化及び 明確化するために示されたものであり,今後は同判断条件にのっとり申請者の全症 候について水俣病の範囲に含まれるかどうかを総合的に検討し判断するものとする とした。 (3) 本件訴訟に至る経緯等
ア 本件申請者は,大正14年の出生から昭和46年に兵庫県尼崎市に転居する
までの間,水俣湾周辺に居住して日常的に魚介類を摂食していたところ,同47年
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特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律
(平成十七年五月二十五日法律第五十一号) 第三十四条 第十四条第一項の規定による禁止に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第三十五条 第二十二条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三十六条 第二十三条第五項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による特定原動機検査事務又は特定特殊自動車検査事務の停止命令に違反したときは、その違反行為をした登録特定原動機検査機関又は登録特定特殊自動車検査機関の役員又は職員は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三十七条 第十二条第四項の規定に違反して表示を付した者は、五十万円以下の罰金に処する。
第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第二項の規定に違反して表示を付した者
二 第十条第一項の規定による届出をする場合において虚偽の届出をした者
三 第十一条第二項の規定に違反して、記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録を保存しなかった者
四 第十七条第一項の規定に違反して特定特殊自動車を使用した者
五 第十八条の規定による命令に違反した者
六 第二十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
七 第二十九条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第三十九条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした登録特定原動機検査機関又は登録特定特殊自動車検査機関の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十一条第七項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、同項に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
二 第二十一条第八項(第二十七条において準用する場合を含む。)の許可を受けないで特定原動機検査事務又は特定特殊自動車検査事務の全部を廃止したとき。
三 第二十四条第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第四十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は所有し、若しくは使用する特定特殊自動車に関し、第三十四条、第三十七条又は第三十八条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第四十一条 第十条第三項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の過料に処する。
第四十二条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした登録特定原動機検査機関又は登録特定特殊自動車検査機関の役員又は職員は、二十万円以下の過料に処する。
一 第二十一条第五項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。
二 正当な理由がないのに第二十一条第六項各号(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による請求を拒んだとき。
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毒物及び劇物取締法
(昭和二十五年十二月二十八日法律第三百三号) 最終改正:平成二三年一二月一四日法律第一二二号
第二十四条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条、第三条の二、第四条の三又は第九条の規定に違反した者
二 第十二条(第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)の表示をせず、又は虚偽の表示をした者
三 第十三条、第十三条の二又は第十五条第一項の規定に違反した者
四 第十四条第一項又は第二項の規定に違反した者
五 第十五条の二の規定に違反した者
六 第十九条第四項の規定による業務の停止命令に違反した者
第二十四条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持することの情を知つて第三条の三に規定する政令で定める物を販売し、又は授与した者
二 業務その他正当な理由によることなく所持することの情を知つて第三条の四に規定する政令で定める物を販売し、又は授与した者
三 第二十二条第六項の規定による命令に違反した者
第二十四条の三 第三条の三の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二十四条の四 第三条の四の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十条第一項第四号又は第二項第三号に規定する事項につき、その届出を怠り、又は虚偽の届出をした者
二 第十四条第四項の規定に違反した者
二の二 第十五条第二項から第四項までの規定に違反した者
三 第十六条の二(第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)の規定に違反した者
四 第十七条第一項又は第二項(これらの規定を第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)の規定による厚生労働大臣、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長の要求があつた場合に、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 第十七条第一項又は第二項(これらの規定を第二十二条第四項及び第五項で準用する場合を含む。)の規定による立入、検査、質問又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
六 第二十一条第一項(同条第四項で準用する場合を含む。)の規定に違反した者
七 第二十二条第一項から第三項までに規定する届出を怠り、又は虚偽の届出をした者
第二十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第二十四条、第二十四条の二、第二十四条の四又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
第二十七条 第十六条の規定に基づく政令には、その政令に違反した者を二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定及び法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関してその政令の違反行為をしたときはその行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金を科する旨の規定を設けることができる。
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