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【判例ID】   27662752
損害賠償請求控訴事件
福岡高裁 昭和五三年(ネ)第一八〇号、第二一一号
昭和五九年三月一六日判決
(控訴人・被控訴人(一審原告))野口静子 ほか七五八名
(被控訴人(一審被告))国 ほか二名
代理人 麻田正勝 美濃谷利光 冨永環 ほか八名
(控訴人・被控訴人(一審被告))鐘淵化学工業株式会社
 二審判決認定のダーク油事件の経過と国の責任
目次
当事者の表示〈略〉

       主   文


       事   実

第一 当事者の求めた裁判
一 一審原告ら(一審原告渡邊瑠璃子を除く)
二 一審被告鐘化
三 その余の一審被告ら
第二 当事者の主張
一 請求原因
1(一審被告加藤の代理監督者責任)
2(一審被告国等の責任)
(一)一審被告国のPCBの大量生産と大量使用を放置した責任
(二)食品による危害から国民の生命、健康を守る責任
(1)(国の作為義務)
(2)内閣の不作為の違法性
(3)厚生大臣の不作為の違法性
(4)一審被告国、同北九州市のカネミ倉庫に対する食品衛生法上の規制権限不行使の違法性
(三)ダーク油事件における一審被告国の責任
(1)ダーク油事件の概要と行政の対応
(2)(国の予見可能性)
(3)農林大臣の予見可能性
(4)厚生大臣の予見可能性
(5)(一審被告国の責任)
(四)結論
3(損害)
4(主張の訂正)
二 請求原因に対する一審被告らの答弁
1(一審被告国、同北九州市)
2(一審被告鐘化)
3(一審被告ら全員)
三 一審被告加藤の抗弁とこれに対する答弁
四 一審被告鐘化の予備的主張(抗弁)
五(その余の当事者の主張)
六 一審被告鐘化の追加的、補足的主張
1 本件事故の原因としての工作ミス説について
2(カネクロールの漏出と事故との因果関係について)
3 PCBの毒性について
七 一審被告国、同北九州市の補足的主張
1 国にPCB規制上の責任がないことについて
2 国、北九州市の食品衛生行政上の責任について
3 ダーク油事件における国の責任について
4 損害論について
第三 証拠〈略〉

       理   由

第一 当事者
第二 本件油症事件の発生の経緯と概況について
第三 本件油症事故の原因解明について
一 カネミ倉庫におけるライスオイルの製造工程とカネクロールについて
二 カネクロールの混入経路について
三 ピンホール説と工作ミス説
第四 カネミ倉庫と一審被告加藤の責任について
第五 一審被告鐘化の責任について
第六 一審被告国及び同北九州市の責任について
一(PCBのJIS規格指定について)
二(食用油製造業を営業許可業種に指定することについて)
三 ダーク油事件について
1(ダーク油事件とは)
2(ダーク油事件の経過とこれに対する行政並びに関係者の対応)
3(食用油による被害発生の危険の予測と結果回避の可能性)
第七 損害について
一 油症の病像について
1(油症の定義)
2(油症患者とその診断基準の変遷)
3(油症の現状と治療法)
4(ドーズ・レスポンスについて)
二 症状各論
1 皮膚症状
2 眼の症状
3 頭痛(頭重感)
4 胃腸症状
5 呼吸器症状
6 油症児について
三 油症患者の死亡について
四 症状鑑定について
五 症度と慰藉料額の算定について
六 死亡油症患者の相続関係等について
1 氏名の訂正
2 当審における主張変更分
3 当審において新たに主張された権利の承継
4 相続債権の譲渡
七 一審被告加藤三之輔の一部弁済の主張について
八 一審被告鐘化の分割責任について
九 一審原告井藤良二の請求について
一〇 弁護士費用
第八 結論
別紙
〔一〕一審原告ら目録〈略〉
〔二〕一審原告ら訴訟代理人目録〈略〉
〔三〕請求債権額一覧表〈略〉
〔四〕死亡油症患者一覧表〈略〉
〔五〕真正に成立を認めた証拠目録〈略〉
〔六〕油症患者被害認定一覧表〈略〉
〔七〕認容金額一覧表

       主   文

一 一審原告ら(一審原告井藤良二、同渡邊瑠璃子を除く)の一審被告加藤三之輔、同鐘淵化学工業株式会社(以下「一審被告鐘化」という)、同国に対する控訴及び一審被告鐘化の控訴に基づき、原判決中右関係部分を次のとおり変更する。
1 一審原告ら(ただし、一審原告井藤良二及び一審被告加藤三之輔関係では一審原告大川点順こと梁女を除く)に対し、一審被告加藤三之輔、同鐘化は、各自別紙〔七〕認容金額一覧表中の「認容金額(一)」欄記載の各金員及びこれに対する昭和四三年一一月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を、一審被告国は、同一覧表中の「認容金額(二)」欄記載の各金員及びこれに対する同日から支払済みまで年五分の割合による金員を各支払え。
2 右一審原告らの右一審被告らに対するその余の請求(請求拡張分を含む)を棄却する。
二 右一審原告らと一審被告鐘化関係において、その控訴に基づいて右変更にかからない右一審原、被告らの控訴は、いずれもこれを棄却する。
三 一審原告井藤良二の一審被告らに対する控訴並びに同一審原告、一審原告渡邊瑠璃子を除く一審原告らの一審被告北九州市に対する控訴及び拡張請求を、いずれも棄却する。
四 訴訟費用は、一審原告ら(ただし、一審原告井藤良二及び一審被告加藤三之輔関係では一審原告大川点順こと梁女、一審被告加藤三之輔、同国、同北九州市関係では一審原告渡邊瑠璃子を除く)と一審被告加藤三之輔、同鐘化、同国との間に生じた分は、第一、二審を通じてこれを四分し、その一を右一審原告らの、その余を右一審被告らの負担とし、右一審原告らと一審被告北九州市との間に生じた控訴費用は右一審原告らの負担とし、一審原告井藤良二の控訴費用は同一審原告の負担とする。
五 この判決第一項1は、一審被告鐘化についてはその七割、一審被告国及び同加藤三之輔については全額につき仮に執行することができる。

       事   実

第一 当事者の求めた裁判
一 一審原告ら(一審原告渡邊瑠璃子を除く)
1 控訴の趣旨
 原判決を次のとおり変更する。
(一)一審被告らは、各自右一審原告らに対し、別紙〔三〕請求債権額一覧表記載の金員及びこれに対する昭和四三年一一月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(二)訴訟費用は第一、二審とも一審被告らの負担とする。
との判決並びに(一)項について仮執行宣言の申立
2 一審被告鐘化の控訴について
(一)本件控訴を棄却する。
(二)控訴費用は一審被告鐘化の負担とする。
との判決
二 一審被告鐘化
1 控訴の趣旨
(一)原判決中一審被告鐘化敗訴部分を取り消す。
(二)一審原告(ただし一審原告井藤良二を除く)らの請求を棄却する。
(三)訴訟費用は第一、二審とも右一審原告らの負担とする。
との判決
2 一審原告ら(一審原告渡邊瑠璃子を除く)の控訴について
(一)本件控訴を棄却する。
(二)控訴費用は右一審原告らの負担とする。
との判決
三 その余の一審被告ら
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は一審原告(一審原告渡邊瑠璃子を除く)らの負担とする。
との判決
第二 当事者の主張
一 請求原因
 一審原告らの請求原因は次のとおり付加、訂正するほか原判決事実摘示(原判決a10頁二行目からa32頁一三行目まで)と同一であるからこれを引用する。
1 原判決a14頁五行目の次に行を改め次のとおり付加する。
「仮に、右代理監督責任を問うについて、特定の従業員の不法行為が必要であるとしても、少くとも本件油症事件当時工場長であつた森本義人には、カネクロールの混入した食用油を製造し、販売に供した不法行為があり、一審被告加藤は右森本に対してカネミ倉庫に代つて代理監督の責任があつた者であるから、民法七一五条二項により損害賠償責任を負うべきである。」
2 原判決4の記載(原判決a14頁七行目からa20頁二行目まで)を次のとおり改める。
(一)一審被告国のPCBの大量生産と大量使用を放置した責任
 PCBは人体と環境にとつてきわめて危険な物質であり、本件油症発生以前にすでに内外の学者や研究者によつてその危険性が警告されていたものであるから、国としては、PCBの危険性すなわちPCBが大量に生産、販売された場合、その使用、消費、廃棄の過程で人体と環境に被害を及ぼすことを十分予見しえたものである。したがつて、国は「毒物及び劇物取締法」、「薬事法」、「食品衛生法」等の関係法令による権限や行政指導を駆使してPCBに対する適切な規制を行うべき注意義務があつたものと言うべきである。
 これは、日本国憲法が国民の生命、健康の保全を人権規定の中でも至上のものとし、同法一三条、二五条等で国政の重要な目標と宣言していることから、国は国民の生命、健康の保全を目的として付与されている権限を駆使してその実現を図る法的責務、つまり安全確保義務を負つているからにほかならない。
 しかるに、国は本件油症事件が発生するまでPCBについての規制を一切行うことなく放置していたばかりか、PCBの開発、国産化を指導、奨励し、PCB(カネクロール)を昭和三二年不燃性絶縁油として、昭和三八年にはトランス用の絶縁体として、それぞれJIS規格に指定し、PCBの大量生産、消費とその危険な用途拡大を間接的に促進して本件カネミ油症事件の原因を作つた。
 右のように、PCBについてなんらの規制もせず放置していた国の不作為は、安全確保義務に違反し、その法的責任を問われるべきものである。
(二)食品による危害から国民の生命、健康を守る責任
(1)前記のとおり、国には国民の生命、健康を守るべき義務があり、国民の生命、健康とかかわりのある食品の安全性の確保については食品衛生法が制定されている。食品衛生法は、その一条で「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」を法の目的としているもので、同法は消費者である個々の国民に対して、安全な食品の供給を確保することを行政庁の基本的義務とするものである。
 したがつて、国は「飲食に起因する危害の発生を防止するため」にその権限を行使して、本件油症事件のような食品公害の発生を防止すべき法的義務を負つているのである。
(2)内閣の不作為の違法性
 食品衛生法二〇条は、「都道府県知事は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業であつて、政令で定めるものの施設につき、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。」と定め、同法二一条一項は、「前条に規定する営業を営もうとする者は、省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。」と定めている。これは、食品の安全を守るための一つの方法として、食品関連業者のうち危険性を有する営業については、これを許可制にして、このような営業を営業開始の時点で規制し、その後も営業の監視などを適正なものにしていこうとするものである。
食品衛生法は、内閣に対して、常に食品営業の実態を把握し、国民に被害を与えるおそれのある「公衆衛生に与える影響が著しい営業」については、営業許可業種に指定することを委託しているのであつて、内閣は、右業種を営業許可業種に指定する義務を負つているのである。
 ところで、食用油製造業については、本件油症事件発生までは営業許可業種に指定されず、事件発生後昭和四四年になつてようやく指定されたものであるが、本件カネミ倉庫におけるライスオイル製造工程に示すとおり、食用油は多数の化学物質を使用し、複雑な工程を通つて作られており、決して安全な業種ということはできず、またかなり広範囲な販路を持つているものが多く、一旦事故が発生すると被害は広範囲に及ぶことになり、公衆に与える影響は決して少くない。
 これらのことを考えると、内閣は同法二〇条の委託にもとづいて、食用油製造業を政令でもつて営業許可業種に指定して、食用油製造業者に対して、熱媒体やその他の使用化学物質による被害を防止できる基準を厚生大臣や都道府県知事に決めさせるべきであつた。
 したがつて、内閣が昭和四三年油症事件発生前に食用油製造業を営業許可業種に指定しなかつたことは、食品衛生法二〇条に違反し、国家賠償法一条一項の違法となるものである。
(3)厚生大臣の不作為の違法性
 食品衛生法七条一項は、「厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。」と規定し、同法一〇条一項において、「厚生大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。」と規定している。
 これらの厚生大臣の権限は、食品の安全を確保するために、国民が食品衛生法によつて厚生大臣に委託したものであるから、厚生大臣は、国民に対しこれらの食品衛生法によつて付与された権限を適正に行使して、食品被害の発生を防止すべき義務を負うものである。
 そして、PCBを熱媒体として使用する熱交換器や脱臭装置は、右一〇条一項に規定している「営業上使用する器具」や「これらの原材料」に該当し、これらの物を使つての食品製造は、「食品の製造加工」に該当するものであるから、厚生大臣においては、PCBを熱媒体として使用している食品工場が多数存在し、それにより国民が被害を受ける危険性が客観的に存在した以上、右食品衛生法上の権限を適切に行使して、PCBの食品工業での使用を禁止するなり、或いは適正な規格、基準を定めるなりして被害の発生を防止すべき義務があるのに、油症事件が発生するまでこのような措置を全くとらなかつたものであつて、厚生大臣には食品衛生法上の義務違反があり、ひいては国家賠償法一条一項の違法となるものである。
(4)一審被告国、同北九州市のカネミ倉庫に対する食品衛生法上の規制権限不行使の違法性
(イ)カネミ倉庫の営業許可(更新)の際の権限不行使の違法
 北九州市における食品衛生行政は、同市が政令指定都市であるため、食品衛生法上都道府県又は都道府県知事が国の機関委任により行うものとされている事務のうち同法二〇条の規定による基準の設定に関する事務以外のすべての事務について同市又は同市長が国の機関委任により処理すべきものとされており、本件において食品衛生法上の福岡県知事や同市長の行為、不行為は、即国の行為、不行為となるものである。
 而して、食品衛生法二一条は、同法二〇条により政令で指定された営業を営もうとする者は、都道府県知事(政令指定都市にあつては市長)の許可を受けなければならない旨定めている。この規定は食品による被害を防ぐために営業許可という制度を採り、公衆衛生に与える影響の大きな業種については、個々的に知事又は市長の許可を得なければ営業が出来ないようにしたものである。右知事又は市長の権限は、国民の食生活の安全を確保するために食品衛生法が与えたものであり、知事又は市長においては、国民に対してこの権限を適正に行使して危険な食品営業者の発生を防止する義務を負うものである。
 ところで、カネミ倉庫はその製品であるライスオイルをびん詰にして出荷していたが、かん詰、びん詰製造業は前記許可業種に当るため、昭和三六年福岡県知事に対して営業許可申請がなされ、ついで同三九年、四二年に北九州市長(その後北九州市が政令指定都市になつたため)に対し更新許可申請がなされた。右更新許可申請に当つては、食品添加物が規格に合致するかどうか、油の製造工程中油が露出する部分で異物混入がないか、古いびんの洗浄、殺菌が十分になされているかどうかの調査のみで、カネミ倉庫の脱臭工程についてはなんらの調査もなされなかつた。
 福岡県知事や北九州市長が、カネミ倉庫からの営業許可申請や更新申請に対しては、脱臭工程についても安全を確認する義務があり、まして同倉庫の脱臭工程は熱媒体にPCBを使つているため決して安全と言えないのにそれを看過し、なんの条件もつけずに営業許可、更新をなしたのは、食品衛生法二一条に違反し、ひいては国家賠償法一条一項の違法性を帯びるものである。
(ロ)カネミ倉庫の施設についての監視、製品検査についての権限不行使
 原判決a16頁一〇行目の「されている。」の次に「しかし、カネミ倉庫を担当していた同市の食品衛生監視員別府三郎は年に二、三回の監視しかなさなかつた。」と付加したうえ、この点に関する原判決事実摘示(原判決a14頁一九行目からa15頁一三行目まで及び同a16頁四行目からa18頁九行目まで)を引用する。
(三)ダーク油事件における一審被告国の責任
(1)ダーク油事件の概要と行政の対応
(イ)昭和四三年二月中旬から同年三月中旬にかけて、西日本一帯に鶏(ブロイラー)の雛が大量に死亡するという事件が起つた。当初はウイルスによる鶏の伝染病であるニユーカツスル病ではないかと思われたが、まもなく特定の配合飼料が原因になつていると疑われた。その被害は同年三月下旬の調査では約六〇万羽、同年七月の調査では約二〇〇万羽に達し、そのうち約四〇万羽がへい死した。
(ロ)福岡県においては、同年二月下旬から鶏の奇病が発生し、直ちに県下の全家畜保健所に緊急連絡し、その後同年三月一二日東急エビスの福岡工場に立入調査を行い、その時点で原因はカネミ倉庫製のダーク油であると推定したうえ同月二六日から再現試験を行い、同年四月二五日までに全例死亡し再現を確認した。
(ハ)福岡肥飼料検査所(以下「福岡肥飼検」という)は、同年三月一四日鹿児島県畜産課から、「ブロイラー団地に原因不明による鶏のへい死事故が多発し、原因は配合飼料によるらしい。」との電話連絡を受け、翌一五日農林省畜産局流通飼料課に右事故の発生を報告するとともに、右配合飼料メーカーである東急エビス産業の製造課長より、同社製造の配合飼料Sブロイラー、Sチツクの二銘柄が右事故の原因物質とみられること、右二銘柄の製品、生産、出荷、原料の品質状態等について報告を受けたが、その際同銘柄が他の銘柄と特に異つた原料としているものは、カネミ倉庫生産にかかるダーク油であることが判明した。そして、福岡肥飼検は東急エビスに対し、右二銘柄の生産と出荷の停止を指示するとともに、顛末書の提出を求め、同月一九日には他の事故原因とみられる配合飼料メーカーである林兼産業にも同様に顛末書の提出を求めた。
 さらに、福岡肥飼検は、同月一九日には東急エビス産業に係官を派遣し立入調査をするとともに、林兼産業飼料部製造課長からも事情を聴取した後、同月二二日カネミ倉庫の事前了解をえて飼料課長矢幅雄二と同課係員水崎好成の二名にカネミ倉庫本社工場に立入調査を行わせた。右立入調査後の同月二五日、福岡肥飼検は農林省本省の指示により同省家畜衛生試験場(以下「家畜衛試」という)に対し、関係配合飼料やダーク油を添えて再現試験及び原因物質の究明を目的とした病性鑑定を依頼した。
(二)家畜衛試では小華和忠が中心となり、同年四月一七日以降四週間に亘り中雛を使用し、製造月日が二月一五日に近い鑑定材料(事故の原因になつたと思われる飼料)について中毒の再現試験を行つた。その結果右鑑定材料のすべてについて毒性が再現され、またその臨床症状は九州地方において発生した中毒症状にきわめてよく類似し、食欲減退、活力低下、翼の下垂、ついで腹水、食欲廃絶、嗜眠などが認められ、さらに剖検所見も同様に九州地方において発生した中毒鶏のそれに類似し、心嚢水及び腹水の著増、胸腹部皮下の膠様化、出血、上頸部皮下の出血などが認められた。
 以上により、家畜衛試は同年六月一四日福岡肥飼検に対し病性鑑定回答書を提出したが、同書面によると、右鑑定材料及びダーク油に毒性があり、鶏雛に対して致死的作用のあることを確認するとともに、ダーク油事件は配合飼料製造に使用したダーク油に原因するものと思われること、ダーク油の発光分析の結果、鉛、砒素、マンガン、カドミウム、銀、スズが検出されなかつたこと、本中毒ときわめてよく類似した鶏の中毒がアメリカのジヨージア、アラバマ、ノースカロライナ及びミシシツピーの各州に一九五七年に発生しているというシユミツトルらの報告があるが、この報告によると毒成分の本態が非水溶性の成分であることのみは明らかにされていること、本病鑑例の毒成分とアメリカで発生した中毒の毒成分とが全く同一であるかどうかは不明であること、油脂製造工程中の無機性有毒化合物の混入は一応否定されるので、油脂そのものの変質による中毒と考察されること、などが記載されていた。
(2)福岡肥飼検ないし農林省畜産局においては、ダーク油事件の原因がカネミ倉庫のダーク油であるという嫌疑は、事件発生直後、おそらくとも昭和四三年三月二二日には固つていた。
 ところで、ダーク油事件の原因がカネミ倉庫のダーク油であるということが判明すれば、それはわが国鶏病史上最大規模の被害をもたらしたものであるだけに、鶏肉、鶏卵の安全性または危険性を確認する必要が生じ、またわが国最大の鶏病被害としてのその原因及び原因物質を究明して行くうえでも、ダーク油の製造工程のチエツクが必要となり、それらの過程で、農林当局(農林大臣)と厚生当局(厚生大臣)とが、「有機的連携を保つて」病鶏の鶏肉、鶏卵が食用に供される危険を防止しようとすれば、食用油の危険は予見されることになる。
 国家賠償法上の国の予見可能性は、個々の行政庁ではなく有機的統一体としての国の予見可能性があれば十分である、と考えるが、以下農林大臣、厚生大臣の予見可能性について言及する。
(3)農林大臣の予見可能性
(イ)前記のとおり、農林行政当局とりわけ福岡肥飼検の原因究明によりダーク油事件の原因がダーク油にあることが判明し、現地立入の結果、ダーク油とライスオイルとは同一企業、同一工場で、しかも米糠という共通の原料から同一製造工程によつて製造されていることを知りえたのであるから、ダーク油に有毒物が含まれていることが疑われる以上ライスオイルの安全性についても疑問を抱くのはむしろ当然のことであり、現に福岡肥飼検の矢幅飼料課長は、右立入調査の際、食用油は大丈夫か、と質問しているのである。
 この段階で、問題のダーク油出荷前後のライスオイルを入手してこれを飼料に加えて鶏に与える飼育試験などの方法を採れば、ライスオイルにもまたダーク油と同じ毒物が含まれていたことが容易に判明しえた筈である。
(ロ)本件病性鑑定を依頼された家畜衛試では、鑑定の結果「油脂そのものの変質」という回答をしたが、実は一九五七年アメリカにおいて本件被害鶏ときわめて類似した病像を呈する病気で大量の鶏がへい死し、チツク・エデイマ病と名付けられ、その原因に関する研究報告が発表されているが、その文献によると有機塩素系化合物が右チツク・エデイマ病の原因物質とされており、東急エビス産業においても、ダーク油事件発生直後からチツク・エデイマ病に着目して原因究明に当つていた。
 これに対して小華和鑑定は、ダーク油事件の原因究明に真面目に取り組まず、見当違いの回答をしたもので、ダーク油事件の解明を混乱におとし入れ、ライスオイルの有害性に着目する機会を失わせた。
(4)厚生大臣の予見可能性
 食品の生産、流通に関する農林行政と食品の安全に関する食品衛生行政との緊密な関係から言えば、厚生大臣と農林大臣とは有機的統一体として把握され、前記(3)の農林大臣の予見可能性はそのまま厚生大臣の予見可能性に直結する。
 そうでないとしても、ダーク油事件に関して特定の食品の安全確保のため或いは被害鶏の鶏肉、鶏卵が食用に供されないようにするため、農林行政当局(農林省畜産局)と厚生行政当局(厚生省環境衛生局)が有機的連携を保つて職務を行うのでなければその目的を達しえない場合には、農林大臣と厚生大臣とは一個の行政当局と同視しうるので、農林大臣の予見可能性はそのまま厚生大臣のそれに結びつくことになる。
(5)国は、福岡肥飼検がカネミ倉庫の立入調査をした昭和四三年三月二二日ころ、おそくとも同年四月下旬ころまでには、ライスオイルによる人身被害の可能性について予見が可能なものであつたから、一審被告国の機関である厚生大臣及び食品衛生行政を担当する北九州市長は、食品衛生法一七条、二二条にもとづき食品の収去、廃棄等を命じ、さらには被害の発生を防止するためカネミライスオイルの出荷販売停止、使用停止等応急の措置を直ちに採るべき義務があつたものである。
 しかるに一審被告国(厚生大臣ないし北九州市長)は、右予見可能性を有しながら右の義務を怠り、なんらの適切な措置をも採らなかつたことによつて本件油症被害が発生ないし拡大したものであるから、国家賠償法一条一項により一審原告らが被つた損害を賠償すべき責任がある。
(四)結論
 以上のいずれによつても、一審被告国は、国家賠償法一条一項により一審原告らが被つた後記損害を賠償すべき責任があるが、一審被告北九州市もまた前記(二)、(4)及び(三)の北九州市長及び食品衛生監視員の給与を支払い、その他費用を負担するものであるから、国家賠償法三条一項により一審被告国と並んで損害を賠償すべき責任がある。

(一)原判決a22頁の九行目から一一行目までを次のとおり改める。
「右のとおり、一審原告らが油症によつて被つた経済的、肉体的、精神的損害は甚大なものがあり、しかも個々の油症被害者についてランク付けをすることは出来ないものであるが、年若い者ほど長年月に亘つて油症被害に苦しみ続けることを考慮すれば、一審原告らの被つた損害を敢えて金銭で賠償するとき、一審被告らは一審原告らに対し包括損害の一部として一律に以下の各金額を支払うのが相当である。
(1)基準日(昭和四三年一一月一日、以下同じ)において満三一才未満であつた(昭和一二年一一月二日以降に出生した)患者について
生存患者 二、五〇〇万円
死亡患者 三、〇〇〇万円
(2)基準日において満三一才以上、五一才未満であつた(大正六年一一月二日以降昭和一二年一一月一日以前に出生した)患者について
生存患者 二、三〇〇万円
死亡患者 二、八〇〇万円
(3)基準日において満五一才以上、六一才未満であつた(明治四〇年一一月二日以降大正六年一一月一日以前に出生した)患者について
生存患者 二、〇〇〇万円
死亡患者 二、五〇〇万円
(4)基準日において満六一才以上であつた(明治四〇年一一月一日以前に出生した)患者について
生存患者 一、八〇〇万円
死亡患者 二、三〇〇万円
(二)原判決a22頁からa32頁までの死亡油症患者の相続関係(イ)ないし(ム)欄について、次のとおり相続人の氏名を訂正し、債権譲渡並びに相続関係についての主張を改める。
(1)(ホ)欄の「岩田美智子」とあるのを「白水美智子」と、(ワ)欄の「永山ユキ子」とあるのを「永尾ユキ子」と、(カ)欄の「松崎麗子」とあるのを「中村麗子」と、「中村静代」とあるのを「豊村静代」と、(レ)欄の「浜村わか子」とあるのを「横田わか子」と、「浜村よし子」とあるのを「小柳よし子」と、(ネ)欄の「前島鈴子」とあるのを「小笹鈴子」と、(ナ)欄の「永田留美子」とあるのを「渡邉留美子」とそれぞれ改める。
(2)(ラ)欄に「右債権譲渡の通知は、原告ら準備書面(第一一回)によつてなした。」(原判決a31頁一六行目)とあるのを、「右債権譲渡通知は、昭和五八年二月二六日付書面をもつてなし、該書面には同月二八日に一審被告鐘化、同国、同北九州市に、同月二七日に一審被告加藤三之輔に、それぞれ到達した。」と、(ム)欄全部を、「油症患者池田久江は、昭和四四年七月四日に死亡した。同人の相続人は、夫一審原告池田聡、長男同池田純夫、長女同小島圭子、二女同池田小夜子の四名である。一審原告池田聡は、右久江の夫として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも同人の子として同人の権利の九分の二を相続した。」とそれぞれ改める。
(三)当審において新たに主張された死亡油症患者の相続関係について、原判決a32頁一行目の次に改行して次のとおり付加する。
(1)油症患者野口彰生は、昭和五六年六月一〇日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告野口静子、長男同野口清孝、三男同野口清の三名である。一審原告野口静子は右彰生の妻として同人の権利の二分の一を、その余の右一審原告らはいずれも子として同人の権利の四分の一を相続した。
(2)油症患者太田成春は、昭和五六年一二月一二日に死亡した。ところで、同人は、同年一一月二四日、民法九七六条に定める方式により、所有財産の全部を姉戸塚キミ子に包括的に遺贈する旨の遺言をなし、右遺言は、昭和五七年一月七日、福岡家庭裁判所の確認の審判(昭和五六年(家)第二二九一号事件)を受けた。よつて、一審原告戸塚キミ子は、右太田成春の包括受遺者として同人の権利の全部を承継した。
(3)油症患者井上孝子は、昭和五二年七月一〇日に死亡した。同人の相続人は、夫一審原告井上★幸、長女同姫野紀子、長男同井上幸一の三名である。一審原告井上★幸は、右孝子の夫として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右孝子の子として同人の権利の三分の一を相続した。
(4)油症患者谷口フジは、昭和五三年八月三〇日に死亡した。同人の相続人は、長男一審原告谷口一夫、二女同大場フミ子、二男同谷口勝美、三男谷口光雄(昭和五一年一二月二六日死亡)の養子同谷口隆雄、四男同谷口★已、五男同谷口武、七男同谷口梅雄、八男同谷口留雄、四女同加生和江の九名である。右一審原告らは、いずれも右フジ子の子(ただし一審原告谷口隆雄は子光雄の代襲相続)として、右フジの権利の九分の一を相続した。
(5)油症患者大場東は、昭和五三年七月一八日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告大場フミ子、長女同坂本節子、長男同大場和章、二女同山科美喜子、三女同大場早知子、四女同池長多恵子、五女同権藤久美、六女同池長千栄の八名である。一審原告大場フミ子は、右東の妻として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右東の子として同人の権利の二一分の二を相続した。
(6)油症患者武司は、昭和五四年一二月一一日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告武エイ子、長男同武和彦、長女同武佳与子の三名である。一審原告武エイ子は、右司の妻として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右司の子として同人の権利の三分の一を相続した。
(7)油症患者佐藤ナツヱは、昭和五二年二月一五日に死亡した。同人の相続人は、夫一審原告佐藤定夫、長女同真田美智子、長男同佐藤定美、二女同前田ますみ、二男同佐藤和博、三男同佐藤武志の六名である。一審原告佐藤定夫は、右ナツヱの夫として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも子として右ナツヱの権利の一五分の二を相続した。
(8)前記(ト)欄の末尾につぎのとおり加える。
「樋口泰滋は、昭和五五年二月一六日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告樋口ヒサ、長女同北川洋子、長男同樋口英俊、二男同樋口達谷の四名である。一審原告樋口ヒサは、右泰滋の妻として同人の権利の三分の一(樋口サキの権利の三分の一)を、その余の右一審原告らは、いずれも右泰滋の子として同人の権利の九分の二(樋口サキの権利の九分の二)を相続した。」
(9)油症患者飯嶋政七郎は、昭和五五年九月一〇日に死亡した。同人の相続人は、長男一審原告飯嶋継人、二男同飯嶋直樹、二女同飯嶋英代、三男同飯嶋三千留、三女同飯嶋千寿の五名である。右一審原告らは、いずれも右政七郎の子として同人の権利の五分の一を相続した。
(10)油症患者有福清利は、昭和五七年一二月二二日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告有福美代子、長男同有福利和、長女同山本美佐江、二男同有福和弘の四名である。
一審原告有福美代子は、右清利の妻として同人の権利の二分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右清利の子として同人の権利の六分の一を相続した。
(11)前記(リ)欄の末尾につぎのとおり加える。
「油症患者森富子は、昭和五六年九月一九日に死亡した。同人の相続人は、長男一審原告森久幸、長女同森美智子の二名である。右一審原告らは、いずれも右富子の子として同人の権利の二分の一(森照夫の相続分を含め)を相続した。」
(12)油症患者古賀タツミは、昭和五三年九月四日に死亡した。同人の相続人は、夫一審原告古賀千代松、養子同古賀正治の二名である。一審原告古賀千代松は、右タツミの夫として同人の権利の三分の一を、一審原告古賀正治は、右タツミの養子として同人の権利の三分の二を相続した。
(13)油症患者七田乃枝子は、昭和五三年一一月二七日に死亡した。同人の相続人は、夫一審原告七田繁、長女同大林ルリ子、長男同七田哲露、二男同七田浩二の四名である。一審原告七田繁は、右乃枝子の夫として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右乃枝子の子として同人の権利の九分の二を相続した。
(14)前記(ヲ)欄をつぎのとおり改める。
「油症患者渡辺儀一は、昭和四四年一二月一三日死亡し、その相続人は、その妻渡辺アイ、養子一審原告渡辺リイであつたところ、右渡辺アイも昭和五五年六月二日に死亡し、同人の相続人は、養子一審原告渡辺リイ一名である。よつて、一審原告渡辺リイは、油症患者渡辺儀一の権利の全部について相続分を有する。」
(15)油症患者沢井武朗は、昭和五一年一二月一四日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告沢井チヱ、長男同沢井政人、長女同沢井美紀、二女同沢井由紀の四名である。一審原告沢井チヱは、右武朗の妻として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右武朗の子として同人の権利の九分の二を相続した。
(16)油症患者福島光次は、昭和五二年三月一九日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告福島ウメ、長男同福島武光、長女同福島津多惠、二男同福島芳光、三男同福島徳一、四男同福島和美の六名である。一審原告福島ウメは、右光次の妻として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右光次の子として同人の権利の一五分の二を相続した。
(17)前記(ツ)欄につぎのとおり加える。
「池口ヤヨは、昭和五五年一〇月一一日に死亡した。同人の相続人は、夫一審原告池口念次郎、長女同古佐小キヌヱ、三女同池口和代、長男同池口裕次の四名である。一審原告池口念次郎は、右ヤヨの夫として同人の権利の三分の一(江上モトの権利の一五分の一)を相続し、その余の右一審原告らは、いずれも右ヤヨの子として同人の権利の九分の二(江上モトの権利の四五分の二)を相続した。」
(18)油症患者這越勇蔵は、昭和五四年四月二一日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告這越マシ、二男同這越直吉、長女同中村トセ、二女同江上サツ、三女同赤瀬キサの五名である。一審原告這越マシは、右勇蔵の妻として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右勇蔵の子として同人の権利の六分の一を相続した。
(19)油症患者泉谷敏雄は、昭和五四年一一月二一日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告泉谷政子、父泉谷団一郎の二名である。一審原告泉谷政子は、右敏雄の妻として同人の権利の二分の一を、泉谷団一郎は、右敏雄の父として同人の権利の二分の一を相続した。その後、昭和五五年五月二五日に、右一審原告と泉谷団一郎の遺産分割協議により、本件損害賠償請求権については、同一審原告が全部相続する旨の合意が成立した。よつて、一審原告泉谷政子は泉谷敏雄の権利の全部を承継した。
(20)油症患者水谷ツルは、昭和五七年一二月八日に死亡した。同人の相続人は、長男一審原告水谷吉男、長女同水谷エイ子、二女同水谷トシ子、二男同水谷定雄、三男同水谷清市の五名である。右一審原告らは、いずれも右ツルの子として同人の権利の五分の一を相続した。
(21)油症患者江上倉蔵は、昭和五三年九月二八日に死亡した。同人の相続人は、二女一審原告藤原ハルヱ、三女同寺脇ヤスヱ、四女同江口マサヱ、長男同江上長之助、五女同笠松アマノ、二男同江上貞夫、六女同道脇トミ子の七名である。右一審原告らは、いずれも右倉蔵の子として同人の権利の七分の一を相続した。
(22)油症患者海野武夫は、昭和五五年一二月三日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告海野静江、長女同渡邊瑠璃子、長男同海野輝夫、二男同海野勲夫の四名である。一審原告海野静江は、右武夫の妻として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右武夫の子として同人の権利の九分の二を相続した。
(23)油症患者二井正夫は、昭和五一年一一月三日に死亡した。同人の相続人は、妻一審原告二井チヨ子、養女同二井美栄子、養子同二井孝の三名である。一審原告二井チヨ子は、右正夫の妻として同人の権利の三分の一を、その余の右一審原告らは、いずれも右正夫の子として同人の権利の三分の一を相続した。
(24)油症患者毛頭キヨコは、昭和五七年七月二八日に死亡した。同人の相続人は、長男一審原告毛頭和則一名である。同一審原告は、右キヨコの子として同人の権利の全部を相続した。
4 原判決a21頁一九行目の「別紙〔三〕請求債権額一覧表中ロの」とあるのを「当審別紙〔三〕請求債権額一覧表中の」と、同a22頁一行目及びa32頁二行目の「別紙〔四〕死亡油症患者一覧表」とあるのを「当審別紙〔四〕死亡油症患者一覧表」と、同行目の「右(イ)ないし(ム)記載の相続関係により」とあるのを「以上の相続関係により」と、同頁三、四行目の「別紙〔三〕請求債権額一覧表ハ」とあるのを「当審別紙〔三〕請求債権額一覧表」と、同頁六行目の「別紙〔三〕請求債権額一覧表のイ欄記載の各原告」とあるのを「一審原告ら」と、同頁七行目の「同目録ロハ欄」とあるのを「当審別紙〔三〕請求債権額一覧表」と、同行の「一割」とあるのを「二割」と、同頁八行目の「同表ニ欄」とあるのを「同表弁護士費用欄」と、同頁一一、一二行目の「別紙〔三〕請求債権額一覧表のホ欄記載の各損害金(同表ロハニ欄記載の各金額の合計額)」とあるのを「当審別紙〔三〕請求債権額一覧表の請求合計金額欄記載の各損害金(一審原告井藤良二、同渡邊瑠璃子を除き請求拡張)」と、それぞれ改める。
二 請求原因に対する一審被告らの答弁
 一審被告らの各答弁は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示(原判決a32頁一五行目からa45頁三行目まで)と同一であるからこれを引用する。
1(一審被告国、同北九州市)
 原判決a40頁五行目から一九行目までの記載を次のとおり改める。
(一)(一)の事実中、一審被告国がPCBを一審原告ら主張のようにJIS規格に指定したことは認めるが、その余は争う。
(二)(二)の事実について、一審原告ら主張の規定が食品衛生法に存在し、同法により厚生大臣等に各種の権限が付与されていること、食用油製造業が営業許可業種に指定されていなかつたこと、カネミ倉庫がびん詰、かん詰食品製造業者として営業許可業種に指定されていたこと、福岡県知事ないし北九州市長が一審原告ら主張の営業許可ないし更新をなしたこと、びん詰かん詰食品製造業の食品衛生監視員による監視回数が年一二回となつていること、実際の監視回数はそれを満たすものではなかつたことは認めるが、その余は争う。
(三)(三)の事実について、ダーク油事件が一審原告ら主張のような事件で、福岡肥飼検の係官がその主張のころ鶏のへい死に関する報告を受け配合飼料メーカーから事情を聴取したこと、その結果カネミ倉庫のダーク油を配合した飼料によつて事故が発生したことが判明したこと、福岡肥飼検が配合飼料メーカーに顛末書の提出を求めたこと、その主張のころ係官がカネミ倉庫の立入調査を行つたこと、福岡肥飼検から家畜衛試に病性鑑定を依頼したこと、右病性鑑定の回答がなされ、その回答中に一審原告ら主張のような記載がなされていることは認めるが、その余は争う。
2(一審被告鐘化)
 原判決a38頁二〇行目の次行に(四)として次のとおり付加し、二一行目の(四)とあるのを(五)と改める。
「本件事故は、後記のとおり、カネミ倉庫の一号脱臭缶改造工事の際の工作ミスによつてカネクロールがライスオイル中に漏出したが、カネミ倉庫において、右汚染油を再脱臭して出荷したため発生したものであり、一審被告鐘化の注意義務懈怠との間に相当因果関係はない。」
3(一審被告ら全員)
 請求原因3の(三)の当審において新たに主張された死亡油症患者の相続関係については、油症死亡患者の死亡の事実は認めるが、相続の事実は知らない。
三 一審被告加藤の抗弁とこれに対する答弁
 右抗弁は原判決事実摘示(原判決a45頁五行目から同頁一一行目まで)と同一であるからこれを引用し、これに対する一審原告らの答弁は原判決事実摘示(原判決a45頁一六行目から同頁一八行目まで)と同一であるからこれを引用する。
四 一審被告鐘化の予備的主張(抗弁)
 仮に、一審被告鐘化の行為が本件油症事故の発生になんらかの寄与をしたと認められるとしても、本件油症事故の発生は、カネミ倉庫の反社会的、犯罪的行為によつて発生したものであり、さらにカネミ倉庫及び国は、ダーク油事件が発生した時に当然に汚染油の存在並びに汚染油からの本件油症被害の発生を予測しえたにも拘らず、なんら的確な事故拡大回避措置を採らなかつたものであつて、これらの点に比べると、鐘化の本件事故に対する寄与の度合はきわめて僅少なものと言わなければならない。
 このように、結果の発生に対する寄与度が顕著に異なる場合には、それぞれの寄与度に応じて相当因果関係の範囲を画することが衡平の原則に適う所以であるから、一審被告鐘化については、その寄与度に応じた責任の分割、減縮が認められるべきである。
五 請求原因を理由あらしめるその余の事実並びに一審被告らの各主張に対するその余の反論及び一審原告らの各主張に対する一審被告らのその余の反論については、一審被告鐘化主張のフランジ説に係る部分を除き後記当審における補足的、追加的主張を加えるほか、原判決第五、第六分冊中の一審原告ら及び一審被告らの各準備書面記載のとおりであるからこれを引用する。
六 一審被告鐘化の追加的、補足的主張







転載元転載元: 法律を困っている人を助けるために学ぶ

    
2013/10/20 に公開
**
福一以前より何も変わらぬ醜悪極まりないこの国のリアル。清志郎が歌っていたように、もう誰にも止められないのか。


東京新聞 2013.9.24 掲載
「こちら特報部」
カネミ油症事件 阻まれる救済
の転載です。


関連情報
九州朝日放送
カネミ油症 - KBCが追った44年の記録 -
http://www.kbc.co.jp/tv/kanemi/

↓上記サイトのイントロダクションより転記

「美容と健康にいい」
そんな宣伝文句で売られていた米ぬか油。
その油には猛毒のダイオキシン類が含まれていた。
44年前、福岡県を中心とする西日本一帯で起きたカネミ油症事件。
吹き出物、手足のしびれ、肝機能障害、骨の変形、永久歯の欠落、大量の脱毛、そしてがん・・・。
根本的な治療法もない中、猛毒は44年がたった今もなお被害者たちを苦しめる。さらに被害は子や孫の世代までにも忍び寄る・・・。
人類史上初めてダイオキシン類を直接口にしたカネミ油症事件。
KBCはこのカネミ油症事件を発覚から44年にわたり追い続けてきました。
被害者の心と体の痛み、救済への悲痛な訴え・・・。
これまでに制作したドキュメンタリーは11本に上ります。
KBCが追ったカネミ油症44年の記録です。


転載元転載元: 法律を困っている人を助けるために学ぶ

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