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さいたま市の社会福祉士がつくるNPO法人が検察庁や裁判所に対し、身寄りのない容疑者・被告の施設での引き受けを確約したところ、約9割が起訴猶予や執行猶予付きの判決となり、実刑を回避していたことが分かった。裁判所などが福祉の支援で更生が可能と判断したとみられ、引き受け後の再犯率も低かった。法務省は再犯防止を重要政策に位置づけているが、NPO法人は刑務所出所後の支援だけでなく、刑事手続きの途中で支援する必要性を訴えている。【長野宏美、石川淳一】
路上生活者を支援してきたNPO法人「ほっとポット」(藤田孝典代表)は昨年9月、埼玉弁護士会と連携し、身寄りのない人が一時的に生活するシェルター(一時避難施設)を開設した。一戸建てで定員4人。釈放から1カ月の間に生活保護などの申請を手助けし、将来の自立を支援する。
弁護士がこうした容疑者らの弁護を引き受けた場合、法人がシェルターでの引き受けを確約、検察や裁判所に支援計画を提出し起訴猶予や執行猶予付きの判決を目指している。
法人によると、開設から1年間で受け入れを確約した34人のうち実刑判決は3人だけ。残りの31人は起訴猶予や執行猶予、罰金刑となった。シェルター出所後に再犯を起こした人は2人だけで、8割以上の26人がアパートなどで生活している。
法人のアンケートに答えたシェルター利用者25人のうち、事件を起こした時に路上生活をしていた人は14人。収入がなかった人も20人いた。罪名別では万引きなどの窃盗と無銭飲食などの詐欺が22人で大半を占めた。
社会に戻っても帰る先がない人の再犯率は高く、高齢者や知的障害者も少なくない。法人の宮澤進副代表は「社会で行き場がないから累犯者になりやすい。自立できる環境を整えれば、刑務所に送らなくても再犯防止につながる」と訴える。
執行猶予中に再犯を起こした知的障害の男性の引き受けを法人に依頼し、男性を再度の執行猶予判決につなげた坂下裕一弁護士は「受け皿ができたことで更生への道筋を示せた。福祉の支援の有効性を裁判所も意識してくれた」と話している。
◇検察も「更生」優先 法務省が再犯防止のために主に進めているのは刑務所出所者の支援だ。刑務所に送る前に、福祉の支援によって再犯防止につなげる制度は検討されていない。それでも刑事手続きに福祉関係者がかかわることで、検察が懲役刑を求めないケースも出始めている。
昨年9月、神戸地裁尼崎支部で器物損壊罪などに問われた知的障害の女性(34)の裁判では、社会福祉士が弁護士の依頼で女性の引き受けを決め、支援計画書を提出。検察は「福祉の下で生活設計を図るべきだ」と罰金求刑にとどめた。判決も「社会で生活した方が更生に役立つ」と罰金30万円を言い渡した。
支援に携わった兵庫県西宮市の障害者相談支援センター「であい」の原田和明所長は「回転ドアを何度も通るように繰り返される再犯を断ち切るには、刑罰だけでなく、早い段階から福祉に結びつける『国選社会福祉士』などの制度が必要だ」と指摘。02年以降に支援した知的障害者ら35人のうち、再犯は3人にとどまるという。
毎日新聞 2010年10月27日 2時35分(最終更新 10月27日 2時50分) |

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