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今日のテーマは楽器Saxです。
楽器店のウインドウに飾ってあるサックスを
ガラス越しにとりました。
全部写しちゃうと、値札が見えてしまいます。
手入れが行き届いていて、とても奇麗でした。
私が、まだバンドマンと言われる職業に就いていた頃です。
結婚して、三年目に妻が妊娠しているのが分かり
予定ではなかった、子供を授かることになったのです。
自分の分身がこの世に生を受ける、
そう思っただけで、予定日より早くなった破水に
私は、一人家でそわそわと歩き回っていました。
病院からの電話で
「西浦さん、元気な女のお子さんですよ!」
という知らせに、平静を装いながらも
胸の高鳴りを押さえることが出来ずに、
「あ、あ、ありがとうございます。」
の返事は、声がひっくり返るくらい
大きく出してしまいました。
慌てて、住宅公団の前からタクシーを拾い
「すいません、近いんですけど
中津の回生病院までお願いしたいんですけど・・・。」
少し、強面の運転手さんに恐る恐る声をかけると
「ああ、いいよ!」
と、快く返事して頂いた。
「兄ちゃん、ニコニコしてるけど
何か、ええことあったんかいな・・・。」
突然の質問に、戸惑ったものの
「はい、僕の初めての子供が出来たんです
今から、その子と初めて会うんです。」
と、うわずる声で答えました。
あっという間に、回生病院の玄関に着きました。
ポケットにある小銭を探している時でした。
タクシーの運転手さんは、ドアを開けて
「兄ちゃん、少ないけど祝儀や取っといて!!」
思いがけない言葉に、唖然とする私に
「早よ行ったらんと、赤ちゃん待ってるで!!」
ドアが締まり、タクシーは走り去って行きました。
勿論、運転手さんの名前も知りません。
顔も、覚えていません。
ただ、走り去って行ったタクシーの
黄色いボディーの後ろ姿と
空を見上げた時、奇麗な星空だったことだけ
今でも鮮明に覚えています・・・。
あれから、24年の月日が流れました。
黄色いタクシーの運転手さん
心から、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。
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